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第一章 悪役令嬢は動き出す
49.悪役令嬢は王女の宣言を聞く
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「ひとまず、ウィンディに関してはお家の方でキチンと話をして答えを出せばいいわ」
「は、はいっ!」
ウィンディ嬢は元気に返事をして、アリエルはそれを満足そうに頷きながら腕を組む。なんだか、偉そうでイラっとするのは私だけかしら?
「で、私はここに宣言するわ! 悪役令嬢同盟の結成を!!!」
うん、この空気感――皆、ポカンとしているわ。同盟ね、一応聞いてはいたけど、たぶん何度聞いてもそんな感じになるわ。
でも、計画自体は悪くない。悪役令嬢全員が転生者というのは分かっている。それに皆、いい子そうだし個々で断罪回避をするより確実に協力し合った方が何かあった時に助け合える。
一番初めに意識を取り戻したのはマリーだ。何故だか私を見て小さく溜息を吐いた。って、どういうことなのよ?
「アリエル殿下、このような場で仰っても大丈夫でしょうか?」
マリーの言いたい事はよく分かる。そもそも悪役令嬢という言葉が独特するぎるワケだし、悪役という言葉が入っている所為で知らない人からの心象はよろしく無いと思う。
「この場ではいいのよ。公の場で気を付ければね」
アリエルは自信満々に言うけど、一番に失敗しそうなのがアリエル自身なのが、マリーも心配しているところなんじゃないかな。リンリィ嬢も似たような事を考えているような表情をしているわね。
ただ、私の中でひとつ不安があるとすれば、リンガロイ伯爵家の立ち位置よね。本家がパルプスト公爵家で貴族派閥筆頭ではあるけど、どちらかというと貴族派閥の中で最も王家を蔑ろにしている家で王家を打倒して新しい国の形を目指したいという思想を根底に持っているのが現在の当主なのよね。しかも領地的に重要な位置に存在している事を考えると無下にも出来ない。
まぁ、その所為で貴族派閥の勢力が増えているって事もあるんだろうなぁ。
因みに私達の派閥分布はひとまずアリエルは除外して、我が家ハーブスト公爵家とリンィリ嬢のアーマリア侯爵家は保守派、マリーのレシアス侯爵家、ウィンディ嬢のリンガロイ伯爵家は中立派だ。
こうみると貴族派閥は入っていないんだけど、そもそもアリエルは保守派の中でも超保守で改革保守の派閥勢は様子見なのよね。クリフト殿下を推しているのは改革保守や貴族派の改革派閥が中心なんだよね。なお、リストリア殿下を推しているのは貴族派でもヤベェ奴らが中心なんだけど、たぶんだけど他国のスパイみたいなのが混ざってるんだろうなぁ。
「あ、あのっ、結局のところ……何をするんですか?」
ウィンディ嬢、それは良い質問だよ。アリエルはドヤ顔のまま立ち上がる。後で女王キャロラインに怒られるわよ――と、いうか止めなかった私も巻き添えの可能性もある!? と、思ったけれど、アリエルを簡単に止めれる人間はいないけど――せめて、座らせるくらいはしないとダメよね。
「よく聞いてくれたわ!」
「と、とりあえず、はしたないわよ。座りなさい」
「え、あー、そっ、そうねっ!」
気付いたアリエルは焦って周囲を見てから、ストンっと座り直す。そして、小さく咳払いをしてからお茶を口に含み深呼吸をしてから、私達の方に視線を向けて苦笑する。
「さっきも言ったけれど定期的に集まって情報交換をする。個々の目的もあるでしょ? 個人で解決するよりもお互いが協力した方が良いことも多いと思うのよ」
全員が視線を合わせてから、頷く。当然、全員が自身の悲惨な運命から逃れる方法を見つけることは最重要課題だ。
「それ以外にもあるんだけど、それに関しては個別に話をさせて欲しいと思ってるんだけど、大丈夫かしら?」
と、アリエルは私を見る。秘密の話がしたいってことなのは分かるけど、私は○○○もんじゃ無いんだからね。まぁ、秘密道具っぽいのは否めないけど。
「アリエル、個別で話したい事があるのは分からなくはないけど、出来るだけ集まっている時に個々と秘密の会話をする……みたいなのは、どうかと思うけど? お互いに協力をお願いするんだから、誠実さを見せる事も大事じゃないかしら?」
「……確かに! でも、そうね……うーん、ここでアレ使うのはマズいよね?」
アリエルは首を傾げながらそう言った。さっき、使ってたじゃん! と、ツッコミを入れたくなったけど、彼女なりに色々と気を使ったり心配をしたりしてるんだろうね。ま、私が報告書を作ってお母様と女王陛下に出せば問題無いかな。
「はぁ、手短に済ませてね。正直なところ、あんまり秘密の話をしてます! って、あからさま過ぎるから……」
その辺りは魔道具としては改善点ではあるんだけど、色々と問題山積なんだよねぇ。
「さすが、エステリアもん! 頼んだわ!」
「だれが○○えもんよっ!」
と、私はツッコミを入れつつ魔道具を起動した。
「は、はいっ!」
ウィンディ嬢は元気に返事をして、アリエルはそれを満足そうに頷きながら腕を組む。なんだか、偉そうでイラっとするのは私だけかしら?
「で、私はここに宣言するわ! 悪役令嬢同盟の結成を!!!」
うん、この空気感――皆、ポカンとしているわ。同盟ね、一応聞いてはいたけど、たぶん何度聞いてもそんな感じになるわ。
でも、計画自体は悪くない。悪役令嬢全員が転生者というのは分かっている。それに皆、いい子そうだし個々で断罪回避をするより確実に協力し合った方が何かあった時に助け合える。
一番初めに意識を取り戻したのはマリーだ。何故だか私を見て小さく溜息を吐いた。って、どういうことなのよ?
「アリエル殿下、このような場で仰っても大丈夫でしょうか?」
マリーの言いたい事はよく分かる。そもそも悪役令嬢という言葉が独特するぎるワケだし、悪役という言葉が入っている所為で知らない人からの心象はよろしく無いと思う。
「この場ではいいのよ。公の場で気を付ければね」
アリエルは自信満々に言うけど、一番に失敗しそうなのがアリエル自身なのが、マリーも心配しているところなんじゃないかな。リンリィ嬢も似たような事を考えているような表情をしているわね。
ただ、私の中でひとつ不安があるとすれば、リンガロイ伯爵家の立ち位置よね。本家がパルプスト公爵家で貴族派閥筆頭ではあるけど、どちらかというと貴族派閥の中で最も王家を蔑ろにしている家で王家を打倒して新しい国の形を目指したいという思想を根底に持っているのが現在の当主なのよね。しかも領地的に重要な位置に存在している事を考えると無下にも出来ない。
まぁ、その所為で貴族派閥の勢力が増えているって事もあるんだろうなぁ。
因みに私達の派閥分布はひとまずアリエルは除外して、我が家ハーブスト公爵家とリンィリ嬢のアーマリア侯爵家は保守派、マリーのレシアス侯爵家、ウィンディ嬢のリンガロイ伯爵家は中立派だ。
こうみると貴族派閥は入っていないんだけど、そもそもアリエルは保守派の中でも超保守で改革保守の派閥勢は様子見なのよね。クリフト殿下を推しているのは改革保守や貴族派の改革派閥が中心なんだよね。なお、リストリア殿下を推しているのは貴族派でもヤベェ奴らが中心なんだけど、たぶんだけど他国のスパイみたいなのが混ざってるんだろうなぁ。
「あ、あのっ、結局のところ……何をするんですか?」
ウィンディ嬢、それは良い質問だよ。アリエルはドヤ顔のまま立ち上がる。後で女王キャロラインに怒られるわよ――と、いうか止めなかった私も巻き添えの可能性もある!? と、思ったけれど、アリエルを簡単に止めれる人間はいないけど――せめて、座らせるくらいはしないとダメよね。
「よく聞いてくれたわ!」
「と、とりあえず、はしたないわよ。座りなさい」
「え、あー、そっ、そうねっ!」
気付いたアリエルは焦って周囲を見てから、ストンっと座り直す。そして、小さく咳払いをしてからお茶を口に含み深呼吸をしてから、私達の方に視線を向けて苦笑する。
「さっきも言ったけれど定期的に集まって情報交換をする。個々の目的もあるでしょ? 個人で解決するよりもお互いが協力した方が良いことも多いと思うのよ」
全員が視線を合わせてから、頷く。当然、全員が自身の悲惨な運命から逃れる方法を見つけることは最重要課題だ。
「それ以外にもあるんだけど、それに関しては個別に話をさせて欲しいと思ってるんだけど、大丈夫かしら?」
と、アリエルは私を見る。秘密の話がしたいってことなのは分かるけど、私は○○○もんじゃ無いんだからね。まぁ、秘密道具っぽいのは否めないけど。
「アリエル、個別で話したい事があるのは分からなくはないけど、出来るだけ集まっている時に個々と秘密の会話をする……みたいなのは、どうかと思うけど? お互いに協力をお願いするんだから、誠実さを見せる事も大事じゃないかしら?」
「……確かに! でも、そうね……うーん、ここでアレ使うのはマズいよね?」
アリエルは首を傾げながらそう言った。さっき、使ってたじゃん! と、ツッコミを入れたくなったけど、彼女なりに色々と気を使ったり心配をしたりしてるんだろうね。ま、私が報告書を作ってお母様と女王陛下に出せば問題無いかな。
「はぁ、手短に済ませてね。正直なところ、あんまり秘密の話をしてます! って、あからさま過ぎるから……」
その辺りは魔道具としては改善点ではあるんだけど、色々と問題山積なんだよねぇ。
「さすが、エステリアもん! 頼んだわ!」
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