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第168話 決戦
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そして、迎えた決戦当日。
俺たちはたった三人で、エリアZのすぐ近くに来ていた。
モルンの話によると、何か襲撃があった際にその危険度によって、エリアZから実験体を解放するらしい。
危険度は1から3までの三段階。王城からの空砲の回数によって、その実験体が解放されるらしい。
そして、それとは別に『モンドルの夜明け』が王を打ち取ったら、空砲を5回鳴らす手はずになっていた。
そんな作戦の元、エリアZの近くまで来た俺たちの前には、遠目からでも見えるゴツイエリアZの門が反り立っていた。
「……少し、格好つけすぎたかな?」
俺たちだけでエリアZを押さえ込むと言った際は、多少は反対の声が上がったが、強さを見せつけておいたのが良かったのか、結局は俺の案を受け入れてくれた。
押さえ込むといっても、制圧するのではない。
あくまで、俺たちがするのは王の首を取るまでの時間稼ぎ。エリアZから解放される戦士たちが『モンドルの夜明け』の元に行かないようにするだけだ。
王を守る騎士団と、エリアZによる人工的にスキルなどを付与した戦士たち。『モンドルの夜明け』がそれに挟まれることがないように、俺たちが食い止めておくだけ。
それなら、多分俺たちだけで十分だ。むしろ、他のメンバーを守りながら戦うよりもいいだろうと思った。
しかし、こんなゴツイ門で逃げ出すのを守るほどなのかと思うと、少しだけ弱気な言葉も漏れ出てしまう。
「そうですね。結構格好つけてました」
「いや、そんな正直に言うか」
俺が軽い気持ちでリリに尋ねると、リリは小さな笑みを浮かべながらそんな言葉を口にした。
自分でも格好をつけていたとは思ったが、そこまでストレートに言われると少し恥ずかしくなってしまう。
「でも、実際にかっこよかったので、何も問題はありませんよ」
「……そ、そうか」
茶化しているのではなく、本気の顔で言ってくるあたり、質が悪いんだよなと思いながら、俺は恥ずかしさを紛らわすように、リリから視線を外した。
「ポチも今日は存分に暴れまわってくれ」
「きゃんっ!」
ポチはこれから戦闘が始まるというのに、尻尾をぶんぶんと振りながら元気に吠えていた。
これは武者震いということでいいのだろうか。いや、ポチならそこまで気負ってもいないか。
そんな事を考えていると、背後から大きな空砲の音が聞こえてきた。
空気を強引に引き裂いたような、轟音。その振動は俺たちの耳までしっかりと届いてきていた。
そして、その大きな空砲の音が、俺たちにとっては開戦の合図でもあった。
「来るぞ」
しかし、一度聞こえてきた空砲の音はその余韻を残す間もなく、続いて二発目の空砲の音が聞こえてきた。
いきなり二発も聞こえてくるとは思わなかったので、俺たちは思わず振り返っていた。
「あれ? いきなり二発ですか」
「みたい、だな」
確か、危険度によって放つ空砲の回数が違ったはず。
ということは、『モンドルの夜明け』がいきなり二発の空砲を鳴らすほど危険ということになる。
ドエルの戦闘力から、少し不安だったのだが、あちらの戦力は問題ないようだ。
何よりも、全員一致で最強と声を揃えるモルンもいるわけだしな。
その戦闘が見られないのは残念だけど、俺たちは俺たちが任された仕事をするとするか。
その空砲の音が響いて少し経って、重厚感のありそうなエリアZの門が開かれていった。
「ワオーーン!!」
ぞろぞろと出てきた人工的に強化された戦士たち。それを前にして、ポチは大きな遠吠えのような声をあげて、両足に強く力を入れていた。
大きくなっていく体は、すぐに大人を何人も載せられるほど大きくなりーー。
「あれ? またでかくなってないか?」
「成長期、ですかね?」
少し前、大きくなったと思っていたポチの体は、また一段と大きくなっていた。
その姿は誰が見てもフェンリルのそれだった。
「これは……頼もしいな」
そんなポチの成長に驚きながら、俺たちの防衛戦がスタートしたのだった。
俺たちはたった三人で、エリアZのすぐ近くに来ていた。
モルンの話によると、何か襲撃があった際にその危険度によって、エリアZから実験体を解放するらしい。
危険度は1から3までの三段階。王城からの空砲の回数によって、その実験体が解放されるらしい。
そして、それとは別に『モンドルの夜明け』が王を打ち取ったら、空砲を5回鳴らす手はずになっていた。
そんな作戦の元、エリアZの近くまで来た俺たちの前には、遠目からでも見えるゴツイエリアZの門が反り立っていた。
「……少し、格好つけすぎたかな?」
俺たちだけでエリアZを押さえ込むと言った際は、多少は反対の声が上がったが、強さを見せつけておいたのが良かったのか、結局は俺の案を受け入れてくれた。
押さえ込むといっても、制圧するのではない。
あくまで、俺たちがするのは王の首を取るまでの時間稼ぎ。エリアZから解放される戦士たちが『モンドルの夜明け』の元に行かないようにするだけだ。
王を守る騎士団と、エリアZによる人工的にスキルなどを付与した戦士たち。『モンドルの夜明け』がそれに挟まれることがないように、俺たちが食い止めておくだけ。
それなら、多分俺たちだけで十分だ。むしろ、他のメンバーを守りながら戦うよりもいいだろうと思った。
しかし、こんなゴツイ門で逃げ出すのを守るほどなのかと思うと、少しだけ弱気な言葉も漏れ出てしまう。
「そうですね。結構格好つけてました」
「いや、そんな正直に言うか」
俺が軽い気持ちでリリに尋ねると、リリは小さな笑みを浮かべながらそんな言葉を口にした。
自分でも格好をつけていたとは思ったが、そこまでストレートに言われると少し恥ずかしくなってしまう。
「でも、実際にかっこよかったので、何も問題はありませんよ」
「……そ、そうか」
茶化しているのではなく、本気の顔で言ってくるあたり、質が悪いんだよなと思いながら、俺は恥ずかしさを紛らわすように、リリから視線を外した。
「ポチも今日は存分に暴れまわってくれ」
「きゃんっ!」
ポチはこれから戦闘が始まるというのに、尻尾をぶんぶんと振りながら元気に吠えていた。
これは武者震いということでいいのだろうか。いや、ポチならそこまで気負ってもいないか。
そんな事を考えていると、背後から大きな空砲の音が聞こえてきた。
空気を強引に引き裂いたような、轟音。その振動は俺たちの耳までしっかりと届いてきていた。
そして、その大きな空砲の音が、俺たちにとっては開戦の合図でもあった。
「来るぞ」
しかし、一度聞こえてきた空砲の音はその余韻を残す間もなく、続いて二発目の空砲の音が聞こえてきた。
いきなり二発も聞こえてくるとは思わなかったので、俺たちは思わず振り返っていた。
「あれ? いきなり二発ですか」
「みたい、だな」
確か、危険度によって放つ空砲の回数が違ったはず。
ということは、『モンドルの夜明け』がいきなり二発の空砲を鳴らすほど危険ということになる。
ドエルの戦闘力から、少し不安だったのだが、あちらの戦力は問題ないようだ。
何よりも、全員一致で最強と声を揃えるモルンもいるわけだしな。
その戦闘が見られないのは残念だけど、俺たちは俺たちが任された仕事をするとするか。
その空砲の音が響いて少し経って、重厚感のありそうなエリアZの門が開かれていった。
「ワオーーン!!」
ぞろぞろと出てきた人工的に強化された戦士たち。それを前にして、ポチは大きな遠吠えのような声をあげて、両足に強く力を入れていた。
大きくなっていく体は、すぐに大人を何人も載せられるほど大きくなりーー。
「あれ? またでかくなってないか?」
「成長期、ですかね?」
少し前、大きくなったと思っていたポチの体は、また一段と大きくなっていた。
その姿は誰が見てもフェンリルのそれだった。
「これは……頼もしいな」
そんなポチの成長に驚きながら、俺たちの防衛戦がスタートしたのだった。
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