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第119話 アンデッドがいる墓地で
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温泉街から帰宅してすぐ、墓地を管理しているという男に助けを求められる形で、俺たちは屋敷からアンデッドが湧いていると言われている墓地に向かった。
体の疲れが取れたと思ったら、すぐに依頼を受けることになるとは思わなかったが、あのままルーロの方に依頼をぶん投げるというのも、申し訳ない。
俺がこの街に残るのもあと少しだし、少しくらいはこの街ために働くのも悪くないかもしれない。
どのみち、俺がいなくなったら、今回みたいな依頼はルーロが受けることになるんだしな。
そんなことを考えながら馬車で揺れること数時間。時刻はすっかり夜になっており、アンデッドの活動時間に入っていた。
俺たちは墓地から少し離れた所に降ろしてもらって、茂みの中からアンデッドが出ると言われている墓地を遠目から観察することにした。
「アンデッドの数が多いな。人だけじゃなくて、魔物もいるし」
【気配感知】のスキルを使うまでもなく、目の前にある墓地はアンデッドで埋め尽くされていた。
人型のアンデッドもいれば、魔物がアンデッド化したような奴らもいる。パッと見た感じでも、100体近くいるんじゃないだろうか?
この位置からは確認できないが、おそらくこの群れの中心にアンデッドドラゴンがいるのだろう。
正直、全部まとめて魔法をぶっ放せば終わるかもしれないが、墓地を火葬場に変えるようなことはしない方が良い気がする。
多分、罰が当たるだろうしな。
それに、そんな戦い方をしていては、一週間も修行に付き合ってくれたルーロに申し訳なくなってしまう。
せっかくなら、道化師らしくこの群れを倒したいというもの。
「アイクさん、アンデッドドラゴン以外のアンデッドは私達に任せてくれませんか?」
「え? この数をか?」
「わんっ」
俺が少し張り切って、目の前の魔物達をどう倒そうかと考えていると、リリに服の裾を引かれてそんなことを言われた。
特に無理をしている様子もなく、目の前のアンデッドの群れを倒すことに対して緊張している素振りもない。
リリの隣にいるポチもやけに堂々としていて、まったく怖気づいているようには見えなかった。
本当に、二人だけでこのアンデッドの群れを倒せるというのだろうか?
俺は少しだけ考えた後、つい昨日した漁のことを思い出した。
凄まじい水しぶきを上げながら、魚を取ってきたと言いって大きな魔物を海から引きずりだしてきた光景。それがふと脳裏をよぎった。
そうなると、この二人に任せた場合この墓地はえらいことになるんじゃないか?
そう考えて、俺は少し慌て気味に二人を諭すように口を開いた。
「あれだぞ。ここは墓地なんだから、いきなり上級魔法で焼き払ったり、いたずらに地面をえぐるような攻撃はしちゃダメだからな?」
念のためにした注意を受けて、二人はきょとんとした後に、こちらにじっととした視線を向けてきた。
「……しませんよ、そんなこと。アイクさん、私たちのことなんだと思ってるんですか? そんな馬鹿力キャラじゃないですよ、私たち」
「くぅん」
何を考えているんだと言いたげな目をこちらに向けてきているが、昨日の漁を見せておいて、無事に依頼が終わる未来を想像しろと言う方が無理だろ。
俺は少し理不尽に感じながら、不満そうに見つめてくる二人に押される形で、言葉を続けた。
「分かった。そこまで言うなら、お願いしてみる。危なくなったら、すぐに声かけてくれれば、すぐに助けに向かうからな」
数を考えれば、俺が倒す魔物の方が少ないわけだし、終わり次第応援に向かえば問題もないだろう。
そう思ってそんな返答をすると、リリは得意げな笑みを浮かべていた。
「ふふん。安心してください。そんなことにはなりませんよ。ポチ、行きましょうか」
「わんっ」
二人は示し合わせたように目を合わせた後、茂みから飛び出してアンデッドの群れに向かって行ったのだった。
……なんかポチが俺よりもリリに懐いてきている気がする。いや、いいんだけどね。
そんなふうにして、俺たちのアンデッド戦がスタートしたのだった。
体の疲れが取れたと思ったら、すぐに依頼を受けることになるとは思わなかったが、あのままルーロの方に依頼をぶん投げるというのも、申し訳ない。
俺がこの街に残るのもあと少しだし、少しくらいはこの街ために働くのも悪くないかもしれない。
どのみち、俺がいなくなったら、今回みたいな依頼はルーロが受けることになるんだしな。
そんなことを考えながら馬車で揺れること数時間。時刻はすっかり夜になっており、アンデッドの活動時間に入っていた。
俺たちは墓地から少し離れた所に降ろしてもらって、茂みの中からアンデッドが出ると言われている墓地を遠目から観察することにした。
「アンデッドの数が多いな。人だけじゃなくて、魔物もいるし」
【気配感知】のスキルを使うまでもなく、目の前にある墓地はアンデッドで埋め尽くされていた。
人型のアンデッドもいれば、魔物がアンデッド化したような奴らもいる。パッと見た感じでも、100体近くいるんじゃないだろうか?
この位置からは確認できないが、おそらくこの群れの中心にアンデッドドラゴンがいるのだろう。
正直、全部まとめて魔法をぶっ放せば終わるかもしれないが、墓地を火葬場に変えるようなことはしない方が良い気がする。
多分、罰が当たるだろうしな。
それに、そんな戦い方をしていては、一週間も修行に付き合ってくれたルーロに申し訳なくなってしまう。
せっかくなら、道化師らしくこの群れを倒したいというもの。
「アイクさん、アンデッドドラゴン以外のアンデッドは私達に任せてくれませんか?」
「え? この数をか?」
「わんっ」
俺が少し張り切って、目の前の魔物達をどう倒そうかと考えていると、リリに服の裾を引かれてそんなことを言われた。
特に無理をしている様子もなく、目の前のアンデッドの群れを倒すことに対して緊張している素振りもない。
リリの隣にいるポチもやけに堂々としていて、まったく怖気づいているようには見えなかった。
本当に、二人だけでこのアンデッドの群れを倒せるというのだろうか?
俺は少しだけ考えた後、つい昨日した漁のことを思い出した。
凄まじい水しぶきを上げながら、魚を取ってきたと言いって大きな魔物を海から引きずりだしてきた光景。それがふと脳裏をよぎった。
そうなると、この二人に任せた場合この墓地はえらいことになるんじゃないか?
そう考えて、俺は少し慌て気味に二人を諭すように口を開いた。
「あれだぞ。ここは墓地なんだから、いきなり上級魔法で焼き払ったり、いたずらに地面をえぐるような攻撃はしちゃダメだからな?」
念のためにした注意を受けて、二人はきょとんとした後に、こちらにじっととした視線を向けてきた。
「……しませんよ、そんなこと。アイクさん、私たちのことなんだと思ってるんですか? そんな馬鹿力キャラじゃないですよ、私たち」
「くぅん」
何を考えているんだと言いたげな目をこちらに向けてきているが、昨日の漁を見せておいて、無事に依頼が終わる未来を想像しろと言う方が無理だろ。
俺は少し理不尽に感じながら、不満そうに見つめてくる二人に押される形で、言葉を続けた。
「分かった。そこまで言うなら、お願いしてみる。危なくなったら、すぐに声かけてくれれば、すぐに助けに向かうからな」
数を考えれば、俺が倒す魔物の方が少ないわけだし、終わり次第応援に向かえば問題もないだろう。
そう思ってそんな返答をすると、リリは得意げな笑みを浮かべていた。
「ふふん。安心してください。そんなことにはなりませんよ。ポチ、行きましょうか」
「わんっ」
二人は示し合わせたように目を合わせた後、茂みから飛び出してアンデッドの群れに向かって行ったのだった。
……なんかポチが俺よりもリリに懐いてきている気がする。いや、いいんだけどね。
そんなふうにして、俺たちのアンデッド戦がスタートしたのだった。
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