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ログ=色気

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 目の前の人は、確かに悪魔かもしれない。

「はあっ、サンク、さまっ」

 汗で額に張り付く銀髪を掻き上げる様が絵になり過ぎて、僕の胸が苦し過ぎて死ぬ。
 こんなに苦しめるなんて、確かに悪魔だ。

「あ、あいして、ます」

 僕に一心不乱に楔を打ち込みながら、滴る汗を拭いもせずに、不安気ながらも心を込めて愛を囁く瞳から目が離せない。
 綺麗で、色気がすごい。

「ログぅっ、すきいっ」

 僕も応えれば、更に太く強くなるソレは限界を知らないらしい。

 部屋に響く淫靡な音や香りに目が開けていられない。
 でも、色気だだ漏れのログを見たくて見たくて、つい盗み見ては、また胸の高鳴りで死にそうになる。ただでさえ、禊を打ち込まれてるのに!!

「もう、離さないでっくださいっ」

 スバァンっ!!と勢い良く打ち込まれ、ドクドクともはやすっかり慣れた感覚に腰が震える。

「はぁっ、うん、絶対、離さない、から」

 僕らはすっかり愛し愛されるラブラブな恋人同士になった。

 僕はそう思っていた。
 翌朝までは。



「え?なんて?」

「……違うの、ですか?てっきり、ようやくサンク様の奴隷として認められたのだとばっかり……申し訳ありません……自惚れておりました……」

 シュン、と落ち込むログに、僕まで落ち込んじゃう!!

「そうじゃなくって!恋人でしょ?僕ら!ログはもう奴隷じゃないんだから!!」

「こい……びと?え?サンク様と、そのような……ひとかどの人間のような扱いなんて、おこがましい……最底辺奴隷の俺が……」

 パンッとログの両頬を両手で挟んで俯いた美しい顔を挙げさせる。あぁ、ほんとに格好良くて綺麗。ドキドキして手が震える。

「そ、そんなこと、僕の……好きな、ログに言って欲しくない。僕らは、もう恋人!ログはひとかどの人間!最底辺奴隷じゃない!わかった?!」

「……はい、サンク様」

「分かったなら……キス!!」

 僕が目を瞑ると、喉が鳴る音がした。期待に胸が弾けそう。

「……はい、サンク様」

 チュ、と優しく唇に触れた体温が、すぐに離れた。物足りない。昨夜の僕らはそんなもんじゃなかった!!あんなことも、こんなこともしたのに!!まるで元に戻ったみたい。夢から覚めたみたいじゃないか!!

「……ねぇ、僕に命令されたから、キスしたの?」

 何となく不安になって、否定して欲しくてそんなことを思わず聞いた。ログがこまることを知っていて。

「いえ……その……はい」

 僕は落胆した。
 やっぱり。

 奴隷だった時間は、きっと僕が想像するよりも長くて……考えるのを止めた。


「じゃあ、僕じゃなくても、命令されれば誰にでも同じことするの?」

「それは……」

「もう首輪が無いのに?奴隷じゃないのに?」

ログは、心底困ったように微笑んだ。

「今までも、こういうことをしたことが……あるの?」

聞いてはいけないと分かってた。
でも、聞かずにはいられなかった。

ログは、悲しそうに瞼を伏せて静かに頷いた。
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