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第20話 助手の成長と想定外の魔物
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「まさか、リリがワイドウルフを簡単に倒せるとはな」
「アイクさんの助手ですからね。ワイドウルフ相手に苦戦するわけにはいきません」
リリは俺に褒められて得意げに胸を張っていた。そんなリリの反応に少しだけ笑っていると、リリがふと何かに気づいたように声を漏らした。
「あっ……ふむ。アイクさん、アイクさん。少しだけ後ろ向いててくれますか?」
「後ろ? 別にいいけど」
リリは何かを思いついたように口元を緩めると、そんなことを言ってきた。
何だろうかと思いながらも、俺はリリに言われた通りに後ろを向いてみた。
「……はい、アイクさん。もういいですよ」
「もういいのか? 一体何をしてーーあれ? リリ?」
さっきまで俺の目の前にいたリリが突然姿を消した。確かに、声も聞こえてきたわけだから、急に消えるなんてことはないはずなのだが。
「ん? いや、いるな」
よく目を凝らして見ると、先程と変わらない位置にリリがいた。一瞬、見失ってしまったが、改めて見ると影が薄くなっただけだったみたいだ。
「なるほど。ステータスに差があっても、一瞬なら効果あるんですね。少し意外でした」
「ていうことは、今のは【潜伏】のスキルか? もう習得したのか?」
「はい。【助手】のスキルの中に統合されてる感じですけどね。思ったよりも早く習得できました。……もしかして、手を繋いでたから魔力の流れを感じられたから、早く習得できたのかもしれないですね」
リリは【潜伏】のスキルを解除すると、照れるような笑みを浮かべながらそんなことを口にした。
ここで俺がリリの言葉を肯定してしまうと、今後何かを教えるときは手を繋がなくてはならなくなる気がしたので、俺はただ黙ることしかできなかった。
それにしても、ステータスが上の相手でも【潜伏】は効果があったのか。まぁ、ほんの一瞬しか効果はなかったけど、それでも全く効果がないよりは断然良い。
これは、結構良いことを聞いたかもしれないな。
「何はともあれ、早く習得できたのは良かったよ」
「はい! やっぱり、手を繋いでたからですかね?」
「……何はともあれ、良かったよ」
アホ毛がありそうなら、ぴょこぴょこと動きそうなテンションで言ってくる追撃を華麗にかわすと、リリはそのアホ毛をしおらせたような表情になった。
「……助手と手を繋ぐことの、何が問題なんですか?」
「粒だてなければ何も問題はなかったんだけどな」
強調されてしまうと、その行為が何か特別な物なのかと思ってしまうだろう。
それでも、なんとなくだが、今後も何かスキルを教えるときは手を繋ぐことを迫られる予感がした。納得いかな気な瞳で見られれば、そうも思うだろう。
そんな会話をしながら俺達は倒したワイドウルフ達を回収していった。アイテムボックスにワイドウルフをそのまま入れるだけなので、その作業はすぐに終えることができた。
少し前みたいに、魔物を倒した後の処理をしないでいいというだけで、作業の効率は確実に良くなった。
アイテムボックスって、ただ持ち運びをするのが便利くらいにしか思えてなかったけど、時間停止の機能が付くとクエストの作業効率も上げてくれるらしい。
本当に便利なスキルだ。
「リリ。次のクエストに移ろうと思うけど、疲れてないか?」
「私は大丈夫ですよ。余裕ですっ」
「そいつは頼もしい」
俺はリリのノリに合わせて笑うと、そのまま【気配感知】のスキルを使用して辺りの魔物を探した。
全方位に【気配感知】のスキルを使用しながら、ゆっくりとその範囲を広げていくと、すぐ近くに少し大きな赤い炎が灯されていた。
今までの魔物とは違う、大きな炎。
俺はその正体が気になり、【鑑定】のスキルを使用した。
「……まずいな」
【鑑定結果 キングディア……ワイドディアの上位魔物で鹿型の魔物。角に魔力を溜めており、その角を使った突進は木をへし折ると言われている。素材、食材としても重宝される】
「どうしました?」
「キングディアがいる。【潜伏】でやり過ごすか……いや、スキルとステータスを試す相手にはもってこいか」
少し前の俺なら逃げていたような相手。そんな相手と対峙するというのに、俺は微かに笑みを浮かべていた。
「アイクさんの助手ですからね。ワイドウルフ相手に苦戦するわけにはいきません」
リリは俺に褒められて得意げに胸を張っていた。そんなリリの反応に少しだけ笑っていると、リリがふと何かに気づいたように声を漏らした。
「あっ……ふむ。アイクさん、アイクさん。少しだけ後ろ向いててくれますか?」
「後ろ? 別にいいけど」
リリは何かを思いついたように口元を緩めると、そんなことを言ってきた。
何だろうかと思いながらも、俺はリリに言われた通りに後ろを向いてみた。
「……はい、アイクさん。もういいですよ」
「もういいのか? 一体何をしてーーあれ? リリ?」
さっきまで俺の目の前にいたリリが突然姿を消した。確かに、声も聞こえてきたわけだから、急に消えるなんてことはないはずなのだが。
「ん? いや、いるな」
よく目を凝らして見ると、先程と変わらない位置にリリがいた。一瞬、見失ってしまったが、改めて見ると影が薄くなっただけだったみたいだ。
「なるほど。ステータスに差があっても、一瞬なら効果あるんですね。少し意外でした」
「ていうことは、今のは【潜伏】のスキルか? もう習得したのか?」
「はい。【助手】のスキルの中に統合されてる感じですけどね。思ったよりも早く習得できました。……もしかして、手を繋いでたから魔力の流れを感じられたから、早く習得できたのかもしれないですね」
リリは【潜伏】のスキルを解除すると、照れるような笑みを浮かべながらそんなことを口にした。
ここで俺がリリの言葉を肯定してしまうと、今後何かを教えるときは手を繋がなくてはならなくなる気がしたので、俺はただ黙ることしかできなかった。
それにしても、ステータスが上の相手でも【潜伏】は効果があったのか。まぁ、ほんの一瞬しか効果はなかったけど、それでも全く効果がないよりは断然良い。
これは、結構良いことを聞いたかもしれないな。
「何はともあれ、早く習得できたのは良かったよ」
「はい! やっぱり、手を繋いでたからですかね?」
「……何はともあれ、良かったよ」
アホ毛がありそうなら、ぴょこぴょこと動きそうなテンションで言ってくる追撃を華麗にかわすと、リリはそのアホ毛をしおらせたような表情になった。
「……助手と手を繋ぐことの、何が問題なんですか?」
「粒だてなければ何も問題はなかったんだけどな」
強調されてしまうと、その行為が何か特別な物なのかと思ってしまうだろう。
それでも、なんとなくだが、今後も何かスキルを教えるときは手を繋ぐことを迫られる予感がした。納得いかな気な瞳で見られれば、そうも思うだろう。
そんな会話をしながら俺達は倒したワイドウルフ達を回収していった。アイテムボックスにワイドウルフをそのまま入れるだけなので、その作業はすぐに終えることができた。
少し前みたいに、魔物を倒した後の処理をしないでいいというだけで、作業の効率は確実に良くなった。
アイテムボックスって、ただ持ち運びをするのが便利くらいにしか思えてなかったけど、時間停止の機能が付くとクエストの作業効率も上げてくれるらしい。
本当に便利なスキルだ。
「リリ。次のクエストに移ろうと思うけど、疲れてないか?」
「私は大丈夫ですよ。余裕ですっ」
「そいつは頼もしい」
俺はリリのノリに合わせて笑うと、そのまま【気配感知】のスキルを使用して辺りの魔物を探した。
全方位に【気配感知】のスキルを使用しながら、ゆっくりとその範囲を広げていくと、すぐ近くに少し大きな赤い炎が灯されていた。
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