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第三章 悪役令嬢は学院生活を送る
176.悪役令嬢はハーブスト公爵領へ向かう
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あれから、二週間経ったのだけど、その後の忙しさはマジでぶっ倒れるかと思うレベルだった。
元々の予定から随分と遅れた所為もあるわけだけど、それを取り戻す為という理由もあったけれど、お母様からも随分とせっつかれた為なのだ。なんともスパルタなお母様に困ってしまうわ。
まぁ、色々と忙しい中でリンリィを捕まえて、お母様の授業を受けさせたわけなのだけど、彼女の魔術に関しての理解力が半端ない事が分かった。おかげで、お母様もすこーし盛り上がってしまい、弟子にすると言い出した時は思わず凄いポカンとした顔をしてしまったわ。
それから、今まで大帝国内には小学、高学までの学園は存在していたけれど、大学やその後の研究施設というのは無かったが、お母様を中心とした魔術や様々な技術体系を研究する施設。まぁ、私が大学と言ってしまった所為だけど、我が領で大学を作る話に発展してしまったのは言うまでも無い。
因みにリンリィから「エステリア様は自重する気は無さそうですね」と、微笑みながら言われたのが鮮明に脳裏に焼き付いている。
んで、これから何が大変かっていうと、長期休暇の後半で自領にて多くのお茶会が予定されているにも関わらず、再び『アンダンテール大洞窟』へ向かう事が決まっている。
今度はお母様と私、リンリィとそれぞれの専属メイドを連れてだ。まぁ、魔導洞窟内の魔物は管理端末で出ないように設定している状態だし、マップの改変さえしてしまえば中層の隠し部屋までは半日も掛からないハズ――ハズだよね?
これに関しても、一応、護衛が数名付くらしいけど、うん、そこは考えないようにしよう。
そんなこんなで、現在、馬車でハーブスト公爵領へ向かっている最中なのだ。しかも、今回はなんと私が提案してお母様設計の新型魔導馬車を導入した、因みにアリエルが欲しがっていた旨に関しても、ちゃんとプロジェクトが進んでいる。来月にある彼女の誕生日には王城へ届くように手配済みよ。
そして、今回の馬車には様々な機能を付けていて空間操作の術式応用がかなり使われていて、見た目以上に中は広く、重量なんかも本来のサイズに比べて軽く出来ている。こういうところはファンタジー世界ならでは――と、いうところよね。
「な、なんだか、馬車の中というのを忘れてしまいそうになりますね」
と、テーブルに向かってお母様監督の元、魔術の術式構築を設計している。まぁ、私とは分野違いのところを得意としているリンリィだけど、基礎部分をガッチリと固めておかないと、中々応用分野にはいけないって、ところで今、時間を惜しんで頑張っている。
「まぁ、設計思想のひとつですから。馬車の揺れ対策と空間の広さ、そして、外側からの攻撃防御なんかも含めて――まだまだ改良の余地はありそうだけど、移動指揮所としても使えると思うのよね」
「エステリア様は戦争を視野に入れている――のですか?」
リンリィは少し驚きの表情を見せる。なお、お母様は感心感心といった表情で優しく微笑んでいる。これはこれからを考えれば、確実に戦争は起きそうなのは大帝国内の情勢を考えるとあり得そうなのだ。中央諸国、東方諸国では戦が起こっているという話も聞いているし。
「情勢として、無いとは思っていないわ。それに自国の武力増強は絶対的に他国から攻められない状況作りとしては大事な部分だとも思ってるわ」
「では、兵器類とかも――開発する? と、いうことですか?」
「リンリィは嫌なのかしら……」
私の言葉にリンリィは首を横に振る。
「ただ、あまりに強力な兵器となると、ただの虐殺になってしまうのでは? と、思うのですが、その辺りってどうなのでしょう」
それは実際、確かに――と、いうところはあるんだよね。この世界での戦争は結構ヤバイ戦術が基本となっていて、初弾は魔法による大火力から始まり、複数のアタッカーと回復、タンクを使っての突撃、死にさえしなければ高位の回復魔法が使える者達が負傷者をガンガン回復させて再度突撃の繰り返し。完全にゾンビアタックが主軸なのよね。当然、魔法による高火力攻撃というのはあるけれど、ひとつの戦場で乱発できるようなモノは無く――いや、お母様が組み上げた圧縮多重超高位魔術であれば、乱発出来無くは無いのよね。
「そういった意味では確かにってところはあるわね。女王陛下やお母様のような超高位の魔法や魔術が扱える人間というのも、そこまで数は居ないし、周辺国だと北のユーアフトリアの女王くらいじゃない?」
「そうね。女王ローラはまさに武神とも呼ばれている人物ですからね。あそこまで苛烈な人もそうは居ないわよ――そういえば、キャロルの生誕祭に来る予定があるから、その時にエステリアにも紹介してあげるわ」
と、お母様は楽し気にそう言った。うん、別に紹介していらないのだけど――ま、無理よね。でも、他国の情報を直に聞けるチャンスというのは中々に無いから、いい機会なのは確かかなぁ。
元々の予定から随分と遅れた所為もあるわけだけど、それを取り戻す為という理由もあったけれど、お母様からも随分とせっつかれた為なのだ。なんともスパルタなお母様に困ってしまうわ。
まぁ、色々と忙しい中でリンリィを捕まえて、お母様の授業を受けさせたわけなのだけど、彼女の魔術に関しての理解力が半端ない事が分かった。おかげで、お母様もすこーし盛り上がってしまい、弟子にすると言い出した時は思わず凄いポカンとした顔をしてしまったわ。
それから、今まで大帝国内には小学、高学までの学園は存在していたけれど、大学やその後の研究施設というのは無かったが、お母様を中心とした魔術や様々な技術体系を研究する施設。まぁ、私が大学と言ってしまった所為だけど、我が領で大学を作る話に発展してしまったのは言うまでも無い。
因みにリンリィから「エステリア様は自重する気は無さそうですね」と、微笑みながら言われたのが鮮明に脳裏に焼き付いている。
んで、これから何が大変かっていうと、長期休暇の後半で自領にて多くのお茶会が予定されているにも関わらず、再び『アンダンテール大洞窟』へ向かう事が決まっている。
今度はお母様と私、リンリィとそれぞれの専属メイドを連れてだ。まぁ、魔導洞窟内の魔物は管理端末で出ないように設定している状態だし、マップの改変さえしてしまえば中層の隠し部屋までは半日も掛からないハズ――ハズだよね?
これに関しても、一応、護衛が数名付くらしいけど、うん、そこは考えないようにしよう。
そんなこんなで、現在、馬車でハーブスト公爵領へ向かっている最中なのだ。しかも、今回はなんと私が提案してお母様設計の新型魔導馬車を導入した、因みにアリエルが欲しがっていた旨に関しても、ちゃんとプロジェクトが進んでいる。来月にある彼女の誕生日には王城へ届くように手配済みよ。
そして、今回の馬車には様々な機能を付けていて空間操作の術式応用がかなり使われていて、見た目以上に中は広く、重量なんかも本来のサイズに比べて軽く出来ている。こういうところはファンタジー世界ならでは――と、いうところよね。
「な、なんだか、馬車の中というのを忘れてしまいそうになりますね」
と、テーブルに向かってお母様監督の元、魔術の術式構築を設計している。まぁ、私とは分野違いのところを得意としているリンリィだけど、基礎部分をガッチリと固めておかないと、中々応用分野にはいけないって、ところで今、時間を惜しんで頑張っている。
「まぁ、設計思想のひとつですから。馬車の揺れ対策と空間の広さ、そして、外側からの攻撃防御なんかも含めて――まだまだ改良の余地はありそうだけど、移動指揮所としても使えると思うのよね」
「エステリア様は戦争を視野に入れている――のですか?」
リンリィは少し驚きの表情を見せる。なお、お母様は感心感心といった表情で優しく微笑んでいる。これはこれからを考えれば、確実に戦争は起きそうなのは大帝国内の情勢を考えるとあり得そうなのだ。中央諸国、東方諸国では戦が起こっているという話も聞いているし。
「情勢として、無いとは思っていないわ。それに自国の武力増強は絶対的に他国から攻められない状況作りとしては大事な部分だとも思ってるわ」
「では、兵器類とかも――開発する? と、いうことですか?」
「リンリィは嫌なのかしら……」
私の言葉にリンリィは首を横に振る。
「ただ、あまりに強力な兵器となると、ただの虐殺になってしまうのでは? と、思うのですが、その辺りってどうなのでしょう」
それは実際、確かに――と、いうところはあるんだよね。この世界での戦争は結構ヤバイ戦術が基本となっていて、初弾は魔法による大火力から始まり、複数のアタッカーと回復、タンクを使っての突撃、死にさえしなければ高位の回復魔法が使える者達が負傷者をガンガン回復させて再度突撃の繰り返し。完全にゾンビアタックが主軸なのよね。当然、魔法による高火力攻撃というのはあるけれど、ひとつの戦場で乱発できるようなモノは無く――いや、お母様が組み上げた圧縮多重超高位魔術であれば、乱発出来無くは無いのよね。
「そういった意味では確かにってところはあるわね。女王陛下やお母様のような超高位の魔法や魔術が扱える人間というのも、そこまで数は居ないし、周辺国だと北のユーアフトリアの女王くらいじゃない?」
「そうね。女王ローラはまさに武神とも呼ばれている人物ですからね。あそこまで苛烈な人もそうは居ないわよ――そういえば、キャロルの生誕祭に来る予定があるから、その時にエステリアにも紹介してあげるわ」
と、お母様は楽し気にそう言った。うん、別に紹介していらないのだけど――ま、無理よね。でも、他国の情報を直に聞けるチャンスというのは中々に無いから、いい機会なのは確かかなぁ。
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