悪役令嬢同盟 ―転生したら悪役令嬢だった少女達の姦しい日々―

もいもいさん

文字の大きさ
上 下
136 / 232
第三章 悪役令嬢は学院生活を送る

136.悪役令嬢の仲間達は調査する

しおりを挟む
「で、エステリア様が使っていた離れた相手と会話する魔道具を持っていないか? ですか――」
「ええ、この状況について伝えておかなければいけないと思うのよ」

 と、私がいうとエルーサは難しそうな表情を浮かべる。

「残念ながら……私は持っておりません」
「そう――なのね」
「はい、アレは持つ事自体に制限がかかっております。陛下のお許しを頂けませんでしたので、残念ながら……」

 なるほど、そこは少し考えどころね。私も許可を貰って手に入れる――しかないか、じゃぁ、今出来る事を考えないといけないわね。

「じゃぁ、私が調査に出ましょうか?」

 と、言ったのはウィンディだ……けど、私は即否定した。

「残念だけど、私とウィンディはダメよ」
「どうしてですかぁ?」
「認識阻害の魔道具、もしくは魔法だけど、効かない相手がいた場合は目立ちすぎるのが理由かな。もし、動くのであれば全員で動くのが一番いいと思うのだけど、ナスターシアはどう思う?」

 突然に振られたナスターシアは驚きの表情を一瞬だけして、小さく咳払いをする。ちょっと油断していたわね。

「出来れば、姫様とウィンディ様はここでジッとしていただいている方が良いとは個人的に思っております。私やエルーサで当たるのが正しい判断かと……」
「ま、そうよね。正直言って人員が足りてないと思うのよね。何か良い方法は無い?」

 私がそう言うと、エルーサが「提案が御座います」と静かに言った。まぁ、色々と動いていたようなので、手ぶらで帰ってきているとは思っていなかったので敢えて聞いてみたのだ。

「ご報告とこれからのところをお伝え致しますので、その後にご意見を頂けましたらと思いますが、如何でしょう」
「よい、では聞かせて貰おう」

 すると、エルーサは綺麗な所作で礼をした。さすがエステリアの専属ね。私達より少し年齢が上なだけだというのに凄い洗練された所作だ。まぁ、ウチのナスターシアだって負けてはいないけどねっ!

「まずは私の方から――」

 と、ナスターシアが前に出てエルーサと同じように綺麗な所作で礼をする。うん、やっぱりウチのナスターシアも素敵だわ。

「頼む」
「有難う存じます姫様。私の方は逃げた不埒者達の情報を集めておりました。排除した者達も含め下の階層に降りた者達の中で戻って来ていた人間は居なかったようです。しかし、残念な事に私達が遭遇した人数と、管理上計上されていた人数には差異がありました――これに関しては安全地帯セーフゾーンの管理を行っている冒険者ギルド側の落ち度と言えるでしょうが、他の冒険者から聞いた話によると、人数に関しては申告制となっている為に実際の人数を確認しているわけでは無さそうでした」
「それは杜撰としか言えぬな。して、どれくらいの差異があったのだ?」
「はい、約3名から4名だと思われます。ただし、その中には上位の冒険者らしき姿は確認されていないようなので、認識阻害の魔法や別の方法で出入りをしている可能性も考えられます」

 『幻魔』だったか。【白金】クラスの冒険者で名前の通り幻術系の魔法を得意とするヤツなのは確かだけど、目的が分からないわね。暗殺? 人攫い? 情報が足りてないとしか言えないわ。

「『幻魔』の情報は得られなかった……と、言う事?」
「はい、申し訳御座いません」
「いいのよ。ナスターシアも慣れない事をしているのだから、気にしなくてもいいわ」
「有難う御座います。しかし、いっそう警戒が必要だと思いましたわ」
「確かに――ではエルーサの報告も聞こうか」

 私は視線をエルーサに向けると彼女は静かに立ち上がり、話始める。

「私の方は【白金】冒険者である『黒狼』殿の連に接触しました」
「ほう?」
「先方も私達の事を探していたようでした。それで、彼らは準備が整い次第下層へ向かうつもりだと言っておりましたが、私がしばし待つように言っておきました」

 エルーサは涼しい顔でさらりとそう言った。謎の少女に言われただけで、冒険者――特に【白金】クラスの冒険者に付いて来ていた者達が簡単に言う事を聞くのだろうか? 私はそんな事を考えつつエルーサが彼等に待つように言った理由を聞く。

「出来れば、私も共に行こうと思っていますので、まずは殿下に許可を頂きたいと――」
「何かあれば、エステリアになんと言い訳をすればよい?」
「言い訳など必要御座いません。それに私、これでもお嬢様よりも強いので」

 さらりと彼女はそう言った。エステリアより強い……とはなかなか言うじゃない。でも、ハーブスト公爵家の者だものねぇ。あそこは騎士団もおかしな強さだと噂になっていたし、あり得るのかもしれない。戦闘中に随分と余裕があったのも確かだ。

「証明出来るか?」
「――そうですね、では此処に居る皆で一斉に私に向けて魔法を唱えて頂きましょうか? あ、魔銃でも構いませんよ」

 そう言って彼女は冷たく微笑んだ。私はウィンディとナスターシアに視線を送ると皆はコクリと頷き、素早く攻撃態勢を取り魔銃を構え術式を――

「あれ?」
「発動しない……」
「ま、魔法が霧散しました……」

 エステリアも同じことをしていたが、彼女の方がより早く精度が高いと言える。魔法陣がチラリと出ただけで砕け散るなんて出来るのだろうか?

「因みにですが、奥様はもっと強いですよ?」
「お母様や伯母様と比べるのは間違いよ……アレは人の領域を軽く超えてるんだから」
「そうですね。ですが、今はお嬢様や殿下よりも私の方が上だと言わせて頂きます。『黒狼』様の部下達にもして頂いているので大丈夫かと思います」

 うーん、多分この人、国内でも上位クラスの強さに到達しているみたいね。っていうかハーブスト公爵家はこんなのを何人も育ててるのよね? 一体、何と戦ってるのよ。

「因みにですが、『黒狼』様もといクーベルト辺境伯閣下の部下達も辺境伯領の騎士でした。それに中々にお強い方々でしたし、忠誠心も高く信頼出来るかと思われました」
「そ、そうか……」

 クーベルト辺境伯は一体何をやってるのよ。もしかして、部下を鍛える為に色んな魔導洞窟ダンジョンに連れまわしてたりするの? あの人、アホなの?

 そんな事を私は考えながら、エルーサに許可を出すのだった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

乙女ゲームの断罪イベントが終わった世界で転生したモブは何を思う

ひなクラゲ
ファンタジー
 ここは乙女ゲームの世界  悪役令嬢の断罪イベントも終わり、無事にエンディングを迎えたのだろう…  主人公と王子の幸せそうな笑顔で…  でも転生者であるモブは思う  きっとこのまま幸福なまま終わる筈がないと…

悪役令嬢になりたくないので、攻略対象をヒロインに捧げます

久乃り
恋愛
乙女ゲームの世界に転生していた。 その記憶は突然降りてきて、記憶と現実のすり合わせに毎日苦労する羽目になる元日本の女子高校生佐藤美和。 1周回ったばかりで、2週目のターゲットを考えていたところだったため、乙女ゲームの世界に入り込んで嬉しい!とは思ったものの、自分はヒロインではなく、ライバルキャラ。ルート次第では悪役令嬢にもなってしまう公爵令嬢アンネローゼだった。 しかも、もう学校に通っているので、ゲームは進行中!ヒロインがどのルートに進んでいるのか確認しなくては、自分の立ち位置が分からない。いわゆる破滅エンドを回避するべきか?それとも、、勝手に動いて自分がヒロインになってしまうか? 自分の死に方からいって、他にも転生者がいる気がする。そのひとを探し出さないと! 自分の運命は、悪役令嬢か?破滅エンドか?ヒロインか?それともモブ? ゲーム修正が入らないことを祈りつつ、転生仲間を探し出し、この乙女ゲームの世界を生き抜くのだ! 他サイトにて別名義で掲載していた作品です。

悪役令嬢の独壇場

あくび。
ファンタジー
子爵令嬢のララリーは、学園の卒業パーティーの中心部を遠巻きに見ていた。 彼女は転生者で、この世界が乙女ゲームの舞台だということを知っている。 自分はモブ令嬢という位置づけではあるけれど、入学してからは、ゲームの記憶を掘り起こして各イベントだって散々覗き見してきた。 正直に言えば、登場人物の性格やイベントの内容がゲームと違う気がするけれど、大筋はゲームの通りに進んでいると思う。 ということは、今日はクライマックスの婚約破棄が行われるはずなのだ。 そう思って卒業パーティーの様子を傍から眺めていたのだけど。 あら?これは、何かがおかしいですね。

『悪役』のイメージが違うことで起きた悲しい事故

ラララキヲ
ファンタジー
 ある男爵が手を出していたメイドが密かに娘を産んでいた。それを知った男爵は平民として生きていた娘を探し出して養子とした。  娘の名前はルーニー。  とても可愛い外見をしていた。  彼女は人を惹き付ける特別な外見をしていたが、特別なのはそれだけではなかった。  彼女は前世の記憶を持っていたのだ。  そして彼女はこの世界が前世で遊んだ乙女ゲームが舞台なのだと気付く。  格好良い攻略対象たちに意地悪な悪役令嬢。  しかしその悪役令嬢がどうもおかしい。何もしてこないどころか性格さえも設定と違うようだ。  乙女ゲームのヒロインであるルーニーは腹を立てた。  “悪役令嬢が悪役をちゃんとしないからゲームのストーリーが進まないじゃない!”と。  怒ったルーニーは悪役令嬢を責める。  そして物語は動き出した…………── ※!!※細かい描写などはありませんが女性が酷い目に遭った展開となるので嫌な方はお気をつけ下さい。 ※!!※『子供が絵本のシンデレラ読んでと頼んだらヤバイ方のシンデレラを読まれた』みたいな話です。 ◇テンプレ乙女ゲームの世界。 ◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。 ◇ご都合展開。矛盾もあるかも。 ◇なろうにも上げる予定です。

悪役令嬢らしいのですが、務まらないので途中退場を望みます

水姫
ファンタジー
ある日突然、「悪役令嬢!」って言われたらどうしますか? 私は、逃げます! えっ?途中退場はなし? 無理です!私には務まりません! 悪役令嬢と言われた少女は虚弱過ぎて途中退場をお望みのようです。 一話一話は短めにして、毎日投稿を目指します。お付き合い頂けると嬉しいです。

断罪イベント返しなんぞされてたまるか。私は普通に生きたいんだ邪魔するな!!

ファンタジー
「ミレイユ・ギルマン!」 ミレヴン国立宮廷学校卒業記念の夜会にて、突如叫んだのは第一王子であるセルジオ・ライナルディ。 「お前のような性悪な女を王妃には出来ない! よって今日ここで私は公爵令嬢ミレイユ・ギルマンとの婚約を破棄し、男爵令嬢アンナ・ラブレと婚姻する!!」 そう宣言されたミレイユ・ギルマンは冷静に「さようでございますか。ですが、『性悪な』というのはどういうことでしょうか?」と返す。それに反論するセルジオ。彼に肩を抱かれている渦中の男爵令嬢アンナ・ラブレは思った。 (やっべえ。これ前世の投稿サイトで何万回も見た展開だ!)と。 ※pixiv、カクヨム、小説家になろうにも同じものを投稿しています。

シナリオ通り追放されて早死にしましたが幸せでした

黒姫
恋愛
乙女ゲームの悪役令嬢に転生しました。神様によると、婚約者の王太子に断罪されて極北の修道院に幽閉され、30歳を前にして死んでしまう設定は変えられないそうです。さて、それでも幸せになるにはどうしたら良いでしょうか?(2/16 完結。カテゴリーを恋愛に変更しました。)

【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?

みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。 ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる 色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く

処理中です...