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番外編
ノーマルですけど何か
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「えーー………っと、つまり?どういうことですか?」
「だから、尊はあっちの世界に転移させられて、悪い魔法使いに騙されて軟禁されていたんだ。俺は何度も助けようとしたが、クソ魔法使いの罠に嵌って、こっちの世界…地球?に飛ばされたんだ。あのクソ魔法使い、尊と神にまでなって、永遠に尊を縛り付けやがって……」
「はぁ……」
妄想?病気?この人、大丈夫?通報…は出来ないな。この家に電話は無いもんな。周りの森がどれくらい広いか分からないし、近くに民家があるとも限らない。困ったなぁ。
「その時に地球の神と約束したんだ。こっちの世界に居る尊と二人きりで暮らせるようにって。必要な物は全て神が用意するから、ぜひそうしてくれって神が頼んだんだ。ほら、尊はかわいいから他の人間がいると危ないだろ?また変な奴に捕まったら大変だ」
この人以上に変な奴に会ったことが無いんだけど。信じた方が良いの?これ。え、逃げられる?でも、僕、足遅いからな…筋肉には負けそう。
「だから、尊は死んで無い。これから、この箱庭で俺と二人きりで、ずっと暮らすんだ。絶対幸せにするから……愛してる」
タルクさんの目はギラギラだし、僕の目は死んでるんじゃないだろうか。
「……あの、一つ、良いですか?」
「何個でも良いに決まってるじゃないか!何でも言って欲しい。俺達に、もう障壁なんて無いんだから」
「………僕、女の子が好きなんですけど」
「…………ん??ん???」
「さっき、話しましたよね?僕は、女の子と話がしたくてアルバイト頑張ったって。僕が好きなのは、女の子です」
タルクさんの目が驚愕で見開いて、顎が外れそうにカクーンと開いて喉の奥が見える。歯並び綺麗だね。
「な?そんな、バカな………」
「バカなって言われても…僕、ノーマルですって」
タルクさんが、何やらブツブツと呟き始めた。そのまま、リビングをグルグルと回り始めた。猫は、僕の腕の中から、不審者を見る目で眺めている。僕も同じ目だ。
あー、どうしよ。妄想癖がある人と二人暮らしとかって、キツいよな。とりあえず、明日の朝になったら、ココから出て森を通って外に出よう。僕が生きてるというのが本当なら、歩き続ければ、家や人かを見つけられるかもしれない。
僕をじっと見上げる猫の目を見ていると、大丈夫な気がしてきた。
「えーっと、じゃあ、僕、寝ます…ね」
一応、グルグル回り続けるタルクさんに声は掛けておいた。聞こえてるかは知らないけど。
気付けば外はすっかり暗くなっていた。
どんな仕組みか知らないが、部屋の隅に柔らかい灯りが幾つも灯っているお陰で部屋は暖かい明るさになっている。
ほんと、ファンタジー&ファンシーな家。
「あぁ、分かっ…………ね?!ね、ね、寝る?!」
「あ、はい。え、だめですか?」
「だ、だ、だめじゃ、ないけど、その……良い、のか?」
「え、良いんじゃないですか?何か問題でも?」
「た、確かに、ここには大魔王もいない……二人きり……男は好きじゃないけど、でも、そうだよな、うん、良いんだよな!!」
ガブリ
「っっっっっぎいやあああああーーーー!!!????」
「あ」
猫って噛み付くんだ。
しかも、股間に。ぷらーん、と猫はソコに噛み付いたまま、ぶら下がっている。痛そう。流石に可哀想。
「はなっ!はなせっ!!ひぃ!!死ぬぅ!!」
「あー、ほらほら、そんなモノ噛んだらダメだよー。こっちおいで~」
僕が声を掛けると、パッとソコから離れてアクロバティックな横ひねりを華麗に披露して僕の懐に飛び込んで来た。
最後、蹴り上げられて更に悲鳴が上がった気がしたけど。
悶絶するタルクさんを横目に、僕と猫は奥の寝室で仲良く眠った。
これまた、お姫様が寝るような天蓋付き豪華キングサイズベッドで。
「だから、尊はあっちの世界に転移させられて、悪い魔法使いに騙されて軟禁されていたんだ。俺は何度も助けようとしたが、クソ魔法使いの罠に嵌って、こっちの世界…地球?に飛ばされたんだ。あのクソ魔法使い、尊と神にまでなって、永遠に尊を縛り付けやがって……」
「はぁ……」
妄想?病気?この人、大丈夫?通報…は出来ないな。この家に電話は無いもんな。周りの森がどれくらい広いか分からないし、近くに民家があるとも限らない。困ったなぁ。
「その時に地球の神と約束したんだ。こっちの世界に居る尊と二人きりで暮らせるようにって。必要な物は全て神が用意するから、ぜひそうしてくれって神が頼んだんだ。ほら、尊はかわいいから他の人間がいると危ないだろ?また変な奴に捕まったら大変だ」
この人以上に変な奴に会ったことが無いんだけど。信じた方が良いの?これ。え、逃げられる?でも、僕、足遅いからな…筋肉には負けそう。
「だから、尊は死んで無い。これから、この箱庭で俺と二人きりで、ずっと暮らすんだ。絶対幸せにするから……愛してる」
タルクさんの目はギラギラだし、僕の目は死んでるんじゃないだろうか。
「……あの、一つ、良いですか?」
「何個でも良いに決まってるじゃないか!何でも言って欲しい。俺達に、もう障壁なんて無いんだから」
「………僕、女の子が好きなんですけど」
「…………ん??ん???」
「さっき、話しましたよね?僕は、女の子と話がしたくてアルバイト頑張ったって。僕が好きなのは、女の子です」
タルクさんの目が驚愕で見開いて、顎が外れそうにカクーンと開いて喉の奥が見える。歯並び綺麗だね。
「な?そんな、バカな………」
「バカなって言われても…僕、ノーマルですって」
タルクさんが、何やらブツブツと呟き始めた。そのまま、リビングをグルグルと回り始めた。猫は、僕の腕の中から、不審者を見る目で眺めている。僕も同じ目だ。
あー、どうしよ。妄想癖がある人と二人暮らしとかって、キツいよな。とりあえず、明日の朝になったら、ココから出て森を通って外に出よう。僕が生きてるというのが本当なら、歩き続ければ、家や人かを見つけられるかもしれない。
僕をじっと見上げる猫の目を見ていると、大丈夫な気がしてきた。
「えーっと、じゃあ、僕、寝ます…ね」
一応、グルグル回り続けるタルクさんに声は掛けておいた。聞こえてるかは知らないけど。
気付けば外はすっかり暗くなっていた。
どんな仕組みか知らないが、部屋の隅に柔らかい灯りが幾つも灯っているお陰で部屋は暖かい明るさになっている。
ほんと、ファンタジー&ファンシーな家。
「あぁ、分かっ…………ね?!ね、ね、寝る?!」
「あ、はい。え、だめですか?」
「だ、だ、だめじゃ、ないけど、その……良い、のか?」
「え、良いんじゃないですか?何か問題でも?」
「た、確かに、ここには大魔王もいない……二人きり……男は好きじゃないけど、でも、そうだよな、うん、良いんだよな!!」
ガブリ
「っっっっっぎいやあああああーーーー!!!????」
「あ」
猫って噛み付くんだ。
しかも、股間に。ぷらーん、と猫はソコに噛み付いたまま、ぶら下がっている。痛そう。流石に可哀想。
「はなっ!はなせっ!!ひぃ!!死ぬぅ!!」
「あー、ほらほら、そんなモノ噛んだらダメだよー。こっちおいで~」
僕が声を掛けると、パッとソコから離れてアクロバティックな横ひねりを華麗に披露して僕の懐に飛び込んで来た。
最後、蹴り上げられて更に悲鳴が上がった気がしたけど。
悶絶するタルクさんを横目に、僕と猫は奥の寝室で仲良く眠った。
これまた、お姫様が寝るような天蓋付き豪華キングサイズベッドで。
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