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第一章 真珠とサファイヤ
晩餐会
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これは、きっと夢に違いないーー。
まばゆいシャンデリアの輝きに目を細めながら、シャノンは心の中で呟いた。
でなければ、国王陛下が実は女だったなんて事……今時、どんな三文小説でもあり得ない。
日中目にした事実をいまだに信じる事が出来ず、シャノンは本日何度目になるかわからない頬をつねった。
「陛下は、まだおいでにならないのかしら?」
自分と同じくお見合いの場に参加しにきたと思われるご令嬢が、焦れたように囁いた。
第16代国王メリル陛下ーー日に焼けた事のないその白い肌。真珠色に輝く髪。角度によって色彩を変えるはしばみ色の瞳。
その神秘的な佇まいから『陸の真珠』と謳われるメリル陛下は、弱冠16歳の史上最年少で王になった人物だ。
「陛下って、とても繊細な雰囲気を持っていらっしゃるのに、見つめてくる瞳が力強くて、そのギャップがまた魅力的ですのよ」
「ええ、わかりますわ。あんなにきれいなお顔立ちをなさっているのに、発せられるお声には威厳があって、思わず聞き惚れてしまいます」
口々に陛下を褒め合う令嬢たちの声を小耳に挟みながら、シャノンは一人バルコニーに踊り出た。満天の星が輝く夜空を仰ぎながら、やはり自分は場違いだと確信した。
なんたって、まず他のご令嬢方と身長が違う。これでもドレスの中では常に膝を折っているし、同年齢の男の中でも高い方ではない(不本意だが)のだが、それでもやはり頭一つ分くらいは違う。
それを喜べばいいのか。この際、泣いた方がいいのか…。
上の兄5人は身長が高いので、いつか自分もグンと伸びる日が来ると信じている。
ところで、なぜ彼が着飾ってここにいるかと言うとーー
今日はお見合い二日目の夜。晩餐会とは言うものの、着席形式の格式張ったものではなく、立食で個々に自由に過ごす形らしい。
とは言いつつ、肝心の国王陛下がなかなか顔を見せないので、痺れを切らしたご令嬢たちが騒ぎ出した次第だ。
騒がずに、大人しく待てばいいものをーー。
「女の子なんだから、色々準備があるだろうに……」
口にしてから、ハッと体を強張らせた。慌てて辺りを見回すが、周囲には誰もいなくて、聞かれていない事に安堵した。
危ない危ない。国家秘密を漏らしたりしたら、首切りもんだ。て言うか、自分罪多すぎないか?それもこれも、己の意思とは無関係に勝手に積み重ねられていくものだから、恐ろしい。
数えるだけでも、虚偽罪、性別偽り罪、国家の秘密を知ってしまった罪……うん、数えるのやめよう。
指折りしていた手を大人しく引っ込め、シャノンはドレスのシワを伸ばした。
「さて……」
いつまでも、ここに居ても仕方ない。意を決して場内に戻ろうとした矢先、急に大きく奏でられたオーケストラの音楽に、背筋に緊張が走った。
慌てて元いた場所に戻ると、何食わぬ顔で他の参加者たちと同じように最敬礼の姿勢を取った。
「国王陛下のご入場ー!!」
仰々しい掛け声と共に、一際高くバイオリンの弦が弾かれた。
ゆっくりとした足取りで入場してきたメリルは、一度場内を見回し参加者の顔ぶれを確認すると、おもむろに近くにいた令嬢に手を差し伸べた。感激で打ち震える娘の手を引き、メリルはホールの中央へと足を向けた。一瞬の静寂の後、流れ出したワルツの音楽に合わせて、二人は踊りだす。惜しみない拍手と喝采が浴びせられ、その場が一気に舞踏会へと様変わりした。
なるほど、そのための立食形式だったのかと一人納得し、シャノンは手のひらに滲む汗を拭った。この調子ならば、きっと陛下は見合い参加者一人一人と踊る気に違いない。背中を何度も冷たい汗が伝った。
残念な事に、自分は女性側のステップがわからない。流石に女装したまま舞踏会に参加した事などなかったのだ。
動揺でやけにうるさい心臓の音を叱咤し、景気付けにグラスのソーダ水をあおる。喉を通り抜けていく強い炭酸が、心なしか思考もクリアにしてくれた気がする。
仮にも自分は侯爵家の息子。女性とのダンス経験なら何度かある。その時のことを思い出して、イメージトレーニングするしかない。
シャノンは薄氷を踏む思いで、自分の順番が回って来るのを待った。
そして、いよいよ、他の令嬢とダンスを終えた陛下が、真っ直ぐに自分の元へとやってくる。うやうやしく差し伸ばされた手の上に自分の手のひらを重ねて、シャノンはぎこちなく微笑った。
「光栄です、陛下」
「こちらこそ」
秘密を共有する者同士だけに通じる視線を交わし合って、ホールの中央へ誘われている間、シャノンは予防線を張った。
「実は、私ダンスが苦手で……」
「大丈夫。私のリードに任せてくれればいい」
緊張で身を固くするシャノンを安心させるように微笑んで、メリルはその腰に手を回し、体を引き寄せた。
吐息が触れ合うほど近くなった距離にシャノンの心臓がまた別の意味でうるさくなる。
「緊張してる?」
「ちょっと……」
「力んでると余計踊れなくなる。リラックスして」
「は、はい……」
そう言われても、こんな近くに国王陛下がいて、緊張するなと言う方が無理だ。すぐ目の前にはしばみ色の瞳があることを、極力意識の外に追い出すようにしながら、シャノンは音楽に合わせてステップを踏み出した。
最初こそぎこちなかったものの、次第に慣れて、足元を見ずに踊れるようになったのは、ひとえにメリルのリードがとてもうまかったからだ。
女性の体をさりげなく誘導し、次のステップへ導いていく。男の立場からしてもとても参考になるリードで、あとで絶対練習しようと心に決める。
そして、心に余裕ができると口も軽くなるものなのか、それまで無言だった二人の間にも、いつしか会話がうまれていた。
「陛下は、背も高くていらっしゃるんですね」
「そうか?」
「はい。私も女性では高い方なんですが、お見受けしたところ、私の身長とほぼ同じくらいかと」
「実は……ちょっと偽装してるんだ。靴の中にヒールを仕込んでる」
「靴の中に?」
「うん、シークレットブーツと言うんだ。本当はあと10センチくらい低い」
メリルの意外な告白に、シャノンは瞠目した。10センチも?そんな魔法のような道具があるなら、是非とも自分にも使わせて頂きたい。つい不躾に上から下までジロジロと見回してしまったシャノンに、メリルが自嘲するように呟いた。
「私はウソだらけだな」
「いえ、そこがまたミステリアスでいいと言うか……」
自分でもよくわからないフォローを口にしつつ、メリルが本当は自分よりも背が低いと言う事実に何故か少しホッとしていた。そして、同じくウソで塗り固められた自分の存在に罪悪感も感じる。
「昼間は驚かせてすまなかったな」
「いえ、そんな……」
「ところで、このあと私の部屋に来れないか?」
「へっ?!!」
突然そんな事を言われ、思わずシャノンはステップを踏み間違えた。「あ」と言う声がお互いの口から漏れ、バランスを崩したメリルの体が傾く。支えようと咄嗟に腕を引っ張ると、想像以上に軽い彼女の体が重力に従い、すっぽりと自分の腕の中に収まってしまった。
期せずして国王陛下を抱き締める形になったシャノンは、自分の胸にもたれかかるメリルの存在に、全身に緊張をみなぎらせた。
「す、すみませ……」
「……意外と力が強いんだな」
驚いたように呟かれ、シャノンはハッと体を強張らせた。その様子に自分の失言を悟ったメリルは、自分を抱きしめるその温もりからそっと離れ、謝罪した。
「すまない。女性に対して失礼な発言だったな。申し訳ない」
「こ、こちらこそ、大変失礼しました」
互いに謝り合うと、どちらからともなく、ふと吐息をこぼし笑いあった。
「では、お互い様という事にしようか」
「はい、ありがとうございます」
「ただし」
不意に言葉を切ったメリルは、再びシャノンの腰に手を回し、その体を引き寄せた。
「へ、陛下……?」
「国王の足を踏みつけた罪は重い。よって、君に拒否権はないぞ。あとで使いの者を寄越すので、必ず私の部屋に来るように」
悪戯っぽい瞳でそう囁くと、シャノンの手の甲に軽くキスを落とし、去っていく。その後ろ姿に慌てて一礼をして、シャノンも肌を突き刺すほどに感じる人々の注目から逃れるように、その場を後にした。
早足で人気がないところまでやってくると、先程までの緊張の糸が切れて、どっと疲れが押し寄せてくる。
噴き出す汗を手の甲で拭いながら、シャノンは早鐘で打ち付ける心臓をなだめすかそうとした。
「……心臓に、悪い……」
(しかも、部屋に…部屋に、ってなんだ?!)
なんで自分が晩餐会も終わった深夜の時間帯に部屋に呼ばれるのかわからず、シャノンはぐるぐると思考の深みにハマっていく。
ともあれ、眼前の危機は脱したわけだが、この先国王陛下に自分の正体をバラすか否か。打ち明けるにしても、いつどのタイミングで告白するべきなのか。など
次から次へと浮上してくる問題に、この件は一筋縄ではいかなそうだ。
何より、シャノンの心の内に、本人でも気付かない程の小さなくすぶりの片鱗が見え隠れしている事が、この出来事を大きく左右していくキッカケとなる。
「思ったより、華奢だったな……」
先程抱きしめていたメリルの感触を思い出し、今は何も触れてないその両手を見つめる。服越しにはわからないが、意識して触れてみると初めてわかる。華奢な肩、細い首筋、流れるような腰のライン、少し突き出たお尻……そのどれもが女性のそれで、自分はもうすでに国王陛下その人のことを、女性としか見ていないことにシャノンは気付くのだった。
まばゆいシャンデリアの輝きに目を細めながら、シャノンは心の中で呟いた。
でなければ、国王陛下が実は女だったなんて事……今時、どんな三文小説でもあり得ない。
日中目にした事実をいまだに信じる事が出来ず、シャノンは本日何度目になるかわからない頬をつねった。
「陛下は、まだおいでにならないのかしら?」
自分と同じくお見合いの場に参加しにきたと思われるご令嬢が、焦れたように囁いた。
第16代国王メリル陛下ーー日に焼けた事のないその白い肌。真珠色に輝く髪。角度によって色彩を変えるはしばみ色の瞳。
その神秘的な佇まいから『陸の真珠』と謳われるメリル陛下は、弱冠16歳の史上最年少で王になった人物だ。
「陛下って、とても繊細な雰囲気を持っていらっしゃるのに、見つめてくる瞳が力強くて、そのギャップがまた魅力的ですのよ」
「ええ、わかりますわ。あんなにきれいなお顔立ちをなさっているのに、発せられるお声には威厳があって、思わず聞き惚れてしまいます」
口々に陛下を褒め合う令嬢たちの声を小耳に挟みながら、シャノンは一人バルコニーに踊り出た。満天の星が輝く夜空を仰ぎながら、やはり自分は場違いだと確信した。
なんたって、まず他のご令嬢方と身長が違う。これでもドレスの中では常に膝を折っているし、同年齢の男の中でも高い方ではない(不本意だが)のだが、それでもやはり頭一つ分くらいは違う。
それを喜べばいいのか。この際、泣いた方がいいのか…。
上の兄5人は身長が高いので、いつか自分もグンと伸びる日が来ると信じている。
ところで、なぜ彼が着飾ってここにいるかと言うとーー
今日はお見合い二日目の夜。晩餐会とは言うものの、着席形式の格式張ったものではなく、立食で個々に自由に過ごす形らしい。
とは言いつつ、肝心の国王陛下がなかなか顔を見せないので、痺れを切らしたご令嬢たちが騒ぎ出した次第だ。
騒がずに、大人しく待てばいいものをーー。
「女の子なんだから、色々準備があるだろうに……」
口にしてから、ハッと体を強張らせた。慌てて辺りを見回すが、周囲には誰もいなくて、聞かれていない事に安堵した。
危ない危ない。国家秘密を漏らしたりしたら、首切りもんだ。て言うか、自分罪多すぎないか?それもこれも、己の意思とは無関係に勝手に積み重ねられていくものだから、恐ろしい。
数えるだけでも、虚偽罪、性別偽り罪、国家の秘密を知ってしまった罪……うん、数えるのやめよう。
指折りしていた手を大人しく引っ込め、シャノンはドレスのシワを伸ばした。
「さて……」
いつまでも、ここに居ても仕方ない。意を決して場内に戻ろうとした矢先、急に大きく奏でられたオーケストラの音楽に、背筋に緊張が走った。
慌てて元いた場所に戻ると、何食わぬ顔で他の参加者たちと同じように最敬礼の姿勢を取った。
「国王陛下のご入場ー!!」
仰々しい掛け声と共に、一際高くバイオリンの弦が弾かれた。
ゆっくりとした足取りで入場してきたメリルは、一度場内を見回し参加者の顔ぶれを確認すると、おもむろに近くにいた令嬢に手を差し伸べた。感激で打ち震える娘の手を引き、メリルはホールの中央へと足を向けた。一瞬の静寂の後、流れ出したワルツの音楽に合わせて、二人は踊りだす。惜しみない拍手と喝采が浴びせられ、その場が一気に舞踏会へと様変わりした。
なるほど、そのための立食形式だったのかと一人納得し、シャノンは手のひらに滲む汗を拭った。この調子ならば、きっと陛下は見合い参加者一人一人と踊る気に違いない。背中を何度も冷たい汗が伝った。
残念な事に、自分は女性側のステップがわからない。流石に女装したまま舞踏会に参加した事などなかったのだ。
動揺でやけにうるさい心臓の音を叱咤し、景気付けにグラスのソーダ水をあおる。喉を通り抜けていく強い炭酸が、心なしか思考もクリアにしてくれた気がする。
仮にも自分は侯爵家の息子。女性とのダンス経験なら何度かある。その時のことを思い出して、イメージトレーニングするしかない。
シャノンは薄氷を踏む思いで、自分の順番が回って来るのを待った。
そして、いよいよ、他の令嬢とダンスを終えた陛下が、真っ直ぐに自分の元へとやってくる。うやうやしく差し伸ばされた手の上に自分の手のひらを重ねて、シャノンはぎこちなく微笑った。
「光栄です、陛下」
「こちらこそ」
秘密を共有する者同士だけに通じる視線を交わし合って、ホールの中央へ誘われている間、シャノンは予防線を張った。
「実は、私ダンスが苦手で……」
「大丈夫。私のリードに任せてくれればいい」
緊張で身を固くするシャノンを安心させるように微笑んで、メリルはその腰に手を回し、体を引き寄せた。
吐息が触れ合うほど近くなった距離にシャノンの心臓がまた別の意味でうるさくなる。
「緊張してる?」
「ちょっと……」
「力んでると余計踊れなくなる。リラックスして」
「は、はい……」
そう言われても、こんな近くに国王陛下がいて、緊張するなと言う方が無理だ。すぐ目の前にはしばみ色の瞳があることを、極力意識の外に追い出すようにしながら、シャノンは音楽に合わせてステップを踏み出した。
最初こそぎこちなかったものの、次第に慣れて、足元を見ずに踊れるようになったのは、ひとえにメリルのリードがとてもうまかったからだ。
女性の体をさりげなく誘導し、次のステップへ導いていく。男の立場からしてもとても参考になるリードで、あとで絶対練習しようと心に決める。
そして、心に余裕ができると口も軽くなるものなのか、それまで無言だった二人の間にも、いつしか会話がうまれていた。
「陛下は、背も高くていらっしゃるんですね」
「そうか?」
「はい。私も女性では高い方なんですが、お見受けしたところ、私の身長とほぼ同じくらいかと」
「実は……ちょっと偽装してるんだ。靴の中にヒールを仕込んでる」
「靴の中に?」
「うん、シークレットブーツと言うんだ。本当はあと10センチくらい低い」
メリルの意外な告白に、シャノンは瞠目した。10センチも?そんな魔法のような道具があるなら、是非とも自分にも使わせて頂きたい。つい不躾に上から下までジロジロと見回してしまったシャノンに、メリルが自嘲するように呟いた。
「私はウソだらけだな」
「いえ、そこがまたミステリアスでいいと言うか……」
自分でもよくわからないフォローを口にしつつ、メリルが本当は自分よりも背が低いと言う事実に何故か少しホッとしていた。そして、同じくウソで塗り固められた自分の存在に罪悪感も感じる。
「昼間は驚かせてすまなかったな」
「いえ、そんな……」
「ところで、このあと私の部屋に来れないか?」
「へっ?!!」
突然そんな事を言われ、思わずシャノンはステップを踏み間違えた。「あ」と言う声がお互いの口から漏れ、バランスを崩したメリルの体が傾く。支えようと咄嗟に腕を引っ張ると、想像以上に軽い彼女の体が重力に従い、すっぽりと自分の腕の中に収まってしまった。
期せずして国王陛下を抱き締める形になったシャノンは、自分の胸にもたれかかるメリルの存在に、全身に緊張をみなぎらせた。
「す、すみませ……」
「……意外と力が強いんだな」
驚いたように呟かれ、シャノンはハッと体を強張らせた。その様子に自分の失言を悟ったメリルは、自分を抱きしめるその温もりからそっと離れ、謝罪した。
「すまない。女性に対して失礼な発言だったな。申し訳ない」
「こ、こちらこそ、大変失礼しました」
互いに謝り合うと、どちらからともなく、ふと吐息をこぼし笑いあった。
「では、お互い様という事にしようか」
「はい、ありがとうございます」
「ただし」
不意に言葉を切ったメリルは、再びシャノンの腰に手を回し、その体を引き寄せた。
「へ、陛下……?」
「国王の足を踏みつけた罪は重い。よって、君に拒否権はないぞ。あとで使いの者を寄越すので、必ず私の部屋に来るように」
悪戯っぽい瞳でそう囁くと、シャノンの手の甲に軽くキスを落とし、去っていく。その後ろ姿に慌てて一礼をして、シャノンも肌を突き刺すほどに感じる人々の注目から逃れるように、その場を後にした。
早足で人気がないところまでやってくると、先程までの緊張の糸が切れて、どっと疲れが押し寄せてくる。
噴き出す汗を手の甲で拭いながら、シャノンは早鐘で打ち付ける心臓をなだめすかそうとした。
「……心臓に、悪い……」
(しかも、部屋に…部屋に、ってなんだ?!)
なんで自分が晩餐会も終わった深夜の時間帯に部屋に呼ばれるのかわからず、シャノンはぐるぐると思考の深みにハマっていく。
ともあれ、眼前の危機は脱したわけだが、この先国王陛下に自分の正体をバラすか否か。打ち明けるにしても、いつどのタイミングで告白するべきなのか。など
次から次へと浮上してくる問題に、この件は一筋縄ではいかなそうだ。
何より、シャノンの心の内に、本人でも気付かない程の小さなくすぶりの片鱗が見え隠れしている事が、この出来事を大きく左右していくキッカケとなる。
「思ったより、華奢だったな……」
先程抱きしめていたメリルの感触を思い出し、今は何も触れてないその両手を見つめる。服越しにはわからないが、意識して触れてみると初めてわかる。華奢な肩、細い首筋、流れるような腰のライン、少し突き出たお尻……そのどれもが女性のそれで、自分はもうすでに国王陛下その人のことを、女性としか見ていないことにシャノンは気付くのだった。
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