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第92話 和食の魅力
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エルドさんがなめろうをじっと見ている様子を見つめていると、エルドさんが私の視線に気づいたようにこちらを見た。
「アン、こっちは何か調味料が入っているのか?」
「それは味噌を使っています。多分、今のエルドさんが求める味かもしれません」
「俺が求める味?」
私は黄金色のお酒をちらっと見た後、意味ありげにそんな言葉を口にした。
エルドさんは小首を傾げながら、スプーンの先でなめろうを少し救ってそれを口に運んでいた。
「おおっ! こ、これはさすがに美味過ぎないか! 待てよ、さっきアンが言っていた意味って……」
エルドさんは初めて食べるなめろうの味に感動して目を輝かせた後、何かに気づいたようにじっと黄金色のお酒に目を向けた。
どうやら、私の言葉の意味に気づいたみたいだ。
どれ、私も食べてみよう。
そう思った私はスプーンを持って、なめろうを掬ってそれを口に運んだ。
「んんっ、これは……完全におつまみですね。美味しいなぁ」
口の中に広がるのは、ネギやショウガのような薬味の風味と味噌の味によって引きたてられた魚の旨味。
ネギ味噌の時点でお酒が進む味のに、そこにアジのような魚を追加するのだから、犯罪的な旨さになるのも納得というもの。
その名前の由来通り、皿まで舐めたくなるような一品となっていた。
「おおおぉぉっ……これは、酒と凄い合うなっ。これはっ、これはっ……」
なめろうを食べた後に、黄金色のお酒を口に運んだエルドさんは言葉を失うくらい、その相性の良さに感激しているようだった。
どうやら、海魚の魅力に完全に心を奪われたみたいだった。
どれ、私はお酒の代わりに炊き立てのご飯をかき込むことにしよう。
そう思った私は炊き立てのご飯の上になめろうを少し置いて、それをご飯と一緒にかき込んでみた。
「んんんっ! あれ、なめろうってご飯とも凄く合う!」
前世では居酒屋以外で食べたことがなかったので、ご飯と一緒に食べるなんてことをしたことがなかったが、ご飯が止まらなくなるくらいの美味しさがそこにあった。
ネギ味噌がご飯に合うんだから、なめろうもご飯にも合うか。
そんなことを考えながら、私はご飯に合わないはずがない『アジザカナのフライ』、『アジザカナの刺身』もご飯と一緒にかき込んで、その美味しさに感動するのだった。
これ、ソースも九州の甘口醤油も全部ご飯をかき込みたくなる味だ。
アジザカナづくしの料理を食べて黄金色のお酒を流し込むエルドさんの隣で、私は満足げにご飯をかき込んでその美味さに口元を緩めていた。
まさか、ここまで満喫できるとは、海魚の魅力は恐ろしいものだ。
私は口をもぐもぐとさせながら、アジザカナの旨味とそれをエルドさんとシキと楽しむこの瞬間を堪能したのだった。
「アン、こっちは何か調味料が入っているのか?」
「それは味噌を使っています。多分、今のエルドさんが求める味かもしれません」
「俺が求める味?」
私は黄金色のお酒をちらっと見た後、意味ありげにそんな言葉を口にした。
エルドさんは小首を傾げながら、スプーンの先でなめろうを少し救ってそれを口に運んでいた。
「おおっ! こ、これはさすがに美味過ぎないか! 待てよ、さっきアンが言っていた意味って……」
エルドさんは初めて食べるなめろうの味に感動して目を輝かせた後、何かに気づいたようにじっと黄金色のお酒に目を向けた。
どうやら、私の言葉の意味に気づいたみたいだ。
どれ、私も食べてみよう。
そう思った私はスプーンを持って、なめろうを掬ってそれを口に運んだ。
「んんっ、これは……完全におつまみですね。美味しいなぁ」
口の中に広がるのは、ネギやショウガのような薬味の風味と味噌の味によって引きたてられた魚の旨味。
ネギ味噌の時点でお酒が進む味のに、そこにアジのような魚を追加するのだから、犯罪的な旨さになるのも納得というもの。
その名前の由来通り、皿まで舐めたくなるような一品となっていた。
「おおおぉぉっ……これは、酒と凄い合うなっ。これはっ、これはっ……」
なめろうを食べた後に、黄金色のお酒を口に運んだエルドさんは言葉を失うくらい、その相性の良さに感激しているようだった。
どうやら、海魚の魅力に完全に心を奪われたみたいだった。
どれ、私はお酒の代わりに炊き立てのご飯をかき込むことにしよう。
そう思った私は炊き立てのご飯の上になめろうを少し置いて、それをご飯と一緒にかき込んでみた。
「んんんっ! あれ、なめろうってご飯とも凄く合う!」
前世では居酒屋以外で食べたことがなかったので、ご飯と一緒に食べるなんてことをしたことがなかったが、ご飯が止まらなくなるくらいの美味しさがそこにあった。
ネギ味噌がご飯に合うんだから、なめろうもご飯にも合うか。
そんなことを考えながら、私はご飯に合わないはずがない『アジザカナのフライ』、『アジザカナの刺身』もご飯と一緒にかき込んで、その美味しさに感動するのだった。
これ、ソースも九州の甘口醤油も全部ご飯をかき込みたくなる味だ。
アジザカナづくしの料理を食べて黄金色のお酒を流し込むエルドさんの隣で、私は満足げにご飯をかき込んでその美味さに口元を緩めていた。
まさか、ここまで満喫できるとは、海魚の魅力は恐ろしいものだ。
私は口をもぐもぐとさせながら、アジザカナの旨味とそれをエルドさんとシキと楽しむこの瞬間を堪能したのだった。
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