126 / 232
第三章 悪役令嬢は学院生活を送る
126.悪役令嬢は魔導洞窟を駆ける
しおりを挟む
私達は上層4階の安全地帯を出て魔導洞窟を軽快に進んでいるのだけど、正直、もう少しペースを上げてもいいような気もしている。
何故かというと、アリエルとウィンディが武器の扱いにある程度順応しちゃったのだ。ナスターシアは元の武器より重心や長さが違うことに戸惑っていたけれど、あれから2階ほど下がった現在、ある程度は使えていると言っても過言では無い。
そんな事を考えていると、同じ事を考えていたのかエルーサが提案する。
「皆様、もう少しペースを上げても良いでしょうか?」
と、そう言った瞬間に私は同調してペースを上げるべきだと主張した。それを聞いてウィンディも了解し、少し悩んでいたアリエルはチラリとナスターシアを見る。
「わ、私も大丈夫です。これくらいの事で後れを取るような訓練はしておりません」
「……なら、私もその意見に賛成よ」
そこからは全員が身体強化を常に使用した状態で、目の前に出る敵を粉砕しつつ、この階層あたりでしか戦えない普通の冒険者では絶対にマネすることは無い、常に走りながら移動していく。慎重に行動? 知らん、そんな事は!!!
と、思いつつキッチリと周囲の魔力反応を感じながら、駆けて行く。本来はキチンと魔物の素材なども確保しながら降りて行くのだけど、ここら辺に私が欲する物は無かったので、無視して先へ進んだのだ。
しかし、これは高ランクの冒険者でも時にする行為であるので、大きな問題にはならないだろう。それに魔物の死体なども一定の時間が経てば風化するように消える。この現状は魔導洞窟に帰る、魔導洞窟に喰われるなどの言い方がされる。
魔導洞窟というのはこの世の理とは少し違うルールによって成り立っている不思議な空間でり、人によれば魔導洞窟その物が別の生き物ではないか、という説もあるくらいだ。
ま、それはさておき、駆け足で降りていくこと約2時間経って、上層9階にある安全地帯へたどり着いた。
ちなみに上層9階の安全地帯はこの魔導洞窟内最大規模の安全地帯となる。そして、ここには一つ確認する事があったで元からここには絶対に立ち寄る予定だった。
「宿の手配をしてまいりました」
そう言ったのはエルーサだ。本日はここでゆっくりと寝てから中層に向けて出発する予定なんだけど、ここで休むのを提案してきたのもエルーサである。理由もキチンと説明を受けていて、最も大きな理由は10階から11階に進む場所は特別に強い魔物が出る。所謂ボス部屋というヤツがあるから、事前に準備と打合せをする為に9階にある安全地帯で休憩をするパーティーは多く、素通りする方が稀らしい。
「現在10階側に向かった冒険者の照会は出発時にするのかしら?」
「はい、その方がいいでしょう。私達が休んでいる間に出発する者達もいないとは限らないので」
それは確かに、その通りよね。因みに冒険者の照会は結構重要で、この魔導洞窟の9階はここを通らないと10階へは行けない場所に作られていて、関所の役割も果たしている。
11階以降の階層は魔物の強さが跳ね上がるのが最もな理由で、強くも無い冒険者が通った場合の生還率はほぼ無い。と、言われていた為に上層9階の安全地帯が作られたと言っても過言じゃない。第一級魔導洞窟の多くに上層と中層の間にこういった施設を冒険者ギルドが中心となって運営しているのは低いランクの冒険者を多く生き残らせる事に注力してきた歴史がある。
そして、逆に高ランクの冒険者にとっては中層以下の階層は美味しい狩場なので、競合する冒険者が現在どれくらいいるのか――と、いう情報が重要になってくる。これは魔導洞窟内で他の冒険者と出会った時、相手がピンチの場合は加勢するのは問題無い場合が多いけれど、そうでない時に横入りするのはマナー違反で冒険者同士の争いの種となる。
故に事前にどれくらいのランクの冒険者が潜っているか? または二つ名持ちの冒険者が潜っているなどの情報は非常に大事になってくる。
「とりあえず、明日の打合せをしてからゆっくりと休むって感じね」
「はい。お嬢様」
因みに打合せの後、秒で意識を手放してぐっすりと寝たわ。
何故かというと、アリエルとウィンディが武器の扱いにある程度順応しちゃったのだ。ナスターシアは元の武器より重心や長さが違うことに戸惑っていたけれど、あれから2階ほど下がった現在、ある程度は使えていると言っても過言では無い。
そんな事を考えていると、同じ事を考えていたのかエルーサが提案する。
「皆様、もう少しペースを上げても良いでしょうか?」
と、そう言った瞬間に私は同調してペースを上げるべきだと主張した。それを聞いてウィンディも了解し、少し悩んでいたアリエルはチラリとナスターシアを見る。
「わ、私も大丈夫です。これくらいの事で後れを取るような訓練はしておりません」
「……なら、私もその意見に賛成よ」
そこからは全員が身体強化を常に使用した状態で、目の前に出る敵を粉砕しつつ、この階層あたりでしか戦えない普通の冒険者では絶対にマネすることは無い、常に走りながら移動していく。慎重に行動? 知らん、そんな事は!!!
と、思いつつキッチリと周囲の魔力反応を感じながら、駆けて行く。本来はキチンと魔物の素材なども確保しながら降りて行くのだけど、ここら辺に私が欲する物は無かったので、無視して先へ進んだのだ。
しかし、これは高ランクの冒険者でも時にする行為であるので、大きな問題にはならないだろう。それに魔物の死体なども一定の時間が経てば風化するように消える。この現状は魔導洞窟に帰る、魔導洞窟に喰われるなどの言い方がされる。
魔導洞窟というのはこの世の理とは少し違うルールによって成り立っている不思議な空間でり、人によれば魔導洞窟その物が別の生き物ではないか、という説もあるくらいだ。
ま、それはさておき、駆け足で降りていくこと約2時間経って、上層9階にある安全地帯へたどり着いた。
ちなみに上層9階の安全地帯はこの魔導洞窟内最大規模の安全地帯となる。そして、ここには一つ確認する事があったで元からここには絶対に立ち寄る予定だった。
「宿の手配をしてまいりました」
そう言ったのはエルーサだ。本日はここでゆっくりと寝てから中層に向けて出発する予定なんだけど、ここで休むのを提案してきたのもエルーサである。理由もキチンと説明を受けていて、最も大きな理由は10階から11階に進む場所は特別に強い魔物が出る。所謂ボス部屋というヤツがあるから、事前に準備と打合せをする為に9階にある安全地帯で休憩をするパーティーは多く、素通りする方が稀らしい。
「現在10階側に向かった冒険者の照会は出発時にするのかしら?」
「はい、その方がいいでしょう。私達が休んでいる間に出発する者達もいないとは限らないので」
それは確かに、その通りよね。因みに冒険者の照会は結構重要で、この魔導洞窟の9階はここを通らないと10階へは行けない場所に作られていて、関所の役割も果たしている。
11階以降の階層は魔物の強さが跳ね上がるのが最もな理由で、強くも無い冒険者が通った場合の生還率はほぼ無い。と、言われていた為に上層9階の安全地帯が作られたと言っても過言じゃない。第一級魔導洞窟の多くに上層と中層の間にこういった施設を冒険者ギルドが中心となって運営しているのは低いランクの冒険者を多く生き残らせる事に注力してきた歴史がある。
そして、逆に高ランクの冒険者にとっては中層以下の階層は美味しい狩場なので、競合する冒険者が現在どれくらいいるのか――と、いう情報が重要になってくる。これは魔導洞窟内で他の冒険者と出会った時、相手がピンチの場合は加勢するのは問題無い場合が多いけれど、そうでない時に横入りするのはマナー違反で冒険者同士の争いの種となる。
故に事前にどれくらいのランクの冒険者が潜っているか? または二つ名持ちの冒険者が潜っているなどの情報は非常に大事になってくる。
「とりあえず、明日の打合せをしてからゆっくりと休むって感じね」
「はい。お嬢様」
因みに打合せの後、秒で意識を手放してぐっすりと寝たわ。
1
お気に入りに追加
67
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
乙女ゲームの断罪イベントが終わった世界で転生したモブは何を思う
ひなクラゲ
ファンタジー
ここは乙女ゲームの世界
悪役令嬢の断罪イベントも終わり、無事にエンディングを迎えたのだろう…
主人公と王子の幸せそうな笑顔で…
でも転生者であるモブは思う
きっとこのまま幸福なまま終わる筈がないと…
悪役令嬢になりたくないので、攻略対象をヒロインに捧げます
久乃り
恋愛
乙女ゲームの世界に転生していた。
その記憶は突然降りてきて、記憶と現実のすり合わせに毎日苦労する羽目になる元日本の女子高校生佐藤美和。
1周回ったばかりで、2週目のターゲットを考えていたところだったため、乙女ゲームの世界に入り込んで嬉しい!とは思ったものの、自分はヒロインではなく、ライバルキャラ。ルート次第では悪役令嬢にもなってしまう公爵令嬢アンネローゼだった。
しかも、もう学校に通っているので、ゲームは進行中!ヒロインがどのルートに進んでいるのか確認しなくては、自分の立ち位置が分からない。いわゆる破滅エンドを回避するべきか?それとも、、勝手に動いて自分がヒロインになってしまうか?
自分の死に方からいって、他にも転生者がいる気がする。そのひとを探し出さないと!
自分の運命は、悪役令嬢か?破滅エンドか?ヒロインか?それともモブ?
ゲーム修正が入らないことを祈りつつ、転生仲間を探し出し、この乙女ゲームの世界を生き抜くのだ!
他サイトにて別名義で掲載していた作品です。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
悪役令嬢の独壇場
あくび。
ファンタジー
子爵令嬢のララリーは、学園の卒業パーティーの中心部を遠巻きに見ていた。
彼女は転生者で、この世界が乙女ゲームの舞台だということを知っている。
自分はモブ令嬢という位置づけではあるけれど、入学してからは、ゲームの記憶を掘り起こして各イベントだって散々覗き見してきた。
正直に言えば、登場人物の性格やイベントの内容がゲームと違う気がするけれど、大筋はゲームの通りに進んでいると思う。
ということは、今日はクライマックスの婚約破棄が行われるはずなのだ。
そう思って卒業パーティーの様子を傍から眺めていたのだけど。
あら?これは、何かがおかしいですね。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
『悪役』のイメージが違うことで起きた悲しい事故
ラララキヲ
ファンタジー
ある男爵が手を出していたメイドが密かに娘を産んでいた。それを知った男爵は平民として生きていた娘を探し出して養子とした。
娘の名前はルーニー。
とても可愛い外見をしていた。
彼女は人を惹き付ける特別な外見をしていたが、特別なのはそれだけではなかった。
彼女は前世の記憶を持っていたのだ。
そして彼女はこの世界が前世で遊んだ乙女ゲームが舞台なのだと気付く。
格好良い攻略対象たちに意地悪な悪役令嬢。
しかしその悪役令嬢がどうもおかしい。何もしてこないどころか性格さえも設定と違うようだ。
乙女ゲームのヒロインであるルーニーは腹を立てた。
“悪役令嬢が悪役をちゃんとしないからゲームのストーリーが進まないじゃない!”と。
怒ったルーニーは悪役令嬢を責める。
そして物語は動き出した…………──
※!!※細かい描写などはありませんが女性が酷い目に遭った展開となるので嫌な方はお気をつけ下さい。
※!!※『子供が絵本のシンデレラ読んでと頼んだらヤバイ方のシンデレラを読まれた』みたいな話です。
◇テンプレ乙女ゲームの世界。
◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。
◇ご都合展開。矛盾もあるかも。
◇なろうにも上げる予定です。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
悪役令嬢らしいのですが、務まらないので途中退場を望みます
水姫
ファンタジー
ある日突然、「悪役令嬢!」って言われたらどうしますか?
私は、逃げます!
えっ?途中退場はなし?
無理です!私には務まりません!
悪役令嬢と言われた少女は虚弱過ぎて途中退場をお望みのようです。
一話一話は短めにして、毎日投稿を目指します。お付き合い頂けると嬉しいです。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
断罪イベント返しなんぞされてたまるか。私は普通に生きたいんだ邪魔するな!!
柊
ファンタジー
「ミレイユ・ギルマン!」
ミレヴン国立宮廷学校卒業記念の夜会にて、突如叫んだのは第一王子であるセルジオ・ライナルディ。
「お前のような性悪な女を王妃には出来ない! よって今日ここで私は公爵令嬢ミレイユ・ギルマンとの婚約を破棄し、男爵令嬢アンナ・ラブレと婚姻する!!」
そう宣言されたミレイユ・ギルマンは冷静に「さようでございますか。ですが、『性悪な』というのはどういうことでしょうか?」と返す。それに反論するセルジオ。彼に肩を抱かれている渦中の男爵令嬢アンナ・ラブレは思った。
(やっべえ。これ前世の投稿サイトで何万回も見た展開だ!)と。
※pixiv、カクヨム、小説家になろうにも同じものを投稿しています。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
シナリオ通り追放されて早死にしましたが幸せでした
黒姫
恋愛
乙女ゲームの悪役令嬢に転生しました。神様によると、婚約者の王太子に断罪されて極北の修道院に幽閉され、30歳を前にして死んでしまう設定は変えられないそうです。さて、それでも幸せになるにはどうしたら良いでしょうか?(2/16 完結。カテゴリーを恋愛に変更しました。)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?
みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。
ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる
色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる