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第14話 魔物の実力と勧誘
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「今の凄かったな! お嬢ちゃんたち魔法使いなのか?」
「サーベルウルフをあんな一瞬で倒すなんて、すごいな!」
サーベルウルフを倒した後、私達は冒険者の人たちに囲まれていた。
男の人に囲まれるということに慣れていないので、私は反応に困ってしまっていた。
「あ、いえ、これから冒険者になろうと思っててーーあ、アリスさん? なんでこんなに驚かれてるんですか?」
「カエデの氷魔法が大き過ぎたからでしょ?」
アリスさんにそっと耳打ちをして聞いてみると、アリスさんはジトっした目で私を見てそんなことを口にした。
冒険者さん達の話を聞いていると、確かに魔法を褒めてくれる言葉もある。でも、それよりもサーベルウルフを倒したことに対する驚きの言葉の方が多い気がする。
「いやいや、助かったよ。俺達F級冒険だと倒せても時間がかかっただろうからな」
「……サーベルウルフって、もしかして、結構強いんですか?」
私達と冒険者さんたちの間で何か食い違いがある気がしたので、私は少し遠慮気味にそんなことを聞いてみた。
「ん? まぁ、F級冒険者4人で挑めば倒せないことはないってくらいだな。まさか、お嬢ちゃんたちが二人で倒しちゃうとは思わなかったぜ」
冒険者さんは頭をかいて、助けてもらったことを申し訳なさそうに眉をハの字にしていた。
話を聞く限り、冒険者にもなっていない私達が倒すにしては目立ちすぎる相手だったみたいだ。
「あ、アリスさん、そんなに強くないって言ってませんでした?」
「お、おじいちゃんはそう言ってたんだもん」
聞いていた話と違うと思って、アリスさんの袖を引いて抗議をしてみると、アリスさんも冒険者さんの言葉に目を丸くさせた後に、そんな言葉を口にしていた。
どうやら、おじいちゃんからすると強くないというだけで、普通の冒険者たちからしたら、そこそこ手こずる相手なのかもしれない。
「確か、この馬車って王都行きだったよな? どうよ、王都に着いたら俺たちのパーティに合流しないか?」
「え? いや、私たちまだ冒険者登録もしてませんよ?」
「それでも、そこら辺にいる冒険者よりも力は上だろ」
私とアリスさんが小声で話しているのを見た冒険者の一人が、突然そんなことを言ってきた。
これから、冒険者を目指す上で経験者がいるパーティに入れるのは嬉しいもしれない。
そう思って、アリスさんの方にちらりと視線を向けたのだけど、アリスさんはその冒険者さんを疑うように細めた目を向けていた。
その視線の意味が分からなくて、きょとんと首を傾げていると、アリスさんは静かに口を開いた。
「……私達、まだ十二歳と十歳ですけど、それでもいいんですか?」
「え? じゅ、十二歳か……」
さっきまでノリノリだった冒険者さんは、アリスさんの言葉を聞いて急に怖気づいたように眉を潜めて、私の方をちらりと見た。
「私が十二歳で、この子はまだ十歳です」
「え、十歳?!」
アリスさんが続けてそんなことを言うと、冒険者さんは驚いて目を見開いた後に、他の冒険者さん達と目配せをして小さく頷いた。
「……ま、また五年後くらいに声掛けようかな、なんて」
そういうと、私達が倒したサーベルウルフの方に行ってしまった。
急に興味を失ったように私達から離れると、興味の対象をサーベルウルフの方に移して、素材のはぎ取りに行ってしまった。
「あれ? 行っちゃいましたね?」
「……あの冒険者たち、カエデ目当てだったね」
「え? 私ですか? でも、アリスさんだって複数の氷の塊を飛ばしてましたし、ただ大きいだけの私よりも……」
「そっちじゃなくて、カエデが可愛いからぐいぐい来てたって意味。もちろん、魔法が凄いっていのもあるけど」
一瞬、アリスさんの言っている言葉のみが分からなくて私は首を傾げた。
それから少し考えた後、ようやく言っている言葉の意味が分かって、私は体が少し熱くなってしまった。
「カエデはもっと自分が可愛いってことを自覚した方がいいよ」
アリスさんにジトっとした目で見られて、私は急いでその言葉を訂正するように首と手を大きく振ってその言葉を否定した。
「え、いや、可愛い? 私、そんなモテたってこともないですよ?」
「そんなに可愛いのに?」
「それを言うなら、アリスさんの方が可愛いですよ。お人形さんみたいですし」
「わ、私はそんなことないから! それに、カエデとは違う気がするし」
私がさらりとそんなことを言うと、アリスさんは不意を突かれたせいか頬を赤く染めていた。
言われ慣れてないような初心な反応。そんな反応を可愛いと思うと同時に、私も同じように顔を赤くしていないか不安になる。
「やっぱり、冒険者が危険って言うのは本当みたい。……私がしっかりしないとね」
頬を赤くしながら、何か決意をしたようにアリスさんはそんなことを言っていた。
「そこの可愛いお嬢さんたち! 出発するから、馬車に乗ってくれ!」
そして、御者のおじさんに大声でそんなことを言われて、私達は周囲の視線を受けながら馬車に戻ることになったのだった。
馬車に戻ってから、周囲の人の視線が私達に集まっていたのは、何かの勘違いであって欲しかった。
……見世物になった気分で恥ずかしかったからだ。
「サーベルウルフをあんな一瞬で倒すなんて、すごいな!」
サーベルウルフを倒した後、私達は冒険者の人たちに囲まれていた。
男の人に囲まれるということに慣れていないので、私は反応に困ってしまっていた。
「あ、いえ、これから冒険者になろうと思っててーーあ、アリスさん? なんでこんなに驚かれてるんですか?」
「カエデの氷魔法が大き過ぎたからでしょ?」
アリスさんにそっと耳打ちをして聞いてみると、アリスさんはジトっした目で私を見てそんなことを口にした。
冒険者さん達の話を聞いていると、確かに魔法を褒めてくれる言葉もある。でも、それよりもサーベルウルフを倒したことに対する驚きの言葉の方が多い気がする。
「いやいや、助かったよ。俺達F級冒険だと倒せても時間がかかっただろうからな」
「……サーベルウルフって、もしかして、結構強いんですか?」
私達と冒険者さんたちの間で何か食い違いがある気がしたので、私は少し遠慮気味にそんなことを聞いてみた。
「ん? まぁ、F級冒険者4人で挑めば倒せないことはないってくらいだな。まさか、お嬢ちゃんたちが二人で倒しちゃうとは思わなかったぜ」
冒険者さんは頭をかいて、助けてもらったことを申し訳なさそうに眉をハの字にしていた。
話を聞く限り、冒険者にもなっていない私達が倒すにしては目立ちすぎる相手だったみたいだ。
「あ、アリスさん、そんなに強くないって言ってませんでした?」
「お、おじいちゃんはそう言ってたんだもん」
聞いていた話と違うと思って、アリスさんの袖を引いて抗議をしてみると、アリスさんも冒険者さんの言葉に目を丸くさせた後に、そんな言葉を口にしていた。
どうやら、おじいちゃんからすると強くないというだけで、普通の冒険者たちからしたら、そこそこ手こずる相手なのかもしれない。
「確か、この馬車って王都行きだったよな? どうよ、王都に着いたら俺たちのパーティに合流しないか?」
「え? いや、私たちまだ冒険者登録もしてませんよ?」
「それでも、そこら辺にいる冒険者よりも力は上だろ」
私とアリスさんが小声で話しているのを見た冒険者の一人が、突然そんなことを言ってきた。
これから、冒険者を目指す上で経験者がいるパーティに入れるのは嬉しいもしれない。
そう思って、アリスさんの方にちらりと視線を向けたのだけど、アリスさんはその冒険者さんを疑うように細めた目を向けていた。
その視線の意味が分からなくて、きょとんと首を傾げていると、アリスさんは静かに口を開いた。
「……私達、まだ十二歳と十歳ですけど、それでもいいんですか?」
「え? じゅ、十二歳か……」
さっきまでノリノリだった冒険者さんは、アリスさんの言葉を聞いて急に怖気づいたように眉を潜めて、私の方をちらりと見た。
「私が十二歳で、この子はまだ十歳です」
「え、十歳?!」
アリスさんが続けてそんなことを言うと、冒険者さんは驚いて目を見開いた後に、他の冒険者さん達と目配せをして小さく頷いた。
「……ま、また五年後くらいに声掛けようかな、なんて」
そういうと、私達が倒したサーベルウルフの方に行ってしまった。
急に興味を失ったように私達から離れると、興味の対象をサーベルウルフの方に移して、素材のはぎ取りに行ってしまった。
「あれ? 行っちゃいましたね?」
「……あの冒険者たち、カエデ目当てだったね」
「え? 私ですか? でも、アリスさんだって複数の氷の塊を飛ばしてましたし、ただ大きいだけの私よりも……」
「そっちじゃなくて、カエデが可愛いからぐいぐい来てたって意味。もちろん、魔法が凄いっていのもあるけど」
一瞬、アリスさんの言っている言葉のみが分からなくて私は首を傾げた。
それから少し考えた後、ようやく言っている言葉の意味が分かって、私は体が少し熱くなってしまった。
「カエデはもっと自分が可愛いってことを自覚した方がいいよ」
アリスさんにジトっとした目で見られて、私は急いでその言葉を訂正するように首と手を大きく振ってその言葉を否定した。
「え、いや、可愛い? 私、そんなモテたってこともないですよ?」
「そんなに可愛いのに?」
「それを言うなら、アリスさんの方が可愛いですよ。お人形さんみたいですし」
「わ、私はそんなことないから! それに、カエデとは違う気がするし」
私がさらりとそんなことを言うと、アリスさんは不意を突かれたせいか頬を赤く染めていた。
言われ慣れてないような初心な反応。そんな反応を可愛いと思うと同時に、私も同じように顔を赤くしていないか不安になる。
「やっぱり、冒険者が危険って言うのは本当みたい。……私がしっかりしないとね」
頬を赤くしながら、何か決意をしたようにアリスさんはそんなことを言っていた。
「そこの可愛いお嬢さんたち! 出発するから、馬車に乗ってくれ!」
そして、御者のおじさんに大声でそんなことを言われて、私達は周囲の視線を受けながら馬車に戻ることになったのだった。
馬車に戻ってから、周囲の人の視線が私達に集まっていたのは、何かの勘違いであって欲しかった。
……見世物になった気分で恥ずかしかったからだ。
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