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第一章
そりゃ起きる
しおりを挟むいやいや…起きるに決まってるでしょ。
あんなにされたら。
俺は、バスローブで先をスリスリされてる時点で起きていた。
しかし、恥ずかしくて目を開けられなかった。
朝の自然現象とも言い出せず、されるがままになっていた。
でも、まさか、あんなことまでされるとは。
いや、してくれるとは。
俺のモノにしゃぶりついている魔王様を、薄く目を開けて見ていた。
その姿があまりにいやらしくて、腰が揺れるのを我慢するのが辛かった。
声も我慢して動くのも我慢していたが、とうとう限界がきた。
まさか、まさか…魔王様の口に出してしまうとは。
処刑されてもおかしく無いのでは?
しかも、寝たふりをしていて、未だに謝ることすら出来ていない。
後悔先に立たずとは、まさにこのことか。
俺のバカ!いや、俺の下半身のバカ!
我慢しろよ!だが…久しぶりに与えられた快感は、ほんっとに気持ち良かった─────
思わずぼーっとして、頭の中で魔王様の姿を反芻してしまう自分の頬を叩く。
ダメだ、煩悩を追い出さなくては。
俺は、着替えるとすぐに激しいトレーニングを始めた。
忘れろ、忘れろ、と自分に繰り返し言い聞かせながら。
「ドミル殿」
宰相が部屋の扉を開いて声をかけてきた。
「魔王様と朝食を共になさって下さい。そこの扉からどうぞ」
俺は、無性に緊張した。
ドキドキと鼓動がとんでもない速さを刻んでいる。
光を超えたかもしれない。
「し、失礼しますっ」
扉を軽く叩いてから、部屋へ入る。
テーブルには魔王様と、豪華な朝食。
なるべく魔王様の方を見ないようにしながら席につく。
魔王様も、一言も話さない。
ひたすら、お互いに俯きながら、もくもくと食べる。
宰相が横に立ち、二人分のお茶を煎れてくれている。
「どうされました?お2人とも。もしや、昨日の今日で、お2人の間に何かありました?」
ピシリと空気が固まる。
俺も固まって何も返せない。
宰相は、にやりと笑った気がした。
「おやおや、案外、2人とも展開が早いというか、会ったその日にそこまでいくとは、予想外でした。想いが叶って良かったですねぇ、魔王様」
そう言われると魔王様は全身が真っ赤に染まっている。
「ち、ちが、そういうんじゃ、なくて、え、あの、ドミル、ちがうんだ…」
俺も、真っ赤になっているんだろう。
フォークを持つ手が震えて、さっきから食べられない。
それに…宰相からの冷やかしに焦る魔王様が、かわいくて守りたくなる。
ただの人間の俺が魔王様を助けたいなんて、おこがましいだろうか。
「昨夜は…フィガルと添い寝したんだ。それだけだよ」
そう宰相に言うと、ふぅん、と気の無い返事が返ってきた。
「まあ、魔王様なら、その程度でしょうね。どうぞ、これから頑張って下さい。ああ、ドミルは普通にしていて良いですよ。無理しなくていいです」
何となく興醒めしたような宰相はさておき、魔王様と視線が合うと、お互い頬を染めて俯いていた。
恥ずか死ぬ…
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
あれから半年が過ぎた。
最近の俺の主な仕事は、魔王様の執務室に居ること。
体調は、最初ほどは崩さなくなってきたから少し安心している。
机に向かう魔王様の隣にちょこんと椅子を置かれて、そこに座って魔王様を隣から眺める。
そして、魔王様が疲れて休憩する時には、褒めたり、やる気を出させたりするのが宰相から依頼された俺の主な仕事だ。
いいんだろうか、こんな楽な仕事で。
ポイントは、親しげに、笑顔で優しく、時にはインキュバスのように?うん、よくわからないが、俺が出来る仕事はこれだけだから頑張ろう。
これは仕事であり、俺がここに居られる唯一の理由なのだから。
しかし…
「そ、その、ドミル?あんまり、見つめないでくれないか?き、緊張して、手が…」
思わず、超至近距離で見つめてしまっていた。
振り向けば唇が当たるくらいの距離で。
魔王様が今日もかっこよ過ぎて、ついつい俺は見蕩れてしまうんだ。
「ご、ごめん、フィガル!その、あまりにも、かっこよくて…つい」
魔王様の顔が、みるみる真っ赤に染まる。
それを見た俺も一緒に真っ赤になってしまう。
熱い!この部屋がいつも異常に熱いんだ!
互いに息も上がってくる。
「はいはい、そこまで。魔王様、手が止まってまーす」
宰相は、いつも上手く遮って俺たちが変な空気にならないように気を使ってくれている。
申し訳ない。
パタパタと手で顔を仰ぎながら、また魔王様を盗み見る。
真剣な表情で書類に見入る魔王様。
やっぱり、とてつもなくかっこいい。
ふと、視線が合う。
お互いに、パッと視線を逸らす。
けれど、どうしても気になって、また視線が合ってしまう。
宰相の深い溜息が部屋の温度を下げる。
「はい、もう食事にしましょうか、進まないので。午後は部屋に戻って下さい、ドミル。魔王様の仕事が進まなくなりますので」
宰相が再び間に入って、昼食となった。
俺と魔王様は、食事を常に一緒に食べる。
魔王様は食べ方も綺麗で、しかも、とにかく全てが色気の塊なんだ。
食べる仕草も、髪を搔き上げる姿も。
今日のように、よく魔王城の食事には腸詰めが出てくるが、それを咥えた時の魔王様の顔なんか、もう直視出来ない。
バナナもよく出てくるが、こちらも思わず股間を抑えてしまう。
俺は何を考えているんだ、と恥ずかしい。
俺は煩悩の塊なのかもしれない。
そう言えば、あの朝から約半年。
あんなことは起きていないし、勿論一度も抜いてない。
さすがに俺も限界が近い。
そろそろ対処しておかなくては、暴発したら大変だ。
「それでは、午後の分を始めましょう」
宰相の声で午後が始まるが…
俺は、腸詰めを食べる魔王様を見てから、ちっともおさまらないでいた。
一度反応してしまったソコは、完全に勃ち上がってしまったのだ。
やっぱり、ずっと抜いてなかったから…後悔しても遅い。
ソワソワしながら、魔王様の隣の椅子に腰掛けて、ソコを隠して過ごす。
「はあ、暑いな」
魔王様が、ローブを脱いだ。
その下は白いシャツだった。
薄手だが上質で、とても似合っている。
けれど、そのシャツの胸元は大きく開いていて、角度によっては胸の飾りが隙間からバッチリ見えてしまうのだ。
俺は、意識を別の方向へ向かわせようと過去の辛いことなどを思い出そうとしていた。
が、なかなか上手くいかない。
チラチラと目の端に写る薄い色合いの飾り。
どうしても、頭の中に浮かぶのが魔王様のことばかりなのだ。
「フィガル、その、ちょっと用足しに」
「あ、ああ、分かった」
若干前かがみになりながら、部屋を出る。
執務室から1番近いトイレは…魔王様の部屋だ。
「…っふっ、んっ、はっ」
くちくちという濡れた音と共に、僅かな声を我慢出来ない。
脳裏に蘇るのは、魔王様の肌や胸の飾り、そしてかっこよ過ぎる横顔と唇。
魔王様の部屋に入ると、トイレに入ることもせず、すぐに床で下半身をまさぐり、硬くなったモノを引きずり出す。
魔王様の香りが充満する部屋での背徳感。
そこからは、もう手が止まらない。
妄想の中で、あの朝のようにフィガルの唇に俺の欲望の塊を押し入れる。
「はっあっ、フィ、ガル、いいっ、フィガルっああっフィガルーっ」
上下に扱くスピードを上げてじゅちゅじゅちゅと音が激しくなり始めた時
「ドミル?呼んだ?」
扉の方を向いてイタしていた俺の正面に、あの魔王様が扉を開けて入って来た。
魔王様の視線が俺の顔から、ゆっくりと下へ降り、俺の欲望の塊を目にする。
そこはもう見るも無惨なぐちゃぐちゃ具合いになっている。
魔王様の美しい瞳が、皿のように開いて明らかに動揺している。
「ーっ、そのっすまない、ドミルに名前を呼ばれた気がして、慌てて転移してきてしまったんだ、が、その、違ったようで、我は、あの…」
俺の頭の中はパニックになり、何よりも出したい欲望が強くなり過ぎていた。
目の前に魔王様がいて、すぐに止めなきゃいけないのに、止まれない。
あの口の柔らかさを感じたい。
もうイきたい、出したい!
「フィガルっ、もぉ、出る、からっ」
頭の中のフィガルに向けて、更に加速する。
もう少し、あと少しーーーっ
「─────っ」
魔王様が赤くなりながら、俺のモノを見ている。
いつの間にか、目と鼻の先まで近付いて匂いを嗅いでいる。
恥ずかしいのと、息がかかる快感で、さらに追い上げられていく。
「ああっフィガルっ、見ちゃ、フィガルっ、も、イクからっ、出ちゃ、うっ」
パクっ
俺の泡立って、ぐちゃぐちゃな先っぽを、パクリと魔王様が食べて舌でねぶった。
ゾクゾクと込み上げる快感で、俺はその直後に魔王様の口の中へと放っていた。
「んっーーーっあっうあっーーっ」
最高に気持ち良かった。
が、全身の血が下がった。
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