ご主人さまと呼ばないで

にじいろ♪

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飴は蜂蜜の味

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「美味しい?」

「はい、とても美味しいです」

ログが嬉しそうに笑うから、僕も一緒に笑う。でも、どこか寂しい。

「その……他にも色んな物があったんだよ?食べ物だけじゃなくて、花束もあったし、子ども向けの輪投げなんてのも…きっと楽しいよ」

「そうですか…それは凄いですね」

「……うん……そう……」

来年はログと行きたい、と言えなかった。
マアムおばさんの飴は蜂蜜色で甘くて美味しいのに、なんだか味がしなかった。ごめんね、マアムおばさん。



深夜の寝室

「ログ、来て」

そんなでも、僕らの関係は続いていた。

「はい、サンク様」

跪くログが、ゆっくり寝台へと入ってくる。
これじゃ、まるで恋人じゃなくて主人と奴隷だ。そんて悪趣味な嗜好は持ってないけど、なぜかゾクゾクする。

「サンクって、呼んで」

「……サンク」

「愛してる?」

「……愛してます」

その言葉に僕はいつも泣きながら抱かれる。
まるで僕がログに強要してるみたいで。実際、そうなんだけど。愛なんて無いと思うと辛くて悲しくて、でもやっぱりログのことは諦められなくて。

「ログ、もっと、もっと」

「サンク、愛してる、サンク…俺の、俺だけのサンク…好きだ」

これが全部本音だったら良いのに、と涙を溢すと吸い取られる。
この寝台の上でだけ、ログは僕を求めてくれる。熱の籠もった瞳に僕が映ると胸が満ち足りる。

「サンクっ、はぁ、くぅっ」

ドクドクと僕のナカへ吐き出された欲に身体が満たされていく。
少なくとも欲の対象にはしてくれてるみたい、と自分を納得させる。

「きもち、いい?」

ログは欲と色気をだだ漏れにしながらぺろりと僕の涎を舐め取った。

「はい、最高に」

ググッと更に太くなったソレに、僕は歓喜する。良かった、僕で興奮してくれてる。
こんな、こんな僕に………!!

「じゃあ、もっと、しよ?」

「仰せのままに、サンク」

こうして、僕達は歪な関係を続けている。
本当は心から愛し合いたい。
恋人になりたい。
でも、それはログに断られる。
主人と奴隷の関係だ、と。
何度も何度も話し合ったけれど、それは平行線だった。
だから、きっとログがこうして僕と関係を持ってくれるのは、主人の命令だから……
それが無くなれば、僕との関係なんて持ってもらえなくなる。

そう思えば、これ以上は強く言えなかった。

「愛してる、サンク…好きだ、好き、サンクだけがいれば、他に何もいらない」

「僕も、ログだけだよ、欲しいのは」

幾度も愛を囁き合っても、それは同じだった。また朝起きれば、ログは床に跪くんだ。
それを見る度に泣いてしまう。
また、恋人にはなれなかったって。
こんなに愛しているのに。
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