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甘く切なく
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「やあ、サンク!」
「こんにちは、ダンさん」
ダンさんは、村のリタさんの旦那さん。
隣村の村長さんの息子さん。
なぜか、元僕の恋敵?だ。
「豊穣祭、楽しみだな。例の切り株くんとは来てるのかい?」
笑いながら僕の背中を軽く叩くダンさんは、本当にリタさんとお似合いの背が高い美男だ。美男美女カップルと村では持て囃されている。
ついでに、僕の薪はお陰で良く売れているから、ありがたい。
「切り株……ええ、ログはお祭りとかは苦手みたいで。僕がお土産を買って帰る約束をしてるんです」
「それは良いじゃないか!あのマアムおばさんの飴なんて評判良いよ!香りが他とは違うって…あ、リタ!!」
ダンさんは、親切な人だった。僕とリタさんの噂なんて気にも止めていなかったらしい。まあ、事実ですら無いんだけど。
「まあ、ダン!こんな所で会うなんて、私達、やっぱり運命なのかしら……あ、サンク……ごめんなさいね」
リタさんは、何をすまなさそうに俯くのか分からないが、ダンさんは全然気にしていない。
「サンクは、例の切り株くんと仲良くやっているみたいだよ。お土産を買うっていうから、マアムおばさんの飴を勧めていたんだ。ほら、リタも勧めていただろ?」
「…そうね、マアムおばさんの飴は特別だから、その切り株さんにも食べさせてあげたら良いと思うわ。口がとろけるもの。ね?ダン」
「君の瞳はマアムおばさんの飴よりもとろける蜂蜜色だけどね」
「ダンの唇だって、飴よりも甘いわ」
僕、邪魔みたい。
さっさと挨拶して二人から離れる。
そうして、マアムおばさんの屋台へと来た。
今日は村の豊穣祭だから、近くの村の人も集まって割と賑わっている。本当はログと来たかったけど、ログは首を縦には振らなかった。
「……そんな立場では……」
そう言うばかりだった。
僕は、村の皆にも紹介したいけど、でも、あんなに綺麗なログを見たら、皆もログを好きになってしまうかも。
そうしたら、僕は、僕なんて……
そう思えば、やっぱり連れて来なくて正解だったとも思う。
だって、ダンさんなんかよりもログの方が、遥かに綺麗だから。
「……ク、サンク?」
「わぁ、マアムおばさん、ごめんなさい!」
「良いのよ。それで?飴はいくつ?ログさんに買って行くんでしょ?」
「えっと、そうだな……3つ、いや5つ……」
「そう、じゃあ、おまけで10個入れておくから。お代は3つ分で良いわ」
「えっ!?悪いよ、マアムおばさん!」
「いいから、いいから。だってログさんは甘い物が好きなんでしょ?食べるとうれしそうに笑うって言ってたじゃない。ぜひ、うちの飴も沢山食べて欲しいもの」
「う、うん……」
「次こそ、連れて来なさいよ?」
「うん……分かった」
僕は、マアムおばさんの飴を買って、ぼんやりと広場を見つめていた。そこでは、皆が楽しそうに手を取り合い音楽に合わせて踊っていた。にぎやかな音と、靴音や屋台から聞こえる呼び声。
なんだか、その全部が遠くに感じて、僕はノロノロと村を出た。
ログがいないと、つまらない。 景色の色が褪せたようだ。
「こんにちは、ダンさん」
ダンさんは、村のリタさんの旦那さん。
隣村の村長さんの息子さん。
なぜか、元僕の恋敵?だ。
「豊穣祭、楽しみだな。例の切り株くんとは来てるのかい?」
笑いながら僕の背中を軽く叩くダンさんは、本当にリタさんとお似合いの背が高い美男だ。美男美女カップルと村では持て囃されている。
ついでに、僕の薪はお陰で良く売れているから、ありがたい。
「切り株……ええ、ログはお祭りとかは苦手みたいで。僕がお土産を買って帰る約束をしてるんです」
「それは良いじゃないか!あのマアムおばさんの飴なんて評判良いよ!香りが他とは違うって…あ、リタ!!」
ダンさんは、親切な人だった。僕とリタさんの噂なんて気にも止めていなかったらしい。まあ、事実ですら無いんだけど。
「まあ、ダン!こんな所で会うなんて、私達、やっぱり運命なのかしら……あ、サンク……ごめんなさいね」
リタさんは、何をすまなさそうに俯くのか分からないが、ダンさんは全然気にしていない。
「サンクは、例の切り株くんと仲良くやっているみたいだよ。お土産を買うっていうから、マアムおばさんの飴を勧めていたんだ。ほら、リタも勧めていただろ?」
「…そうね、マアムおばさんの飴は特別だから、その切り株さんにも食べさせてあげたら良いと思うわ。口がとろけるもの。ね?ダン」
「君の瞳はマアムおばさんの飴よりもとろける蜂蜜色だけどね」
「ダンの唇だって、飴よりも甘いわ」
僕、邪魔みたい。
さっさと挨拶して二人から離れる。
そうして、マアムおばさんの屋台へと来た。
今日は村の豊穣祭だから、近くの村の人も集まって割と賑わっている。本当はログと来たかったけど、ログは首を縦には振らなかった。
「……そんな立場では……」
そう言うばかりだった。
僕は、村の皆にも紹介したいけど、でも、あんなに綺麗なログを見たら、皆もログを好きになってしまうかも。
そうしたら、僕は、僕なんて……
そう思えば、やっぱり連れて来なくて正解だったとも思う。
だって、ダンさんなんかよりもログの方が、遥かに綺麗だから。
「……ク、サンク?」
「わぁ、マアムおばさん、ごめんなさい!」
「良いのよ。それで?飴はいくつ?ログさんに買って行くんでしょ?」
「えっと、そうだな……3つ、いや5つ……」
「そう、じゃあ、おまけで10個入れておくから。お代は3つ分で良いわ」
「えっ!?悪いよ、マアムおばさん!」
「いいから、いいから。だってログさんは甘い物が好きなんでしょ?食べるとうれしそうに笑うって言ってたじゃない。ぜひ、うちの飴も沢山食べて欲しいもの」
「う、うん……」
「次こそ、連れて来なさいよ?」
「うん……分かった」
僕は、マアムおばさんの飴を買って、ぼんやりと広場を見つめていた。そこでは、皆が楽しそうに手を取り合い音楽に合わせて踊っていた。にぎやかな音と、靴音や屋台から聞こえる呼び声。
なんだか、その全部が遠くに感じて、僕はノロノロと村を出た。
ログがいないと、つまらない。 景色の色が褪せたようだ。
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