上 下
9 / 14
第一章

煩悩

しおりを挟む

ごくん、と飲み込む魔王様の喉元を凝視してしまう。
あまりに色っぽくて、俺のモノが全く萎えない。

「ごっごめんよ、フィガル!こんなこと仕事中に、俺、最近頭がおかしくて…フィガルのこと考えると、ココが、その」

言い訳しようにも、俺のモノがフィガルの色気に当てられて全く萎えないから、恥ずかしくてとりあえず隠そうとする。
が、服に入れるのが難しい。
完全に天井を向いているそれは引っかかってしまう。

「くぅっ、待ってくれ!今、しまうから!」

恥ずかしい!見ないで!
そんなに近くで見ないで!
匂いを嗅がないで!

「もっと舐めたい」

トロンとした瞳で舌舐めずりしながら、そう言う魔王様の顔が壮絶な色気を放っていた。
どくん、と心臓が大きく脈うつ。
そんなことを魔王様にさせられるわけない。
けど、でも、あの厚い唇の気持ちよさを俺は知っている。
ゴクリと唾を飲み込む。

「舐めて…くれるのか?」

こくんと頷くと、魔王様は俺を抱き上げて寝台へと優しく横たわらせた。
俺が無理やり隠そうとしていた前を少し寛げると、無理やり押し込んでいたモノが、勢い良くぷるんと顔を出す。
期待しているように、フィガルに反応してヒクヒク動くのが浅ましくて顔に血が集まる。

「あ、あんまり見ないでくれ…恥ずかしい…フィガルに見られると、それだけでイきそうだ」

本当に至近距離から見られているだけで、先から透明な液がぷくりと溢れてくる。
ふるふると震える先っぽに、ゆっくり近づいてきたフィガルの舌がヌルりと触れる。
それだけで背筋を快感が走る。
こんなこと、魔王様にさせるなんて俺は、なんてことを。
罪悪感までもが興奮を後押ししていく。
ヌメヌメとした感触と少しだけザリザリとする舌。
最高に気持ちいい。
それだけで、頭の中身が、全て魔王様に塗りつぶされる。
魔王様で俺はいっぱいだ。

「んっフィガルっきもち、、いい」

上半身を起こして魔王様の髪に触れる。
少し冷たくてサラサラとした触り心地。
長いその髪を掬い口付けする。 
魔王様の香りに包まれるようで、更に興奮が高まる。さっきイったばかりなのに、もう高みに追い上げられていく。

「ーっんんっ、そこ、きもちいっ、あっ」

魔王様が上目遣いで俺を見ながら、俺に見せつけるように舌で敏感なクビレをグイグイ、レロレロとねぶる。
思わず腰が前後に揺れる。
俺の顔を見ながら再び全てを口に含み、目を合わせながら上下にゆっくりと頭を動かし始める。

じゅるっ、じゅるるっといやらしい水音が部屋に響く。
俺は魔王様から目を離せない。
あの強く美しくかっこいい、色気があって全てが完璧な魔王様が、俺のアレにしゃぶりついて、いやらしい音を立てながら美味しそうに舐め啜っている。
そう思うと、もう今直ぐに爆発しそうになる。
けれど、もっと、このいやらしい魔王様を見ていたくて、もっと舐めていて欲しくて、ぐっとイクのを我慢し、ひたすら堪える。
別のことを考えようとすると、更に強く吸い上げられ、すぐに魔王様に思考も全てを支配される。
もはや抗えない快感に、思考が停止し始め頭に霞がかかったようになってきた。
ダメだ、もう、我慢出来ない。ああ、フィガル、フィガル…

「もぉ、イクっ、フィガル、好きっ、すきいっ!あああっ!」

どくんっと魔王様の美しい口の中へ再び勢い良く吐き出し、俺はそのままパタリと仰向けに倒れる。
気持ちよかった。
魔王様の口は、あまりに気持ちよかった。


「…ドミル?あの、今、なんて?」

俺の出したモノを、ごくん、と飲み込んだ魔王様の声に、ふと気がつく。
ん?何がだろう?
んん?俺、さっき何て言った?…あ!

「ああああっ!!!フィガル!その、さっきのは!えと、その」

「はいはーい、仕事中に何してんですかー」

宰相が扉を開けて部屋に入ってくる。
その視線は、俺たちの様子を見ても特に変わらない。
俺は寝台から起き上がり、慌てて寛げていた服を戻す。

「はーっ、ほんとにナニしてたんですね、全く。どんだけ盛ってんだか。ほら、魔王様戻りますよ」

「待てっ今、ドミルと大切な話がっ!」

「これ以上、仕事しないなら、ドミル殿には従」

「わかった!仕事するから!ドミル、直ぐに終わらせて戻るから、ここで待っていてくれ。さっきの話の続きをしよう」

若干前かがみの魔王様と笑顔が恐い宰相を見送る。

そして、俺は盛大にへこむ。
俺は仕事が全然出来ていない。
仕事中にも関わらず、こんな私情を挟むなんて、ほんとに最低だ。
もう、ここには置かせて貰えないかもしれない。
クビになれば、俺に行く宛てなどない。
どこか、遠くの街へ?いや、この城から一歩出れば、俺は従魔とやらのエサだ。
あいつらと同じ。
俺は、誰もいないのをいいことに膝を抱えてくすんくすんと泣き始めた。
どうしたらいいか、もう分からない。
さっき口走ったのは、本当の俺の気持ちだ。
俺は、ここで毎日魔王様と暮らす内に、仕事に熱心で優しく思いやりのある魔王様のことが好きになっていた。
こんな俺に思われるなんて迷惑だろうが。
相手は、なんたって魔王様なのだから。
身分に差がありすぎる。
しかも、人間と魔族。
叶わぬ恋に深く溜息をつく。

コンコン

扉を叩く音に、思わず返事をしていた。

「はい、どうぞ」

「失礼するにゃ」

入って来たのは、久しぶりに見るフワだった。
俺を見ると、目を輝かせて走りよってくる。

「ドミルーーっ!久しぶりにゃ!どうしてるか気になってたにゃ、元気かにゃ?」

なんだか凄く懐かしい気持ちになる。
懐いてくれるフワに心が癒される。
ふわふわの髪を撫でながら

「ああ、元気だ。フワは仕事中か?」

フワは、嬉しそうに頭を擦り付けながら大きく頷き、両腕に抱えた寝具を見せる。

「魔王様の寝室のシーツを替えるにゃ!これも大切な仕事にゃん」

そう言うフワの言葉に、さっきまでの寝台でのアレコレを思い出してしまい、かあっと頬が熱くなる。
さっきまで、この寝台で俺たちは…

「どうしたにゃ?ドミル、シーツ替えるから早くどいてくれにゃ」

俺が急いで立ち上がると、フワがフンフンと匂いを嗅ぐような仕草をする。

「ドミルから、魔王様の強い魔力を感じるにゃ?しかも、ソコから」

じとっと俺の股間を見る。

「ここで魔王様と、いったいなにしてたにゃ?」

ぐいっと顔を近付けられると、ぐうの音も出ない。
だって本当にナニしてたから。

「いや、その、なんだ、別にこれは…」

逃げたい。

「別に?なんにゃ?」

唇が当たりそうな位に顔を近づけて見上げてくるフワが、久しぶりに見ると前より更にかわいくなっていた。
ほんとに魔族は美しいな。

「フワ、前よりかわいくなったな」

思わず頭をぽんぽんと撫でてしまう。
するとボンッと音がする程に真っ赤になり

「にゃにゃにゃにゃ!だまれにゃ!バカドミルめ、さっさと出てくにゃ!フワのお仕事の邪魔にゃーっ!」

と、尻尾を逆立てて真っ赤になって怒るフワに叩き出された。
俺は気まずくて執務室にも戻れない。
そのまま、自問自答しながら城内をふらふらと歩いていた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】祝福をもたらす聖獣と彼の愛する宝もの

BL
「おまえは私の宝だから」 そう言って前世、まだ幼い少年にお守りの指輪をくれた男がいた。 少年は家庭に恵まれず学校にも馴染めず、男の言葉が唯一の拠り所に。 でもその数年後、少年は母の新しい恋人に殺されてしまう。「宝もの」を守れなかったことを後悔しながら。 前世を思い出したヨアンは魔法名門侯爵家の子でありながら魔法が使えず、「紋なし」と呼ばれ誰からも疎まれていた。 名門家だからこそ劣等感が強かった以前と違い、前世を思い出したヨアンは開き直って周りを黙らせることに。勘当されるなら願ったり。そう思っていたのに告げられた進路は「聖獣の世話役」。 名誉に聞こえて実は入れ替わりの激しい危険な役目、実質の死刑宣告だった。 逃げるつもりだったヨアンは、聖獣の正体が前世で「宝」と言ってくれた男だと知る。 「本日からお世話役を…」 「祝福を拒絶した者が?」 男はヨアンを覚えていない。当然だ、前世とは姿が違うし自分は彼の宝を守れなかった。 失望するのはお門違い。今世こそは彼の役に立とう。 ☆神の子である聖獣×聖獣の祝福が受け取れない騎士 ☆R18はタイトルに※をつけます

生贄として捧げられたら人外にぐちゃぐちゃにされた

キルキ
BL
生贄になった主人公が、正体不明の何かにめちゃくちゃにされ挙げ句、いっぱい愛してもらう話。こんなタイトルですがハピエンです。 人外✕人間 ♡喘ぎな分、いつもより過激です。 以下注意 ♡喘ぎ/淫語/直腸責め/快楽墜ち/輪姦/異種姦/複数プレイ/フェラ/二輪挿し/無理矢理要素あり 2024/01/31追記  本作品はキルキのオリジナル小説です。

親友と同時に死んで異世界転生したけど立場が違いすぎてお嫁さんにされちゃった話

gina
BL
親友と同時に死んで異世界転生したけど、 立場が違いすぎてお嫁さんにされちゃった話です。 タイトルそのままですみません。

【完結】ハードな甘とろ調教でイチャラブ洗脳されたいから悪役貴族にはなりたくないが勇者と戦おうと思う

R-13
BL
甘S令息×流され貴族が織りなす 結構ハードなラブコメディ&痛快逆転劇 2度目の人生、異世界転生。 そこは生前自分が読んでいた物語の世界。 しかし自分の配役は悪役令息で? それでもめげずに真面目に生きて35歳。 せっかく民に慕われる立派な伯爵になったのに。 気付けば自分が侯爵家三男を監禁して洗脳していると思われかねない状況に! このままじゃ物語通りになってしまう! 早くこいつを家に帰さないと! しかし彼は帰るどころか屋敷に居着いてしまって。 「シャルル様は僕に虐められることだけ考えてたら良いんだよ?」 帰るどころか毎晩毎晩誘惑してくる三男。 エロ耐性が無さ過ぎて断るどころかどハマりする伯爵。 逆に毎日甘々に調教されてどんどん大好き洗脳されていく。 このままじゃ真面目に生きているのに、悪役貴族として討伐される運命が待っているが、大好きな三男は渡せないから仕方なく勇者と戦おうと思う。 これはそんな流され系主人公が運命と戦う物語。 「アルフィ、ずっとここに居てくれ」 「うん!そんなこと言ってくれると凄く嬉しいけど、出来たら2人きりで言って欲しかったし酒の勢いで言われるのも癪だしそもそも急だし昨日までと言ってること真逆だしそもそもなんでちょっと泣きそうなのかわかんないし手握ってなくても逃げないしてかもう泣いてるし怖いんだけど大丈夫?」 媚薬、緊縛、露出、催眠、時間停止などなど。 徐々に怪しげな薬や、秘密な魔道具、エロいことに特化した魔法なども出てきます。基本的に激しく痛みを伴うプレイはなく、快楽系の甘やかし調教や、羞恥系のプレイがメインです。 全8章128話、11月27日に完結します。 なおエロ描写がある話には♡を付けています。 ※ややハードな内容のプレイもございます。誤って見てしまった方は、すぐに1〜2杯の牛乳または水、あるいは生卵を飲んで、かかりつけ医にご相談する前に落ち着いて下さい。 感想やご指摘、叱咤激励、有給休暇等貰えると嬉しいです!ノシ

普通に学園生活してるだけなのにヤンデレイケメンに執着されてます

カナト
BL
俺はとある学園でごく普通の学生をしている 海崎奏。 ふつーに過ごしてふつーに生きていたはずが、執着心、異常な愛を向けてくる西塔零と出会って何年も執着されてしまった。 そんな海崎奏、西塔零が中学生から大学生になるまでの話。 ※R18の話には#つけてます。 忙しく更新できていなかったのですが、これから更新していきます。(追記 2023/2/25)

R18、最初から終わってるオレとヤンデレ兄弟

あおい夜
BL
注意! エロです! 男同士のエロです! 主人公は『一応』転生者ですが、ヤバい時に記憶を思い出します。 容赦なく、エロです。 何故か完結してからもお気に入り登録してくれてる人が沢山いたので番外編も作りました。 良かったら読んで下さい。

王子!今日こそ貴方様から逃げさせていただきます!

krm
BL
ランヴェルセ王子の幼馴染であり世話係でもある僕、ルセットには悩みがある。 それは、王子が僕のことを好き過ぎるということ。僕はただの従者なのに、彼はまるで恋人に接するかのように接してくるのだ。度が過ぎるスキンシップに耐えられなくなった僕は――。 俺様王子×天然従者のすれ違いラブコメディ!ハッピーエンドです。 *はR18です。 ムーンライトノベルズにも投稿しています。

第二王子の僕は総受けってやつらしい

もずく
BL
ファンタジーな世界で第二王子が総受けな話。 ボーイズラブ BL 趣味詰め込みました。 苦手な方はブラウザバックでお願いします。

処理中です...