美し過ぎる第三王子は鬼畜で悪魔。

五玖凛

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第一章-幼き頃の回廊

永遠の忠誠を貴方に

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母上とは半年に一度に会える日がある。

その日になる度母上は僕を見るたび少し悲しむ様な嬉しい様な笑みを浮かべる,母上はよく錬金術の事を僕に話してくれるが,何故話すだけで教えてはくれないのかいつも不思議に思う。

__________
_____

『愛しい私の_リュセ

覚えて錬金術とは一から命を作り出す。

例えそれが生き物だろうと物だろうと.....

私のリュセ

大丈夫

私が居なくなっても貴方がきっと私の願い・・を叶えてくれる』

彼女はそう僕に伝え,赤い石が嵌め込まれた古い鍵を渡してから数日後に処刑された

あの日僕が母上に会う最後の日となった。



__________



そして4歳になり
かつて彼女の宮殿だった東の別邸に移された途端,鍵の石に文字が浮び

『星 右 ニ 』

と示された

屋敷内にある星に関す物をクマなく探し,書斎にある棚の上に小さな五芒星が描かれた書を見つけその右に二つ置かれた本を引き抜いた瞬間

__本棚が動きだし地下に繋がる階段が現れる

石畳の階段を降り奥へ進むとどこかに繋がる扉を見つけ鍵穴に鍵を差し込み扉を開け,中に入ると埃が飛び舞う中見つけたのは彼女の秘密研究室だった。


それから僕は毎日の様にその部屋へ立て篭り残された資料や書籍を読み漁っていたら生物錬金に関する書類が目に入り気になって読み上げた


【 生物本来の自我を保ち素材との錬成は困難であり今までの実験で錬成後の生き物は両目が黒く染まり凶暴かつ攻撃性が強くなり血に狂ってしまう獣になる為生き物への錬成は昔より禁じられていたが

帝国は攻撃性の強い錬生物を国の兵力に欲し,生物錬成を秘密裏で続けて結果錬成に失敗し多くの人達が犠牲になり
研究に参加していた第二王子もその犠牲になったが国はその事実を国民に隠蔽し病で亡くなったと告げる

この事件より帝国は生物錬成の危険性を知り完全に生物錬成を禁ずる様になった。】


目が黒く.....何だか引っかかる

何処かで聞いた様な気がして必死に思い出そうとする

最近闘技場コロシアムで黒目のホワイトタイガーが噂になっている事を思い出すと

事実を確認する為僕は闘技場へ向かった。


闘技場コロシアム


「やれ~!ホワイトタイガー!!アイツを噛み殺せ」
「脚をヒキサゲ!!「腕だ!あんな小僧の腕なんか噛みちぎれ!!!~」」
「いいぞー小僧も死ぬな~」

「「「~~~~~」」」


闘技場はすでに人々の熱気と血の匂いで充満していた


人々から注目を浴びる一人と一匹


全身傷だらけで血まみれなのに剣を持ち続ける少年と白い毛並みに血が染まって真っ黒の瞳を持つ虎

この虎は普通の虎より体が一回り大きい上血の気が強く凶暴である為すでに競技場は何人も噛み殺された挑戦者の死体が地に転がっている。


残された少年は金色の目を鋭く虎に睨みつけ相手の攻撃を見極めようとする

彼は剣を構え虎と対峙しながらゆっくりと左を回ろうとした時虎は突如襲いかかった______少年は一瞬にして押し倒され今や噛み殺されそうになると会場が盛り上がり「そのまま噛み殺せ」と叫んでいる。

彼は押し倒された体制で剣を噛みつこうとする虎に何とかして防ぐ
虎が唸り先程噛み殺したであろう者の血が唾液と共に頬へ垂れ流れる

「!クッ.....」

彼は一瞬の隙を見て砂を虎の目に浴びせ
奴がうろたえて目を瞑った瞬間に


_________虎の喉元を一気に貫いた


悲痛の声を出しゆっくり倒れてゆく虎を目にした瞬間会場は一瞬静まり返ったあと盛大な歓声が上る

(....俺は.....生き残ったのか....?)
少年は力付き地面に伏っしながら思った....未だ生きていると

暫くすると闘技場の者達が彼を担ぎ上げ何処かへ連れ行く。

それを目にするリュセは静かに後をつけた...





__________

__________


<地下牢>
暗くかび臭い湿った地下牢に先程の少年は担ぎこられ強く地面に投げられた。

「ウッ.....」


治療室ではなく何故か地下牢に放り込まれた少年は傷の痛みで小さく呻く。


何故自分がこんな所に疑問に思うと目の前に革靴が現れ視線を上げると髭が八の字に生え太た闘技場の管理者らしき人物が立ち


「貴様どうしてくれる⁉︎貴様のせいで貴重の実験台が死んだではないか!!あの方がお怒りなってワシは殺されるかもしれないではか!!」


そう怒のまま叫び少年を蹴り上げて懐から銃を手にし


少年に向けた


「!カッ.....!何故..です...俺は勝ったはず......どうして」

腹を抱えながら弱々しく問うと


それを聞いた太った男はニヤリと笑いゴミでも見る目で彼に答えた

「貴様みたいな奴隷に教えてやる価値は無いが教えてやろう
あの虎は大事な錬金術の実験台だ,その力を研究する為この闘技場に置いている。それをお前は殺してしまった,だからお前みたいなゴミはここで消える」


「ヘェ~そうなんですか」


!!!??

「ッ‼︎誰だ!」


突然聞こえる幼い声に驚く男は周りを見渡し声の主を探すと背後にフードを被った子供がいた

「何だぁガキここに勝手に入って来てなにしていてる!!早く出て行け‼︎」

「そうはいきませんね、今聞いた話によると貴方はここで禁止されている筈の生物錬成を実験していると言う事になりますが。異論はありますか?」


「なっ?!」


それを聞いた男は激しく狼狽し目の前の男の子を捕まえようとしたら

「無礼者め...私を誰だと思っている
私はこの国の第三王子であるぞ」

彼は鋭い射抜く様な視線で冷たく男に告げた

フードを外して現れたのは白金色に輝く髪と真っ赤の瞳に王族である徴“星の貴金属”を耳に飾った妖精の如く美しい男の子


意識が朦朧とする中俺は暫く彼のことに見入っていた。そして傷の痛みに耐えられず視線が暗くなってゆく


男も男の子の顔に惚けてたら

「........第三王子?...ハッハ第三王子など何の力も無いひ弱い名ばかりの王子ではないか」
彼は第三王子と称する目の前に立つ子供に嘲笑った

「その名ばかりの第三王子に今ここで国法に違わす事を僕に知られたのでは?」
男の子は静かに笑いながら男に迫って行く


「ッ‼︎....でしたら貴方もここで消えてもらう!!」
男が銃口を向けてきた瞬間


!!パァン!!


銃声が響いた


男の子はいつのまにか手に持つ
ピストルで男の脳天を撃ち抜いた

銃口の硝煙を吹いたらピストルをしまい倒れ込む男に近づき側にしゃがりこむ

「人を殺すのは貴方が初めてで不本意ですが、、、貴方みたいに禁事を破り人をゴミとして見てるクズ野郎は僕に撃たれても文句言えませんよね?」


「こ...んな....事して....許...されるとでも....」


男は頭から血を流しながら命辛々声を発した


「人を殺める事は許されると思っていませんよ。ただ貴方が僕に銃口を向けた瞬間それは僕にもこの引き金を引く権力が与えられると思いますが。貴方はどう思います?」


「⋯⋯⋯」


そう男に返答し問いただしていたら男はもうすでに息絶えていた

「そうですか。答えられませんか」

男の子は感情を読み取れない顔をし暫く男の死体を見つめたら隣で倒れている少年に歩み寄った


「君、生きているか?生きてるのならばここから出なきゃ後々面倒だぞ」

.................

............

........

声が聞こえる.....


細高い子供の声......


俺を...呼んでいるのか?.....

体が....動かない.....肋骨は何本か折れ...
背には先の戦いで肉が引きさがられた

思い瞼を開け声のする方を見る


『.....君...うご...ける....』

『....君....』

「君!はぁ....やっと目を覚ました」


視点が合わないまま声のする方を見る


「ここから出ないと、君
死んじゃうよ?僕,君を担げないからここに居たら君が犯人にされて処刑されて....ぇちょっと!目ぇ閉じないでくだい!」


それでも俺は遠ざかる意識に抗えずそのまま目を閉じてしまった



******


それから目を覚ませば自分が町の医館に居ると知り驚いき戸惑った
治療してくれた医師の話によると一人の男の子が荷車を引き此処まで連れてきてくれたらしい

俺は左胸に印される奴隷紋を確認したがそこには元々何も無いかのように,奴隷紋は消えていた。

不思議に思い傷が癒た後再び闘技場に話を尋ねたら

あの日闘技場に火事が起きたが死傷者はあの男しか居なかった。

そのあとあの子は俺を買ったが主従契約もせず俺を荷車に乗せて医館に連れて行ったらしい

その事実に驚愕し自分が奴隷から解き放され事が信じられなく,そのまま立ち尽くし嬉しさのあまり涙を流し


そしてあの日彼から告げられる


『第三王子』に


心の中で必ずこのご恩を返し。


貴方に永遠の忠誠を誓うと決めた。































































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