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女子たちの憧れと嫉妬3
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お昼休みになると、雄也たちと自然に一緒に食べることになった。
高等部の学生は、お昼を学食で持ってきたお弁当か、券売機で食券を購入して定食を食べるか、売店で弁当を購入して食べるかが普通だろう。
定食や売店で売っているご飯は300円からある。これはどこの公立の高校とも同じ値段だろう。
しかしここの高校生は食堂で食べることは、めったにないようだった。
お昼休憩を知らせるピアノのメロディーのシャレた鐘がなってすぐに、雄也たちと私は教室から飛び出して階段を駆け下りて校門まで行った。
校門を出ると目の前の青信号が点滅していたので、郁がみんなに「走れ」と言って急かした。
校門は今朝、梓が通った正門とは真逆の方向にあった。一貫校で敷地が広いので、それぞれの学校に校門というものが存在するようだ。
4人が走った先にはおしゃれな看板がたくさん並んだ、小さな小道があった。
看板はご飯屋から洋服・コスメ・美容室などいろいろとあった。どこのお店も看板前に可愛らしいお花が咲いている小さな鉢植えが置いてあり、手入れが行き届いている。
お店から出てくる、お客さんや店員さんもみんな頭の先から靴の先まで手入れが行き届いてオシャレだ。
(ひゃ~ほぼノーメイク、走ったからボサボサの髪なのにこんなオシャレな通りに来ちゃった・・・)
「梓、今日は晴れているからお外でご飯するぞ」
「お外?こんなところに公園でもあるようには見えないけど」
郁がドヤ顔で言っていたので、言い返すのは悪い気がしたけどどこで食べるのかは、ちゃんと聞いておきたいのだ。
「お外って公園のことじゃないよ~」
雄也が優しく教えてくれた。
「ここの通りをもう少し行くと『フォルクス』っていうオレたちの行きつけのご飯屋さんがあるんだ」
晶も優しく教えてくれた。
言われた通りに、ちょっと先に行くと古めかしく重厚感のある看板も出してないお店の入り口らしき扉があった。
お店の中は作り的に昔ながらの喫茶店のようなお店で、お客さんは奥の席にピンクのダブルスーツを着て、ヨーロッパ辺りで流行ってそうな帽子を被った50代くらいの女性、ただ1人だった。
(・・・しまった)
梓はお店に入ってから気付いてしまった。気づくのが遅すぎるのだが、カバンの中にお母さんが入学初日だからと張り切って作ったお弁当が入っているのだ。
「あ・・・あのっ!今日、お弁当持ってきてた・・・!」
梓は勇気を出して3人に言った。
3人は少し驚いたような顔をしたが、すぐに郁が閃いたような顔をした。
「オレが食う!」
今度は郁以外の3人が、とても驚いた顔をした。
「郁~、またそんなこと・・・・・」
晶は相変わらず、梓のことが心配で郁から遠ざけようとしてくれてる。
「とりあえず、注文しよーぜ。お昼終わっちまうよ。・・・・みんな、いつものでいいか?」
晶の心配はよそに、郁は居酒屋で「とりあえず生!」と頼む宴会大好きなオッサンのような勢いで勝手に『フォルクス』特製の洋食ランチセットを人数分頼んだ。
晶と雄也と郁はいつも、洋食セットを頼むのが定番のようだ。梓もそれに合わせて同じものでいいやと思った。
(お弁当は後で、こっそり食べよう)
今は、初対面で外部からやってきた梓に対して優しく接してくれている、彼らに合わせようと思ったのだった。
注文してしばらくすると、コーンスープが先にやってきた。
その後に、サラダとお店の佇まいから想像できない可愛らしいエビフライが添えられたオムライスがやってきた。
梓はその洋食セットを見て、私立のお坊っちゃま高校生たちも意外と子供っぽい食べ物が好きなんだなと思った。
「見て、見て~」
奥の席に座っている同じ制服を着ている4人組の女子がこちらを見ながらコソコソと話しているのが聞こえてきた。
「あの子、高等部から入学してきた子でしょ。」
「男子とばっかつるんじゃって」
「公立から来たんだって。」
「顔も服装も地味だし、一緒にいると恥ずかしいわ。」
何もしてないのに、この言われようである。
女子からは公立出身の転校生は歓迎されてないことは、十分にわかった。
しかし、この場で悲しい顔をしては晶や雄也、あと特に郁。彼らに心配かけてしまう。
ただでさえ郁は、女子の中心人物となる蒼や紗良とは仲良くないようだし。
それに、さっきから郁がこちらをジッと見つめて何かを言いたそうにしている。
手に握られたスプーンからスープもこぼれそうだし。嫌な予感しかしない。
「・・・郁。・・・スープ。」
梓は郁の注意を逸らすため、話しかけた。
「汚ねえなぁ。こぼれてるじゃん。」
晶も郁の気を引こうと、技と厳しく叱る。
ガタッ!!!
梓と晶の心配も虚しく、郁は目をかっぴらきながら、勢いよく椅子から立ち上がってしまった。
郁はスタスタと奥の席にいる女子4人組の所へ向かうと、こう言い放った。
「君たち!!人に意地悪なことを言うとブサイクになっちゃうでしょ?」
勢いよく向かった割には、意外にも子供騙しのようなことを言い放ったので晶は呆れていた。
晶の隣で雄也は見ないフリをしながら洋食セットをモグモグ食べていた。
奥の席にいる女子たちは最初はイケメンが来たと思い喜んでいたが、今ではもうウザくてしょうがないという顔をしている。
完全に嫌われたのだろう。すでにいないものとして扱われている。無視だ。
当の本人、郁はというと全く何事も無かったかのように席に戻って黙々と洋食セットを食べた。
奥の席の女子たちは、ご飯を半分以上残して出て行った。
雄也と郁はすでに黙々と半分以上食べ終わっていたので、晶と梓もそれに合わせるように急いで食べる。
お店から出る時も、教室に戻るまでも、郁たちは無言だった。
何かを気にしているのかというよりは、お昼ご飯を食べると少し眠くなったようだった。
郁にとって、今起きたことは何も特別なことではないようだった。
高等部の学生は、お昼を学食で持ってきたお弁当か、券売機で食券を購入して定食を食べるか、売店で弁当を購入して食べるかが普通だろう。
定食や売店で売っているご飯は300円からある。これはどこの公立の高校とも同じ値段だろう。
しかしここの高校生は食堂で食べることは、めったにないようだった。
お昼休憩を知らせるピアノのメロディーのシャレた鐘がなってすぐに、雄也たちと私は教室から飛び出して階段を駆け下りて校門まで行った。
校門を出ると目の前の青信号が点滅していたので、郁がみんなに「走れ」と言って急かした。
校門は今朝、梓が通った正門とは真逆の方向にあった。一貫校で敷地が広いので、それぞれの学校に校門というものが存在するようだ。
4人が走った先にはおしゃれな看板がたくさん並んだ、小さな小道があった。
看板はご飯屋から洋服・コスメ・美容室などいろいろとあった。どこのお店も看板前に可愛らしいお花が咲いている小さな鉢植えが置いてあり、手入れが行き届いている。
お店から出てくる、お客さんや店員さんもみんな頭の先から靴の先まで手入れが行き届いてオシャレだ。
(ひゃ~ほぼノーメイク、走ったからボサボサの髪なのにこんなオシャレな通りに来ちゃった・・・)
「梓、今日は晴れているからお外でご飯するぞ」
「お外?こんなところに公園でもあるようには見えないけど」
郁がドヤ顔で言っていたので、言い返すのは悪い気がしたけどどこで食べるのかは、ちゃんと聞いておきたいのだ。
「お外って公園のことじゃないよ~」
雄也が優しく教えてくれた。
「ここの通りをもう少し行くと『フォルクス』っていうオレたちの行きつけのご飯屋さんがあるんだ」
晶も優しく教えてくれた。
言われた通りに、ちょっと先に行くと古めかしく重厚感のある看板も出してないお店の入り口らしき扉があった。
お店の中は作り的に昔ながらの喫茶店のようなお店で、お客さんは奥の席にピンクのダブルスーツを着て、ヨーロッパ辺りで流行ってそうな帽子を被った50代くらいの女性、ただ1人だった。
(・・・しまった)
梓はお店に入ってから気付いてしまった。気づくのが遅すぎるのだが、カバンの中にお母さんが入学初日だからと張り切って作ったお弁当が入っているのだ。
「あ・・・あのっ!今日、お弁当持ってきてた・・・!」
梓は勇気を出して3人に言った。
3人は少し驚いたような顔をしたが、すぐに郁が閃いたような顔をした。
「オレが食う!」
今度は郁以外の3人が、とても驚いた顔をした。
「郁~、またそんなこと・・・・・」
晶は相変わらず、梓のことが心配で郁から遠ざけようとしてくれてる。
「とりあえず、注文しよーぜ。お昼終わっちまうよ。・・・・みんな、いつものでいいか?」
晶の心配はよそに、郁は居酒屋で「とりあえず生!」と頼む宴会大好きなオッサンのような勢いで勝手に『フォルクス』特製の洋食ランチセットを人数分頼んだ。
晶と雄也と郁はいつも、洋食セットを頼むのが定番のようだ。梓もそれに合わせて同じものでいいやと思った。
(お弁当は後で、こっそり食べよう)
今は、初対面で外部からやってきた梓に対して優しく接してくれている、彼らに合わせようと思ったのだった。
注文してしばらくすると、コーンスープが先にやってきた。
その後に、サラダとお店の佇まいから想像できない可愛らしいエビフライが添えられたオムライスがやってきた。
梓はその洋食セットを見て、私立のお坊っちゃま高校生たちも意外と子供っぽい食べ物が好きなんだなと思った。
「見て、見て~」
奥の席に座っている同じ制服を着ている4人組の女子がこちらを見ながらコソコソと話しているのが聞こえてきた。
「あの子、高等部から入学してきた子でしょ。」
「男子とばっかつるんじゃって」
「公立から来たんだって。」
「顔も服装も地味だし、一緒にいると恥ずかしいわ。」
何もしてないのに、この言われようである。
女子からは公立出身の転校生は歓迎されてないことは、十分にわかった。
しかし、この場で悲しい顔をしては晶や雄也、あと特に郁。彼らに心配かけてしまう。
ただでさえ郁は、女子の中心人物となる蒼や紗良とは仲良くないようだし。
それに、さっきから郁がこちらをジッと見つめて何かを言いたそうにしている。
手に握られたスプーンからスープもこぼれそうだし。嫌な予感しかしない。
「・・・郁。・・・スープ。」
梓は郁の注意を逸らすため、話しかけた。
「汚ねえなぁ。こぼれてるじゃん。」
晶も郁の気を引こうと、技と厳しく叱る。
ガタッ!!!
梓と晶の心配も虚しく、郁は目をかっぴらきながら、勢いよく椅子から立ち上がってしまった。
郁はスタスタと奥の席にいる女子4人組の所へ向かうと、こう言い放った。
「君たち!!人に意地悪なことを言うとブサイクになっちゃうでしょ?」
勢いよく向かった割には、意外にも子供騙しのようなことを言い放ったので晶は呆れていた。
晶の隣で雄也は見ないフリをしながら洋食セットをモグモグ食べていた。
奥の席にいる女子たちは最初はイケメンが来たと思い喜んでいたが、今ではもうウザくてしょうがないという顔をしている。
完全に嫌われたのだろう。すでにいないものとして扱われている。無視だ。
当の本人、郁はというと全く何事も無かったかのように席に戻って黙々と洋食セットを食べた。
奥の席の女子たちは、ご飯を半分以上残して出て行った。
雄也と郁はすでに黙々と半分以上食べ終わっていたので、晶と梓もそれに合わせるように急いで食べる。
お店から出る時も、教室に戻るまでも、郁たちは無言だった。
何かを気にしているのかというよりは、お昼ご飯を食べると少し眠くなったようだった。
郁にとって、今起きたことは何も特別なことではないようだった。
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