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何度も
しおりを挟む「ああんっ、ディー、もっとぉっ」
「ザアルっ、くっ、出るっ、ああっ!」
何度目か分からない程にザアルのナカへ精液を吐き出した。
ザアルの腹はぽっこりと膨らんでいる。
「はぁ、はぁ…もう、これ以上は溢れて……」
「ふふ、そろそろいいかな♡」
俺が陰茎をずるりと抜くと、どこから取り出したのか、コルクのような物を尻にあてがい、満杯まで俺の精液を入れたまま、そこに栓をした。
「なんだそれ?そんなことして大丈夫なのか?」
「沢山、出してくれたのに、勿体ないでしょ?ね、キスして?」
両手を大きく開いて俺を誘うザアルに、触手に襲われた治療のはずだったのに、俺は覆いかぶさってキスをした。
俺の舌が舐られ、吸い付くされる頭がぼんやりとするほどの激しいキス。
本当にぼんやりとして、力が抜けていく。
何もかもが、初めての経験過ぎて、頭がパンクしている。
ふと、誰かの気配がした。
「待ち侘びたぞ、ザアル」
「ぷはっ、ちょっとだけ、待っててくれる?ディー」
急に周りに人の気配を感じて、俺はガバッとザアルから身体を離す。
そこには、ザアルと良く似た、けれどかなり年を取ったダークエルフ達がいた。
「????」
ここは、どこだ。
あの森じゃない。
いつの間にか、俺達は、どこか知らない室内にいた。
「ふふっ、ここは僕の故郷、ダークエルフの森だよ」
「なんっ、ええ?」
頭がパンク状態から、更に追い打ちをかけられ、もはや言葉が見つからない。
とりあえず、ボロンしてたモノはしまおう。
「族長、ただいま帰還致しました」
「ご苦労であった。見つけたのだな」
「はい。早速、神樹に捧げる儀式を致します」
周りのダークエルフ達が頷いている。
ザアルは、全裸なのに堂々と挨拶してる。
なんだこれ、どういうことだ。
「そちらの部屋で、滞りなく済ませよ。案ずるな。族長として、こちらの者と話をしておこう」
「僕の大切な者です。重々ご承知の上」
「ふっ、相分かった」
族長とか呼ばれる一番偉い感じのダークエルフが、笑った。
みんな似てるからだけど、笑うとザアルに似てる。
思わず、マジマジと見詰めて目が合う。
「わしは、族長のサリカ。そなたの名は?」
「……俺は、ディー…です」
緊張して、何が何だか分からなくて、部屋から出て行ってしまったザアルに早く戻って来て欲しくて堪らない。
不安だ。緊張する。ザアル、なんで置いて行くんだよ。
「そんなに緊張しなくて良い。これから家族となるのだから」
「家族?えーっと、どういうことなんでしょうか?俺には、さっぱり」
族長さんが、ふふふ、と更に笑う。
「ザアルめ、何も説明せずに連れて来たのか。まあ、アイツらしいな。とりあえず、これも何かの縁と思って。酒は好きかな?」
気付いたら、目の前に木の椀に入った白い酒が置かれていた。え、いつ置いたの?
更には、初めて見る酒に思わず不安が過る。
「我らダークエルフ伝統の酒だ。美味いぞ」
周りは全員ダークエルフ。
どんなに年を取っていても、俺が勝てる見込みなんて存在しない。
これを飲まないと殺されるとかもあるのかな。
郷に入れば郷に従え、だ!!
ええい、男は度胸!!
「……いただきます」
恐る恐る酒を口に含む。
甘い。
コクがあって、飲みやすい。
美味い!美味いぞ!
ごくごくと、そのまま一気に煽る。
「美味いです!ご馳走さまです!」
全て飲み切って思わず笑顔になると、族長がポカンとしてから、破顔した。
「はははっ!これは最高の伴侶を見つけて来たな、ザアルめ。もう少し飲みながら話そう」
また目の前に酒が置かれた。
誰が置いてるのかすら、全く見えない。
流石、ダークエルフ!!
良く解らないけど格好いい!!
「ありがとうございます!いただきます!」
「ふはは、ディーは良いな。気に入った。我らはディーを歓迎する」
周りのダークエルフも笑顔になって、俺の緊張も段々とほぐれて来た。
なんだ、みんな、良い人じゃん!
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「それでだな、ダークエルフとは……聞いておるか?」
「はぁい、聞いてましゅう~。神樹から産まれるんでしょう?不思議らねぇ~」
俺は、完全に酔っ払った。
フラフラする頭で、ようやく族長の話に相づちを打つ。酒も床に溢れている。
「その為には、伴侶を探して来なければならないのだ。ダークエルフ同士では神樹は子を成さない」
「そぉなんらぁ、大変らねぇ~、ひっく」
「どれだけ酔ったんだ、ディー」
いつの間にか、ザアルが俺の隣にいた。
視界が、ぼやけて良く見えないけど、間違いなくザアルだ。
「ん~?ザアル?もう、寂しかったぞ~?一人で置いていくんらもん」
こてん、とザアルの膝に頭を乗せて横になる。
もう眠い。
このまま寝てしまいたい。
「ふふっ、かわいいな、ディーは。もう一人になどしないから安心して」
「ほんとぉ?俺、寂しいの嫌なの~。一人は、キライら。ずっと一緒にいてくれるぅ?」
「ああ、約束しよう。一生、離れない」
「嬉しい♡大好き、ザアル……スゥ」
そのまま、俺の意識は途切れた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「飲ませ過ぎですよ、族長」
ギラ、と僕が睨むと族長はビクリと肩を震わせた。
実の親子だろうが、ここは譲れない。
「悪い。あまりに美味そうに飲むから、調子に乗った。それよりも、何も説明せずに連れて来るお前の方こそ」
「これから、ゆっくり教えるから良いのです。のんびりしていたら、他の奴らに取られる可能性があった。あの街の者の多くが、ディーを狙っていたのです」
僕はもう、笑っていない。
僕の笑顔はディーのために存在する。
「それよりも、儀式は滞りなく済みました」
「それは良い。では、神樹へ」
族長の後ろの壁に見えるのが巨大な神樹のごく一部だ。この建物は、神樹に括り付けられている。
神樹を背の壁として族長が座していた。
その神樹の壁には、僕の頭が入る程の穴が空いている。
僕は用意してきた水瓶を神樹の元へ運ぶ。
満杯の水瓶から、白濁をその穴へと注ぐ。
白濁、つまりは、僕のお腹に注がれていたディーの精液だ。
全て水瓶へ出し切り、今の僕の腹筋は元通りスマートに割れている。
これが大切な儀式。
「うむ、良いな。濃さも量も申し分ない」
横から族長が覗いて頷く。
イライラとして、族長を肘で小突く。
「見ないで下さい。僕の伴侶のものを見て良いのは僕だけです」
思い切り歯を剝いて威圧すると、族長が仰け反って笑う。
「まったく、お前ときたら……伴侶になってくれたディーには感謝しかないな。お前を受け止めてくれる者など、そうは居まい」
「ふん、何を言うんですか!僕と伴侶になれるなんて、世界一の幸せでしょう。ディーを世界一幸せにするんですよ、この僕が」
もう、それ以上は族長は何も言わず、後ろへ下がった。
老いぼれは、黙って見ていればいいんだ。
水瓶の中身を全て注ぎ終えると、枯れかけていた神樹の樹皮が目に見えて潤い始める。
「おぉ、素晴らしい!」
「神樹が喜んでおる!」
周りの年寄り共が、大喜びで騒いでいる。
僕のディーが起きるだろうに、この馬鹿者共が。
「花だ…花が咲いたぞ!」
族長さえも大声を出して立ち上がる。
なんだ、腰が痛いんじゃなかったのか。
散々、腰が痛いの膝が痛いのと、僕をこき使った癖に。
「なんと……!実が、実がなったぞ?!」
みるみるうちに枝に花が咲き、丸く大きな実がなった。
それは、甘く芳醇な香りを室内に充満させる。
「なんと、素晴らしい!!ザアルよ、良くやった!ディーは、我らの救世主だ!!これ程とは、なんたる逸材!!」
全員で喝采を挙げている。
そう、全員。
ここにいるダークエルフが、この一族の全員だ。
たった20名程にまで数の減ったダークエルフが、手に手を取り合って歓喜しているから、流石に僕も怒れない。
「ふん、当たり前です。これ程の恩恵があるのだから、僕達の邪魔は決してしないで下さい。僕らは、これから蜜月に入るので」
「勿論だ!全員で全力で応援しよう!」
「そうだ!ザアル!ディー!バンザイ!!」
ワーワーと大騒ぎでうるさいが、ディーはぐっすり寝ていて、起こそうとしても起きない。
もう良いか、とお祭り騒ぎを放っておく。
「ディー、みんなが認めたよ?君を」
ごろんと寝ていたディーを横抱きにして硬い頬に頬擦りする。
大きな筋肉が自慢の戦士、ディー。
なんてかわいいんだ、僕の伴侶は。
「それで?族長、僕らの新居は?」
「50年前から用意してある。案内しよう」
早速、神樹の実を切り分けて食べていた族長が、いそいそ歩き出す。
あんなに痛いと騒いでいた腰は良くなったらしい。
他の動けないと言っていた者達も喜び踊っているから、どこまでが神樹の実の効果なのか、もはや良く分からない。
「ここだ。立派だろう」
そこは、ダークエルフの森の中央に鎮座する神樹の、これまた中央に陣取る大きな家だった。
巨大な神樹の縦にも横にも丁度、中央だから、地面までは相当な距離がある。
他の家からも離れているから声も届かないだろう。
「確かに、一番の立地だ。ここなら、ディーは簡単には降りられない。脆弱な人間は外に出たら危険だからね」
「そうだろう。絶対に出してはならない。大切な伴侶は失えば二度と戻らない」
親子で静かに過去を憂える。
族長の伴侶もまた、人間だったのだ。
そして、僕を成した直後に、彼を失った。
族長達が狩りに出掛けた隙を狙って襲って来た人間に討たれたのだ。他にも伴侶がいたが、皆、殺された。
人質にしようとしたのだろうが、抵抗した為に殺されたらしい。
襲って来た人間は殺しても、伴侶は二度と戻らない。僕たちダークエルフは、生涯たった一人の伴侶しか得られない。
結果、僕以外に子供は神樹に成らなかった。
「分かってるさ。僕の青年期が終わるまでは、当分、この家に籠もるから、ちゃんと世話してよ」
「当然だ。神樹の実のおかげで我らの身体も若返る。これからは、バリバリ働いて盛り立てて行くぞ。ザアルは沢山、子を成せ。どうか……どうか我ら一族を増やしてくれ」
「ふん、言われなくても、この森を埋め尽くす位に子を成すつもりだよ。ディーは僕が居ないと泣いて寂しがる位に僕にべた惚れだからね」
「……どうだかな、逆に見えるが」
シャーッ!と毛を逆立てて威圧する。
嬉しそうに笑って族長は帰って行った。
「まったく、これだから老いぼれは嫌なんだ」
ブツブツ文句を言いながら家へ入ると、そこは綺麗に掃除されていた。
50年、毎日、毎日、あの老いぼれ達が僕らの帰還を待ち侘びて掃除していたのだろう。
そんな柄にも無いことを考え、ぎゅう、とディーを抱き締める。
泣いてなんていないし、この僕が泣くはずない。
「僕としたことが、ホームシックにでもなっていたのかな?……そんなはずないよ、この僕が」
「ん~?ザアル?どしたの?悲しいの?」
薄っすらと目を開けたディーが、僕の顔を覗き込んで僕の目元に指先を伸ばし、拭う。
泣いてなんていないのに、まだ酔って紅い顔のディーに胸が締め付けられる。
「ううん……悲しくなんて無いよ。僕は嬉しいんだ」
「そう?良かった…ザアルが嬉しいなら、俺も嬉しい……」
それだけ言うと、ディーは再びスヤスヤと寝入った。
胸が張り裂けそうにドクンドクン、と音を立てる。
苦しい、嬉しい、温かい、もっと欲しい。
「ディー、好きだよ。君が好き」
寝室に用意されていた、温かな羽毛を沢山重ねた寝床にディーと共に横たわり、二人で微睡んだ。
こんなに胸が満ち足りたことなど、これまで無かった。
伴侶とは、かくも温かいものなのか。
僕は、世界一の幸せを手に入れた。
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