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第97話 メニューの作戦会議
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お爺さんのお店の厨房にて、私たちは何を作るかエルドさんと話し合っていた。
「やっぱり、無難にご飯に合うものがいいんですかね?」
「そうだな。夜だけの酒屋ならまだしも、多分昼間も営業しているだろうしな。まぁ、欲を言えば酒にもご飯にも合うのがいいのかもしれないが」
「どちらにも合うものですか……」
以前にエルドさんとシキに作ったときのように、ご飯も進みながらお酒にも合う。そんな魚料理を作れるのがベストということだろう。
幸いなことに、魚料理という物はそのどちらも満たすものが結構ある気がする。
いや、でもシンプルな焼き魚とかは子供には合わないかもしれない。余分な脂が落ちたふっくらとした焼き魚の美味しさは、大人にならないと分からない気がする。
それなら、やっぱり子供受けも狙って生魚を使って一品あった方がいいかな。
せっかく数品作ってもいいのなら一品はご飯に合うのに特化して、二品目は一品目と一緒に食べられるもの、ラストにエルドさんも言っていたお酒にもご飯にも合うものがいいかな。
「うん、何となくの方向性は決まりました。あとは、食材を見て決めますか」
方向性だけ決まれば、あとは食材によって何を作るのか決めるだけ。というか、食材によって何を作るか変わってしまうものだろう。
そう考えた私は、エルドさんと共に食品庫の確認に向かった。
「おおっ、結構種類ありますね」
大きな食品庫の中を覗くと、そこにあったのは種類の多い食材たちだった。魚の他にも野菜なども多く入っていて、作りたい物はなんでも作れそうな種類の多さだ。
「……これは、逆に何を作るのか決めるのが大変そうですね」
そんな食材の多さに驚きながら食材を見ていると、どこか見慣れたような魚のさくが並んでいるのが分かった。
もしかしてと思って、その魚を見つめながら【全知鑑定】のスキルを使用すると、何もない所にその食材の鑑定結果を表示させた画面が現れた。
【全知鑑定 マグロザカナの赤身……マグロによく似た魚の赤身。海魚の定番として食べられている】
やっぱり、これマグロなんだ。
まさかと思ったけど、アジに似た魚が存在するのならマグロに似た魚がいてもおかしくはないか。
……まぁ、見た目が大ぶりな真鯛みたいなのがアジみたいな魚だったわけだし、このマグロみたいな魚もどんな姿をしているのかは分からないけどね。
そんなことを考えながら、他の食材も見ていくと他にも見覚えのある魚の切り身があったりしたので、私はその都度【全知鑑定】のスキルを使ってその食材たちを鑑定していった。
そして、これからどんな料理を作るのか想像を固めていったのだった。
「とりあえず、時間のかかるものから作っていきましょうか」
私は目の前にあったマグロザカナの赤身を手に取って、そんな言葉を呟いていた。
子供も美味しく食べられるものと言えば、やっぱり丼ものだよね。
そんなことを考えながら、私は着々と料理の準備を始めていったのだった。
「やっぱり、無難にご飯に合うものがいいんですかね?」
「そうだな。夜だけの酒屋ならまだしも、多分昼間も営業しているだろうしな。まぁ、欲を言えば酒にもご飯にも合うのがいいのかもしれないが」
「どちらにも合うものですか……」
以前にエルドさんとシキに作ったときのように、ご飯も進みながらお酒にも合う。そんな魚料理を作れるのがベストということだろう。
幸いなことに、魚料理という物はそのどちらも満たすものが結構ある気がする。
いや、でもシンプルな焼き魚とかは子供には合わないかもしれない。余分な脂が落ちたふっくらとした焼き魚の美味しさは、大人にならないと分からない気がする。
それなら、やっぱり子供受けも狙って生魚を使って一品あった方がいいかな。
せっかく数品作ってもいいのなら一品はご飯に合うのに特化して、二品目は一品目と一緒に食べられるもの、ラストにエルドさんも言っていたお酒にもご飯にも合うものがいいかな。
「うん、何となくの方向性は決まりました。あとは、食材を見て決めますか」
方向性だけ決まれば、あとは食材によって何を作るのか決めるだけ。というか、食材によって何を作るか変わってしまうものだろう。
そう考えた私は、エルドさんと共に食品庫の確認に向かった。
「おおっ、結構種類ありますね」
大きな食品庫の中を覗くと、そこにあったのは種類の多い食材たちだった。魚の他にも野菜なども多く入っていて、作りたい物はなんでも作れそうな種類の多さだ。
「……これは、逆に何を作るのか決めるのが大変そうですね」
そんな食材の多さに驚きながら食材を見ていると、どこか見慣れたような魚のさくが並んでいるのが分かった。
もしかしてと思って、その魚を見つめながら【全知鑑定】のスキルを使用すると、何もない所にその食材の鑑定結果を表示させた画面が現れた。
【全知鑑定 マグロザカナの赤身……マグロによく似た魚の赤身。海魚の定番として食べられている】
やっぱり、これマグロなんだ。
まさかと思ったけど、アジに似た魚が存在するのならマグロに似た魚がいてもおかしくはないか。
……まぁ、見た目が大ぶりな真鯛みたいなのがアジみたいな魚だったわけだし、このマグロみたいな魚もどんな姿をしているのかは分からないけどね。
そんなことを考えながら、他の食材も見ていくと他にも見覚えのある魚の切り身があったりしたので、私はその都度【全知鑑定】のスキルを使ってその食材たちを鑑定していった。
そして、これからどんな料理を作るのか想像を固めていったのだった。
「とりあえず、時間のかかるものから作っていきましょうか」
私は目の前にあったマグロザカナの赤身を手に取って、そんな言葉を呟いていた。
子供も美味しく食べられるものと言えば、やっぱり丼ものだよね。
そんなことを考えながら、私は着々と料理の準備を始めていったのだった。
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