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第三章 悪役令嬢は学院生活を送る
188.悪役令嬢はお母様と仕合う
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あれから数日して、私は魔導剣のアップデートを完成させ、お母様に見せて合格を頂いたので、お母様、お父様の分もアップデートし、お母様に納品すると、お母様から「久しぶりにやりましょうか」と、にこやかに言われ、私はその圧に思わず半泣きになりつつ、我が家の秘密の訓練場へ向かう事になった。
「さて、以前より魔力の通りが良くなったのは例の術式に変えた効果は凄いわね」
「ですよね。今までの起動時より魔力の消費量が10分の1を超えると思います」
そう言いながらお互いに魔導剣を起動して軽く何度か振って、使い勝手を確かめる。うん、テストで何度か振ってはいるけど、思わずこういう時は確かめたくなるモノよ。
「さぁ、来なさい」
と、お母様は何気なく立っている雰囲気だけど、その隙はほぼ無い。こういう時の攻め手というのは速度で翻弄するか、力押しするか――だけど、お母様にはどちらも効かないのは知っているんだけど、特に魔法無しだとね。
でも、ここは速度と力押しのいいとこどりで行くしか無いわね。
私は身体強化全開でお母様へ一直線に突進し、お母様の攻撃範囲に入った瞬間にブレーキを掛けてお母様の動きを誘う。けれども、お母様はそんな子供だましには掛からない――と、思った瞬間、お母様がゆらりと動き、即座に私は魔導剣を右に振り、強い衝撃を受け止めながら身を後ろへ移動させる。
「キチンと術式は機能しているようね」
「意地悪なお母様」
今回追加した機能は魔力の刃の効果に物理、魔法に対する反発効果を入れたことによって、魔力の剣でも物理的に防御可能になった点よ。魔導剣同士であれば元から魔法による反発効果によって防御出来たわけだけど、実剣であったとしても、同様に効果が発生するようにしたって感じなのよね。
それにしても、お母様は剣の扱いも上手い。まぁ、あの女王キャロラインと同等レベルであるのは知っているけれど、お母様を前にすると大人と子供なのは仕方ない思ってしまうわ。もっと速度を上げるしか無いわね。
と、私は身体強化の効果をさらに追加して、フェイクを混ぜながら突進、急制動、急回転などを繰り返しながらお母様の隙を狙うけれど――も、お母様の誘いに乗ってしまい素早い斬撃が私の剣を狙ってくる。それを私は受け止めながら地面を蹴って後ろへ飛び、距離を取り直す。
「悪くは無いけれど、まだまだね。攻めるのであれば、こうするべきよ」
お母様は静かにそう言うとスッと剣を構え、私はそれに反応し防御姿勢を取るがその瞬間に既に目の前にはお母様はおらず、すぐ横にお母様の気配が現れ、スッとデコピンが私のオデコにヒットする。
「ひぅっ!!!」
その衝撃で私は吹き飛んで空中で姿勢を変えるけれど、そこにお母様の気配を感じて即座に対応し、その気配を読む――気配を読むというのも何となくでしかないけれど、魔力の流れなどを感じる事が大事だとお母様からの教えだ。
「集中しなさい!」
「は、はいっ!」
これも、お母様からの指摘だけど、私には戦闘中に考え過ぎるきらいがある。後衛の時は必要であっても、前衛の時はその無駄な思考が一瞬を遅らせる傾向があり、お母様が当然、手加減してくれているのは分かっているけれど、それでも防戦一方になってしまう大きな要因になっている。
「一連の流れを受け止めながら、まず身体を動かしながら考えなさい」
「は、はいぃぃっ」
お母様のしなやかな動きは身体強化を行っているとは思えないほど――いや、身体強化使ってるよね、お母様?
人の動きというのは身体強化を使っていると少し不自然な感じがあるのだけど、魔力操作が上手ければそこをカバーすることが出来るわけだけど、お母様の場合、身体強化を使っているかどうかさえ分からない程に自然体なのよね。んー、これが達人の技ってヤツなのかもしれない。
「また、別の事を考えているわね」
と、再度お仕置きのデコピンを喰らって吹き飛ぶ。ってか、デコピンなのに威力は砲弾を喰らったくらいに痛い。身体強化と後方に飛ぶことで威力を減らしているのに、目からチカチカした光が飛ぶくらいに痛い。くぅっ、もうっ、さすがに痛いわよお母様!
私はクルリと空中で姿勢を整えて、着地と同時に弧を描くように移動しつつ剣を振るってお母様がそれを受け止めるタイミングを見計らって剣を流しながら横軸に対して身体を回転させて、さらに斬り込む――けど、お母様はそれを剣で受け止めて今度は私がやったように受け流すように見えたけれど、私の身体がふわりと浮いて地面に叩きつけられる。
剣を使って空気投げって出来るんだと、思わず考えつつ衝撃に肺の空気が一気に吐き出され痛みに一瞬意識が飛んだ。
「ちょっとやりすぎたかしら?」
お母様はそう言いながら即座に回復魔法を掛けて、私の痛みはどこかへ飛んでいく――わけだけど、気持ち的に立ち上がる事が出来ずに大きく息を吐いた。
「大丈夫ですが、さすがにお母様に勝てる気がしないって再認識させられました」
「そんな事ないわよ。貴女はまだ子供なのだから、もっと強くなるわ。それに魔力も私が思っている以上に増えているようだし」
「まぁ、そこは頑張りましたから」
と、話しながらお母様から手を差し伸べられて私はその手を取って立ち上がる。ついでに浄化の魔法を使って身体に付いた汚れをサッと落としておく。ま、この辺りも訓練の賜物ね。
「これからは剣の鍛錬も少し増やしましょう。因みに我が家が負けるなんてこと、許しませんからね?」
お母様はそう言って、とびっきりの笑顔で圧を掛けて来るのであった。うん、死ぬ気で頑張ります。
「さて、以前より魔力の通りが良くなったのは例の術式に変えた効果は凄いわね」
「ですよね。今までの起動時より魔力の消費量が10分の1を超えると思います」
そう言いながらお互いに魔導剣を起動して軽く何度か振って、使い勝手を確かめる。うん、テストで何度か振ってはいるけど、思わずこういう時は確かめたくなるモノよ。
「さぁ、来なさい」
と、お母様は何気なく立っている雰囲気だけど、その隙はほぼ無い。こういう時の攻め手というのは速度で翻弄するか、力押しするか――だけど、お母様にはどちらも効かないのは知っているんだけど、特に魔法無しだとね。
でも、ここは速度と力押しのいいとこどりで行くしか無いわね。
私は身体強化全開でお母様へ一直線に突進し、お母様の攻撃範囲に入った瞬間にブレーキを掛けてお母様の動きを誘う。けれども、お母様はそんな子供だましには掛からない――と、思った瞬間、お母様がゆらりと動き、即座に私は魔導剣を右に振り、強い衝撃を受け止めながら身を後ろへ移動させる。
「キチンと術式は機能しているようね」
「意地悪なお母様」
今回追加した機能は魔力の刃の効果に物理、魔法に対する反発効果を入れたことによって、魔力の剣でも物理的に防御可能になった点よ。魔導剣同士であれば元から魔法による反発効果によって防御出来たわけだけど、実剣であったとしても、同様に効果が発生するようにしたって感じなのよね。
それにしても、お母様は剣の扱いも上手い。まぁ、あの女王キャロラインと同等レベルであるのは知っているけれど、お母様を前にすると大人と子供なのは仕方ない思ってしまうわ。もっと速度を上げるしか無いわね。
と、私は身体強化の効果をさらに追加して、フェイクを混ぜながら突進、急制動、急回転などを繰り返しながらお母様の隙を狙うけれど――も、お母様の誘いに乗ってしまい素早い斬撃が私の剣を狙ってくる。それを私は受け止めながら地面を蹴って後ろへ飛び、距離を取り直す。
「悪くは無いけれど、まだまだね。攻めるのであれば、こうするべきよ」
お母様は静かにそう言うとスッと剣を構え、私はそれに反応し防御姿勢を取るがその瞬間に既に目の前にはお母様はおらず、すぐ横にお母様の気配が現れ、スッとデコピンが私のオデコにヒットする。
「ひぅっ!!!」
その衝撃で私は吹き飛んで空中で姿勢を変えるけれど、そこにお母様の気配を感じて即座に対応し、その気配を読む――気配を読むというのも何となくでしかないけれど、魔力の流れなどを感じる事が大事だとお母様からの教えだ。
「集中しなさい!」
「は、はいっ!」
これも、お母様からの指摘だけど、私には戦闘中に考え過ぎるきらいがある。後衛の時は必要であっても、前衛の時はその無駄な思考が一瞬を遅らせる傾向があり、お母様が当然、手加減してくれているのは分かっているけれど、それでも防戦一方になってしまう大きな要因になっている。
「一連の流れを受け止めながら、まず身体を動かしながら考えなさい」
「は、はいぃぃっ」
お母様のしなやかな動きは身体強化を行っているとは思えないほど――いや、身体強化使ってるよね、お母様?
人の動きというのは身体強化を使っていると少し不自然な感じがあるのだけど、魔力操作が上手ければそこをカバーすることが出来るわけだけど、お母様の場合、身体強化を使っているかどうかさえ分からない程に自然体なのよね。んー、これが達人の技ってヤツなのかもしれない。
「また、別の事を考えているわね」
と、再度お仕置きのデコピンを喰らって吹き飛ぶ。ってか、デコピンなのに威力は砲弾を喰らったくらいに痛い。身体強化と後方に飛ぶことで威力を減らしているのに、目からチカチカした光が飛ぶくらいに痛い。くぅっ、もうっ、さすがに痛いわよお母様!
私はクルリと空中で姿勢を整えて、着地と同時に弧を描くように移動しつつ剣を振るってお母様がそれを受け止めるタイミングを見計らって剣を流しながら横軸に対して身体を回転させて、さらに斬り込む――けど、お母様はそれを剣で受け止めて今度は私がやったように受け流すように見えたけれど、私の身体がふわりと浮いて地面に叩きつけられる。
剣を使って空気投げって出来るんだと、思わず考えつつ衝撃に肺の空気が一気に吐き出され痛みに一瞬意識が飛んだ。
「ちょっとやりすぎたかしら?」
お母様はそう言いながら即座に回復魔法を掛けて、私の痛みはどこかへ飛んでいく――わけだけど、気持ち的に立ち上がる事が出来ずに大きく息を吐いた。
「大丈夫ですが、さすがにお母様に勝てる気がしないって再認識させられました」
「そんな事ないわよ。貴女はまだ子供なのだから、もっと強くなるわ。それに魔力も私が思っている以上に増えているようだし」
「まぁ、そこは頑張りましたから」
と、話しながらお母様から手を差し伸べられて私はその手を取って立ち上がる。ついでに浄化の魔法を使って身体に付いた汚れをサッと落としておく。ま、この辺りも訓練の賜物ね。
「これからは剣の鍛錬も少し増やしましょう。因みに我が家が負けるなんてこと、許しませんからね?」
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