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プロ

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遂に俺は、決意した。

思いの外、落ち着いた店内。

「はい、よろしくお願いしますっ」

緊張で声が裏返った。

とうとう、来てしまった。

俺は、プロに頼むことにした。


「はーい、いらっしゃーい。お兄さん、こういうとこ初めて?お、すっげぇかわいいじゃん!ラッキー!」

バスローブ姿のNo.1だというイケメンさんにお世話になる。
イケメンと言っても、普通の人間基準だけど。

「はいっ、あの、初めてですっ、そのっ」

ガッチガチに固まってる俺のバスローブは、するっと脱がされた。
流石はプロ。

「うんうん、いいねー。かわいい子猫ちゃん♡何かリクエストとかある?」

小さめのホテルのような室内。
当然、ベッドの上に俺は仰向けになる。

「あの、えっと…」

恥ずかしさで、顔がカーッと熱くなる。
でも、言わなきゃ。
高いお金出してるんだから!頑張れ、俺!

「ち、ちくびを…」

「うん?」

小さくて聞こえなかったのかも。
勇気を出して、大きな声で叫ぶ。

「陥没乳頭を出して、乳首に、このリングを嵌めて下さいっ!」

ベッド脇の台に2つのシルバーリングをカチャンと置く。
ポカン、とするお兄さんは、たしかトオルという名だった。

「あと、その、お尻の奥まで挿れて、中出しして下さいっ!!」

分かりやすくする為に、両脚を大きく開いてお尻を持ち上げ、クパクパするソコを晒して叫ぶ。
もう、恥ずかし過ぎて涙声だ。

「それから、名前を」

「な、名前?」

トオルさんが、ようやく聞き返してくれて、ちゃんと伝わってることに安心した。

「今だけ『ヴァン』って呼ばせて下さいっ!!!」

「……あー…訳ありね?」

急に全部理解したように、トオルさんが頷いた。

「片思い系?不倫系?」

「えっ?いや、そういうんじゃ…」

するり、と身体を撫でられる。
火照る身体は、その感覚を求めて強請る。

「はあっ…」

「随分と敏感だねー。こりゃあ調教系か?」

そのまま陥没乳頭へと指が向かう。
ローションを垂らされて、乳輪をマッサージされる。

「ふぅ、ん、ふっ」

リラックスするようなマッサージ。
両手でムニムニと揉まれる。
これで、本当に出るんだろうか。
少し心配になった。
なにせ、ヴァンの時には、とんでもない快感と共に出されたから、その位に気持ち良いと思っていた。

「ーーーっ?!」

にゅるん、と急に乳首が外へ出た。

「お、出たよー。かわいい乳首だねー」

腫れていない乳首は、それはそれは小さかった。
豆粒くらいに小さい。

「じゃ、このリング付けるよー。おっと、こりゃリング大きすぎてスカスカだわ」

そう。
腫れた状態で付ける為に用意したリングは、そのままでは乳首が小さ過ぎて全く嵌らなかった。

「あ、ごめんなさい。その、乳首を、大きくしてもらいたくて」

「はいはい、勃起させればいいんでしょ。任せてー」

乳首を勃起という言葉で、思わず顔を隠す。
恥ずか死ぬ。
死なないけど。

チュコチュコチュコチュコチュコチュコチュコチュコ
ペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロ
チュパチュパチュパチュパチュパチュパチュパチュパ

「はい、このくらい?」

「ハァッ、ハァッ、はいっ、ありがとう、ござ、ます」

息も絶え絶えだ。
流石はプロ。
物凄い快感まではいかないが、気持ち良くてバッチリ乳首が勃起した。

「はい、付けるよー。痛かったら言ってねー」

パチン、パチンと両方に付けられた。

「は、はい」

乳首は少しジンジンするけど、我慢出来ない程じゃない。
叫ぶことなんて無い。

「んじゃ、次はっと」

「準備終わってますっ!」

ガバっと両手で穴の縁を引っ張ってアピールする。

「おー。健気だね。ところで、そのヴァンって人とは、エッチ出来ないの?」

目の前で見せられるトオルさんのソレは大きかった。
ヴァン程では無いけれど、ゴクリと咽が鳴った。

「ヴァンとは…ずっと会って無かったんです…」

「へえ、遠距離?」

ぶんぶんと首を振る。

「いや、俺が一方的に離れて…でも、最近、ヴァンが俺に帰って来て欲しいって会いに来て…」

「じゃあ、行けばいいじゃん」

チュプ、と俺の待ち望んだソコに、トオルさんのソレがキスをする。

「はんっ、でも、ヴァン、俺に黙って勝手に俺の身体を変えて…許せなくて…」

思い出して涙声になる。
もう普通の人間じゃなくなった俺。

「あー、そういう調教プレイね。よくあるある。で、忘れたくても身体が彼を忘れられないってことか」

「あっ、んっ?まあ、そんなとこ?で…はぁっ、会いたい、けど…でもっ、んんっ」

もどかしく入口をツンツンと突かれてる。
早く早くともどかしくて腰が揺れる。

「はいはい、拗らせ系ね?じゃあさ、ここには居ないんだから、今だけは正直に自分の気持ち言っちゃえば?」

「自分の…気持ち?」

ほんの先っぽだけで、チュチュ、と入口の感触を味わわれてる。
早く奥に欲しいのに。

「今だけは、本人には言えない気持ち吐き出しちゃいなよ。スッキリするから」

「…うん。はい」

にやりと笑う顔が、今日一番格好良いと、胸が少しキュンとした。

「じゃ、奥まで挿れるから。全部吐き出しな」

「うんっ、ヴァン、来てっ」

ぎゅっと目を閉じて、ヴァンを思い描く。
ぐっと蕾に入ろうとするのに合わせて、俺は、乳首を両手で捻り潰した。

「ヴァンっっ!!!好きぃっーーっ!!ナカに来てぇっーーー!!!」

……………

………?

来ない。

???

そろ、と目を開ける。


「離せっ、こら、何だよ、お前!」

トオルさんは、羽交い締めにされてた。
誰に?
…ヴァンに。

「え…?ヴァン…?」

俺の声でハッとして、パッとヴァンがトオルさんを離した。
狭い室内に、イケメン二人。
だけど、ヴァンの方が一万倍格好いい。


「…すまなかった、手荒な真似をして」

トオルさんは、ヴァンから一歩下がって、睨みを効かせてる。
めちゃくちゃ怒ってる。
俺はお尻の穴を開く指を外していいんだろうか。

「なんだお前!警察呼ぶぞ!!コラ!!」

「…すまない。倍、出そう」

ヴァンは、すっと出した万札をトオルさんの手に纏めて握らせる。
結構な金額だ。
俺が払う金額の5倍くらいじゃないだろうか。
トオルさんは、パラパラと万札を数える。
満更でもない顔で。

「あー…まあ、仕方ねえな。訳ありっぽいし。なあ、コイツだろ?例のヴァンって奴。さっきみたいに正直になれば、上手く行くから、頑張れよ」

トオルさんは俺を励まし、ササッと後片付けをして、店に上手く説明してくれた。
あの金はトオルのポケットに入るんだろう。

俺とヴァンは、店を後にした。

黙って歩くヴァンの後ろをついて歩く。
なんだろ、これ。

「なあ、ヴァン」

返事は無い。
ただ、静かに俯いて歩く。
なんだよ、これ。

「着いた」

そこは、ラブホだった。
ええ、間違いなく、ラブホ。
休憩って書いてあるし。

「…え」

「すまない。とりあえず、すぐに入れる場所が、近くだとココしか無いから」

俯いてる癖に、やたらにハッキリ物を言うヴァンに、少し後退る。
そんな俺にはお構いなしに、ズンズンと迷い無く入って行くヴァンの後ろを、悪いこともしてないのに、コソコソとついていく。

パタン

ホテルの一室に入った。
さっきの店より遥かに広いし、なんだか洒落てる。

「…なぁ、なんで、あの店にいたんだよ」

「………」

立ちすくむヴァンは無言で俺を見て

「すまなかった」

ヴァンが、また頭を下げた。
なんだか、凄く寂しい。
胸を冷たい風が吹いていく。

「私は、ヒロの愛し方を間違えたらしい。もっと…時間をかけてお互いを理解する時間が必要だった」

「…まあな」

一応頷くが、身体は火照りがピークで、今にも服を全て脱ぎ去りたい。
そういうホテルで、目の前にヴァンがいて、もう余計にケツが限界だ。

「次は間違えない。どうか、もう一度チャンスを貰えないだろうか」

土下座された。
ワオ、ジャパニーズ土下座。
でも、俺の気持ちはもう…

「そんなの…さっきの聞いてただろ…」

強気だった声が、どんどん小さくなっていく。
ヴァンが、顔を上げて視線がぶつかる。
キラキラ光る紅い瞳が綺麗で、思わず胸を抑える。

「その、私を…好きというのは本当なのだろうか?聞き間違いでは…」

俺の顔が熱い。
胸も熱いし、腹の奥もさっきから熱いどころかマグマだ。
ケツの奥がフツフツして、ヴァンをひたすらに求めてる。

「…本当…だから。も、いいから…さっきの続きしよ?」

俺は性急に服を脱ぎ始める。
これ以上我慢出来ない。
リングを嵌めた敏感な乳首は、服に擦れて気持ち良いのにイケなくて、ケツの穴が収縮しっぱなしだ。

服を脱ぐ手をヴァンに止められる。

「いや…ヒロ、このまま話そう。今更だが、その、そういうことは、もっとお互いを理解し合ってから…」

ギラギラした瞳で俺を見て息が上がってる癖に、急にお堅いことを言い始めた。
勝手に人の処女奪っておいて、ほんとに今更だ。

「そんなのっ、これから知り合えばいいだろっ!もう我慢出来ないんだよ!いいから、早く挿れろよっ!命令!」

ずぷんっ!!!!!

「ーーーー!!!!!!!ーー!ーーーーーつっっ」

早過ぎる。
いきなりズボンをずるんと降ろされて、一気に後ろから貫かれた。
言い終わる前に全部挿れられて、俺は久しぶりに射精した。

「はぁ、こんな、私はまた道を誤ってしまうのか」

ヴァンが欲に負けたことを反省しながら、ズップズップと挿れては出している。
立ったまま、何も掴まる物も無い俺は、必死に自分の身体を支える。
一度、射精してしまえば、もう止まらない。

「はあっんんっ、きもちいっ、もっとぉっ」

トロトロと精液を、床に垂らしながら喘ぐ。
両手を後ろからヴァンに引かれて、深く深く挿される。
ずっとイケなかったから、快感が溜まりに溜まって、これまでで一番気持ち良い。
頭も目の前も白くて、それが癖になる。

「だが、こうしてヒロを再び手に入れられた…すまないが、二度とヒロを離せない。ヒロの言うように、これから互いを知っていきたい。番として暮らしながら、ヒロに私の誤りを指導、修整してもらいたい。どうか、私を見捨てないでくれ…」

見捨てないでくれって言う割に、ガンガン突き上げてくる。
そのままベッドに二人でなだれ込む。
敏感乳首も、たっぷり愛されて、リングごとチュルチュル舐められる。
あまりの快感にトロトロとイクのが延々と止まらない。

「はあっ、うんっ、しょうがない、なっ、俺が、教えて、やるっからぁっ、だからっ」

ヴァンの首に腕を回す。
俺と同じ紅い瞳には、欲しかない。
嬉しい。俺に欲を向けてくれるのが、嬉しい。

「ずっとっ、愛してっ、ヴァンっ、好きっ」

幸せそうに笑うヴァン。

「はぁ、私は幸せだ…ヒロ、永遠に愛している」

会えなかった時間を取り戻すように、二人は貪り合った。
一滴も零さないように啜り合う。

俺たちは、翌日朝まで愛し合った。
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