25 / 83
連載
第59話 麺類との出会い
しおりを挟む
「それじゃあ、どんな食材があるか確認しますか」
私とエルドさんはケミス伯爵の料理を作るため、使用人の方に厨房に案内してもらっていた。シキは厩舎の方で馬車を引いていた馬と一緒お留守番をしてもらっている。
多分、飽きたら狩りにでも行ってくるだろうし、そんなに暇をすることもないだろう。
魔法の調味料を生成するという理由から、この屋敷の料理人たちには入らないでもらっているため、厨房には私とエルドさんの二人しかいなかった。
私一人でもできないことはないが、他の使用人たちのご飯もできたら作って欲しいと頼まれたので、エルドさんに協力してもらうことにしたのだ。
頼んだら本人もルードさんから貰った包丁を使ってみたかったらしく、ノリノリで手伝ってくれるとのことだった。
とりあえず、何を作るのかを決めるため、私たちは食品庫の方に向かうことにしたのだが、そこに置かれている多くの食材を前に、私たちは少しの間言葉を失っていた。
野菜やお肉などの他にも初めて見るような食材が並んでおり、私は種類の多さに感心していた。
「凄い種類ありますね。美食家なんでしょうか、ケミス伯爵って」
「それもあるかもしれないけど、多分俺たちのために用意してくれたんじゃないか、これって」
「え、さすがにそんなことは……」
そんなことはないだろうと言いかけた所で、私はケミス伯爵や使用人の人たちの私たちへの態度を思い出していた。
他の領土から招いた奇跡の料理人。そんなふうに思われているとすれば、失礼がないように多くの食材を揃えたりするかもしれない。
どうしよう、めんつゆで『お雑煮スープ』でも作ろうと思っていたのに少し凝ったものを作らないといけないかもしれない。
これは、何を作ればいいか悩まされてしまう。
まさか、逆に食品庫を覗くことで迷う羽目になるなんて思わなかった。
というか、凝った物なんて私に作れるのだろうか?
「何か凝ってる風の物を作れるのがベストですけど……あれ? え、エルドさん、これなんですか?」
主食はどんなのがあるのかと思って確認してみると、そこには少し太い麺類のようなものがあった。
見覚えのあるような主食を前にした私は、少しテンションを上げながらエルドさんにそれを見せて尋ねていた。
「ん? ああ、それは『穀麺』だな」
「穀麺?」
「パンとかに使ってる穀物を麺にしたものだ。確か、シニティーって昔から穀麺を使った屋台とかもあった気がするな」
なるほど……まさか、米だけでなくて麺まであるとは。
まぁ、パンがあるのだから、主食のパターンとして麺があってもおかしくはないか。原料は小麦で同じだしね。
私はエルドさんの返答を受けたうえで、【全知鑑定】のスキルを使ってその麺がどんなものなのか鑑定することにした。
私が【全知鑑定】のスキルを使うと、何もない所に画面が現れてそこに穀麺に関する情報が表示された。
【穀麺(太)……穀物からできている麺。日本のうどんとほうとうの間のような麺】
おお、全く知らない感じの味だったらどうしようかと思ったけど、案外馴染みある感じの麺みたいだ。
『太』ということは、他にもいくつかバリエーションがあるのかな?
そんなことを考えながら、その穀麺を見ているうちに私は一つのアイディアが浮かんだ。
まさに凝ってる風の料理にふさわしい料理。それを思いついたのだった。
私とエルドさんはケミス伯爵の料理を作るため、使用人の方に厨房に案内してもらっていた。シキは厩舎の方で馬車を引いていた馬と一緒お留守番をしてもらっている。
多分、飽きたら狩りにでも行ってくるだろうし、そんなに暇をすることもないだろう。
魔法の調味料を生成するという理由から、この屋敷の料理人たちには入らないでもらっているため、厨房には私とエルドさんの二人しかいなかった。
私一人でもできないことはないが、他の使用人たちのご飯もできたら作って欲しいと頼まれたので、エルドさんに協力してもらうことにしたのだ。
頼んだら本人もルードさんから貰った包丁を使ってみたかったらしく、ノリノリで手伝ってくれるとのことだった。
とりあえず、何を作るのかを決めるため、私たちは食品庫の方に向かうことにしたのだが、そこに置かれている多くの食材を前に、私たちは少しの間言葉を失っていた。
野菜やお肉などの他にも初めて見るような食材が並んでおり、私は種類の多さに感心していた。
「凄い種類ありますね。美食家なんでしょうか、ケミス伯爵って」
「それもあるかもしれないけど、多分俺たちのために用意してくれたんじゃないか、これって」
「え、さすがにそんなことは……」
そんなことはないだろうと言いかけた所で、私はケミス伯爵や使用人の人たちの私たちへの態度を思い出していた。
他の領土から招いた奇跡の料理人。そんなふうに思われているとすれば、失礼がないように多くの食材を揃えたりするかもしれない。
どうしよう、めんつゆで『お雑煮スープ』でも作ろうと思っていたのに少し凝ったものを作らないといけないかもしれない。
これは、何を作ればいいか悩まされてしまう。
まさか、逆に食品庫を覗くことで迷う羽目になるなんて思わなかった。
というか、凝った物なんて私に作れるのだろうか?
「何か凝ってる風の物を作れるのがベストですけど……あれ? え、エルドさん、これなんですか?」
主食はどんなのがあるのかと思って確認してみると、そこには少し太い麺類のようなものがあった。
見覚えのあるような主食を前にした私は、少しテンションを上げながらエルドさんにそれを見せて尋ねていた。
「ん? ああ、それは『穀麺』だな」
「穀麺?」
「パンとかに使ってる穀物を麺にしたものだ。確か、シニティーって昔から穀麺を使った屋台とかもあった気がするな」
なるほど……まさか、米だけでなくて麺まであるとは。
まぁ、パンがあるのだから、主食のパターンとして麺があってもおかしくはないか。原料は小麦で同じだしね。
私はエルドさんの返答を受けたうえで、【全知鑑定】のスキルを使ってその麺がどんなものなのか鑑定することにした。
私が【全知鑑定】のスキルを使うと、何もない所に画面が現れてそこに穀麺に関する情報が表示された。
【穀麺(太)……穀物からできている麺。日本のうどんとほうとうの間のような麺】
おお、全く知らない感じの味だったらどうしようかと思ったけど、案外馴染みある感じの麺みたいだ。
『太』ということは、他にもいくつかバリエーションがあるのかな?
そんなことを考えながら、その穀麺を見ているうちに私は一つのアイディアが浮かんだ。
まさに凝ってる風の料理にふさわしい料理。それを思いついたのだった。
151
お気に入りに追加
3,217
あなたにおすすめの小説
少女は自重を知らない~私、普通ですよね?
チャチャ
ファンタジー
山部 美里 40歳 独身。
趣味は、料理、洗濯、食べ歩き、ラノベを読む事。
ある日、仕事帰りにコンビニ強盗と鉢合わせになり、強盗犯に殺されてしまう。
気づいたら異世界に転生してました!
ラノベ好きな美里は、異世界に来たことを喜び、そして自重を知らない美里はいろいろな人を巻き込みながら楽しく過ごす!
自重知らずの彼女はどこへ行く?
転生少女の異世界のんびり生活 ~飯屋の娘は、おいしいごはんを食べてほしい~
明里 和樹
ファンタジー
日本人として生きた記憶を持つ、とあるご飯屋さんの娘デリシャ。この中世ヨーロッパ風ファンタジーな異世界で、なんとかおいしいごはんを作ろうとがんばる、そんな彼女のほのぼのとした日常のお話。
夢のテンプレ幼女転生、はじめました。 憧れののんびり冒険者生活を送ります
ういの
ファンタジー
旧題:テンプレ展開で幼女転生しました。憧れの冒険者になったので仲間たちとともにのんびり冒険したいとおもいます。
七瀬千那(ななせ ちな)28歳。トラックに轢かれ、気がついたら異世界の森の中でした。そこで出会った冒険者とともに森を抜け、最初の街で冒険者登録しました。新米冒険者(5歳)爆誕です!神様がくれた(と思われる)チート魔法を使ってお気楽冒険者生活のはじまりです!……ちょっと!神獣様!精霊王様!竜王様!私はのんびり冒険したいだけなので、目立つ行動はお控えください!!
初めての投稿で、完全に見切り発車です。自分が読みたい作品は読み切っちゃった!でももっと読みたい!じゃあ自分で書いちゃおう!っていうノリで書き始めました。
【5/22 書籍1巻発売中!】
転生したら幼女でした!? 神様~、聞いてないよ~!
饕餮
ファンタジー
書籍化決定!
2024/08/中旬ごろの出荷となります!
Web版と書籍版では一部の設定を追加しました!
今井 優希(いまい ゆき)、享年三十五歳。暴走車から母子をかばって轢かれ、あえなく死亡。
救った母親は数年後に人類にとってとても役立つ発明をし、その子がさらにそれを発展させる、人類にとって宝になる人物たちだった。彼らを助けた功績で生き返らせるか異世界に転生させてくれるという女神。
一旦このまま成仏したいと願うものの女神から誘いを受け、その女神が管理する異世界へ転生することに。
そして女神からその世界で生き残るための魔法をもらい、その世界に降り立つ。
だが。
「ようじらなんて、きいてにゃいでしゅよーーー!」
森の中に虚しく響く優希の声に、誰も答える者はいない。
ステラと名前を変え、女神から遣わされた魔物であるティーガー(虎)に気に入られて護られ、冒険者に気に入られ、辿り着いた村の人々に見守られながらもいろいろとやらかす話である。
★主人公は口が悪いです。
★不定期更新です。
★ツギクル、カクヨムでも投稿を始めました。
拾った子犬がケルベロスでした~実は古代魔法の使い手だった少年、本気出すとコワい(?)愛犬と楽しく暮らします~
荒井竜馬
ファンタジー
旧題: ケルベロスを拾った少年、パーティ追放されたけど実は絶滅した古代魔法の使い手だったので、愛犬と共に成り上がります。
=========================
<<<<第4回次世代ファンタジーカップ参加中>>>>
参加時325位 → 現在5位!
応援よろしくお願いします!(´▽`)
=========================
S級パーティに所属していたソータは、ある日依頼最中に仲間に崖から突き落とされる。
ソータは基礎的な魔法しか使えないことを理由に、仲間に裏切られたのだった。
崖から落とされたソータが死を覚悟したとき、ソータは地獄を追放されたというケルベロスに偶然命を助けられる。
そして、どう見ても可愛らしい子犬しか見えない自称ケルベロスは、ソータの従魔になりたいと言い出すだけでなく、ソータが使っている魔法が古代魔であることに気づく。
今まで自分が規格外の古代魔法でパーティを守っていたことを知ったソータは、古代魔法を扱って冒険者として成長していく。
そして、ソータを崖から突き落とした本当の理由も徐々に判明していくのだった。
それと同時に、ソータを追放したパーティは、本当の力が明るみになっていってしまう。
ソータの支援魔法に頼り切っていたパーティは、C級ダンジョンにも苦戦するのだった……。
他サイトでも掲載しています。
転生幼女の異世界冒険記〜自重?なにそれおいしいの?〜
MINAMI
ファンタジー
神の喧嘩に巻き込まれて死んでしまった
お詫びということで沢山の
チートをつけてもらってチートの塊になってしまう。
自重を知らない幼女は持ち前のハイスペックさで二度目の人生を謳歌する。
今日も誰かが飯を食いに来る。異世界スローライフ希望者の憂鬱。
KBT
ファンタジー
神の気まぐれで異世界転移した荻野遼ことリョウ。
神がお詫びにどんな能力もくれると言う中で、リョウが選んだのは戦闘能力皆無の探索能力と生活魔法だった。
現代日本の荒んだ社会に疲れたリョウは、この地で素材採取の仕事をしながら第二の人生をのんびりと歩もうと決めた。
スローライフ、1人の自由な暮らしに憧れていたリョウは目立たないように、優れた能力をひた隠しにしつつ、街から少し離れた森の中でひっそりと暮らしていた。
しかし、何故か飯時になるとやって来る者達がリョウにのんびりとした生活を許してくれないのだ。
これは地味に生きたいリョウと派手に生きている者達の異世界物語です。
異世界でゆるゆる生活を満喫す
葉月ゆな
ファンタジー
辺境伯家の三男坊。数か月前の高熱で前世は日本人だったこと、社会人でブラック企業に勤めていたことを思い出す。どうして亡くなったのかは記憶にない。ただもう前世のように働いて働いて夢も希望もなかった日々は送らない。
もふもふと魔法の世界で楽しく生きる、この生活を絶対死守するのだと誓っている。
家族に助けられ、面倒ごとは優秀な他人に任せる主人公。でも頼られるといやとはいえない。
ざまぁや成り上がりはなく、思いつくままに好きに行動する日常生活ゆるゆるファンタジーライフのご都合主義です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。