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王城へ
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(まずい……まずいよ)
これまた豪奢な馬車に揺られながら私は頭を抱えていた。
「このままじゃいけない。な……なんとしてもこのバッドエンドフラグを回避しないと……。いや……、待てよ?」
さっきのアルフレッドの様子から察するに現状はまだゲーム開始前だ。
フラグもまだ何も立ってないに違いない。
(これからだったらなんとかなるかも! ……それに!)
そうだ。私はこれまで何回もロマプリを攻略したじゃない!
ストーリーも何回も読んだ、何度もハッピーエンドを迎えた。
それこそセリフの一つ一つまで、そらんじて言えるくらいに覚えている。
「事前にストーリーを知ってるわけだから絶対にフラグを回避できるはず! 」
そうだ……! 今回のゲームでは私は圧倒的強者! 有利な立場にいるのだ。
だからどんな障害があったとしてもきっと大丈夫。
さあ……かかってこいや! 全力で回避して見せる。
「絶対にハッピーエンドにして見せるんだから!」
私は馬車の中で意気込みを込めてガッツポーズをかました!
大丈夫! 今は誰も見ていないし!
「おおっと!」
ぐらりと体が揺れる。やはり馬車の中ではなかなか安定しないらしい。
慣れないハイヒールやふんわりとしたドレスでは動きづらいことこの上ない。
考えてみればいくら中身がオタクJKだと言っても、周りからすれば名家の令嬢なのだ。
表向きは大人しくしていこう。
車窓から外を見やれば白亜の城が遠く視線に映る。
「あ……あれは!」
間違いない。ロマプリのメインビジュアルやロード画面で幾度も見た、ハッピネス城だ。
ここで各攻略キャラクターの甘いイベントや出会いなどが描かれる。ゲーム内でも重要な役割を果たす場所だ。
ほぼ、流れでここまでついてしまったわけだけど、アルフレッドの開く茶会なわけだからそりゃあ場所はお城になるよね。
「……ということは。これからアルフレッド以外にも攻略キャラクターに会うかもしれないよね? イベントも発生する……と思うし。うーん」
具体的にこれからどう振る舞えばいいのだろう。
ストーリーは知っているものの、それはゲーム開始からエンディングまでの間だ。
それ以外は設定資料集やファンブックに書いてある断片的な情報しか持ちえてない。
ゲーム開始前にどう振る舞ったらいいのか……。
それに問題はそれだけじゃない。
フラグを回避したところでリーザとして何エンディングを目指せばいいものか……。
「あ……! そうだ! 一つだけ方法があるじゃない!」
どのキャラクターのルートもリーザは悲惨な最期を迎えるが例外がないわけじゃない。
攻略キャラの好感度を一律まであげきればと、大団円エンディングに至る。
そこではリーザのその後は語られない。生きてるとも死んでるとも書かれないのだ。
ファンの間では国外に追放されたのではないかともっぱらの噂だった。
まあ簡単に言えば大団円ルートではリーザ空気的な存在なのだ。
条件としては全員からの好感度が一定かもしくはキャラ固定ルートを進めても好感度が上がりきらない場合だ。
(そのルートならとりあえずは生き延びられそうね……。それを目指して振る舞うのが当面は良さそう……)
もしくは誰か個別ルートに行くにしても、その前に生き延びれる算段を作り、例えば海外でも生きれるようにするとかだ。
(私がもしうまく生きられるのであれば、そっちもありね)
基本、主人公と恋をすることでキャラは幸せになるのであれば、ファンとしては応援せざるを得ないだろう。
そんなこれからのことをあれこれと考えていると、いつの間にか城に到着していた。
王宮の門がゆっくりと開かれる。
ごくりと喉が鳴る。
なんだか緊張するのは自分の生活とは似つかない高級な場所に行くからか、それともうっかり選択肢を間違えてしまって最悪のエンディングを迎えてしまうかもしれない緊張感からか。
手入れされた庭園に目を奪われながらもドキドキが増していく。
そんな私の心情など御構い無しに、馬車は進みこれまた白亜の豪奢な建物の前へとたどり着く。
馬車を降り、案内された先はハッピネス城の迎賓館だ。
これまた豪奢な馬車に揺られながら私は頭を抱えていた。
「このままじゃいけない。な……なんとしてもこのバッドエンドフラグを回避しないと……。いや……、待てよ?」
さっきのアルフレッドの様子から察するに現状はまだゲーム開始前だ。
フラグもまだ何も立ってないに違いない。
(これからだったらなんとかなるかも! ……それに!)
そうだ。私はこれまで何回もロマプリを攻略したじゃない!
ストーリーも何回も読んだ、何度もハッピーエンドを迎えた。
それこそセリフの一つ一つまで、そらんじて言えるくらいに覚えている。
「事前にストーリーを知ってるわけだから絶対にフラグを回避できるはず! 」
そうだ……! 今回のゲームでは私は圧倒的強者! 有利な立場にいるのだ。
だからどんな障害があったとしてもきっと大丈夫。
さあ……かかってこいや! 全力で回避して見せる。
「絶対にハッピーエンドにして見せるんだから!」
私は馬車の中で意気込みを込めてガッツポーズをかました!
大丈夫! 今は誰も見ていないし!
「おおっと!」
ぐらりと体が揺れる。やはり馬車の中ではなかなか安定しないらしい。
慣れないハイヒールやふんわりとしたドレスでは動きづらいことこの上ない。
考えてみればいくら中身がオタクJKだと言っても、周りからすれば名家の令嬢なのだ。
表向きは大人しくしていこう。
車窓から外を見やれば白亜の城が遠く視線に映る。
「あ……あれは!」
間違いない。ロマプリのメインビジュアルやロード画面で幾度も見た、ハッピネス城だ。
ここで各攻略キャラクターの甘いイベントや出会いなどが描かれる。ゲーム内でも重要な役割を果たす場所だ。
ほぼ、流れでここまでついてしまったわけだけど、アルフレッドの開く茶会なわけだからそりゃあ場所はお城になるよね。
「……ということは。これからアルフレッド以外にも攻略キャラクターに会うかもしれないよね? イベントも発生する……と思うし。うーん」
具体的にこれからどう振る舞えばいいのだろう。
ストーリーは知っているものの、それはゲーム開始からエンディングまでの間だ。
それ以外は設定資料集やファンブックに書いてある断片的な情報しか持ちえてない。
ゲーム開始前にどう振る舞ったらいいのか……。
それに問題はそれだけじゃない。
フラグを回避したところでリーザとして何エンディングを目指せばいいものか……。
「あ……! そうだ! 一つだけ方法があるじゃない!」
どのキャラクターのルートもリーザは悲惨な最期を迎えるが例外がないわけじゃない。
攻略キャラの好感度を一律まであげきればと、大団円エンディングに至る。
そこではリーザのその後は語られない。生きてるとも死んでるとも書かれないのだ。
ファンの間では国外に追放されたのではないかともっぱらの噂だった。
まあ簡単に言えば大団円ルートではリーザ空気的な存在なのだ。
条件としては全員からの好感度が一定かもしくはキャラ固定ルートを進めても好感度が上がりきらない場合だ。
(そのルートならとりあえずは生き延びられそうね……。それを目指して振る舞うのが当面は良さそう……)
もしくは誰か個別ルートに行くにしても、その前に生き延びれる算段を作り、例えば海外でも生きれるようにするとかだ。
(私がもしうまく生きられるのであれば、そっちもありね)
基本、主人公と恋をすることでキャラは幸せになるのであれば、ファンとしては応援せざるを得ないだろう。
そんなこれからのことをあれこれと考えていると、いつの間にか城に到着していた。
王宮の門がゆっくりと開かれる。
ごくりと喉が鳴る。
なんだか緊張するのは自分の生活とは似つかない高級な場所に行くからか、それともうっかり選択肢を間違えてしまって最悪のエンディングを迎えてしまうかもしれない緊張感からか。
手入れされた庭園に目を奪われながらもドキドキが増していく。
そんな私の心情など御構い無しに、馬車は進みこれまた白亜の豪奢な建物の前へとたどり着く。
馬車を降り、案内された先はハッピネス城の迎賓館だ。
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