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第三章 悪役令嬢は学院生活を送る
163.悪役令嬢は次の予定を告げる
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通信の魔道具を私は空間収納へ仕舞い。多重に掛けた認識阻害と防音の魔道具を止め、皆に待たせてしまった旨を謝る。
「いえ、問題ありません」
と、エルーサは全員が座れるようの椅子とテーブル、そして、お茶とお菓子を用意してテーブルに並べ始める。なんともよく出来た私の専属メイドである。まぁ、そろそろ食事まわりのストックが心もとなくなってきている事を考えると、魔導洞窟から出たら、この辺りの補給を行いたいところだ。
「とりあえず、皆にこれからの予定をざっくりと話すわね」
私がそう言うとアリエルとウィンディは微妙な顔をする。閣下に視線を向けると彼は微妙な反応――と、いうか苦笑する。うーん、なんだか最近閣下の苦笑する姿をよく見るわね。
「――まず、明日は中層に私達を面倒な目に遭わせた者達を捕まえに行きます」
と、私が言うとアリエルがすぐに手を挙げた。あんたは子供か? と、一瞬思ったけれど、私より年下の子供だったとスグに思い出し、思わず苦笑しつつアリエルに指を指す。
「はい、アリエル」
「えーっと、中層に閉じ込めてるって言ってたわよね? アレに映されてる情報を見ながら行くってことよね?」
この場では流石に出さないがアリエルは私が渡した端末の使い道を既に理解している様子。当然、位置情報は端末で確認するし、元々、私が適当に作り直した状態の地図情報は既に私の脳内にキッチリマッピング出来ている。
「ええ、それに明後日くらいまで、私達以外の冒険者は中層には降りる事が出来ないようにしているわ」
「エステリア嬢、ひとついいかい?」
と、閣下が手を挙げる。えっと、アリエルの真似をする必要は無いのですが……まぁ、いいでしょう。
「はい、閣下。如何しましたか?」
「うむ、王家の影の件もある。我らも共に行きたいとは思うのだが、参加メンバーはハッキリとしておいた方が良いだろう」
その件か。確かに全員でゾロゾロと行くのもアレではあるけれど、向こうで何かあると問題ではあるので、適切な面子がいると助かるのは当然で、まぁ、こちらに戻って来るまでにある程度の人員選出は考えていた。
「では、中層で悪人達を取っ捕まえる面子ですが、私達のパーティーは元より少数精鋭ですから、全員行くとして、閣下の方ですが、ルーティラ様、ファウィラ様、ダンディバル様と閣下の四名でお願いしても宜しいですか?」
「ふむ、ロベルトは留守番か――一応、理由を聞かせて貰っても?」
「はい、どうやらお荷物がいるそうでは無いですか? そちらの監視役です。ダンディバル様でも良いのですが、彼の場合、斥候として随分優秀そうですので、今回は単純戦闘戦力よりも周囲の状況把握が出来る人物が多い方が問題は起こらないと思いますから」
と、私がいうと閣下は「なるほど」と、言ってからファウィラに視線を向けると彼女はコクリと頷く。
「王女殿下、公女殿下、主の命にて御前を失礼致します」
そう言って綺麗な貴族的な挨拶を行う。アリエルが私に視線を向けると私は頷いて「許します」と、言うと彼女は優しく微笑んで、音もたてずに部屋を出て行く。中々の身体操作を見せてくれるね。閣下が護衛に付ける意味もよく分かる。
「良い部下だな。クーベルト卿」
と、アリエルは楽し気にそう言うと閣下は貴族的な表情でにこやかに微笑む。
「ええ、我が部下の中でも優秀な者です――あぁ、いくら殿下でも私から部下を奪うような真似はなさらないようお願い致します」
「卿は彼女を近衛に上げる気は――いや、やはりやめておこう」
どうやら私の視線に気が付いたようでアリエルは「仕方ない」と、呟いてからニコリと微笑むが閣下は苦笑しつつ額の汗を拭っていた。
「――そろそろ元の話に戻りましょう。中層でおバカな敵を捕まえるわけですが、彼等は脅威度が低い順に解放されて行くので、それを捕まえる簡単なお仕事ではあるのですが、一応、念のために相手の戦力を削ぐ魔導洞窟特有の効果も付随してあります」
まぁ、これは効果としては大した事が無いハズだ。効果としては視界を塞ぐ暗闇の効果と魔力の自然回復量の低減程度だ。っていうか設定出来る効果がそれくらいしか分からなかっただけなのだが、もっと確実に弱らせるような効果があったらよかったのだけど、解析出来るほどの時間的余裕も無かったし、仕方ないだろう。
そんな事を考えていると、ウィンディが元気よく手を挙げた。
「はい、せんせー!」
「ウィンディ君、何かね」
と、一応乗っておくことにする――が、閣下は思わずポカンとした表情を浮かべていた。ん? 何故だ?
「いえ、問題ありません」
と、エルーサは全員が座れるようの椅子とテーブル、そして、お茶とお菓子を用意してテーブルに並べ始める。なんともよく出来た私の専属メイドである。まぁ、そろそろ食事まわりのストックが心もとなくなってきている事を考えると、魔導洞窟から出たら、この辺りの補給を行いたいところだ。
「とりあえず、皆にこれからの予定をざっくりと話すわね」
私がそう言うとアリエルとウィンディは微妙な顔をする。閣下に視線を向けると彼は微妙な反応――と、いうか苦笑する。うーん、なんだか最近閣下の苦笑する姿をよく見るわね。
「――まず、明日は中層に私達を面倒な目に遭わせた者達を捕まえに行きます」
と、私が言うとアリエルがすぐに手を挙げた。あんたは子供か? と、一瞬思ったけれど、私より年下の子供だったとスグに思い出し、思わず苦笑しつつアリエルに指を指す。
「はい、アリエル」
「えーっと、中層に閉じ込めてるって言ってたわよね? アレに映されてる情報を見ながら行くってことよね?」
この場では流石に出さないがアリエルは私が渡した端末の使い道を既に理解している様子。当然、位置情報は端末で確認するし、元々、私が適当に作り直した状態の地図情報は既に私の脳内にキッチリマッピング出来ている。
「ええ、それに明後日くらいまで、私達以外の冒険者は中層には降りる事が出来ないようにしているわ」
「エステリア嬢、ひとついいかい?」
と、閣下が手を挙げる。えっと、アリエルの真似をする必要は無いのですが……まぁ、いいでしょう。
「はい、閣下。如何しましたか?」
「うむ、王家の影の件もある。我らも共に行きたいとは思うのだが、参加メンバーはハッキリとしておいた方が良いだろう」
その件か。確かに全員でゾロゾロと行くのもアレではあるけれど、向こうで何かあると問題ではあるので、適切な面子がいると助かるのは当然で、まぁ、こちらに戻って来るまでにある程度の人員選出は考えていた。
「では、中層で悪人達を取っ捕まえる面子ですが、私達のパーティーは元より少数精鋭ですから、全員行くとして、閣下の方ですが、ルーティラ様、ファウィラ様、ダンディバル様と閣下の四名でお願いしても宜しいですか?」
「ふむ、ロベルトは留守番か――一応、理由を聞かせて貰っても?」
「はい、どうやらお荷物がいるそうでは無いですか? そちらの監視役です。ダンディバル様でも良いのですが、彼の場合、斥候として随分優秀そうですので、今回は単純戦闘戦力よりも周囲の状況把握が出来る人物が多い方が問題は起こらないと思いますから」
と、私がいうと閣下は「なるほど」と、言ってからファウィラに視線を向けると彼女はコクリと頷く。
「王女殿下、公女殿下、主の命にて御前を失礼致します」
そう言って綺麗な貴族的な挨拶を行う。アリエルが私に視線を向けると私は頷いて「許します」と、言うと彼女は優しく微笑んで、音もたてずに部屋を出て行く。中々の身体操作を見せてくれるね。閣下が護衛に付ける意味もよく分かる。
「良い部下だな。クーベルト卿」
と、アリエルは楽し気にそう言うと閣下は貴族的な表情でにこやかに微笑む。
「ええ、我が部下の中でも優秀な者です――あぁ、いくら殿下でも私から部下を奪うような真似はなさらないようお願い致します」
「卿は彼女を近衛に上げる気は――いや、やはりやめておこう」
どうやら私の視線に気が付いたようでアリエルは「仕方ない」と、呟いてからニコリと微笑むが閣下は苦笑しつつ額の汗を拭っていた。
「――そろそろ元の話に戻りましょう。中層でおバカな敵を捕まえるわけですが、彼等は脅威度が低い順に解放されて行くので、それを捕まえる簡単なお仕事ではあるのですが、一応、念のために相手の戦力を削ぐ魔導洞窟特有の効果も付随してあります」
まぁ、これは効果としては大した事が無いハズだ。効果としては視界を塞ぐ暗闇の効果と魔力の自然回復量の低減程度だ。っていうか設定出来る効果がそれくらいしか分からなかっただけなのだが、もっと確実に弱らせるような効果があったらよかったのだけど、解析出来るほどの時間的余裕も無かったし、仕方ないだろう。
そんな事を考えていると、ウィンディが元気よく手を挙げた。
「はい、せんせー!」
「ウィンディ君、何かね」
と、一応乗っておくことにする――が、閣下は思わずポカンとした表情を浮かべていた。ん? 何故だ?
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