拾った子犬がケルベロスでした~実は古代魔法の使い手だった少年、本気出すとコワい(?)愛犬と楽しく暮らします~

荒井竜馬

文字の大きさ
上 下
1 / 32
1巻

1-1

しおりを挟む



 1 追放と出会い



「ソータ。今ここでお前を『黒龍こくりゅうきば』から追放とする」

 冒険者ギルドからの調査依頼をこなした帰り道。けわしい山を下っている最中に、パーティのリーダーであるオリバは、冷酷れいこくな顔で俺にそう言った。

「そ、そんな」

 S級パーティ、『黒龍の牙』。
 数年でS級まで上りつめた実績があり、周りからも一目置いちもくおかれているパーティだ。
 本来、俺なんかが所属できないパーティなのだが、なんの偶然か俺は彼らに拾われた。
 それから数年間、色々あったとはいえ、これまで一緒に旅をしてきたというのに……

「な、なんで?」
「なんでだと? 理由も分からんのか」

 オリバは眉間みけんしわを寄せながら、ぴしっと俺を指さす。

「いつまでも成長が見られないからだ。基礎的な魔法しか使えないガキがいても邪魔なんだよ」
「で、でも、今まではそれでも一緒にいてくれたじゃないですか」
「それはお前がもっとガキだったのに魔法を使えたからだ。今、お前は十二歳だろ? その年齢になれば、才能がある奴なら最低でも中級魔法くらいは使えるんだよ」
「そ、それは、そうかもしれないけど……」

 確かに、俺は他のパーティメンバーに比べて年齢も低く、色々と迷惑をかけている。
 俺が戦闘中にできることと言えば、基本的な支援魔法と回復魔法くらいだ。
 足を引っ張っていることは自覚していたから、雑用などをやって少しでもパーティに貢献こうけんしようとしていた。
 最近、みんな当たりが強いは思っていたけど、それでも一緒にいてくれるパーティメンバーのことを本当の仲間だと思っていた。
 それなのに、急に追放だなんてひどくないか?


「ったく、お前らが神童だって言うから拾ったのによ」

 オリバはそう言うと、目を細めて他のパーティメンバーを見る。
 視線を向けられた魔術師のリリスと、僧侶のナナ、盾使いのロードは揃ってため息を漏らして、順々に言葉を続ける。

「あんなに幼い子が魔法を使えればそう思うって。普通、ここまで成長しないなんて考えられないから」
「私たちがあなたを拾ったときが、あなたのピークだったのですね。ただの成長の早い子供。それだけだったみたいです」
「弱肉強食。どうせ、鍛錬たんれんおこたっていたんだろ? 切り捨てられるのも当然だ」

 三人は思い思いにそう言うと、俺に背を向ける。

「つまり、満場一致ってことだ」

 オリバはニヤッと笑ってから剣を引き抜いて、そのさきを俺に向けてきた。

「な、何をする気ですか?」
「ただお前を追放しても、俺たちが育成に失敗したって思われるだろ? ウィンウィンにいこうや」

 オリバはそう言うと、俺の首元に刃を突き付ける。そして左腕で肩を強く押してきた。
 片腕であっても剣士である彼の力は強く、俺は一気に後方に押される形になる。

「え?」

 俺はよろけて足をつこうとしたのだが、爪先が空を切り、ますますバランスを崩してしまう。
 驚いて振り向いた先に地面はなかった。
 あったのはがけ――底も見えないほどの断崖絶壁だんがいぜっぺきだった。

「『追放』よりも、『殉職じゅんしょく』の方が華があるだろ?」

 オリバの嘲笑あざわらうような声を背に、俺はそのまま崖へと落ちていくのだった。

「う、うわぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 絶叫ぜっきょうむなしく、俺はすさまじい勢いで落下していく。

「やばいやばいやばいやばいっ!」

 この勢いのまま地面に叩きつけられたら、即死は確実だ。
 こんなとき、魔法でなんとかできればいいのだけど、俺が使えるのは基礎的な魔法だけ。
 この状況を打破するような手段は持ち合わせていない。
 つまり、どこかにつかまらないと……マジで死ぬ!
 辺りを見回すと、ちょうど良くこちらに突き出ている木の枝があった。
 俺は落下していく中で、なんとかその枝を掴むことに成功した。
 た、助かった。
 そう思ったのもつか――
 ボキッ!
 その枝は大きな音を立てて折れてしまった。
 さ、最後の頼みの綱が……
 一瞬、木の枝を掴んだおかげで勢いが弱まった気がしたが、すぐにまた元の落下スピードに戻される。
 みるみるうちに崖の下に見える地面が近づいてきて、俺は強く目をつぶる。
 もうダメだ!
 そう思った瞬間、何かが破裂したような音が響く。
 それと同時に、吹き上げてきた風によって俺の体がふわっと浮く。
 な、なんだ?
 予想外の事態に目を開けてみると、地面からモクモクと白い煙が上がっていた。
 その煙の中央には怪しげな紫色の光があって、何かがモゾッと動いている。
 俺はその光に吸い寄せられるように落ちていき……どしんっと尻餅をつく。

「いったぁぁ」

 俺はそんな声を漏らして、辺りを見回す。
 死を覚悟したのに、どうやら少しお尻を痛めるだけで助かったらしい。
 草地だったおかげで多少衝撃がやわらげられたとはいえ、突然吹き上がってきた正体不明の突風がなければ、今頃俺はミンチになっていただろう。考えるだけでも恐ろしい。
 というか、一体何が起きたんだ?
 立ち上がろうと地面に手をついたとき、俺は地面に紫に光る曲線が描かれていることに気がつく。
 これは、魔法陣?
 この手の魔法陣は、召喚魔法などを行うときに使うものだと聞いたことがある。
 こんな崖の下で、誰かが召喚魔法を行った?
 いや、確か召喚魔法の魔法陣は黄色に光ると聞いたことがある。
 そうなると、これは召喚魔法ではない?


 俺が首をひねりながら立ち上がってお尻をでていると、徐々に白い煙が晴れてきた。
 そして、煙の中から、黒い影がヌッとこちらに近づいてきたのが分かった。
 ま、魔物⁉
 俺は腰にげている短剣を引き抜いて、戦闘態勢に入る。
 いや、待て……俺に魔物が倒せるのか?
 パーティにいた頃、まともに魔物と戦ったことがなかった。
 そんな俺になんとかできる相手なのだろうか?
 俺は不安を抱きながら、短剣の切っ先を魔物に向ける。
 すると、魔物はユラッとその影を揺らしながら、一歩二歩と俺に近づいてくる。

「ほぅ、古代魔法の使い手か。そして、これほどの魔力……よい。気に入ったぞ、少年」

 人語を話す魔物?
 困惑こんわくしている俺をそのままに、その魔物はさらに数歩近づいてくる。

「お前とならば、契約してやってもいいぞ。ふふふっ、ほこりに思うがいい」

 尊大そんだいな口調とは裏腹に、その魔物の足音はちょこちょこっという効果音が似合いそうだった。


 気がついたときには、俺は黒くて綺麗きれいな毛並みに目を奪われていた。
 目の前に現れた四本足の小さな魔物は、俺を見上げて言葉を続ける。

「我はケルベロス! 地獄の門番と恐れられるものなり!」
「……え?」

 胸を張ってそう言い放った魔物は、誰がどう見ても可愛かわいい子犬にしか見えなかった。

「ふふんっ。地獄を追放されてすぐ、こんなに良い人間に出会えるとは思わなかったな」

 突然俺の目の前に現れた黒色の子犬は、上機嫌そうに尻尾をフリフリとさせながら、鼻を鳴らしていた。
 子犬が人間の言葉を話している?

「さぁ、さっそく契約をするぞ。人間」

 その魔物は俺の脚に前足をかけて立ち上がり、こちらを見上げてくる。
 契約?
 ヘッヘッと子犬のような息遣いをしてはいるが、契約をしたがっているということは、この子犬は魔物なのか?


 犬みたいな魔物で思い浮かぶのは……ハイウルフという狼型の魔物かな?
 そういえば、この魔物は自分のことをケルベロスとか言っていた。
 ケルベロスとは、神話にも登場する、頭が三つある恐ろしい怪物だ。
 この子犬がケルベロス?
 俺がそんなことを考えていると、目の間にいる魔物は小さくクゥンと鳴いた。
 ……どう見ても、危険な魔物には見えないな。
 魔物かどうかも怪しいくらいで、人に害を与えるような存在でもないだろう。
 当然、ケルベロスなどという怪物なわけがない。
 そうなると、ケルベロスというのは、前の飼い主がこの子に付けた名前かな?
 そんなことを考えながら、俺は自分が落ちてきた崖を見上げる。
 ここから俺が拠点にしているタロスの街まではそう遠い距離ではないけれど、崖下から街道に戻るには大きく迂回うかいしなければならない。
 それに魔物も多く危険な地域を一人で抜けるのは、さすがに無理そうだ。
 うん。それなら、相棒がいてくれた方が心強い。
 二人で頑張れば、無事に帰ることもできるかもしれないし。
 俺はそう思って、尻尾を振っている小さな魔物にうなずく。

「契約? してもいいんだけど……俺、魔物と契約なんてしたことないから、詳しく分からないんだよね」
「むむっ、そうなのか。まぁ、古代魔法こだいまほうが使えるのなら、従魔契約じゅうまけいやくなど簡単だろう。さくっと終わらせてしまおう」
「古代魔法?」

 首をかしげる俺を気にも留めず、小さな魔物は前足を下ろしてちょこんとお座りをした。
 じっとこちらを見上げているのは、早く契約を済ませろという意味だろうか?
 というか、今この魔物、古代魔法がどうとか言った?
 古代魔法というのは、絶滅したと言われている魔法だ。威力が非常に強いことで有名だが、消費する魔力が多く、扱える者も限りなく少ない。徐々に継承者がいなくなってしまい、今では物語の中に出てくるだけの魔法だ。
 だから、俺がそんな魔法を使えるはずがないんだけど……聞き間違いかな?
 そう考えてから、俺は目の前にいる魔物をじっと見る。
 従魔契約なんてやったことはないけど、このくらい小柄こがらな魔物ならできるかな?
 従魔契約というのは、魔法で魔物と契約して命令に従わせるための手段だ。
 一応、やり方くらいは知っているし、試すだけ試してみてもいいか。
 失敗しないように強く祈って、やってみよう。
 俺は期待の眼差まなざしを向けている小さな魔物に手のひらを向けると、体の中で魔力を練る。

「『従魔契約じゅうまけいやく』。なんじ、我が契約のもとに従属することを誓うか?」

 バンッ!
 契約魔法を唱えると、突然俺と小さな魔物を囲うように大きな黒色の魔法陣が現れた。
 空気中にも黒色の炎が揺らいで、どことなく禍々まがまがしい雰囲気ふんいきがある。

「な、なんだこれ?」

 話に聞く契約魔法は、こんな悪魔を呼ぶみたいな雰囲気のものではないはずだ。
 もしかして、普通じゃありえないような、ひどいミスをしていたりするのかな?


 でも、魔法陣が出たってことは失敗ではない……よな?
 俺が目の前の事態に困惑していると、小さな魔物が尻尾を振りながらきゃんっと吠える。

「もちろん! 誓おう」

 その瞬間、カッと強い光が俺とその魔物を包んだ。
 あまりのまぶしさに俺は目を強くつむる。
 なんだこの光はっ!
 光が収まってから目を開けると、そこには上機嫌な小さな魔物がいるだけだった。
 いつの間にか地面に描かれていた魔法陣も消えている。

「な、なんだったんだ?」
「ふむ! さすがだな! 一発で成功するとは」

 え? 成功?
 ……俺が、従魔契約を成功させたのか?
 思いもしなかった事態にポカンとしていると、目の前の小さな魔物が招き猫のように前足をちょいちょいっと動かす。

「ささっ、早く名前を付けてくれ!」
「名前って……」

 自分のこと、ケルベロスって名乗ってなかったっけ?
 前の飼い主に付けてもらっていたであろう名前を変えちゃっていいのかな?
 躊躇ためらいながらも、従魔契約をしたときは名前を付ける必要があるんだっけと思い出して、俺は少しだけ考える。

「じゃあ、ケルっていうのはどうだ?」

 安直すぎるかもしれないが、急に言われても良い名前なんて思いつかない。
 ケルベロスって名前を気に入っているみたいだったし、その頭文字から取って名付けてみた。
 すると、小さな魔物は俺の付けた名前に満足したのか、可愛らしく尻尾をパタパタと動かす。

「おおっ! いいな。それじゃあ、よろしく頼むぞ、えっと……」
「ソータだ。よろしく頼むよ、ケル」

 なんとか二人で協力して、街まで戻ろうな……心中でそうつぶやきながら、小さく笑う。
 パーティのお荷物の俺と、まだまだ幼い使い魔が一匹。
 魔物がいる道を通って街に帰還するのは、きっと無理だろうな。
 そう考えながらも、無邪気なケルの笑顔を前に、俺は口元を緩めるのだった。


 ――このとき俺は知らなかった。いや、信じていなかった。
 ケルが初めに言った通り、俺が古代魔法の使い手であることも、ケルが本物のケルベロスだったってことも。
 多分、俺じゃなくても信じなかっただろう。
 だって、ケルは誰がどう見ても、ただの黒い小型犬にしか見えないのだから。



 2 子犬ケルベロス



 俺たちは魔物と出会わないことを祈りながら、崖の下に続く道を歩いて街に戻ろうとしていた。
 その道中、ちょこちょこっと俺のとなりを歩くケルは、こちらを見上げ尋ねてきた。

「そういえば、ソータはあそこで何をしていたんだ?」

 俺は少し苦笑しながらほおく。

「パーティのお荷物だからって、追放されちゃってね。俺を殉職扱いにするために、パーティのリーダーに崖から突き落とされたんだよ」

 せっかく従魔になってくれたのに、いきなり情けない話を聞かせてしまったかもしれない。
 俺が乾いた笑いで誤魔化ごまかそうとすると、ケルは首を傾げる。

「ソータがお荷物?」
「うん。俺のいたパーティってS級でさ。俺にはS級パーティに見合う実力がなかったんだ」

 俺は基礎的な魔法しか使えないし、何かひいでているものがあるわけではない。だから追放されるだけなら、分からないことはない。
 それでも、いきなり崖から落として殺そうとするのはどうなんだと思う。

「意味が分からないな」
「うん。さすがに酷いよね」
「ああ。ずいぶんと酷いことをする奴だな。ただ、それ以上に分からないことがある」
「分からないこと?」

 ケルは首を傾げたまま俺をじっと見て、言葉を続ける。

「ソータがお荷物というのが分からない」
「分からないって……あ、言ってなかったね。俺って基礎的な魔法しか使えないんだよ」

 またまた情けないことを告白してしまった。
 せっかく、俺を気に入ってくれていたみたいだけど、さすがに幻滅げんめつしたよね。
 俺は気まずさから顔をせようとしたのだが、ケルは未だにに落ちてないような顔をしている。

「古代魔法だぞ? 基礎的な魔法ができるだけで規格外ではないか」

 その言葉を聞いて、俺はピタリと足を止める。
 勘違かんちがいかと思ったけど、二度も聞き間違えるはずがない。

「なぁ、ケル。さっきも言っていたけど、俺が古代魔法使えるって――」

 俺が古代魔法のことを聞こうとしたとき、『魔力探知まりょくたんち』に反応があった。
 ここから十数メートル先の岩陰に、魔物の気配がある。
 俺の様子から危険を察したのか、ケルは俺の視線の先に顔を向けた。
 その直後、岩陰からヌッと姿を見せたのは、ハイウルフだった。
 思いもしない事態が重なりすぎて、注意力が散漫になっていたみたいだ。
 ……もっと早くに気づくべきだった。

「やはり、常時古代魔法を発動していたか。我が相棒ながら恐ろしい人間だ」

 ケルが何か呟いているが、こちらに近づいてくるハイウルフから目を離せなくなっている俺には、いまいち上手く聞き取れなかった。

「まずい。なんとかして逃げないとだよね」

 俺の呼びかけに、ケルは気の抜けた返事をする。

「逃げる? なぜだ?」
「なぜって、俺一人でハイウルフを相手にしたことなんてないし、勝てる気がしない」

 今までパーティにいたとき、俺はサポートしかしてこなかった。
 一度だけ魔物と戦おうとしたこともあったのだが、オリバに邪魔だからどけと怒鳴どなられて、それ以来、魔物との戦闘は他のパーティメンバーに任せていた。
 だから、俺はハイウルフどころか、無害のスライムを倒した経験すらない。
 そんな俺がハイウルフの相手をするのは、荷が重すぎる。

「勝てる気がしない? よく分からんが、それなら我がやろう」

 ケルはそう言うと、なんでもないことをするかのように、トコトコとハイウルフに近づいていく。
 体格差は歴然だし、どう考えても勝てるはずがない。
 そう思った俺は、ケルを止めようとあわてて手を伸ばす。

「いや、危ないって――」

 しかし、俺の手がケルに届こうかというとき、ケルがフッと俺の前から消えた。
 消えた?

「ギャンッ!!」

 バガンッ!
 妙な悲鳴が聞こえて目をそちらに向けると、ハイウルフが何かに吹き飛ばされた。そして勢いそのまま崖に叩きつけられて、岩肌にめり込んでいる。

「え?」

 まばたきした先には、こちらに振り向いているケルがいるだけだった。

「ケ、ケル?」

 予想外の事態に、俺の声がうわずる。
 すると、ケルは小さく首を傾げてから、トテテッと可愛らしく俺のもとに戻ってきた。

「なんて顔をしている。ケルベロスがあんな魔物に負けるとでも思ったか? ……それにしても、軽く小突こづいただけでここまでか。驚いたな」

 ケルは崖にめり込むハイウルフを見て、しみじみと呟いていた。
 そんな光景を目の当たりにして、俺はありえないはずの可能性を考えてしまう。
 もしかして、ケルって本当のケルベロスなのか?
 ハイウルフを簡単にほふった小さな魔物を前に、俺は開いた口がふさがらなくなる。

「ま、待ってくれ。ケルって本当にケルベロスなの?」
「そうだが? 改めてどうしたんだ?」

 ……マジか。

「えっと、本当に?」
「本当だ。うそなどくわけがないだろう。ソータに本当のことを言えと命令されれば、すぐに嘘などバレるのだぞ?」
「た、確かに。それもそうか」

 従魔契約をしたということは、ある程度は魔物に命令を聞かせられる。
 抵抗すれば、命令に従わないことも可能かもしれないが、それは嘘を吐いていると自白しているようなものだ。
 ケルの言う通り、俺に嘘を吐く意味がない。
 ということは、ケルって本物のケルベロス?
 え、マジでか。

「それなら……というか、なんでケルはあんな所にいたんだ? 確か、地獄を追放されたって言ってたっけ?」

 俺はケルが最初に言っていた言葉を思い出してそう言う。
 地獄の門番と言われているケルベロス。そんな恐ろしい怪物がなぜ現世にいるのか気になる。
 まるで誰かに召喚されたみたいだったけど……
 色々と気になることが多すぎるな。
 俺の質問に、ケルは気まずそうに目をらす。


しおりを挟む

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
第4回次世代ファンタジーカップに参加中です!
出遅れましたが、投票にて応援していただけると嬉しいです!(´▽`)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
感想 23

あなたにおすすめの小説

ブラック宮廷から解放されたので、のんびりスローライフを始めます! ~最強ゴーレム使いの気ままな森暮らし~

ヒツキノドカ
ファンタジー
「クレイ・ウェスタ―! 貴様を宮廷から追放する!」  ブラック宮廷に勤めるゴーレム使いのクレイ・ウェスターはある日突然クビを宣告される。  理由は『不当に高い素材を買いあさったこと』とされたが……それはクレイに嫉妬する、宮廷魔術師団長の策略だった。  追放されたクレイは、自由なスローライフを求めて辺境の森へと向かう。  そこで主人公は得意のゴーレム魔術を生かしてあっという間に快適な生活を手に入れる。    一方宮廷では、クレイがいなくなったことで様々なトラブルが発生。  宮廷魔術師団長は知らなかった。  クレイがどれほど宮廷にとって重要な人物だったのか。  そして、自分では穴埋めできないほどにクレイと実力が離れていたことも。  「こんなはずでは……」と嘆きながら宮廷魔術師団長はクレイの元に向かい、戻ってくるように懇願するが、すでに理想の生活を手に入れたクレイにあっさり断られてしまう。  これはブラック宮廷から解放された天才ゴーレム使いの青年が、念願の自由なスローライフを満喫する話。 ーーーーーー ーーー ※4/29HOTランキングに載ることができました。ご愛読感謝! ※推敲はしていますが、誤字脱字があるかもしれません。 見つけた際はご報告いただけますと幸いです……

治療院の聖者様 ~パーティーを追放されたけど、俺は治療院の仕事で忙しいので今さら戻ってこいと言われてももう遅いです~

大山 たろう
ファンタジー
「ロード、君はこのパーティーに相応しくない」  唐突に主人公:ロードはパーティーを追放された。  そして生計を立てるために、ロードは治療院で働くことになった。 「なんで無詠唱でそれだけの回復ができるの!」 「これぐらいできないと怒鳴られましたから......」  一方、ロードが追放されたパーティーは、だんだんと崩壊していくのだった。  これは、一人の少年が幸せを送り、幸せを探す話である。 ※小説家になろう様でも連載しております。 2021/02/12日、完結しました。

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

レベルが上がらずパーティから捨てられましたが、実は成長曲線が「勇者」でした

桐山じゃろ
ファンタジー
同い年の幼馴染で作ったパーティの中で、ラウトだけがレベル10から上がらなくなってしまった。パーティリーダーのセルパンはラウトに頼り切っている現状に気づかないまま、レベルが低いという理由だけでラウトをパーティから追放する。しかしその後、仲間のひとりはラウトについてきてくれたし、弱い魔物を倒しただけでレベルが上がり始めた。やがてラウトは精霊に寵愛されし最強の勇者となる。一方でラウトを捨てた元仲間たちは自業自得によるざまぁに遭ったりします。※小説家になろう、カクヨムにも同じものを公開しています。

誰一人帰らない『奈落』に落とされたおっさん、うっかり暗号を解読したら、未知の遺物の使い手になりました!

ミポリオン
ファンタジー
旧題:巻き込まれ召喚されたおっさん、無能で誰一人帰らない場所に追放されるも、超古代文明の暗号を解いて力を手にいれ、楽しく生きていく  高校生達が勇者として召喚される中、1人のただのサラリーマンのおっさんである福菅健吾が巻き込まれて異世界に召喚された。  高校生達は強力なステータスとスキルを獲得したが、おっさんは一般人未満のステータスしかない上に、異世界人の誰もが持っている言語理解しかなかったため、転移装置で誰一人帰ってこない『奈落』に追放されてしまう。  しかし、そこに刻まれた見たこともない文字を、健吾には全て理解する事ができ、強大な超古代文明のアイテムを手に入れる。  召喚者達は気づかなかった。健吾以外の高校生達の通常スキル欄に言語スキルがあり、健吾だけは固有スキルの欄に言語スキルがあった事を。そしてそのスキルが恐るべき力を秘めていることを。 ※カクヨムでも連載しています

異世界召喚されて捨てられた僕が邪神であることを誰も知らない……たぶん。

レオナール D
ファンタジー
異世界召喚。 おなじみのそれに巻き込まれてしまった主人公・花散ウータと四人の友人。 友人達が『勇者』や『聖女』といった職業に選ばれる中で、ウータだけが『無職』という何の力もないジョブだった。 ウータは金を渡されて城を出ることになるのだが……召喚主である国王に嵌められて、兵士に斬殺されてしまう。 だが、彼らは気がついていなかった。ウータは学生で無職ではあったが、とんでもない秘密を抱えていることに。 花散ウータ。彼は人間ではなく邪神だったのである。 

【完結】魔王を倒してスキルを失ったら「用済み」と国を追放された勇者、数年後に里帰りしてみると既に祖国が滅んでいた

きなこもちこ
ファンタジー
🌟某小説投稿サイトにて月間3位(異ファン)獲得しました! 「勇者カナタよ、お前はもう用済みだ。この国から追放する」 魔王討伐後一年振りに目を覚ますと、突然王にそう告げられた。 魔王を倒したことで、俺は「勇者」のスキルを失っていた。 信頼していたパーティメンバーには蔑まれ、二度と国の土を踏まないように察知魔法までかけられた。 悔しさをバネに隣国で再起すること十数年……俺は結婚して妻子を持ち、大臣にまで昇り詰めた。 かつてのパーティメンバー達に「スキルが無くても幸せになった姿」を見せるため、里帰りした俺は……祖国の惨状を目にすることになる。 ※ハピエン・善人しか書いたことのない作者が、「追放」をテーマにして実験的に書いてみた作品です。普段の作風とは異なります。 ※小説家になろう、カクヨムさんで同一名義にて掲載予定です

パーティのお荷物と言われて追放されたけど、豪運持ちの俺がいなくなって大丈夫?今更やり直そうと言われても、もふもふ系パーティを作ったから無理!

蒼衣翼
ファンタジー
今年十九歳になった冒険者ラキは、十四歳から既に五年、冒険者として活動している。 ところが、Sランクパーティとなった途端、さほど目立った活躍をしていないお荷物と言われて追放されてしまう。 しかしパーティがSランクに昇格出来たのは、ラキの豪運スキルのおかげだった。 強力なスキルの代償として、口外出来ないというマイナス効果があり、そのせいで、自己弁護の出来ないラキは、裏切られたショックで人間嫌いになってしまう。 そんな彼が出会ったのが、ケモノ族と蔑まれる、狼族の少女ユメだった。 一方、ラキの抜けたパーティはこんなはずでは……という出来事の連続で、崩壊して行くのであった。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。