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何が起きた
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「……なんだったんだろ」
朝起きて呟く。
昨夜の出来事は、私の頭を破壊するほど威力があった。
なんと、涼さんと、その……えっと……
あんなコトになったのです。
所謂、最後まではシてない、はず。
だよね?
多分、アレは、その、痛みも無かったし。
思い出して全身が真っ赤になるのが分かる。ついでに熱くなって、ジワと濡れる。
でも、あの脚を抑えて……
「愛ちゃん、おはよう」
一人でグルグル考え事をしてた私の耳元でイケボが放たれた。
ビクンっ!と身体が反応する。
昨夜、散々この声と共に刻まれた記憶が蘇って全身が熱くなる。
「ーーっ!りょ、涼、さん」
「そんな美味しそうな顔で見ないで?僕も男なんだから、食べちゃうよ?」
「!!!」
だめだ、もう身体が勝手に反応してしまって濡れるのが止まらない。
「……それとも、本当に食べていい?」
私は、あまりの恥ずかしさに首を振る。
もう濡れてますなんて言えない。
「そう?残念」
ちゅ、と優しく唇にキスされて、頭をポンポンされる。
「朝ごはん出来てるから、食べよう」
私はベッドからお姫様抱っこで朝食が用意されたテーブルまで運ばれた。
彼の胸筋に挟まれてホワイトアウトしたい。
「えっ、すごい……こんな」
まるでホテルの朝食のような美しくて美味しそうなメニューが並んでいた。
なんだ、夢の国か。ミッ○ーどこだ。
「こういうの好きかなと思ったんだけど、どう?ちがう?」
「だっ、大好きですっ!!すごい!これ全部作ったんですかっ?!」
超イケメンが照れたように笑う。
朝日より眩しい。
「だって、愛ちゃんとの初めて一緒に迎える朝だから、張り切っちゃった……眠れなかったし」
何か最後に呟いたのは良く聞こえなかったが、私は甘い空気を脱ぎ捨てて両手を合わせて元気に発声する。
「いっただっきまーす!!」
「はい、どうぞ召し上がれ」
私のいただきますに絶妙のタイミングの返事が返ってきた。それが亡き両親と全く同じで急に泣きそうになった。
涙が零れそうになるのを我慢して、笑顔でフォークを手にウインナーを取る。
「うわぁ、パリパリしてるのにジューシー!!おいし」
「泣きたい時は泣いていいんだよ?僕の前では我慢しないで」
するっと目尻を大きな手が優しく撫でる。
真剣な目の彼が私を見詰めていた。
「え……」
「僕達、夫婦になるんだから、どんなことも隠さなくて良いんだよ」
私はウインナーを飲み込んで、それから泣いた。
両親が急な事故で亡くなって辛かったこと、さっきの涼さんの返事が亡き両親と全く同じだったことを、ポツポツと話しながら泣いた。
「そっか。じゃあ、僕は愛ちゃんのご両親と似てるのかもね。ほら、父親に似てる人を好きになるって言うし」
私の父親と彼は全く似ていない。
天と地、月とすっぽん、神とミミズ。
でも、さっきの返しは確かに似ていたというより全く同じだった。
それだけで、私は彼を完全に信じたいと思った。
「そうなの……かも」
「ふふ、やっぱり僕達は運命なんだね」
綺麗に笑う彼に、私は頷いた。
運命なんて本当に信じてる訳じゃない。
これも詐欺の常套句かもしれない。
でも、今、すごく満ち足りている。
「うん、私、涼さんのこと好きです」
自然と零れ落ちた告白への反応が返って来ない。
気持ち悪かったかな。
チラ、と伺い見ると珍しく涼さんが顔を腕で覆って黙ってしまっている。
「……あの」
「嬉しい。嬉しい、嬉しい、夢みたいだ。頑張って良かった、生きてて良かった、神様ありがとう、いや神様は愛ちゃんだから、仏様ありがとう」
何やらブツブツと腕の中で呟いている。
「涼さん……?」
「僕も大好きだよ、愛ちゃん。死んでも愛してる」
急にガシっと手を掴まれて真顔で告げられた。
死んでもって、表現すごいな。
今時の若者の流行?
「あ、ありがとう…?」
思わず疑問形になる。
私のイマイチな返しも彼は笑顔で満足気だ。
「二人で幸せになろうね」
「は、はい」
まるで結婚の誓いのようでクラクラする。
こんなにトキメキ過ぎたら死ぬんじゃないでしょうか。
「はい、あーん♡」
私の両手は彼の大きな片手にがっしり握られたまま。
空いた手で私の口に美味しい食事を運んでくれる。
何このサービス。どんな高級ホテルでも無いわ。
あーん、と口を開けてパクと食べると彼が極上の笑顔で頭を撫でて褒めてくれる。
「上手だね、えらいよ。ほら、もっとたくさん食べて」
器用に自分も食べながら、私にも次々と食べさせてくれる。
介護の仕事とかしてるのかな……
いや、そんな訳ないか。
結婚詐欺師って、別で働いてたりする?
美味しいし甘いし、夢のような朝食が終わって、思い切って聞いてみる。
彼は今、食器を洗ってくれている。後ろ姿が格好良い。ちなみに私は見学だけで良いそうです。
「あの、お仕事って何されてるんですか?」
「今は無職だよ」
あっさりと答えた彼に私の時が止まる。
「あ、無職…」
そうか、結婚詐欺師は仕事に入らないし、他に仕事してなければ無職になるのか。
いや、そうだとしても嘘でも仕事してると言うもんだと思ってた。
だって詐欺師だし。
「でも安心して?愛ちゃんと無事に結婚したら就職して稼ぐから」
私の頭はハテナで埋め尽くされた。
普通、就職してから結婚では?
これって一般的に女性を安心させる話なのだろうか?
涼さん、詐欺師として大丈夫なのか。
「ええっと、求職中ってこと…ですか?」
「うん?別に就職活動はしてないよ。今は愛ちゃんと結婚するための期間だから」
それは、今は私から金を引き出す期間だから他の詐欺はしてないってことか。
勝手なイメージで、結婚詐欺師は医者とか弁護士とか、はたまたIT企業社長やらを名乗るものかと思っていた。
「なるほどー……」
何も分かって無いのに私は頷いて話を終わらせた。
うん、涼さん、良く分からん。
朝起きて呟く。
昨夜の出来事は、私の頭を破壊するほど威力があった。
なんと、涼さんと、その……えっと……
あんなコトになったのです。
所謂、最後まではシてない、はず。
だよね?
多分、アレは、その、痛みも無かったし。
思い出して全身が真っ赤になるのが分かる。ついでに熱くなって、ジワと濡れる。
でも、あの脚を抑えて……
「愛ちゃん、おはよう」
一人でグルグル考え事をしてた私の耳元でイケボが放たれた。
ビクンっ!と身体が反応する。
昨夜、散々この声と共に刻まれた記憶が蘇って全身が熱くなる。
「ーーっ!りょ、涼、さん」
「そんな美味しそうな顔で見ないで?僕も男なんだから、食べちゃうよ?」
「!!!」
だめだ、もう身体が勝手に反応してしまって濡れるのが止まらない。
「……それとも、本当に食べていい?」
私は、あまりの恥ずかしさに首を振る。
もう濡れてますなんて言えない。
「そう?残念」
ちゅ、と優しく唇にキスされて、頭をポンポンされる。
「朝ごはん出来てるから、食べよう」
私はベッドからお姫様抱っこで朝食が用意されたテーブルまで運ばれた。
彼の胸筋に挟まれてホワイトアウトしたい。
「えっ、すごい……こんな」
まるでホテルの朝食のような美しくて美味しそうなメニューが並んでいた。
なんだ、夢の国か。ミッ○ーどこだ。
「こういうの好きかなと思ったんだけど、どう?ちがう?」
「だっ、大好きですっ!!すごい!これ全部作ったんですかっ?!」
超イケメンが照れたように笑う。
朝日より眩しい。
「だって、愛ちゃんとの初めて一緒に迎える朝だから、張り切っちゃった……眠れなかったし」
何か最後に呟いたのは良く聞こえなかったが、私は甘い空気を脱ぎ捨てて両手を合わせて元気に発声する。
「いっただっきまーす!!」
「はい、どうぞ召し上がれ」
私のいただきますに絶妙のタイミングの返事が返ってきた。それが亡き両親と全く同じで急に泣きそうになった。
涙が零れそうになるのを我慢して、笑顔でフォークを手にウインナーを取る。
「うわぁ、パリパリしてるのにジューシー!!おいし」
「泣きたい時は泣いていいんだよ?僕の前では我慢しないで」
するっと目尻を大きな手が優しく撫でる。
真剣な目の彼が私を見詰めていた。
「え……」
「僕達、夫婦になるんだから、どんなことも隠さなくて良いんだよ」
私はウインナーを飲み込んで、それから泣いた。
両親が急な事故で亡くなって辛かったこと、さっきの涼さんの返事が亡き両親と全く同じだったことを、ポツポツと話しながら泣いた。
「そっか。じゃあ、僕は愛ちゃんのご両親と似てるのかもね。ほら、父親に似てる人を好きになるって言うし」
私の父親と彼は全く似ていない。
天と地、月とすっぽん、神とミミズ。
でも、さっきの返しは確かに似ていたというより全く同じだった。
それだけで、私は彼を完全に信じたいと思った。
「そうなの……かも」
「ふふ、やっぱり僕達は運命なんだね」
綺麗に笑う彼に、私は頷いた。
運命なんて本当に信じてる訳じゃない。
これも詐欺の常套句かもしれない。
でも、今、すごく満ち足りている。
「うん、私、涼さんのこと好きです」
自然と零れ落ちた告白への反応が返って来ない。
気持ち悪かったかな。
チラ、と伺い見ると珍しく涼さんが顔を腕で覆って黙ってしまっている。
「……あの」
「嬉しい。嬉しい、嬉しい、夢みたいだ。頑張って良かった、生きてて良かった、神様ありがとう、いや神様は愛ちゃんだから、仏様ありがとう」
何やらブツブツと腕の中で呟いている。
「涼さん……?」
「僕も大好きだよ、愛ちゃん。死んでも愛してる」
急にガシっと手を掴まれて真顔で告げられた。
死んでもって、表現すごいな。
今時の若者の流行?
「あ、ありがとう…?」
思わず疑問形になる。
私のイマイチな返しも彼は笑顔で満足気だ。
「二人で幸せになろうね」
「は、はい」
まるで結婚の誓いのようでクラクラする。
こんなにトキメキ過ぎたら死ぬんじゃないでしょうか。
「はい、あーん♡」
私の両手は彼の大きな片手にがっしり握られたまま。
空いた手で私の口に美味しい食事を運んでくれる。
何このサービス。どんな高級ホテルでも無いわ。
あーん、と口を開けてパクと食べると彼が極上の笑顔で頭を撫でて褒めてくれる。
「上手だね、えらいよ。ほら、もっとたくさん食べて」
器用に自分も食べながら、私にも次々と食べさせてくれる。
介護の仕事とかしてるのかな……
いや、そんな訳ないか。
結婚詐欺師って、別で働いてたりする?
美味しいし甘いし、夢のような朝食が終わって、思い切って聞いてみる。
彼は今、食器を洗ってくれている。後ろ姿が格好良い。ちなみに私は見学だけで良いそうです。
「あの、お仕事って何されてるんですか?」
「今は無職だよ」
あっさりと答えた彼に私の時が止まる。
「あ、無職…」
そうか、結婚詐欺師は仕事に入らないし、他に仕事してなければ無職になるのか。
いや、そうだとしても嘘でも仕事してると言うもんだと思ってた。
だって詐欺師だし。
「でも安心して?愛ちゃんと無事に結婚したら就職して稼ぐから」
私の頭はハテナで埋め尽くされた。
普通、就職してから結婚では?
これって一般的に女性を安心させる話なのだろうか?
涼さん、詐欺師として大丈夫なのか。
「ええっと、求職中ってこと…ですか?」
「うん?別に就職活動はしてないよ。今は愛ちゃんと結婚するための期間だから」
それは、今は私から金を引き出す期間だから他の詐欺はしてないってことか。
勝手なイメージで、結婚詐欺師は医者とか弁護士とか、はたまたIT企業社長やらを名乗るものかと思っていた。
「なるほどー……」
何も分かって無いのに私は頷いて話を終わらせた。
うん、涼さん、良く分からん。
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