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謝罪と反省
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「皆様、お足元の悪い中、お集まり頂き、誠にありがとうございます。昨日は、混乱しておりまして、あのような態度を取ってしまったこと……誠に申し訳ありませんでした!!!」
僕が頭を下げると、一段下から、むせび泣く声が聞こえた。
そう、今日も僕は謝罪なのに、何故か一段高いところから皆を見下ろしている。
トリウスさんに、下に行きたいと言ったけど、それは絶対ダメだと断られた。
「あの、あの……本当にすみませんでした……てっきり、夢だと思って、あんな酷い態度を……」
「ーーっ!!とんでもございませんっっ!!」
一番前でむせび泣いていた男の人が、ガクリと泣き崩れながら叫び始めた。
それと共に、他の人たちも、次々と同じように叫び始める。
「我々にっ!頭を下げるなどっ………なんとお優しいっ!!!」
「どうか、そのように謝らないで下さいっ!!我らの愛し子様っ!!!」
「オゥモォリィ様ーーっっ!!!!」
「あなた様のためなら、命を捧げますっ!!!」
「「「ウォーーーっ!!!!」」」
「え、あの……いや……」
野太い。
謝罪会見を開いてもらっておきながら何だけど、洞窟に響く声が、とにかく野太い。
とりあえず、僕の謝罪は受け入れてもらえたようで、一安心して頭を挙げる。
泣いたり叫んだり、賑やかな人達だな。
命捧げるとか、ちょっと意味が分からないけど。怒られたり嫌われたりしなくって良かったな、と一息つく。だって、この世界で生きて行くみたいだから、僕は。
「オゥモォリィ様、皆のため、このような御言葉を頂きましたこと、心より御礼申し上げます。ゴホン、静粛に!!オゥモォリィ様がお困りだ!!」
流石はトリウスさん。全員が、一気に水を打ったように静かになった。静寂~
「では、オゥモォリィ様、お部屋でお休みになられますか?何かご希望がございましたら、なんなりと」
「えっと……じゃあ、その……村を?見てみたいかなーっと…ダメですか?」
チラ、とトリウスさんを見遣ると、トリウスさんが胸を抑えて倒れていた。
「トリウスさんっ?!!」
僕は慌てて高いところから飛び降りて、トリウスさんの元に駆け付けた。
心臓が悪いのかもしれない!!
「トリウスさん!!大丈夫ですか!!!」
肩を揺すって大きな声で生死の確認をすると、トリウスさんは目を大きく見開いて、そのまま白目になった。口からは泡を吹いていた。
「と、トリウスさーーーーーんんんんんっっっ!!!!!」
僕はトリウスさんを抱えて大声で叫んだ。
せっかく、少しだけ仲良くなれたのに!!
これからお世話になるはずだったのに!!
こんな、こんな………
「愛し子様の腕の中で死ねたら最高」
「ん?」
今、トリウスさんが喋ったような?
いや、気の所為か。
「柔らかな感触、これが天国か」
「は?」
いや、やっぱりトリウスさんが喋った。
白目のままで、喋ってる。
口の端から泡垂らしながら喋ってる。
こわい。
僕は思わず抱きかかえていたトリウスさんから、ズザッと離れた。
トリウスさんは、思い切り後頭部を床に打ちつけていたが、笑っていた。
そして、ゆっくりと、トリウスさんは立ち上がった。泡が、まだ口の端から流れてるけど。
完全に立ち上がると背が高いから、ものすごく見上げる。首痛い。
と思ったら、優雅に床に跪いた。僕の前に。
「申し訳ありません……オゥモォリィ様の麗しさに、つい我を忘れてしまいました。今後、このようなことは致しませんので、どうかお許し下さい」
まるで、どこかお伽噺のプリンセスにでもなったような錯覚に襲われた。それくらい、胸がときめいた。
イケオジのトリウスさんに。
「は、はひ……大丈夫です……」
「お許し頂けて幸いです。誠にオゥモォリィ様はお優しいですな」
ニッコリと微笑むトリウスさんに、僕は頷くことしか出来なかった。
ほんの少し恐かったことは内緒だ。
僕が頭を下げると、一段下から、むせび泣く声が聞こえた。
そう、今日も僕は謝罪なのに、何故か一段高いところから皆を見下ろしている。
トリウスさんに、下に行きたいと言ったけど、それは絶対ダメだと断られた。
「あの、あの……本当にすみませんでした……てっきり、夢だと思って、あんな酷い態度を……」
「ーーっ!!とんでもございませんっっ!!」
一番前でむせび泣いていた男の人が、ガクリと泣き崩れながら叫び始めた。
それと共に、他の人たちも、次々と同じように叫び始める。
「我々にっ!頭を下げるなどっ………なんとお優しいっ!!!」
「どうか、そのように謝らないで下さいっ!!我らの愛し子様っ!!!」
「オゥモォリィ様ーーっっ!!!!」
「あなた様のためなら、命を捧げますっ!!!」
「「「ウォーーーっ!!!!」」」
「え、あの……いや……」
野太い。
謝罪会見を開いてもらっておきながら何だけど、洞窟に響く声が、とにかく野太い。
とりあえず、僕の謝罪は受け入れてもらえたようで、一安心して頭を挙げる。
泣いたり叫んだり、賑やかな人達だな。
命捧げるとか、ちょっと意味が分からないけど。怒られたり嫌われたりしなくって良かったな、と一息つく。だって、この世界で生きて行くみたいだから、僕は。
「オゥモォリィ様、皆のため、このような御言葉を頂きましたこと、心より御礼申し上げます。ゴホン、静粛に!!オゥモォリィ様がお困りだ!!」
流石はトリウスさん。全員が、一気に水を打ったように静かになった。静寂~
「では、オゥモォリィ様、お部屋でお休みになられますか?何かご希望がございましたら、なんなりと」
「えっと……じゃあ、その……村を?見てみたいかなーっと…ダメですか?」
チラ、とトリウスさんを見遣ると、トリウスさんが胸を抑えて倒れていた。
「トリウスさんっ?!!」
僕は慌てて高いところから飛び降りて、トリウスさんの元に駆け付けた。
心臓が悪いのかもしれない!!
「トリウスさん!!大丈夫ですか!!!」
肩を揺すって大きな声で生死の確認をすると、トリウスさんは目を大きく見開いて、そのまま白目になった。口からは泡を吹いていた。
「と、トリウスさーーーーーんんんんんっっっ!!!!!」
僕はトリウスさんを抱えて大声で叫んだ。
せっかく、少しだけ仲良くなれたのに!!
これからお世話になるはずだったのに!!
こんな、こんな………
「愛し子様の腕の中で死ねたら最高」
「ん?」
今、トリウスさんが喋ったような?
いや、気の所為か。
「柔らかな感触、これが天国か」
「は?」
いや、やっぱりトリウスさんが喋った。
白目のままで、喋ってる。
口の端から泡垂らしながら喋ってる。
こわい。
僕は思わず抱きかかえていたトリウスさんから、ズザッと離れた。
トリウスさんは、思い切り後頭部を床に打ちつけていたが、笑っていた。
そして、ゆっくりと、トリウスさんは立ち上がった。泡が、まだ口の端から流れてるけど。
完全に立ち上がると背が高いから、ものすごく見上げる。首痛い。
と思ったら、優雅に床に跪いた。僕の前に。
「申し訳ありません……オゥモォリィ様の麗しさに、つい我を忘れてしまいました。今後、このようなことは致しませんので、どうかお許し下さい」
まるで、どこかお伽噺のプリンセスにでもなったような錯覚に襲われた。それくらい、胸がときめいた。
イケオジのトリウスさんに。
「は、はひ……大丈夫です……」
「お許し頂けて幸いです。誠にオゥモォリィ様はお優しいですな」
ニッコリと微笑むトリウスさんに、僕は頷くことしか出来なかった。
ほんの少し恐かったことは内緒だ。
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