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第三章 悪役令嬢は学院生活を送る
84.悪役令嬢は朝のざわめきを楽しむ
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ミストリアには上級貴族と呼ばれる家は公爵3家、侯爵6家、伯爵10家、そして王家を合わせて20家存在する。そして、学院の10歳のクラス分けは基本的に全ての上級貴族がひとまとめにされ、1クラスとするのが慣習となっている。
全クラスの内訳は上級貴族をまとめたクラス、子爵、男爵をまとめたクラスが3つ、準男爵、騎士爵、平民の優秀者を集めたクラスが4つ、平民だけを集めたクラスが2つで全10クラス存在する。1クラスの人数はその年によって前後するが、貴族の多いクラスは大体20名、平民がいるクラスは30名となっている。
また、王家の者は出席が自由で名目上学院に所属となっているが、通わなくても問題無いとされている。高学では成績や専門性を重要視する為に王家の者であっても、絶対に通わなくてはいけないというより、醜聞にも関わるので、通わざるを得ないという側面が強い。
学園に到着して馬車から降りると、ミーリアとジェニーが私を待っており私はにこやかに挨拶をする。
「ごきげんよう」
彼女達は嬉しそうに「ごきげんよう」と返してくれる。うん、こういう雰囲気はやっぱりいいわね。と、私が考えているとルアーナもやって来る。
「エステリア様、おはようございます」
「あら、ルアーナも私を待っていたの?」
「当然です。私の主は貴女だけですから」
そう言って彼女は騎士特有の臣下の礼をする。うん、なんか……ウザいけど、慣れるしかないか。
因みに学院での生活は基本的に皆、服装は自由だ。一応、制服らしき物はあるが、誰も着てはいない――と、いうことも無いわね。平民や下級貴族の中では制服を着ている子達が多いみたいだし。こういうところは妙に現代的というか、不思議な世界よね。
本当の事をいえば、スマホやパソコンが無いのは凄く不便だ。でも、無い物は仕方ないと思って彼是5年も経っているワケで。魔術回路を使って簡単な計算機のような物を作ってみたけれど、正直言って失敗だった。なんとなくの設計で作っても汎用性も特段計算が早いわけでも無く、表示用のディスプレイも無いし微妙だった。これをさらに発展させようと思うと専門の技術者を育てないといけないという結論に達した。この辺りはお母様にも協力いただくしかないかな。
っと、閑話休題――
「さぁ、教室へ参りましょうか」
3人は何故かにこやかに返事をする。私は首を傾げそうになりつつも、周囲に悟られないように優雅さに気を付けながら本校舎にある、上級貴族だけ集められている教室へ向かった。
教室へ着くと、小さなざわめきがあったが、私はそれを無視して見知った顔へ挨拶する。
「リンリィ、ごきげんよう」
「ごきげんよう。リア様、本日は殿下の方はいらっしゃらないみたいですよ」
「そうなのですか?」
「ええ、リンリィの言う通りみたいよ。おかげで向こうの側近は気が緩んでいるようですね」
と、マリーが自身の婚約者に視線を向ける。確かに少しお疲れの様子ね。ここ数日は随分と振り回されていたようだし。なんだか、少しもう分けない気持ちも無くは無いけど、頑張れ! と、言ってあげたい。
「兄は学年が違うので、そこまで影響はなさそうです」
「まぁ、それは当然かと思うわね。殿下も色々と忙しい方でしょうから、来なくてもよい学院にはあまり足を運ばないのではなくって?」
「来なくても大丈夫なんですか?」
と、ウィンディが不思議そうな顔をして言った。
「ええ、王家の子供は小学においては登校も自由。ただし、試験に関しては合格点を取らないといけないみたいですけどね」
「来なくてもいいってことは、お城でもお勉強してるってことですか?」
「……分からないけど、してるのでは無いのかしら? アリエルは結構頑張っていたけど……」
リストリア殿下はヒキニートましっぐらだけど、クリフト殿下は何をしてるのでしょうね? アリエルはお母様を含め、ハイレベルな教育を行えるやべぇ人達が教師としてついているから問題ないけど――殿下の話って驚くほど耳に入って来ないわ。
そんな事を考えていると鐘がなり、教師が教室に入って来る。
全クラスの内訳は上級貴族をまとめたクラス、子爵、男爵をまとめたクラスが3つ、準男爵、騎士爵、平民の優秀者を集めたクラスが4つ、平民だけを集めたクラスが2つで全10クラス存在する。1クラスの人数はその年によって前後するが、貴族の多いクラスは大体20名、平民がいるクラスは30名となっている。
また、王家の者は出席が自由で名目上学院に所属となっているが、通わなくても問題無いとされている。高学では成績や専門性を重要視する為に王家の者であっても、絶対に通わなくてはいけないというより、醜聞にも関わるので、通わざるを得ないという側面が強い。
学園に到着して馬車から降りると、ミーリアとジェニーが私を待っており私はにこやかに挨拶をする。
「ごきげんよう」
彼女達は嬉しそうに「ごきげんよう」と返してくれる。うん、こういう雰囲気はやっぱりいいわね。と、私が考えているとルアーナもやって来る。
「エステリア様、おはようございます」
「あら、ルアーナも私を待っていたの?」
「当然です。私の主は貴女だけですから」
そう言って彼女は騎士特有の臣下の礼をする。うん、なんか……ウザいけど、慣れるしかないか。
因みに学院での生活は基本的に皆、服装は自由だ。一応、制服らしき物はあるが、誰も着てはいない――と、いうことも無いわね。平民や下級貴族の中では制服を着ている子達が多いみたいだし。こういうところは妙に現代的というか、不思議な世界よね。
本当の事をいえば、スマホやパソコンが無いのは凄く不便だ。でも、無い物は仕方ないと思って彼是5年も経っているワケで。魔術回路を使って簡単な計算機のような物を作ってみたけれど、正直言って失敗だった。なんとなくの設計で作っても汎用性も特段計算が早いわけでも無く、表示用のディスプレイも無いし微妙だった。これをさらに発展させようと思うと専門の技術者を育てないといけないという結論に達した。この辺りはお母様にも協力いただくしかないかな。
っと、閑話休題――
「さぁ、教室へ参りましょうか」
3人は何故かにこやかに返事をする。私は首を傾げそうになりつつも、周囲に悟られないように優雅さに気を付けながら本校舎にある、上級貴族だけ集められている教室へ向かった。
教室へ着くと、小さなざわめきがあったが、私はそれを無視して見知った顔へ挨拶する。
「リンリィ、ごきげんよう」
「ごきげんよう。リア様、本日は殿下の方はいらっしゃらないみたいですよ」
「そうなのですか?」
「ええ、リンリィの言う通りみたいよ。おかげで向こうの側近は気が緩んでいるようですね」
と、マリーが自身の婚約者に視線を向ける。確かに少しお疲れの様子ね。ここ数日は随分と振り回されていたようだし。なんだか、少しもう分けない気持ちも無くは無いけど、頑張れ! と、言ってあげたい。
「兄は学年が違うので、そこまで影響はなさそうです」
「まぁ、それは当然かと思うわね。殿下も色々と忙しい方でしょうから、来なくてもよい学院にはあまり足を運ばないのではなくって?」
「来なくても大丈夫なんですか?」
と、ウィンディが不思議そうな顔をして言った。
「ええ、王家の子供は小学においては登校も自由。ただし、試験に関しては合格点を取らないといけないみたいですけどね」
「来なくてもいいってことは、お城でもお勉強してるってことですか?」
「……分からないけど、してるのでは無いのかしら? アリエルは結構頑張っていたけど……」
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