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第66話 炊き出しのメニュー
しおりを挟むそして、今度は冒険者たちの炊き出しへ。
本当はシータさんに色々と教えてあげた方がいいかもしれないが、私があそこに残ってしまっては、色々と台無しになってしまう。
なので、私はエルドさんと一緒にシニティーの教会に向かったのだった。
そして、教会に着くと、私たちに気づいたシスターさんたちが私たちを見て頭を下げていた。
「本日もお越しくださりありがとうございます。またアン様たちの料理を食べたられると思うと、嬉しい限りです」
「いえいえ、そんな大したものじゃないですから」
「あれだけの料理を作っていただいたのに、大したものではないなんて……謙虚な方なのですね」
「いやいや、謙虚とかではなくて本当に大したものではないんですよ?」
私は必死に誤解を解こうとしたのだが、結局その誤解が解けることはなさそうだった。
……なぜか本当のことを言っただけなのに、凄い持ち上げられてしまっている気がする。
昨日、シータさんと遭遇した後、ケミス伯爵から推薦状を貰った私たちは冒険者ギルドを訪れた。
そして、昨日のうちから炊き出しには参加させてもらっていたのだった。
昨日は赤味噌を使った味噌汁を作り、それが想像以上に大好評だった。
ただの味噌汁だったのだが、冒険者たちは味に感動するだけでなく、その日出された他の料理も残さず食べたようで、教会の方々からも感謝をされたのだった。
流れでまた教会の方たちに追加で味噌汁を作ったこともあり、シニティーの教会でも私たちは結構な人気者になっていた。
今日も味噌汁でも作ろうかと思ったのだけれど、ここまで良い反応をしてくれたのだから、もっと別料理も作って喜んでもらいたいと思ってしまう。
それに、連日同じものと言うのもどこか味気ない気がしてきた。
ただ合わせ味噌に変えるだけでもずいぶん違うのだけれど、同じ味噌汁には変わりないし。
そんなことを考えながら教会の厨房に案内された私たちは、厨房の一角でまた汁物を任されていた。
「うーん、今日は何を作りましょうか」
「え? 昨日と同じ『味噌汁』ってものじゃないのか?」
「それでもいんですけど、連日同じものって芸がなくないですか?」
「いや、あれだけ評判良かったし、誰も不満は持たないだろ」
エルドさんは当たり前のことを言うように、そんなことを言ってくれていた。
まぁ、確かに日本人は毎日味噌汁を呑む人も全然いるし、味噌汁に飽きたというのもあまり聞いたことがない。
実際に、私もほぼ毎朝飲んでたしなぁ。
もしかしたら、飽きなくて美味しい食べ物ってある意味完成形なのでは?
そんなこと考えながら、何気なく食品庫を覗いてみると、そこにはボアポークのお肉の細切れがあった。
「あ、豚肉ありますね」
豚肉と野菜と味噌。そして、炊き出しという状況……。
「うん。やっぱり、今日は味噌汁とは別の物を作ります」
偶然目に入ったそれを見て、私はこれから作るメニューを決定させたのだった。
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