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理不尽な現実
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何故人はこうも不平等なのだろうか
テスト結果をまとめた紙を前に俺は常々思う。
母は妹の出産後亡くなり、父は去年殉職、残った唯一の家族である小6の妹は原因不明の病で入院
そして俺、雨宮怜人は公立進学校の落ちこぼれ高校生……
家賃の安いアパートで父と母が残した保険金や遺族への補償金、そしてバイト漬けの生活で何とか生活はできているし、時間を見つけて勉強し、部活も入り人並みの高校生活はできていると思っている。しかし……
「クラス順位34/40……だめだ、徐々に落ちてきている。バイトもだいぶ減らしたのに……」
1年生の時は真ん中だったクラスの順位も2年に上がってからは落ち続けている。
進学校ゆえに早い授業、テストは基礎問題込みの応用問題が半分と残りは大学の二次試験の入試問題がそのまま出る。はっきり言って俺にはレベルが高すぎるのだ。
だから俺は毎回基礎問題を解き、応用問題で部分点を取ることで赤点は回避しているが……
「流石にここまで順位が下がるともっと勉強しないと取り戻せないな……」
バイトに日々の家事、妹の見舞い、部活……もうこれ以上は睡眠時間を削るしか勉強時間は取れない状態
しかしテスト期間に徹夜はもうやっている、これ以上すると今度は俺が死にかねない。2徹した時は酷い頭痛と吐き気に苦しめられたこともある
……俺が天才だったらもうちょっと要領よくできたのだろうか?
ふとそんなことをよく考える
俺がそんな考え事をしていると、黒板では先生がテスト結果の振り返りを始める
「えー、今回のテスト、クラス平均は8クラス中4位だ!だが、めでたいことにクラス1位は学年1位だ!おめでとう神代怜奈!」
先生の声とともに神代怜奈にクラスの視線が一斉に向き、同時に大きな拍手が起こる。
去年も同じクラスだった神代怜奈、今年も俺は彼女の素晴らしい実績にかつてのプライドをボロボロにされるのだろう。
というのも、中学までは自分は頭が良いと思っていた、しかし、高校に入ってからは大学入試問題をものともせずに解き、常に得意科目では9割叩き出すクラスの友人がいたり、神代怜奈のように全教科でそれを成し遂げる化け物もいる。
そんな彼らを見ていると、自分はどれだけ勉強しても追いつけないのだと2年にして自覚してしまった。
「はあ……まあしゃあない、今日は妹の見舞いに行くかな」
テストの結果は良くはない、しかしそれでも妹の見舞いの日は必ず行く。俺が手土産を持って行くと喜ぶ妹の顔が目に浮かぶ、それだけで俺はまだ頑張れる気がするのだ。
「あ、お忙しいところすみません、今日はお見舞いにいっても大丈夫ですかね?」
俺は妹の担当医である神代医師に電話をかける。原因不明の病故に妹は頻繁に検査をされる。だから行っても会えない時があるのだ。
「怜人君か、大丈夫だよ、いつでもおいで」
「了解です、これから向かいます」
俺はそれだけ言うと病院にむけて出発する。
テスト結果をまとめた紙を前に俺は常々思う。
母は妹の出産後亡くなり、父は去年殉職、残った唯一の家族である小6の妹は原因不明の病で入院
そして俺、雨宮怜人は公立進学校の落ちこぼれ高校生……
家賃の安いアパートで父と母が残した保険金や遺族への補償金、そしてバイト漬けの生活で何とか生活はできているし、時間を見つけて勉強し、部活も入り人並みの高校生活はできていると思っている。しかし……
「クラス順位34/40……だめだ、徐々に落ちてきている。バイトもだいぶ減らしたのに……」
1年生の時は真ん中だったクラスの順位も2年に上がってからは落ち続けている。
進学校ゆえに早い授業、テストは基礎問題込みの応用問題が半分と残りは大学の二次試験の入試問題がそのまま出る。はっきり言って俺にはレベルが高すぎるのだ。
だから俺は毎回基礎問題を解き、応用問題で部分点を取ることで赤点は回避しているが……
「流石にここまで順位が下がるともっと勉強しないと取り戻せないな……」
バイトに日々の家事、妹の見舞い、部活……もうこれ以上は睡眠時間を削るしか勉強時間は取れない状態
しかしテスト期間に徹夜はもうやっている、これ以上すると今度は俺が死にかねない。2徹した時は酷い頭痛と吐き気に苦しめられたこともある
……俺が天才だったらもうちょっと要領よくできたのだろうか?
ふとそんなことをよく考える
俺がそんな考え事をしていると、黒板では先生がテスト結果の振り返りを始める
「えー、今回のテスト、クラス平均は8クラス中4位だ!だが、めでたいことにクラス1位は学年1位だ!おめでとう神代怜奈!」
先生の声とともに神代怜奈にクラスの視線が一斉に向き、同時に大きな拍手が起こる。
去年も同じクラスだった神代怜奈、今年も俺は彼女の素晴らしい実績にかつてのプライドをボロボロにされるのだろう。
というのも、中学までは自分は頭が良いと思っていた、しかし、高校に入ってからは大学入試問題をものともせずに解き、常に得意科目では9割叩き出すクラスの友人がいたり、神代怜奈のように全教科でそれを成し遂げる化け物もいる。
そんな彼らを見ていると、自分はどれだけ勉強しても追いつけないのだと2年にして自覚してしまった。
「はあ……まあしゃあない、今日は妹の見舞いに行くかな」
テストの結果は良くはない、しかしそれでも妹の見舞いの日は必ず行く。俺が手土産を持って行くと喜ぶ妹の顔が目に浮かぶ、それだけで俺はまだ頑張れる気がするのだ。
「あ、お忙しいところすみません、今日はお見舞いにいっても大丈夫ですかね?」
俺は妹の担当医である神代医師に電話をかける。原因不明の病故に妹は頻繁に検査をされる。だから行っても会えない時があるのだ。
「怜人君か、大丈夫だよ、いつでもおいで」
「了解です、これから向かいます」
俺はそれだけ言うと病院にむけて出発する。
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