悪役令嬢同盟 ―転生したら悪役令嬢だった少女達の姦しい日々―

もいもいさん

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第三章 悪役令嬢は学院生活を送る

172.悪役令嬢は魔導洞窟で見たモノについて訊かれる

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 細々とした結果報告と、王家とハーブスト公爵家でのやり取りなどが話され、思っている以上に我が家は王家の仕事に関わっているのだと思い知らされる。

 と、いうかお母様と陛下が仲良しなのは知っていたが、ランパート公とお父様が仲良しだったとは少し意外? そんなこともないような気がする。親同士も意外と関係性でいえば良好なのか、学園時代からの繋がりなのか。まぁ、仲が良いことは悪い事じゃ無い。

「そして、ここからが重要なところなのだが、エステリアに訊きたい」
「はい、なんでしょう?」

 嫌そうな顔はしないわよ。面倒だし、後でお母様に怒られる可能性が高いのでリスクが高すぎる。因みに所詮は10歳児なのだ、そろそろ疲れが出て来てて微妙に眠いのだ。

「アンダンテール大洞窟で見たものを答えよ。お主が隠す理由は無い筈だ」

 正直、あまり話はしたくない――と、いうか、私的に利用したいと思う可能性もあるのだから。まぁ、お母様と陛下は結託してる感じが凄い。閣下も見ちゃってるし、当然、報告も上げてるよね? お母様には正直に見つけたモノを話しはしたけれど、前世云々の知識がなければ理解出来ないところは絶対に話さないようにしているし、うまく誤魔化せていると思う。

「それは当然です。中層のとある場所に隠し部屋がありました。現在は誰も入る事は出来ないようにしてありますし、入るべきでは無いと私は思っています」
「理由を聞かせて貰ってもよいか?」
「アレは超古代の遺物であり、古の賢者であるサルバトーレが作ったものだからです」

 これは古来より云われている話で『古の賢者が作りし遺物には祟りがある』と、言われるくらいなのだ。まぁ、扱いが難しかったり、威力や効果が桁外れだったり、全く意味が分からなかったりと、超がつくほどに危険な【失われた遺産《アーティファクト》】が多いのだ。

「しかし、エステリアは扱えたのだろう?」

 うん、それを言われると厳しいのだけど、お母様にはある程度調べた結果、色々と弄り回してたら偶然使えるようになったと言っておいたのだけど、お母様にも信じて貰えて無かったということだろうなぁ。まぁ、仕方ないけれど、動かせるようになったのは偶然にも動作と操作関連の術式を見つける事が出来たから――ってところは偶然なんだよね。

 ま、疑問視されているのはコンソールや端末を見知った物のように動かせる事なんだろうけど、それは――私達、前世で使ってましたからねスマホやタブレット。

「偶然や幸運が重なった結果としか言えません。お母様にも言いましたけれど、解析中に偶然に動作関連と操作関連の術式が入っている場所を見つけることが出来たから――ですからね」
「――まぁ、それは信じるとしよう。しかし、封印に関してはやり過ぎでは無かったか?」
「素早い判断が必要でした。誰も入る事は出来ないようにしたつもりであっても、偶発的に入れる可能性も無いとは言えません。私が扱えたところは限定的な部分です。アレには膨大な機能が備わっていました。正直、よく分からないものをよく分かっていないけれど、動かせるって凄く危険だと思いませんか? それに私や閣下が見つけれたのです。他の人間も見つけることが出来る可能性を考えると、より危険度は増します」

 私の言葉に皆は納得の表情を見せ、お父様はウンウンと何度も首を縦に振っていた。一体どうしたの、お父様?

「では、もうひとつ。他の魔導洞窟ダンジョンにも同じような部屋や仕組みがあると思うか?」

 正直、分からないんだよね。そもそも魔導洞窟ダンジョンというのは魔導洞窟核ダンジョンコアから発生する不思議な現象なんだけど、実は気になって資料を集めて貰ったことがあったんだけど、その時に思ってたんだけど、誰も魔導洞窟核ダンジョンコアを見たことがある人ってのがいないし、文献にどういったモノだ。と、いうのも無かった。

 なので、実は魔導洞窟核ダンジョンコアから魔導洞窟ダンジョンが発生する、もしくは魔導洞窟ダンジョン化する。と、いうのは事実ではあるけど、それがどういったモノでどういう風な姿形をしているかなんて、想像でしかない。と、私は思っていた。

 それが――うん、今はちょっともっとキッチリした仮説が立てれるんだけど、言ったらやらされそうでやだなぁ。って思ってるんだけど、あー、なんか視線が痛いわ。これは無理だわ。お母様もニコヤカに微笑んでるし!!!
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