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ハートの王様

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 (緊縛/目隠し/羞恥/視姦/言葉責め/玩具責め)



 目が覚めたら見知らぬ部屋に寝かされていた。赤と黒と白で構成された部屋はとても派手で寝起きには少々きついが、寝覚めは悪くなかった。
 どうしてここにいるかは覚えていないが、多分ぐっすりと眠ることが出来たのだろう。自分の身体を見下ろせばきっちりとエプロンドレスを身に纏っており、足の付け根にそっと手を伸ばしたところきちんと下着もつけていた。
 どうやら身体も綺麗になっているようで、とてもさっぱりしている。見知らぬ誰かに知らない内に世話をされていたと思うと少しばかり恥ずかしいような、怖いような気持ちになった。ちなみに胸は大きいままだった。まだ母乳出るんだろうか……。

 「目が覚めたようだな」

 私が呆然としているとノックも無しにドアが開かれ、見知った顔の男が入室してきた。帽子屋だった。どうやら彼が私をここに運んだらしい。曰く、ミルクを盗んだ犯人として兵士に突き出すために連れてきたのだという。
 とんでもない言いがかりである。そもそも私は好きで飲んだわけではないし無理矢理補填だってさせられたのに、何故兵士に突き出されなければいけないのか。
 慌てて弁明しようとした私の言葉を遮るように手を上げた帽子屋は続けてこうも言った。そうでも言わないと三月ウサギは延々と私を犯し続けただろう、と。
 どうやらそういう建前の元、私はお茶会の会場から連れ出されたようだ。

 「あのままあそこで永遠に盛られ続けるよりは良いと思ってわざわざ連れ出してやったんだ。それともひたすらにアイツに犯される未来をお望みだったのか?」
 「え、あ、いや、ご、ごめんなさい??」

 一応私を連れ出したのは帽子屋なりの善意?だったらしい。
 そもそも私が居るといつまで経ってもお茶会が始められないと愚痴を漏らす彼に話の続きを促したところ、どうもそうして連れ出した私の存在をハートの王様が小耳に挟んだそうだ。
 そして興味津々になった王様が目覚めた私を見たいと言い出したのだと、ため息混じりに帽子屋が教えてくれた。なるほど。どおりでこんな所に寝かされていたわけである。

 「そういう訳で城の奴がお前の身なりを整えたんだ。あんな見るに耐えない姿を陛下の前に出すわけにはいかないからな」
 「そんなに酷かった、ですか?」
 「三月ウサギの精液に塗れた挙句下着もまともにつけていない痴女だぞ。陛下の御前に出せるわけないだろうが」
 「うっ、すみません……」

 呆れたように指摘された事実は反論の余地がなかった。 
 それから軽い食事を取り、帽子屋に連れられて行ったのは何故かお城の庭だった。といってもとても広い。何でも生垣で作った迷路まであるそうだ。
 しかし今目指しているのは別の場所。何でも今陛下はクロッケーを楽しまれているそうで、私はそちらに足を運ぶ必要があるらしい。思ったよりフランクな王様なのかもしれない。

 「今のハートの王はたった一人で国を支えられていらっしゃる素晴らしいお方だ、失礼のないように。特に盗み食いはするんじゃないぞ!」
 「そんなことしないから!」
 「僕の用意したミルクを勝手に飲んだだろう!」
 「あれは三月ウサギに無理矢理飲まされたの!」

 帽子屋と喧嘩しつつ辿りついた中庭では、フラミンゴを木槌代わりにしてカラフルなハリネズミを叩いて遊んでいるらしい王様が居た。
 その側には兵士や使用人の人が控えている。そのお陰でその中心に居る人が高貴な人物なのだと一目で解った。

 「来たか! 待ちかねたぞ帽子屋!」
 「お久しぶりです、陛下。お待たせして大変申し訳ございませんでした」

 声をかけられたところで足を止め、恭しく頭を下げる帽子屋。それに習い、私もまた見よう見まねで頭を下げた。
 王様はそんな帽子屋に何か言うことなくフラミンゴを手から離し「そこの女」と私を呼ぶ。そして「近づくことを許す」、と偉そうに言った。いや、実際偉いんだろうけど、本当にこんな偉そうに言う人は初めてなので戸惑ってしまう。
 帽子屋に背中を押され、恐る恐る一歩、二歩と足を踏み出す。兵士の人たちに見下ろされながら近づいた王様はとても美しい人だった。理知的な青い瞳と艶やかな黒髪、そして完璧に整った顔立ち。すらりと背も高く足も長い。どんな豪華な衣装も彼の前では霞むだろう。

 「なるほど、悪くない顔立ちだ。ああ、挨拶はいい。女、もう少し近くに来い」

 その美貌に見とれそうになりながらも言われたとおりに近くに行けば、手袋に覆われた指でぐっと顎をとられた。
 見たこともない美形にじっくりと顔を見られているという事実に顔から火が出そうで今すぐ逃げ出したかったが何とか耐える。相手は王様だ。失礼があってはいけない。

 「ふむ。しかし幼い顔立ちだ。まるで子供だな」
 「こ、子供じゃないです。成人だってしてて、」

 反射的に言い返したのは特段深い意味はなかった。子ども扱いされるのがイヤで、言い返しただけ。
 けれどその言葉を最後まで言うことはできなかった。彼の美しい顔が不機嫌そうに歪んだから。
 美形が怒ると怖い。間近でそれをまざまざと見せ付けられ、私は言葉を失ったのだ。震える私に向かって、王様はゆっくりと言葉を紡ぐ。

 「私は近づくことは許しても口を利くことを許した覚えはない。そなたは客人ゆえ此度は見逃すが、次は罰を与える。以降、気をつけるが良い」
 「は、はひ……」
 「間抜け面だな。ふん、まぁいい。外からの客人は久しぶりだ。黒髪の女は幾年ぶりか」

 そう言って王様は顎から手を離し、くすりと笑って私の髪を一房手に取るとくるりと指を絡めた。
 見逃すという言葉通り、今回限りは許してもらえるのだろう。既に彼の顔に怒りの色はなかった。そのことにホッとしつつ、私の髪を弄ぶ指をちらりと見る。
 しばしの間何かを楽しむように指を動かしていた王様だったが、いいことを思いついたというように笑顔になった。

 「そうだ。丁度良い。公爵夫人がいつまで経ってもやってこないことに痺れを切らしていたところだ。たまの息抜きに相手もおらぬなど退屈なことこの上ないからな。お前に私とゲームをする栄誉をやろう。外からの客人といえどこれほどの幸運を手にしたものはなかなか居ないぞ? 光栄に思うがいい」
 「えっ、あ、あの。大変ありがたいことではあるんでしょうけど、私クロッケーなんてしたこと、」

 なくて、と言おうとした台詞はしゅるしゅると萎んでいった。冷たい青色の瞳に睨みつけられたからだ。
 感情の切り替えが早すぎやしないだろうか? 小さくなって震える私に対し、王様は目に見えて不機嫌そうな顔で私を見下ろした。

 「此度の客人はよほどの馬鹿と見える。つい先程教えてやったことも忘れたか? お前に許される発言は『はい、陛下』の一言のみ。それ以外の言葉を発したければ私の許可を取らねばならない。たとえお前が客人でもだ」
 「は、はい……陛下」
 「ふん、ようやく理解したか。だが遅い。お前には罰を与える。しかし客人の首を跳ねるわけにもいくまい。女子の身体に傷を残すのもまずかろうな。ふむ、では恥辱を与えることとしよう。兵士よ、こやつを取り押さえて足を大きく開かせて固定し、そこのテーブルの上に乗せろ。帽子屋、貴様も手伝え」
 「「「はい、陛下」」」

 この時私は産まれて初めて自分の血の気が引いていく音を聞いた。にやりと笑った王様が悪魔に見えた。
 こうして抵抗空しく兵士によって拘束された私は、恥辱に塗れた姿を晴れ空の下に晒すことになったのだ。

 赤いベルトが肌に食い込む。足首と手首に巻かれたベルトを繋ぐ鎖が身じろぎをするたびに耳障りな金属音を立てる。
 抵抗空しく兵士達に捕まった私は足をM字型に開かされ、固定された。衆人環視の中、恥辱的な格好を取らされていることが恥ずかしすぎて涙が出そうだ。
 私を拘束するのを手伝った帽子屋に「人の忠告を台無しにしやがって、この阿呆が」とこっそり怒られたが私から言わせれば王様が短気すぎるのだ。私はただただ自分はクロッケーをやったことがないから、王様のお相手はできませんと言うつもりだったのに。

 それなのに全肯定しか認めないって、あまりに横暴が過ぎるではないか。心の中だけで王様を罵っている間にも、更に赤い縄で全身を縛られていく。
 胸を強調するように上半身は縛り上げられ、曲げた足を固定するように太ももとふくらはぎに縄が巻かれ、更に動かすことが出来なくなった。ぎちりと食い込む縄が痛くてろくろく体も動かせない。

 兵士が持ってきた椅子に腰掛け、青空の下縛り上げられた私を観賞する王様は悪趣味としか言いようがないだろう。テーブルの上に何かの作品のように乗せられた私は奥歯を噛み締めながら王様を睨みつけていたら、ため息をついた帽子屋に目隠しされてしまって睨むことすらできなくなった。おのれ帽子屋。
 見られている。名前も知らない赤の他人に囲まれ、赤い縄で女を強調するように身体を縛り上げられ、身動きできなくなった私を見られている。
 視界を奪われても解る、体に突き刺さる視線。恥ずかしくて心臓がドキドキとうるさくて、これから何をされるのかと思うと怖くて泣きたくて……子宮が、きゅんと疼いた。

 「震えるほどに恐ろしいか。だが罰は与えるぞ。恥辱に泣き喚き、己の愚かさを悔い改めるがよい。帽子屋」
 「はい、陛下」
 「お前がやれ。得意であろう?」
 「はい、陛下」

 一体何をされるのだろう。王様に命じられた帽子屋が私に何かをするらしいが、彼が何が得意かどうかなど欠片も知らない私は静かに震えるしかない。
 すると誰かの手が私の服に手をかけた。ぷちりぷちりと前ボタンが外され、ブラウスを脱がされていく。ふるりと乳房が露わにされ、優しい風が素肌を撫でる。青空の下に素肌を露わにさせられたことにカッと頭に血が上る。

 「やだ……やめて……っ」
 「お前が悪い。黙って罰を受けろ。抵抗すれば更に罪が重くなるだけだぞ」

 私の懇願は届くことなく、それどころか何かひやりとしたものが硬くなっていた乳首を覆うように貼り付けられる。見えないが、電極パッドのようなものだろうか。貼り付けられた物の中に硬い何かがあって、それが乳首を押しつぶしているのが微妙に気持ちがよい。
 そしてかちりと軽い音がしたかと思うと乳首に震動が与えられ、私は突然の刺激にびくりと身体を震わせた。低い音を立てながら乳首全体に与えられる震動。恐らく乳首を押しつぶしている硬いものが震動し、パッドがそれを胸に固定しているのだろう。直接乳首に与えられる刺激に私は咄嗟に飛び出しかけた嬌声を噛み殺していた。

 「んっ、ふ……ぅ、ん……っ」
 「ほう、声を堪えるか。良いぞ、許す。堪えられるならば堪えてみよ。そこの帽子屋は偏屈ではあるが我が国一番の職人よ。その帽子屋が作りあげた機械から与えられる快楽を堪えられるというならば堪えてみせるが良い」

 なんとこのパッドは帽子屋の手作りだったらしい。驚きながらもじんと身体に響く甘い電流に漏れそうになる声を噛み締めるのに精一杯で何も言い返すことが出来なかった。
 同じようなパッドが内腿に、乳房に張られていき、同じように微弱な震動を身体に与える。くすぐったいような気持ちいいような絶妙な刺激に身じろぐものの、縄が身体に食い込むだけで終わる。

 「んん……っ、はぁ……っ、ぁ……ぁ、んっ」
 「良いな。お前が身体を捩る度に柔肌に赤い縄が食い込んでいる。女特有の美しさだな」
 「やぁ……っ」

 そんなこと言わないで。そう思うのに王様の声は楽しそうだった。それも恥辱を与えるためなのかもしれないが、聞かされるコッチはたまったものではない。
 じゅんと蜜壷が疼いた。それを見透かしたようにそっと下着の上から秘部を撫でられる。怯えるようにびくりと肩を跳ねさせるも、指先はすりすりと下着をなで続けている。

 「濡れているか」
 「はい、陛下」
 「ふん、とんだ淫乱だな。この状態で発情するとは、流石はこの国に足を踏み入れた客人といったところか」

 どういう意味だろう。王様の言葉が理解できず内心首を傾げていると、下着を撫でていた指が離れていった。そして体に貼り付けられたパッドとはまた違う稼働音が耳に届く。
 ブィィンという音はすぐに近づいてきたかと思うと、震動をたたえながら下着の上から肉芽を押しつぶしてきた為、ようやくそれがローターの稼働音であると理解した。

 「ひぁっ、ぁ……んっ、んんーっ……ふあっ、ぁ……ぁっ、強い……っ、んっ♡」

 敏感な部分に与えられる直接的な刺激に私は身体をくねらせたが、ローターは離れてくれない。それどころか強く押し付けられ、私は背中を駆け上がる快感に喉を震わせる。
 唇を噛んで声を抑えようとするもののうまくいかず、甘い吐息を漏らしながら衆人環視の中小さな機械に翻弄された。見られているのだからせめて声は抑えたいと思うのに、身体に突き刺さる視線が更に私の快感を煽るのだ。
 私がこんな小さな機械一つで喘ぎ打ち震える姿をたくさんの人が見ているのだという事実がスパイスになり、全身に走る痺れるような快感を増大させる。甘美であり、同時に背徳的で、そして恥辱的な事実。
 貼り付けられたパッドから与えられる震動が一層強くなり、強く拳を握り締めながら必死に声を堪える。

 「っ、くぅ……ふぅ、んっ……んんっ、ぁ……ぅあ……っ♡ はぁ、んっ♡」
 「どうした? 果てるならば果てるが良い。コレだけの男に囲まれて身悶えることが出来る淫乱ならば容易いことであろう?」

 王様の意地悪な言葉にぞくぞくとした快感が背中を駆け上がる。恥ずかしいことだ。恥ずかしいことの筈なのに、それが気持ちがいい。
 そんな自分が受け入れがたくていやいやと首をふるものの、肉芽に押し付けられたローターの振動数が上げられてしまえばこみ上げてくる絶頂感。がくがくと震える腰が、言葉にしなくとも私が果てそうなことを全員に伝えてしまう。

 「~~っ♡ ぁ……っ♡ ──ぅ、んっ、はぁ……っ、やっ、んん……っ♡♡」

 ぐっと拳を握り締め、ピンと足の指を伸ばし絶頂する。果てた瞬間の嬌声を飲み込めたことにホッとしたのも束の間、肉芽に押し付けられたローターが離れてくれないことに私は再度腰を跳ねさせた。
 手足は動かせずとも腰は動かせる。しかし執拗に私の肉芽を押しつぶしてくるローターから逃げ出すことは出来ず、イったばかりの身体には強すぎる刺激についに私の唇から嬌声が漏れた。

 「んぁあっ♡♡ ぁ、ぁーっ♡♡ 止まって♡ イった♡ イったからぁっ♡♡」
 「なんだ、我慢はもう終わりか。随分と脆い自制心だな」
 「ふあっ、ぁ、ぁあーっ♡♡ くりっ、くりちゃん、やぁっ♡♡ ぁ、あ、あっ♡♡ またっ、またくるっ、またきちゃうっ♡♡ きちゃぅっ、すぐイっちゃう♡♡ ぁっ、あーっ♡♡ きゃぁんっ♡♡♡」

 瞼の裏に火花がばちばちと散った。間髪入れず与えられた二度目の絶頂に子犬の鳴き声のような悲鳴が漏れる。
 びくん、と体を跳ねさせたところでようやくローターは離れていき、強い快感から逃れることが出来た私は必死に呼吸をした。連続した絶頂は何度体験しても慣れない。

 「恥も外聞もない客人だな。これだけの人間に見られていながらもあられもなく喘ぎ、果てるなど。羞恥心はないのか?」
 「ぁ……♡」

 余韻に浸っている中、嘲るような王様の言葉でようやく見られているのだという事実を思い出す。気持ちよさに溶けた頭で忘れていられた事実を突きつけられ、私は浅い呼吸を繰り返しながら後ずさるように身じろいだ。
 が、しゃきんという軽やかな音が私の逃亡を阻害する。

 「動くと肌が傷つくぞ」

 それがはさみの音だと気付くのに時間は要らなかった。乳首や内腿に張り付いていたパッドが外されたかと思うと、ショーツを切るために宛がわれる冷たい刃の感触。
 やめて、と言う前に無情にもはさみは閉じられた。軽やかな音を立て、呆気なく布は裁たれる。心地よい風がびしゃびしゃに愛液を溢れさせた秘部を撫でた。

 「やっ……いやぁ……っ」
 「ふん、だらだらと涎を零してしまりのないことだ。そなたのような淫乱には最早恥辱も快楽にしかならぬか。これでは罰にならぬな」

 王様の言葉が私を追い詰める。恥ずかしくて死んでしまいたい。そう思うのに現状を口にされるたびにぞくぞくとしたものが背中を駆け上がるのを止められない。
 私は見られて気持ちよくなっている。その事実が果てしなく私を追い詰めていく。

 「そのようにひくつかせて、もっとくれとねだっているつもりか? まだ触れてもいないのに蕩けているようだが、ここに来るまで一体どれだけの男を誑かしこんできたのやら」
 「んっ、違う……誑かして、ない……っ♡」
 「ほう。帽子屋」
 「はい、陛下」
 「その体で男を誘っていないなど白々しいことこの上ない。現にこれだけの視線を感じながらも萎縮するでもなく、早く男を咥えこみたいとはしたなく強請っているではないか。違うというのであれば拒否してみせるがいい」
 「んあっ!? ぁ、ぁ……あっ♡」

 王様の言葉とリンクするように蜜壷にねじ込まれる異物。ごつごつしたそれは愛液で満たされた中を掻き分け、内壁を擦りあげて私を身悶えさせた。
 この世界に着てから降りっぱなしの子宮口にあっさりとたどり着き、ちゅぅと先端同士がキスをする感覚。それだけでは飽き足らず、もっと奥に入れろというように抉るように中を押し上げられて私の腰は何度も跳ねた。
 それから何度か抜き差ししてそれ以上入らないことを確認した後、またかちりという軽い音と共に中に入っていたものが無遠慮に震え始める。子宮口にダイレクトに与えられる快感に私は一際甲高い声を上げ、腰をくねらせた。

 「ひあっ!? ぁっ、ぁああっ♡♡ あっ、ぁあーっ♡♡ あっ、ひぅっ、ん♡♡ あっ、あぁーっ♡♡ きもひっ、ぁっ、ぁあーっ♡♡」

 それだけではない。中をかき混ぜるように動くそれは人間相手では得られない快感だった。見られているという事実は最早ただのスパイスでしかなく、中をかき乱すそれから与えられる快感に夢中になる。
 ぶぶぶと震動音を響かせながら内壁を擦りあげ、蜜壷に響く震動に腰が砕けそうだ。腰から全身に響く快感に全身が強張り、手首と足首を繋ぐ鎖がピンと張り詰めた。身悶えすぎて後ろに倒れそうになったのを誰かが支えてくれなければ、私は机の上で無様に転がっていただろう。

 「テーブルクロスが台無しだ。この色狂いめ」
 「ぁっあ♡♡ あっ、ごめっなしゃ♡♡ あっぅああっ♡♡ はぁっん、ぁっ、あっああっ♡♡ イくっ、またイくのっ、くるっ♡♡ イっちゃぅうっ♡♡♡」

 罵倒されることすら気持ちよくて、こみ上げてくる絶頂感に抗うことなく私は三度目の絶頂に酔いしれた。しかし中をかき乱す機械は止まることなく、それどころか乳首を何かに挟まれる痛みにびくりと肩を跳ねさせる。そして間髪入れずに挟まれた乳首に与えられる震動。休憩を入れるどころか増大した快感に私は腰をふることしかできない。
 にも拘らず今度は肉芽を吸い上げられる感覚に引き連れたような悲鳴が喉から迸った。ミルクを搾られた時のようにきつく吸い上げられる感覚からして、何か吸引機のようなものが肉芽にも取り付けられたのだと気付くのに随分と時間がかかった。
 
 「ぁっぁあーっ♡♡ あっぁあっ♡♡ はぁっあっきもひ、あ、ぁあっ♡♡ きもちぃ、あっんぁっ、やぁんっ♡♡」

 はしたないだの淫乱だの言われている私の体が強くなった快楽に耐えられる筈がなかった。イったばかりの身体を更に追い詰めるように取り付けられた器具により迸る快楽は更なる荒波となって私の身体を飲み込み、頭の中を真っ白に染め上げながら瞼の裏でスパークが散る。
 がくがくと震える腰を叱咤するように僅かに抜けかけていたものを再度押し込まれ、きゅぅきゅぅと無機物を締め付ける蜜壷が悦んでその先端に吸い付く。この世界で散々嬲られた身体は快楽に従順で、それどころか精液が欲しいというように子宮が疼いてたまらない。
 中途半端に開かれた掌はその実指先まで力が入っていて、何かを求めるように蠢いている。私が身を捩る度に乳房はふるふると揺れ、周囲からはさぞ淫乱に映ったことだろう。

 それが解ってはいてもイったばかりの中をかき混ぜられ、肉ひだ一枚逃すまいというように強い振動を叩きつけられることに耐えられなかった。震える腰に伝う汗の感覚すら今の私には絶頂へのスパイスでしかなく、中の物をきつく締め付けるあまり時折震動が止まっていることが惜しくすら感じる。
 頭の中が『気持ちいい』だけで支配されてしまえば後はもう堕ちることに躊躇いはなくて、連続絶頂の苦痛すらも愛おしく感じてしまう。だってその後に待っている絶頂があるというだけで、私の中で全てが許されてしまうのだ。
 バチバチと瞼の裏ではじけるスパークを眺めながら、もう戻れないのかもしれないと頭の片隅でぼんやりと考える。しかし全身に走る甘い痺れがその思考すら侵すのだ。別に戻らなくてもいいのではないかと。

 「うあっ、あっ♡♡ んっんんっ♡♡ はっ、ぁ──ひっん♡♡ あっ、また、またぁ♡♡ きもひぃのくるっ♡♡♡ くるぅっ♡♡♡」
 「ふむ、まるで罰になってないな」

 中をかき乱すものをきつく締め付けながらもう何度目か解らない絶頂を迎えた。
 同時に目隠しを外され、突然の明るさに目を瞬かせる。そして潤む視界の中見えたのは隠し切れない欲を孕んだ瞳で此方を見てくる何人もの人々と、善がり狂う私を嘲笑うかのように舌なめずりする視線。それにぞくぞくとしたものを感じて、腰をくねらせている時点でもう私は戻れなくなっていたのかもしれない。

 「はひっ、ぁ~~っ♡♡ はっぁん♡♡ あ、ぁ……ぅうんっ♡♡ うあっ、ぁっ、あーっ♡♡♡ くるひっ、あ、ひあっぁっ♡♡♡ うぁっ♡♡」

 濡れた視界の真ん中で何か思案顔の王様が帽子屋に指示を出す。もう何を言っているかも解らない。耳を犯すのは私の蜜壷から聞こえる卑猥な水音と、ひっきりなしに喉から漏れる自分の喘ぎ声だけだ。
 時折聞こえるぶちぶちと何かが千切れる音は私の理性の糸か何かかもしれないが、『気持ちいいなら別に良いじゃないか』と本能が囁く。
 そうして身悶えていると不意に背後から私を持ち上げる逞しい腕。全身縛り上げられたままなので抵抗すらできないまま、中庭のあちこちにある外灯へと運ばれた。

 これから何をされるのかと不安と期待の入り混じった胸中など誰も意に止めることはなく。恐らく王様が出した指示通りに兵士の人たちによって全身を縛っていた赤縄が緩められたかと思うと、中をかき乱していた玩具も取り出される。少し寂しいそしてその代わりとでも言うように帽子屋が手に持っていたのはまた別の玩具だ。
 ぼやけた視界で見えたのは、取っ手の着いた丸いボールのようなものから男性器を模したシリコンが突き出している少し滑稽な形のものだった。取っ手の部分に縄を通して私の両足にそのボール部分を固定すると、同時に中にずぶずぶと中に入り込んでくるそれ。
 シリコン生のそれは硬くは無かったが充分な太さを有しており、同時に深いカリ首と適度な凹凸が内壁を刺激して入れられるだけで気持ちがいい。今だ絶頂の余韻が引かない体ではそれだけでも充分な快楽だった。

 「はぁ……っ♡♡ ぁ、ふとぉ、い♡♡ あっ……んっ♡♡」
 「ふん。これの凄さはそれだけじゃないぞ」

 私が漏らした声に誇るような声で告げる帽子屋は玩具が私の足にしっかりと固定されているのを確認すると、次に私の背を外灯の柱につけ縛り上げ始める。
 私は腕を後ろ手に縛り上げられた状態で外灯に磔にされる形になり、碌々身じろぎも出来ない状態になったところでようやく足の間に挟んでいる機械のスイッチが入れられた。
 途端に今までとは違う音を上げながら機械が動き出す。微弱な震動と共にとんっ♡ とんっ♡ と緩やかなピストン運動を始めた機械に、私の身体は歓喜に震えた。

 「ぁっ♡♡ あっ、ぁーっ♡♡ はっ、あっ♡ あっ、とんとんっ♡♡ してる、ぅっ♡♡ はぁっ♡♡ ぁ、熱、んぁっ!?♡♡♡」

 硬く柔いシリコンが子宮口を優しくノックする快感に恍惚としていたら、まるで吐精するかのようにどぷんっ♡ と中に熱いものが出されたことに目を白黒させる。
 けれどそれすら気持ちよくて、ブルリと震えながら中を満たされる充足感に顔を蕩けさせているといつの間にか目の前に王様が来ていた。

 「お前に恥辱が恥辱とならぬことはよく解った。良く聞け客人よ。これから三時間、お前をここに固定する」
 「ふあ、ぁ、あー……っ♡♡ はっ、ぅ??♡」

 一体彼は何を言っているのだろうか。快楽で馬鹿になった頭では理解が追いつかず、しかし自分に話しかけられていることだけは解ったので必死に耳を傾ける。
 そんな私を見下ろしてにんまりと笑ったかと思うと、王様は大きく開いていた私の口の中、唾液の滴る舌べらを容赦なく摘み上げた。驚きに身を捩るも手袋が濡れることも気にせずに王様は私の舌を離そうとしない。
 舌を引っ張られた私の顔を無理矢理上に引き上げた王様は、心底楽しそうな顔でこう私に言った。

 「三時間もあれば準備も整うだろう。準備が整い次第、お前の裁判だ。お前がこの国に相応しい女かどうか、この私が直々に確かめてやろう。それまで精々この玩具と遊んでいるが良い」
 「んっ、ぅー……ふ、ぅ♡ それって、どういっ♡♡ ぁっ♡♡♡ んぁあっ♡♡ はっ、ぁっ、あんっ、あっ、ぁあっ♡♡♡」

 機械からの刺激が弱いことが幸いしてかろうじて戻ってきた理性が王様の言葉の意味を理解しようと奮闘した。しかし舌が離されたとたんに帽子屋がピストン運動のスピードを早めた為、私の口からは喘ぎ声しか出なくなった。
 どちゅっ♡ とちゅっ♡♡ と先程よりも早いペースで突き上げられ、その度に子宮口が悦んでまがい物の男性器をくわえ込もうと口を広げて待っている。
 凹凸を描くシリコンが出入りするたびにごりごりと内壁を抉る。時折先端から吐き出される熱い潤滑液を精液と勘違いしているのか、私の子宮が歓喜に咽び泣きながら愛液を垂れ流す。
 一度小休止を挟んだせいだろうか。先程よりもダイレクトに響く快楽が何も考えるなと私に言っているようだ。

 「ぁっぁあーっ♡♡♡ はげしっ♡♡ はっぁんっ♡♡ ぁっ、あっああっ♡♡ あっ、んぁあっあ、うぁっ♡♡♡♡ ぁ、あ、イっ──ぁああぁあっ♡♡♡♡」

 足に縛り付けるようにして固定されている為、どれだけ腰を振ってもこのピストン運動から逃れられることは出来ない。
 時折ぐぽっ♡ と子宮口にはまり込む先端が同時に中に潤滑液を吐き出した時などそれだけでイってしまった。絶頂と同時にどれだけ締め付けても今度の機械は止まってくれず、それどころかきつく締め付けることでその形状をリアルに感じ取ってしまい快感が上乗せされる。
 そうして身悶えていると私を無視し、王様は言いたいことだけ言うとお付の人たちを連れてさっさと帰ってしまった。私は人通りのない中庭に縛り付けられたまま、三時間の間終わらない快楽地獄にひたすら身悶えることしか出来なかった。



 そしてきっかり三時間後──精根尽き果てた私は裁判所へと引き出されることとなる。

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