クズとセフレ

にじいろ♪

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卒業

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俺も、あと3ヶ月で卒業だ。
高校卒業後には近県の大学に通うことが無事に決まって親も喜んでる。
念願の一人暮らし。
いくらでも女を呼べるし、いつでもヤリたい放題。

最近、もはやセフレはヒロキだけになってるから、早く女が欲しい。
ヒロキ以外のセフレは連絡つかなくなったし。
まあ、妊娠されても面倒だから丁度良かった。

「ああんっ、奥まで、ちょーだいっ」

腰を振りたくる淫乱。
ヒロキは、ほんとヤルことしか考えてない。

「お前さ、ゲイなの?」

俺の質問に、ヒロキの動きがピタリと止まる。
スウっと冷たい目で俺を見てくる。

「違うって言ってんだろ。僕はお尻が好きなだけ。こんな僕を受け入れてくれる女の子がいたら、そっちの方がいいに決まってんだろ」

必ずヒロキはそう言う。
ふぅん、と俺は納得するしかないけど、なんだか胸の奥がくすぶる。

「男の尻を弄って喜ぶ女なんか、そうそういねーだろ。仕方ねぇから今は俺が挿れといてやるよ」

ヒロキは、少しほっとしたような表情になる。
なんだよ、その顔。

「だから、今は僕もタケルで我慢してんだろ?大学行ったらかわいくて僕を受け入れてくれる女の子見つけるからいいよ。もう面倒くさいこと言ってないで、さっさとイカせて?僕、気持ちよくなりたいだけだから」

そしてまた腰を振りたくるヒロキ。
俺のチンコをただの尻穴をほじる棒だと思ってんだろ。
俺だって大学行ったら、すげぇいい女つかまえてヒロキにも他の奴らにも見せびらかしてやる。

なんとなくムカつくヒロキに、ちょっとした仕返しがしたくなった。
ほんのいたずらだ。

「今度、俺んち来いよ」

ヒロキがナカを掻き出しながら、びっくりした顔で俺を見上げている。

「は?タケルんち?なんで?」

綺麗な顔なのに驚いたらかわいいな。
ほんと顔だけはストライクど真ん中なんだけど、男だから。

「いいだろ、たまには」

俺はニヤニヤするのが止まらなかった。
この俺をただの棒扱いしてる淫乱なヒロキにピッタリの遊びだ。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「お邪魔します」

きちんと靴を揃えて玄関から入って来る。
制服もぴっちりと着込んで淫乱さの欠片もない。
むしろ清楚さを漂わせてる。

「あー、てきとーに入れよ。誰もいないから」

ヒロキは明らかに緊張していた。
顔が引きつってる。
珍しいな、こんな顔すんの。

「あ、うん。えっと、カバンどこに置けばいい?」

女かよ、いちいち聞いてくんな。

「知らねーよ、適当に置け」

オドオドしたヒロキの腕を掴んで自分の部屋へ連れて行く。
他の女は家に連れて来たことなかったな、と思い至って笑いが込み上げる。
初めて連れ込んだのが男とか笑える。

「ちょっと待ってろ」

顔を紅くしたヒロキを置いて部屋を出る。
よーし、そろそろ来る頃だ。

ピンポーン

チャイムが鳴った。
すぐに玄関の扉を開けて俺はソイツを迎え入れる。

「じゃ、吉〇家特盛な。前金で」

「分かってるよ、ほら」

チャリン、とソイツから特盛代を受け取ると、俺は家を出た。
俺が食べ終わる頃には、アイツらも終わってんだろ。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


牛丼特盛を食べて俺は腹も気持ちも、すっかり満足した。
態度のデカい、あの淫乱が少しは痛い目を見て反省して、俺に対して従順になることを期待しつつ家へ帰る。

「そうなんだー、ハハハ」

ナオトの笑い声が聞こえる。
ん?まさか居間にいる?

「ナオトさんって、面白いんだね」

ヒロキの弾んだ声。
何してんの?
まさか居間でヤってないよな?

「あ、おかえりー、タケル」

2人はしっかり服を着込んで居間のソファで話し込んでいた。

「え?ナオト、何してんの?もう終わったわけ?早くね?」

ヒロキが拗ねたようにそっぽを向く。
なんだよ、その態度。

「あのな、こういう事さー…もう止めろよな。ヒロキが可哀想だろ」

ナオトがヒロキの頭を優しく撫でている。
ヒロキも嬉しそうにナオトを見上げて笑う。
なんか懐いてる?
あのヒロキが?
俺以外に?
でも、あの淫乱が何もしないわけないよな?

「は?ヒロキ!ナオトとヤってねぇの?せっかく用意してやったのに。コイツじゃ物足りなかった?」

そう言ってヒロキを見ると、二人から盛大なため息をつかれた。

「お前さ、ヒロキは誰にでも足開くような子じゃないだろ。俺も、ヒロキにそんな酷いことしたくないし。ほんと最低な、ナオトって」

ナオトとヒロキは、視線を合わせて頷き合ってる。
なんでそんなに急に仲良くなってんだよ。
ムカムカする。

「そうそう、僕も前から最低だって思ってた。ナオトが普通の人で、ほんとに良かった」

いやいや?コイツ、俺に600円渡してお前を買ったんだぞ?わずか30分前に。

「俺ら、マジで友達になったから。今後ヒロキにこういう事させたら俺が許さねぇ」

ナオトが俺に威嚇してくる。
は?俺の幼なじみがヒロキの味方になりやがった。
何が許さねぇだよ、コイツ。
今まで散々、俺と女を共有してきた癖に良く言う。

「ちっめんどくせえ。さっさと帰れ、お前ら」

ナオトも俺程ではないが、それなりにイケメンで女も取っかえ引っ変えだ。
特にコイツは昔から女と見れば見境無いから、酷いことなんて俺よりしてきただろうに。
何で会ったばかりのヒロキにこんなに肩入れしてんだか、意味不明。
ナオト、何か企んでる?

「はいはい、帰るよ。ヒロキ、一緒にマッ〇行かね?俺、おごるし」

はーーーっ?俺に奢ったことなんて一度も無かっただろーーーっ?!
小学生から高校まで一度たりとも!!!

「うんっ!行きたい。でも僕、自分の分はちゃんと払うから心配しないで?」

ヒロキが、可愛らしい上目遣いでナオトを見上げてる。
お前、なんだよその殊勝な態度。
俺に、そんなのしたことあったか?
ナオトが、うっと詰まって照れてる。
は?照れる?ナオトが?

「うん、なんかもう…ヒロキと行けるならどこでもいいし、全部奢らせて欲しい」

なんだ、そのサトウキビ直接齧ったようなセリフ。
俺の目から砂糖どころか佐藤さんが零れ落ちるわ。

「じゃね、タケル」

あっさりと、俺に目も合わせずにヒロキとナオトが連れ立って出て行った。

何だか、とにかく胸糞悪い。
ムカムカする。
女を呼ぼうとしても、セフレはみんな無視しやがって誰も来ない。
仕方なく一人で抜いて、イライラしながらふて寝した。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

次の日、タケルは何も変わらなかった。
いや、いつもより少しイライラしてたかもしれない。

でも、やっぱり僕を空いてる教室に呼び出してヤろうとする。

「もう、こういうの止めたから」

僕がタケルの手を掴んで止めると、タケルが僕の肩を軽く突き飛ばしてきた。
僕は、思わずよろけながらも、近くの机に掴まって身体を支える。

「なんだよ、お前。めんどくせえな!もう飽きたのかよ…他の奴らみたいに」

タケルが少し傷付いた顔してる。
その表情に胸が締め付けられる。
抱き締めたい。

「そういうんじゃなくてさ、昨日ナオトに言われたんだ。こういうことは、ほんとに好きな人とするものだって」

僕が真正面からタケルと視線を合わせて言うと、視線がすぐに外される。

「くっそ、ナオトのやつ、余計なこと言いやがって!うざっ!!」

タケルが近くの椅子を蹴り飛ばす。
大きな音が教室に鳴り響いて、僕は内心ビクっとしている。
僕が殴られるんじゃないかと恐怖で固まる。

「ナオトのこと、好きなのか」

急にタケルがそんな事を言ってきた。
意味不明だ。
僕の穴以外には興味も無い癖に、なんでそんなこと聞くのかも分からない。

「は?この前会ったばっかりで、そんな訳ないでしょ。それに、僕は女の子が」

「分かってる、ただ聞いただけだ」

タケルが後ろを向いた。
もう僕のことなんて見てもくれないのか。
僕の身体が使えないなら、興味もないんだろう。
寂しくて、やっぱり抱いてと縋り付きたいけど、ぐっと我慢する。

「じゃあ、もう授業始まるから」

僕が教室を出ると、後ろから机や椅子が倒れる音がした。
タケルが荒れてる。
でも、僕は振り返らない。
だって、もうこんな苦しい思いは限界だから。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「え?どういうこと?」

ナオトは僕に会って、すぐにそういうことはしないって約束してくれた。
タケルから呼び出されて仕方なく来たけど、元からそんなことするつもりなんて無かったって。
ナオトは、ほんとに優しかった。
僕の話も全部聞いてくれて、否定もしないで頷いてくれた。
それだけで僕の心は癒やされて…今までのタケルとのことも、何故かナオトには全て素直に話せたんだ。

「だからさ…今の関係続けてたら、どうせ卒業と同時にタケルに切られて終わりだろ?今のうちに1回、全部無しにして、ゼロから始めた方がいいんじゃねぇ?」

「うーん、ゼロから?もうすぐ僕達たち卒業だけど」

ナオトは、僕の瞳をじっと見詰めてアドバイスをくれる。
ナオトもイケメンだけど、不思議とドキドキじゃなくて安心する。

「だから、今がラストチャンスだろ?タケルのセフレなんて止めて、もう少し周りを見てみるとか。全部一からやり直すんだよ。そしたらタケルもヒロキへの考え変わるって、絶対。俺も協力するから」

そもそも僕に興味なんて無いタケルとの関係が変わるなんて思えなかったけど、タケルとの関係が間もなく終わるだろうことは分かりきっていたから、ひとまず試してみることにした。
もしも、セフレなんかじゃなく、タケルと普通の関係が築けたら。
それが例えただの友達でも、穴以外の僕を見てくれたなら、もう諦められると思ったんだ。
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