90 / 191
第90話 『道化師の集い』の成長速度
しおりを挟む
「なんか強すぎないか?」
「……私達がいる意味がなくなってきましたね」
俺たちは依頼に遭ったジャイアントアントの巣の駆除をするために、森の中を進んでいた。
その道中で何度も魔物と戦闘をしていたのだが、それらの魔物をポチが軽々しく倒していた。
すごい助かりはするのだが、手持ち無沙汰感が半端ない。
「まぁ、ステータスだけ見れば、当然なのか。……当然なのか? 【鑑定】」
以前に見たポチのステータスは、クリスタルダイナソーよりも高い数値だった。ポチのステータスが高いことは知っているのだが、それでも、ここまで魔物を圧倒できるものなのだろうか?
俺は不思議に思って、隣を歩くポチに【鑑定】のスキルを発動させた。
すると、頭の中にポチのステータスの情報が流れてきた。
【鑑定結果】
【種族 フェンリル】
【レベル 28】
【ステータス 体力 19100 魔力 18600 攻撃力 17800 防御力 17900 素早さ 19500器用さ 10500 魅力 18400】
【スキル:硬化B 突進A 噛砕B 探知A】
「……いや、めっちゃ強くなってるんだけど」
以前と比べて二倍くらいステータスが上がっている。
なんでこんなにステータスが上がっているのかと思って考えてみようとしたが、考えるまでもなくそれだけの魔物と戦闘していたことを思い出した。
そういえば、俺がポチのステータスを確認したときはタルト山脈を下山する前だったな。結構多く戦闘してきたし、これだけステータスが上がっているのも納得か。
……いや、そうだとしても、さすがにステータス上がり過ぎじゃないか?
もしかしたら、【道化師】の中に成長促進系のスキルが隠れているのかもしれない。さすがに、俺たちのパーティの成長速度が速すぎる気がする。
「リリ、【道化師】って、何か成長促進系のスキルがあると思うか?」
「あってもおかしくないと思いますよ。より多くのスキルを覚えたり、早く成長しないと、お客さんを飽きさせてしまいますしね」
「なんか、とんでも理論な気もするけど……いや、それなら【助手】の方がそのスキルありそうだな」
リリの話を聞きながら、俺はそっと目を細めてリリを見つめていた。
【助手】っていうジョブにありながら、いつまでも成長しないようでは置いていかれてしまうだろう。
もしかして、【助手】というのは俺の成長速度に置いていかれないで、ついてこれる能力があるのかもしれないな。
いや、それだけだと、ポチの成長が早い理由が説明つかないか。
俺は【道化師】のスキルの中に、何かしらの経験値を増やすスキルがないか、【道化師】のスキルを立ち上げて、複合しているスキルを覗き込んだ。
すると、それらしい感触のあるスキルを見つけた気がしたので、俺はそのスキルを引っ張りだして【鑑定】をかけることにした。
【鑑定結果 成長促進……通常得られる経験値×ランダムの数の経験値を得ることができる。パーティメンバーにも同様の経験値が割り振られる】
頭の中に流れてきたのは、中々破格のスキルの情報だった。
「……なんか、チートみたいなスキル持ってたみたいだ。経験値をランダムの数だけ倍増してくれるみたいだ」
「そ、そんなスキルがあったんですか」
「何が怖いって、ランダムの数値が定められていないんだよな。これって、二倍や三倍どころじゃないってことか?」
毎回、俺たちが冒険者登録に行くと、ミリアが頭を抱えながら驚いていた。随分と大袈裟に驚くんだなと思っていたが、どうやら本当に俺達みたいにステータスを上げる人を見たことがなかったのだろう。
レベルが上がっても、低レベルの時と同じくらいの勢いでステータスが上がるのは普通じゃないよな。
……なんだか、何でもありな気がしてきたな、道化師って。
「さすがアイクさんです」
どこに誇っているのか、誇らしげに胸を反ってドヤ顔をしているリリの姿を見て、俺は小さく笑みを零してしまった。
そんなリリの姿を見ながら、俺たちはジャイアントアントの巣へと向かっていったのだった。
「……私達がいる意味がなくなってきましたね」
俺たちは依頼に遭ったジャイアントアントの巣の駆除をするために、森の中を進んでいた。
その道中で何度も魔物と戦闘をしていたのだが、それらの魔物をポチが軽々しく倒していた。
すごい助かりはするのだが、手持ち無沙汰感が半端ない。
「まぁ、ステータスだけ見れば、当然なのか。……当然なのか? 【鑑定】」
以前に見たポチのステータスは、クリスタルダイナソーよりも高い数値だった。ポチのステータスが高いことは知っているのだが、それでも、ここまで魔物を圧倒できるものなのだろうか?
俺は不思議に思って、隣を歩くポチに【鑑定】のスキルを発動させた。
すると、頭の中にポチのステータスの情報が流れてきた。
【鑑定結果】
【種族 フェンリル】
【レベル 28】
【ステータス 体力 19100 魔力 18600 攻撃力 17800 防御力 17900 素早さ 19500器用さ 10500 魅力 18400】
【スキル:硬化B 突進A 噛砕B 探知A】
「……いや、めっちゃ強くなってるんだけど」
以前と比べて二倍くらいステータスが上がっている。
なんでこんなにステータスが上がっているのかと思って考えてみようとしたが、考えるまでもなくそれだけの魔物と戦闘していたことを思い出した。
そういえば、俺がポチのステータスを確認したときはタルト山脈を下山する前だったな。結構多く戦闘してきたし、これだけステータスが上がっているのも納得か。
……いや、そうだとしても、さすがにステータス上がり過ぎじゃないか?
もしかしたら、【道化師】の中に成長促進系のスキルが隠れているのかもしれない。さすがに、俺たちのパーティの成長速度が速すぎる気がする。
「リリ、【道化師】って、何か成長促進系のスキルがあると思うか?」
「あってもおかしくないと思いますよ。より多くのスキルを覚えたり、早く成長しないと、お客さんを飽きさせてしまいますしね」
「なんか、とんでも理論な気もするけど……いや、それなら【助手】の方がそのスキルありそうだな」
リリの話を聞きながら、俺はそっと目を細めてリリを見つめていた。
【助手】っていうジョブにありながら、いつまでも成長しないようでは置いていかれてしまうだろう。
もしかして、【助手】というのは俺の成長速度に置いていかれないで、ついてこれる能力があるのかもしれないな。
いや、それだけだと、ポチの成長が早い理由が説明つかないか。
俺は【道化師】のスキルの中に、何かしらの経験値を増やすスキルがないか、【道化師】のスキルを立ち上げて、複合しているスキルを覗き込んだ。
すると、それらしい感触のあるスキルを見つけた気がしたので、俺はそのスキルを引っ張りだして【鑑定】をかけることにした。
【鑑定結果 成長促進……通常得られる経験値×ランダムの数の経験値を得ることができる。パーティメンバーにも同様の経験値が割り振られる】
頭の中に流れてきたのは、中々破格のスキルの情報だった。
「……なんか、チートみたいなスキル持ってたみたいだ。経験値をランダムの数だけ倍増してくれるみたいだ」
「そ、そんなスキルがあったんですか」
「何が怖いって、ランダムの数値が定められていないんだよな。これって、二倍や三倍どころじゃないってことか?」
毎回、俺たちが冒険者登録に行くと、ミリアが頭を抱えながら驚いていた。随分と大袈裟に驚くんだなと思っていたが、どうやら本当に俺達みたいにステータスを上げる人を見たことがなかったのだろう。
レベルが上がっても、低レベルの時と同じくらいの勢いでステータスが上がるのは普通じゃないよな。
……なんだか、何でもありな気がしてきたな、道化師って。
「さすがアイクさんです」
どこに誇っているのか、誇らしげに胸を反ってドヤ顔をしているリリの姿を見て、俺は小さく笑みを零してしまった。
そんなリリの姿を見ながら、俺たちはジャイアントアントの巣へと向かっていったのだった。
2
お気に入りに追加
1,527
あなたにおすすめの小説

転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】
ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします
ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった
【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。
累計400万ポイント突破しました。
応援ありがとうございます。】
ツイッター始めました→ゼクト @VEUu26CiB0OpjtL

集団転移した商社マン ネットスキルでスローライフしたいです!
七転び早起き
ファンタジー
「望む3つのスキルを付与してあげる」
その天使の言葉は善意からなのか?
異世界に転移する人達は何を選び、何を求めるのか?
そして主人公が○○○が欲しくて望んだスキルの1つがネットスキル。
ただし、その扱いが難しいものだった。
転移者の仲間達、そして新たに出会った仲間達と異世界を駆け巡る物語です。
基本は面白くですが、シリアスも顔を覗かせます。猫ミミ、孤児院、幼女など定番物が登場します。
○○○「これは私とのラブストーリーなの!」
主人公「いや、それは違うな」
没落貴族の異世界領地経営!~生産スキルでガンガン成り上がります!
武蔵野純平
ファンタジー
異世界転生した元日本人ノエルは、父の急死によりエトワール伯爵家を継承することになった。
亡くなった父はギャンブルに熱中し莫大な借金をしていた。
さらに借金を国王に咎められ、『王国貴族の恥!』と南方の辺境へ追放されてしまう。
南方は魔物も多く、非常に住みにくい土地だった。
ある日、猫獣人の騎士現れる。ノエルが女神様から与えられた生産スキル『マルチクラフト』が覚醒し、ノエルは次々と異世界にない商品を生産し、領地経営が軌道に乗る。

はずれスキル『本日一粒万倍日』で金も魔法も作物もなんでも一万倍 ~はぐれサラリーマンのスキル頼みな異世界満喫日記~
緋色優希
ファンタジー
勇者召喚に巻き込まれて異世界へやってきたサラリーマン麦野一穂(むぎのかずほ)。得たスキルは屑(ランクレス)スキルの『本日一粒万倍日』。あまりの内容に爆笑され、同じように召喚に巻き込まれてきた連中にも馬鹿にされ、一人だけ何一つ持たされず荒城にそのまま置き去りにされた。ある物と言えば、水の樽といくらかの焼き締めパン。どうする事もできずに途方に暮れたが、スキルを唱えたら水樽が一万個に増えてしまった。また城で見つけた、たった一枚の銀貨も、なんと銀貨一万枚になった。どうやら、あれこれと一万倍にしてくれる不思議なスキルらしい。こんな世界で王様の助けもなく、たった一人どうやって生きたらいいのか。だが開き直った彼は『住めば都』とばかりに、スキル頼みでこの異世界での生活を思いっきり楽しむ事に決めたのだった。

俺しか使えない『アイテムボックス』がバグってる
十本スイ
ファンタジー
俗にいう神様転生とやらを経験することになった主人公――札月沖長。ただしよくあるような最強でチートな能力をもらい、異世界ではしゃぐつもりなど到底なかった沖長は、丈夫な身体と便利なアイテムボックスだけを望んだ。しかしこの二つ、神がどういう解釈をしていたのか、特にアイテムボックスについてはバグっているのではと思うほどの能力を有していた。これはこれで便利に使えばいいかと思っていたが、どうも自分だけが転生者ではなく、一緒に同世界へ転生した者たちがいるようで……。しかもそいつらは自分が主人公で、沖長をイレギュラーだの踏み台だなどと言ってくる。これは異世界ではなく現代ファンタジーの世界に転生することになった男が、その世界の真実を知りながらもマイペースに生きる物語である。

最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~
ある中管理職
ファンタジー
勤続10年目10度目のレベルアップ。
人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。
すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。
なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。
チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。
探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。
万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。

せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います
霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。
得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。
しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。
傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。
基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。
が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。

うっかり『野良犬』を手懐けてしまった底辺男の逆転人生
野良 乃人
ファンタジー
辺境の田舎街に住むエリオは落ちこぼれの底辺冒険者。
普段から無能だの底辺だのと馬鹿にされ、薬草拾いと揶揄されている。
そんなエリオだが、ふとした事がきっかけで『野良犬』を手懐けてしまう。
そこから始まる底辺落ちこぼれエリオの成り上がりストーリー。
そしてこの世界に存在する宝玉がエリオに力を与えてくれる。
うっかり野良犬を手懐けた底辺男。冒険者という枠を超え乱世での逆転人生が始まります。
いずれは王となるのも夢ではないかも!?
◇世界観的に命の価値は軽いです◇
カクヨムでも同タイトルで掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる