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妖精王子リュクセン

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『公元166年』

帝国ステルラ<皇宮庭園>

「「!殿下~~どちらにおられるのですか?!」」

「リュクセン殿下~!、、!?」
「、、リュセ様を見つけまして?」
「、、いいえ、、何処にも見当たりませんわ、、、、」

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
皇宮庭園の茂木奥に響きわたる令嬢達の騒ぎ声が聞こえて来る.....
いつもいつも懲りずによく付いてくる,鬱陶しくてお前ら全員ハエ叩きで叩かないと一生ついてきそうだな

「おい。ルー、彼女達に僕は一人湖でくつろぎたいから邪魔をするなと伝えておけ。」
澄み渡る大きな湖の横で木陰の下で静かに読書する少年がいた

肩上に揃えた銀にも近しい金髪を微風によりキラキラと星屑の様に輝き,スッと通った鼻筋に、長い睫毛の下に見える両目はルビーの様に光り、見つめると吸い込まれそうになる

17歳のリュクセンは妖精の如く美しく,男性でさえ彼の美貌にあてがわれてしまう事だって多々ある
そんな美しい彼はすぐ傍に立つ側近であり護衛のルル・マレイユ
に形の良い唇を開き話しかけた

「聞いているのか?ルー?」

「リュセ....女の子いっぱい泣かしたらバチが当たるよ.....人たらしは程々に.....「はぁーーまったく僕にそんな口聞いても根に持たないの君だけだよ」
少し困った様にリュクセンは苦笑いしながら黒髪の青年に言ったら
彼は金色の目をキョトンとしてリュクセンを見つめ,口を開いた

「.....リュセが...許した.....」
「。。。」

ふふふ......まぁコイツは出会った頃からこうだしもう慣れている...が........
しかしコヤツ近頃ヤケに突っかかるのではないか...?
『少しいじめてやるか』
リュクセンは心の中でそう決めると満面の微笑みをルルに向けたら,彼は一瞬固まり...何かを悟るや否や「任務、、行ってくる!!」と一言残して冷や汗をかきながらリュセを探している令嬢達へ彼は全力疾走した
(...リュセ......怖い....(泣))
_____________

育ちすぎたデカブツを含み有る目で見送り
リュクセンは本を閉じ目を瞑ると湖から聞こえる小波と共に樹々が揺れ動く声に集中した____

此処は落ち着く、、暫く自分がこの帝国である第三皇子だと忘れてしまう程静かで安らげる
私は第三王子では有るが実際力など無いにも乏しい,この帝国で皇帝に次ぐもっとも権限持つ王族は皇后の嫡男である
王位継承者第一位のユルグ王太子
そして次に現皇帝陛下の弟君で僕の叔父であるロンドルフ公爵,例え他の王族にもほんの僅かでも王位を継げる機会があろうと

『リュクセン・ウェイン・ステルラ=ヴァイスマン』
反逆者の子としてその希望は砂粒みたいな物だろう。

正直僕は王家などどうでも良いのだが,力を持ち過ぎた帝国は徐々に内から腐りかけている。
それを間近で目の当たりにし、私欲で肥え太った豚どもがのうのうと我が物顔をする,何度そ奴らをドブに溺れさせて二度とその面を僕の前に晒せなくしてやりたいが。いかんせん僕はその様な事をして無事でいられる程の力は無い.....
何とも憂鬱なのだ...はぁ...

まぁ今は未だ表立って帝国のゴミどもを清掃できないがようやく裏での勢力はここ数年でほぼ帝国に張り巡らせた....此処まで来るのに己の勢力を一から建て上げ広げるのに苦労したなぁ...
でもあともう少ししたら僕の憂鬱は少し晴れるかなぁ.....フッ....

憂鬱そうに少し微笑み掛けた顔はまさに絵画みたいだが内なる心はドス黒い考えしか無い鬼畜のリュクセンは湖に映す自分を眺めながら何も無いあの頃から今まで自分は前へ進められたのであろうか?彼はこれまでの歩みをふりかえってみた......


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