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第三章 悪役令嬢は学院生活を送る
179.悪役令嬢は再び隠し部屋に入る
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お母様に言われて私は封印していた扉の封印を解除する。不思議な魔力光が扉に走り、ゆっくりと扉は開かれる。因みに中の罠は停止状態にしてあるので、入ったら閉じ込められるなどの問題は起こらない――ハズ、ハズよね?
そうして、私達全員が部屋の中へ入る。因みに専属達はいそいそとテーブルや椅子、お茶菓子やお茶などの用意を始める。因みにリンリィの専属メイドは焦りまくりだが、知らん、そんな事は気にしたらダメなのよ。
「で、エステリア。あの祭壇のような場所が例の魔導洞窟の管理施設なのね」
「あ、はい。正確にはこの部屋自体が管理施設なのだと、私は考えています。この壁などもあの板と似たようなモノで造られていると思うのです」
「なるほど、この部屋ってサーバー、って、あ、あれですね。エステリア様が持っていた端末の集合体というわけですね」
リンリィ、サーバールームとかって言おうとしたわね。ま、誰も気にとめていないだろうから、いいのだけど迂闊が過ぎるわね。と、まぁ、サーバールームというより、この部屋全体で構成されているスーパーコンピューターみたいなのが正解だと思うのだけどね。
「ええ、リンリィの言う通りでこの部屋自体があの端末の巨大な物が大量に繋がって作られている特殊な物だと考えています。それをあの祭壇で操作統制するような仕組みが構築されていると考えています」
「――まさに【失われた遺産】と、いうことね。エステリア、起動してみなさいな」
お母様は冷静を装っているけれど、随分と興奮しているのが見てわかる。
私は祭壇の前でコンソールを起動すると同時に魔力を広げ、術式を覗けば複雑に絡み合う広大な術式の迷宮が広がりを感じる。同じように術式を覗き込んでいたお母様とリンリィの感嘆の声が聞こえる。
「これは多重圧縮された術式がさらに複雑に絡み合っているのを魔法が繋いでいるように見えるわね」
「わ、私にはさっぱりですが、術式の構築――と、いうか一部の命令は何とか理解出来そうです」
巨大で複雑な術式構築はいいとして、このようなどれだけ巨大なのよ。と、ツッコミを入れたくなるモノの中間によく分からない魔法が幾つも絡んでいるから、まったく理解不能なのよね。よくよく管理者権限系の部分を見つける事が出来たのはハッキリ言って運としか言えないわ。
「あっ」
私は思わず声に出してしまった。うーん、私の運はヤバイのかもしれない。コンソール側でヤバイの見つけちゃった。
「エステリア様、どうされました?」
リンリィが素早く反応する。お母様も気になるようで視線を私に向けた。私はとりあえず、一呼吸して、お母様達に説明する為に管理者用の画面を複数展開する。
「――なんなのですか? それは」
私が出した画面にお母様が訝しい表情を見せる。ま、それが普通の反応ですよね。リンリィは何か納得したような表情を浮かべていたけれど、私の視線に気が付いて小さく「あ」と、言った。
「これはですね。こうして――えっと、言語が古語のみなので、少し待ってくださいね」
「リ――えっと、参考情報……指示命令系統の術式情報の一覧ですか?」
リンリィ、リファレンスって言おうとしたわね。そう、本当にこれも偶然だけど、各術式情報が乗っているだけでは無く、魔法系統も情報ソースとして調べる事が出来るリファレンスが用意されているところが、なんとも賢者の思考が見えて来る。なんとも、こういった時に調べて理解する事が出来るように作られているところが、有難いけどイヤらしいわ。
「ええ、魔法、魔術や各端末などの仕様も含めて調べる事が出来るようです」
「では、これを調べれば、この魔導洞窟の全てが分かる――と、いうことですか?」
お母様は私にそう訊いて来るが私は首を横に振る。これはリファレンス――参考というか参照資料であって、実際のプログラムソースである術式構築の資料でしか無く、ここから実際の構築に必要な部分を理解していくのは途方も無い時間が必要になる。
「管理端末にはその情報は入っていないのですか?」
「うーん、調べるしか無いわね。えっと、検索して――あ、ヘっ、と、お助け情報を見つけたわ
」
あやうくヘルプって言ってしまうところだったわ。しかも、ヘルプは日本語で書かれている――これは、転生者向けに賢者サルバトーレが書いたってことなのかしら。でも、これじゃ、お母様は見れないし、えっと、言語変換? あ、これかな。古語というか、賢者のいた時代ではこの世界の言葉になるわね。現在では古イーフレスとも言われている言葉で、これを選択すればお母様にも理解出来るハズ。
「あら、不思議な文字から古語に変わったわね。助情――操作説明的な事が書かれているわけですね。賢者サルバトーレとはよほど暇を持て余していたのかしら?」
それは確かに思う。賢者サルバトーレの伝説は色々あるけれど、多くの【失われた遺産】や【神器】を生み出し、魔法から魔術を生み出した伝説の人物。そして、大帝国の成り立ちにも絡んでる可能性もあって、逸話は本当に数知れないのよね。
「情報端末への術式送信が出来る項目がそこにあるわ。エステリア、さっそくお願いしてもいいかしら?」
と、お母様に言われて「はいはい、即座に」と、私はヘルプの情報を見ながら管理端末に必要そうな情報とリファレンスなどの送信を行うのであった。
そうして、私達全員が部屋の中へ入る。因みに専属達はいそいそとテーブルや椅子、お茶菓子やお茶などの用意を始める。因みにリンリィの専属メイドは焦りまくりだが、知らん、そんな事は気にしたらダメなのよ。
「で、エステリア。あの祭壇のような場所が例の魔導洞窟の管理施設なのね」
「あ、はい。正確にはこの部屋自体が管理施設なのだと、私は考えています。この壁などもあの板と似たようなモノで造られていると思うのです」
「なるほど、この部屋ってサーバー、って、あ、あれですね。エステリア様が持っていた端末の集合体というわけですね」
リンリィ、サーバールームとかって言おうとしたわね。ま、誰も気にとめていないだろうから、いいのだけど迂闊が過ぎるわね。と、まぁ、サーバールームというより、この部屋全体で構成されているスーパーコンピューターみたいなのが正解だと思うのだけどね。
「ええ、リンリィの言う通りでこの部屋自体があの端末の巨大な物が大量に繋がって作られている特殊な物だと考えています。それをあの祭壇で操作統制するような仕組みが構築されていると考えています」
「――まさに【失われた遺産】と、いうことね。エステリア、起動してみなさいな」
お母様は冷静を装っているけれど、随分と興奮しているのが見てわかる。
私は祭壇の前でコンソールを起動すると同時に魔力を広げ、術式を覗けば複雑に絡み合う広大な術式の迷宮が広がりを感じる。同じように術式を覗き込んでいたお母様とリンリィの感嘆の声が聞こえる。
「これは多重圧縮された術式がさらに複雑に絡み合っているのを魔法が繋いでいるように見えるわね」
「わ、私にはさっぱりですが、術式の構築――と、いうか一部の命令は何とか理解出来そうです」
巨大で複雑な術式構築はいいとして、このようなどれだけ巨大なのよ。と、ツッコミを入れたくなるモノの中間によく分からない魔法が幾つも絡んでいるから、まったく理解不能なのよね。よくよく管理者権限系の部分を見つける事が出来たのはハッキリ言って運としか言えないわ。
「あっ」
私は思わず声に出してしまった。うーん、私の運はヤバイのかもしれない。コンソール側でヤバイの見つけちゃった。
「エステリア様、どうされました?」
リンリィが素早く反応する。お母様も気になるようで視線を私に向けた。私はとりあえず、一呼吸して、お母様達に説明する為に管理者用の画面を複数展開する。
「――なんなのですか? それは」
私が出した画面にお母様が訝しい表情を見せる。ま、それが普通の反応ですよね。リンリィは何か納得したような表情を浮かべていたけれど、私の視線に気が付いて小さく「あ」と、言った。
「これはですね。こうして――えっと、言語が古語のみなので、少し待ってくださいね」
「リ――えっと、参考情報……指示命令系統の術式情報の一覧ですか?」
リンリィ、リファレンスって言おうとしたわね。そう、本当にこれも偶然だけど、各術式情報が乗っているだけでは無く、魔法系統も情報ソースとして調べる事が出来るリファレンスが用意されているところが、なんとも賢者の思考が見えて来る。なんとも、こういった時に調べて理解する事が出来るように作られているところが、有難いけどイヤらしいわ。
「ええ、魔法、魔術や各端末などの仕様も含めて調べる事が出来るようです」
「では、これを調べれば、この魔導洞窟の全てが分かる――と、いうことですか?」
お母様は私にそう訊いて来るが私は首を横に振る。これはリファレンス――参考というか参照資料であって、実際のプログラムソースである術式構築の資料でしか無く、ここから実際の構築に必要な部分を理解していくのは途方も無い時間が必要になる。
「管理端末にはその情報は入っていないのですか?」
「うーん、調べるしか無いわね。えっと、検索して――あ、ヘっ、と、お助け情報を見つけたわ
」
あやうくヘルプって言ってしまうところだったわ。しかも、ヘルプは日本語で書かれている――これは、転生者向けに賢者サルバトーレが書いたってことなのかしら。でも、これじゃ、お母様は見れないし、えっと、言語変換? あ、これかな。古語というか、賢者のいた時代ではこの世界の言葉になるわね。現在では古イーフレスとも言われている言葉で、これを選択すればお母様にも理解出来るハズ。
「あら、不思議な文字から古語に変わったわね。助情――操作説明的な事が書かれているわけですね。賢者サルバトーレとはよほど暇を持て余していたのかしら?」
それは確かに思う。賢者サルバトーレの伝説は色々あるけれど、多くの【失われた遺産】や【神器】を生み出し、魔法から魔術を生み出した伝説の人物。そして、大帝国の成り立ちにも絡んでる可能性もあって、逸話は本当に数知れないのよね。
「情報端末への術式送信が出来る項目がそこにあるわ。エステリア、さっそくお願いしてもいいかしら?」
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