元社畜、スキル『おっさん』で快適な異世界ライフを送る~全てのおっさん(達人)のスキル使い放題はチート過ぎる!!~

荒井竜馬@書籍発売中

文字の大きさ
11 / 63

第11話 新たな依頼(つまみを求めて)

しおりを挟む
「おっさん! 治ったから依頼を受けに行こうぜ!」

「いや、翌日に回復するわけないだろ」

 異世界で町中華を食べた翌日、俺が泊まっている安宿にノエルがやってきた。町中華を食べた後、ノエルに安いホテルを案内してもらったので、ノエルに俺が泊まっている場所は知られている。

 それは分かっていたが、わざわざ部屋まで迎えに来るとは思わなかったな。

 俺はそんなことを考えながら、ノエルが怪我をしていた手足を確認する。すると、案の定、傷が完治している訳ではなかった。

「その傷とか平気なのか? それが治ってからでいいだろ」

「その傷って……これのことか? おっさん、冒険者ならこんなの日常茶飯事だぜ。別に、骨とかに異常があるわけじゃねーし、問題ないって」

「そうなのか? まぁ、子供の頃ってそんな感じだったっけ?」

 大人になって怪我している子供を見ると心配にはなるが、当時は俺も色んな所をすりむいても構わず遊んでいたような気がする。

 それに、冒険者って魔物と戦う訳だし、怪我をしない方が珍しいのかもしれないな。

「ノエルがそう言うなら、行ってみるか」

「おう! ほら、早く行こうぜ!」

「ちょっと待ってくれって、軽く準備だけさせてくれ」

 俺はノエルに急かされながら、簡単に準備を済ませてノエルと共に冒険者ギルドに向かうことになったのだった。



「それで、どの魔物の肉が美味いんだ?」

「えー、依頼を受ける基準がそこなのかよ」

 冒険者ギルドに入った俺たちは、依頼が貼られている掲示板の前で依頼を選んでいた。

 おっさん翻訳家の力のおかげで依頼内容は分かるが、実際に討伐対象肉を食べたことがないので、ノエルに色々と聞きながら依頼を決めていた。

 しかし、ノエルは俺の依頼の決め方が面白くないのか不満そうに眉を下げている。

「じゃあ、美味い酒が体中から出る魔物とかでもいいぞ」

「そんな魔物いるわけないだろ。美味い肉……それでいて、おっさんの力が分かるような依頼か」

「いや、別に俺の力が分かるかどうかとかはどうでもいいって」

 俺はノエルにそう言ったが、ノエルは眉をひそめて真剣な表情で掲示板を見つめていた。

 俺はそんなノエルを見ながら腰から下げている剣の柄に触れる。

 結局、昨日ノエルから借りたノエルの父親の剣を今日も借りてしまっている。

昨日得た報酬で剣を買おうと思ったのだが、返そうとしてもノエルが受け取ってくれなかった。

 これの剣も入会費と同じタイミングで返して欲しいとのことだ。

 どうやら、入会費にプラスして剣を貸していれば、俺がどこかに行くことはないと思っているらしい。

 ……俺がこのまま剣を盗んで街から逃げたらどうする気なんだろうな。

「よっし。じゃあ、この依頼にしようぜ」

 ノエルは大きく頷いてから、一枚の依頼書を掲示板から剥がして俺に見せる。

 そこには『ハイリザードの討伐』と書かれていた。

「ハイリザードって、大きなトカゲかなんかだろ? 美味いのか?」

「トカゲなんてもんじゃないって、小ぶりなワイバーンみたいな魔物だから」

「いやいや、ワイバーンみたいな魔物なんて俺に倒せるはずがないだろ」

 俺はノエルの言葉に慌てて手を横に振った。

 ノエルは俺のことを買ってくれているみたいだが、俺はまだこの世界に転移してきた二日目のおっさんだ。

 さすがに、そんなバケモノを相手にするのは早すぎる。

 しかし、俺がそう言ってもノエルは何でもないことのように笑っていた。

「大丈夫だって。小ぶりだって言ってるじゃんか。普通のD級冒険者がパーティ組んで倒すくらいの魔物だからさ」

「俺G級なんだが?」

「安心しろって。C級のうちがいれば問題ないから」

「え、ノエルってC級なのか?」

 俺は思いもしなかった言葉に目を見開く。

 一人で依頼を受けているくらいだから、それなりに強いとは思っていたが俺よりも冒険者のランクが四つも上だったとは。

 じゃあ、俺がノエルを助けたときは、本当に偶然疲れて果てたところを襲われていたみたいだな。

「そうだぜ。凄いだろ!」

「あ、ああ。本当にすごいな」

 ノエルは俺に褒められたことが嬉しかったのか、胸を張って得意げな顔をしていた。

 ……なんか急に頼もしく思えてきたな。

 ノエルがいてくれるのなら、多少強い相手でも問題ないかもしれない。それに、こんな機会がないと格上の魔物相手に戦うことなんかできないしな。

 ノエルの言う通り、スキル『おっさん』がどのくらい通用するのか試してみたくなってきた。

 それに何より、ワイバーンに近い魔物の肉がどれほど美味いのか気にもなるしな。

 俺はそう考えて、ノエルと共にハイリザードの討伐依頼を受けることにしたのだった。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました

雪月夜狐
ファンタジー
ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。 気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。 剣も魔法も使えないユウにできるのは、 子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。 ……のはずが、なぜか料理や家事といった 日常のことだけが、やたらとうまくいく。 無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。 個性豊かな子供たちに囲まれて、 ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。 やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、 孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。 戦わない、争わない。 ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。 ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、 やさしい異世界孤児院ファンタジー。

異世界で快適な生活するのに自重なんかしてられないだろ?

お子様
ファンタジー
机の引き出しから過去未来ではなく異世界へ。 飛ばされた世界で日本のような快適な生活を過ごすにはどうしたらいい? 自重して目立たないようにする? 無理無理。快適な生活を送るにはお金が必要なんだよ! お金を稼ぎ目立っても、問題無く暮らす方法は? 主人公の考えた手段は、ドン引きされるような内容だった。 (実践出来るかどうかは別だけど)

【完結】スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

優の異世界ごはん日記

風待 結
ファンタジー
月森優はちょっと料理が得意な普通の高校生。 ある日、帰り道で謎の光に包まれて見知らぬ森に転移してしまう。 未知の世界で飢えと恐怖に直面した優は、弓使いの少女・リナと出会う。 彼女の導きで村へ向かう道中、優は「料理のスキル」がこの世界でも通用すると気づく。 モンスターの肉や珍しい食材を使い、異世界で新たな居場所を作る冒険が始まる。

クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~

いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。 他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。 「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。 しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。 1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化! 自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働! 「転移者が世界を良くする?」 「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」 追放された少年の第2の人生が、始まる――! ※本作品は他サイト様でも掲載中です。

アイテムボックスの最も冴えた使い方~チュートリアル1億回で最強になったが、実力隠してアイテムボックス内でスローライフしつつ駄竜とたわむれる~

うみ
ファンタジー
「アイテムボックス発動 収納 自分自身!」  これしかないと思った!   自宅で休んでいたら突然異世界に拉致され、邪蒼竜と名乗る強大なドラゴンを前にして絶対絶命のピンチに陥っていたのだから。  奴に言われるがままステータスと叫んだら、アイテムボックスというスキルを持っていることが分かった。  得た能力を使って何とかピンチを逃れようとし、思いついたアイデアを咄嗟に実行に移したんだ。  直後、俺の体はアイテムボックスの中に入り、難を逃れることができた。  このまま戻っても捻りつぶされるだけだ。  そこで、アイテムボックスの中は時間が流れないことを利用し、チュートリアルバトルを繰り返すこと1億回。ついにレベルがカンストする。  アイテムボックスの外に出た俺はドラゴンの角を折り、危機を脱する。  助けた竜の巫女と共に彼女の村へ向かうことになった俺だったが――。

異世界召喚された俺の料理が美味すぎて魔王軍が侵略やめた件

さかーん
ファンタジー
魔王様、世界征服より晩ご飯ですよ! 食品メーカー勤務の平凡な社会人・橘陽人(たちばな はると)は、ある日突然異世界に召喚されてしまった。剣も魔法もない陽人が頼れるのは唯一の特技――料理の腕だけ。 侵略の真っ最中だった魔王ゼファーとその部下たちに、試しに料理を振る舞ったところ、まさかの大絶賛。 「なにこれ美味い!」「もう戦争どころじゃない!」 気づけば魔王軍は侵略作戦を完全放棄。陽人の料理に夢中になり、次々と餌付けされてしまった。 いつの間にか『魔王専属料理人』として雇われてしまった陽人は、料理の腕一本で人間世界と魔族の架け橋となってしまう――。 料理と異世界が織りなす、ほのぼのグルメ・ファンタジー開幕!

劣悪だと言われたハズレ加護の『空間魔法』を、便利だと思っているのは僕だけなのだろうか?

はらくろ
ファンタジー
海と交易で栄えた国を支える貴族家のひとつに、 強くて聡明な父と、優しくて活動的な母の間に生まれ育った少年がいた。 母親似に育った賢く可愛らしい少年は優秀で、将来が楽しみだと言われていたが、 その少年に、突然の困難が立ちはだかる。 理由は、貴族の跡取りとしては公言できないほどの、劣悪な加護を洗礼で授かってしまったから。 一生外へ出られないかもしれない幽閉のような生活を続けるよりも、少年は屋敷を出て行く選択をする。 それでも持ち前の強く非常識なほどの魔力の多さと、負けず嫌いな性格でその困難を乗り越えていく。 そんな少年の物語。

処理中です...