悪役令嬢同盟 ―転生したら悪役令嬢だった少女達の姦しい日々―

もいもいさん

文字の大きさ
上 下
37 / 232
第一章 悪役令嬢は動き出す

37.悪役令嬢はゲームの時系列を共有する

しおりを挟む
 『とにキラ』の1作目と2作目は同時期の別の国が舞台となっている。正確にはミストリアの隣国であるスーリアルが舞台で隠しルートでは1作目のキャラが少しだけ登場するサプライズ付きの良作だった。

 ちなみにリメイクのDLCでは脇役で2のキャラがチラりと登場するシーンがある。ただ群衆のスチルにいるってレベルの内容だったので、分かる人には分かる的な演出になっていた。

「ウィンディ様、3の時代設定と舞台を教えて頂けますか?」
「は、はいっ。ただ……実際のゲームは未プレイなのですが、一応、設定だけはチェックしたので覚えています。3は1と2のように隣国というわけではありません。3作目は内容も章立てになっていて、ゲームパートも前半は学園モノ、後半はシミュレーションと以前の作品より凄くお金の掛かったゲームになっていたみたいです。因みにその時、凄くお金が無かったので泣く泣く買うのを止めた記憶があります」
「それは災難だったわね。私もそういう経験あったわ」

 と、アリエル。ウィンディ嬢は小さく苦笑して息を整えてさらに口を開く。

「舞台設定の方ですが、聖イーフレイ帝国とその周辺地域が舞台となっているんですよね。前半の学園編では帝都の学園で仲良くなった相手の国へ後半所属することになって、他のキャラが所属する国との戦いにそうです」
「ハーレムエンド絶対許さないマンがいたみたいね」
「あー、何となくわかります。同じプロデューサーなんですよねソシャゲ。どのタイミングか忘れましたけど、配信でハーレムエンド嫌いだから絶対にやらない的な話をしてましたよ」
「配信でいうのはちょっとダメ系プロデューサーじゃない?」
「まぁ、そうですね。正直、私もあの人は人としてどうかと思います」

 アリエルとウィンディ嬢は脱線しつつも楽しそうにしている。が、正直、プロデューサー云々の話など別に聞きたいわけじゃない。

「脱線しているわ。続きをお願い」
「あ、えっと、すいませんっ。実はそれ以上のところはネタバレ情報を掴みたく無かったので情報持ってないんですよね。あ、でも……噂では本当に後半の後半で東側の国から魔王が攻めてくる的な話になるらしい……ですけど、本当かどうかは分からないです」

 東の国から魔王が攻めて来るのね。一応、確認はしておいた方がいいかなぁ。

「ウィンディ様。ソシャゲの設定は3作目の後という話でしたわよね?」
「そうなんです。舞台は聖イーフレイ帝国に新たに造られた学園がはじめの舞台なんですけど、既に魔王は打ち取られた後の世界だったハズです」
「攻めてきた魔王は侵攻に失敗したのね」
「それがですね……帝国まで攻めてきて周囲の国は魔王の国となっていたらしいです。その後、現れた英雄達によって魔王の圧政から解放された……的な話だったと思います」

 やっぱり、そういう事なんだろうなぁ。この国のシステムがようやく分かったわ。王家がいるのに王国じゃない。各国は帝国から自治権を委任されている令制国りょうせいこくなんだ。そもそも、魔王もその仕組みに従っているハズで、そうじゃないと聖イーフレイ帝国は滅ぼされていないとおかしい。

 これに関してはリンリィ嬢は気が付いているかもしれないわね。と、私が視線を向けると彼女は静かに頷いた。

「ねぇ、エステリア。なにリンリィと分かったような雰囲気出してるのよ……」

 アリエルが少し不貞腐れたようにそう言った。ちょっと不貞腐れた感じは可愛らしいと思ってしまい、思わず笑ってしまう。

「何よぉ、笑うことないじゃない」
「ごめんね。ちょっと子供っぽいと思っただけよ」
「って、酷いわね。……と、いうか私達大概子供よ」

 おお、確かにそうだった。ハッキリ言って七歳の子供達が集まって何の話をしてるんだ。と、いう感じではある。多分だけど、監視している保護者達も目を回しているかもしれないわね。

「で、説明してよ」
「はぁ、仕方ない王女様ね。私が疑問に思ってた事をまず説明するわ」
「はーい、お願いしまーす」

 と、アリエルは子供っぽく言った。あざといな……などと思いつつ全員の視線が私に向き、私は一呼吸置いてから話し始める。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

乙女ゲームの断罪イベントが終わった世界で転生したモブは何を思う

ひなクラゲ
ファンタジー
 ここは乙女ゲームの世界  悪役令嬢の断罪イベントも終わり、無事にエンディングを迎えたのだろう…  主人公と王子の幸せそうな笑顔で…  でも転生者であるモブは思う  きっとこのまま幸福なまま終わる筈がないと…

悪役令嬢になりたくないので、攻略対象をヒロインに捧げます

久乃り
恋愛
乙女ゲームの世界に転生していた。 その記憶は突然降りてきて、記憶と現実のすり合わせに毎日苦労する羽目になる元日本の女子高校生佐藤美和。 1周回ったばかりで、2週目のターゲットを考えていたところだったため、乙女ゲームの世界に入り込んで嬉しい!とは思ったものの、自分はヒロインではなく、ライバルキャラ。ルート次第では悪役令嬢にもなってしまう公爵令嬢アンネローゼだった。 しかも、もう学校に通っているので、ゲームは進行中!ヒロインがどのルートに進んでいるのか確認しなくては、自分の立ち位置が分からない。いわゆる破滅エンドを回避するべきか?それとも、、勝手に動いて自分がヒロインになってしまうか? 自分の死に方からいって、他にも転生者がいる気がする。そのひとを探し出さないと! 自分の運命は、悪役令嬢か?破滅エンドか?ヒロインか?それともモブ? ゲーム修正が入らないことを祈りつつ、転生仲間を探し出し、この乙女ゲームの世界を生き抜くのだ! 他サイトにて別名義で掲載していた作品です。

悪役令嬢の独壇場

あくび。
ファンタジー
子爵令嬢のララリーは、学園の卒業パーティーの中心部を遠巻きに見ていた。 彼女は転生者で、この世界が乙女ゲームの舞台だということを知っている。 自分はモブ令嬢という位置づけではあるけれど、入学してからは、ゲームの記憶を掘り起こして各イベントだって散々覗き見してきた。 正直に言えば、登場人物の性格やイベントの内容がゲームと違う気がするけれど、大筋はゲームの通りに進んでいると思う。 ということは、今日はクライマックスの婚約破棄が行われるはずなのだ。 そう思って卒業パーティーの様子を傍から眺めていたのだけど。 あら?これは、何かがおかしいですね。

『悪役』のイメージが違うことで起きた悲しい事故

ラララキヲ
ファンタジー
 ある男爵が手を出していたメイドが密かに娘を産んでいた。それを知った男爵は平民として生きていた娘を探し出して養子とした。  娘の名前はルーニー。  とても可愛い外見をしていた。  彼女は人を惹き付ける特別な外見をしていたが、特別なのはそれだけではなかった。  彼女は前世の記憶を持っていたのだ。  そして彼女はこの世界が前世で遊んだ乙女ゲームが舞台なのだと気付く。  格好良い攻略対象たちに意地悪な悪役令嬢。  しかしその悪役令嬢がどうもおかしい。何もしてこないどころか性格さえも設定と違うようだ。  乙女ゲームのヒロインであるルーニーは腹を立てた。  “悪役令嬢が悪役をちゃんとしないからゲームのストーリーが進まないじゃない!”と。  怒ったルーニーは悪役令嬢を責める。  そして物語は動き出した…………── ※!!※細かい描写などはありませんが女性が酷い目に遭った展開となるので嫌な方はお気をつけ下さい。 ※!!※『子供が絵本のシンデレラ読んでと頼んだらヤバイ方のシンデレラを読まれた』みたいな話です。 ◇テンプレ乙女ゲームの世界。 ◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。 ◇ご都合展開。矛盾もあるかも。 ◇なろうにも上げる予定です。

悪役令嬢らしいのですが、務まらないので途中退場を望みます

水姫
ファンタジー
ある日突然、「悪役令嬢!」って言われたらどうしますか? 私は、逃げます! えっ?途中退場はなし? 無理です!私には務まりません! 悪役令嬢と言われた少女は虚弱過ぎて途中退場をお望みのようです。 一話一話は短めにして、毎日投稿を目指します。お付き合い頂けると嬉しいです。

断罪イベント返しなんぞされてたまるか。私は普通に生きたいんだ邪魔するな!!

ファンタジー
「ミレイユ・ギルマン!」 ミレヴン国立宮廷学校卒業記念の夜会にて、突如叫んだのは第一王子であるセルジオ・ライナルディ。 「お前のような性悪な女を王妃には出来ない! よって今日ここで私は公爵令嬢ミレイユ・ギルマンとの婚約を破棄し、男爵令嬢アンナ・ラブレと婚姻する!!」 そう宣言されたミレイユ・ギルマンは冷静に「さようでございますか。ですが、『性悪な』というのはどういうことでしょうか?」と返す。それに反論するセルジオ。彼に肩を抱かれている渦中の男爵令嬢アンナ・ラブレは思った。 (やっべえ。これ前世の投稿サイトで何万回も見た展開だ!)と。 ※pixiv、カクヨム、小説家になろうにも同じものを投稿しています。

シナリオ通り追放されて早死にしましたが幸せでした

黒姫
恋愛
乙女ゲームの悪役令嬢に転生しました。神様によると、婚約者の王太子に断罪されて極北の修道院に幽閉され、30歳を前にして死んでしまう設定は変えられないそうです。さて、それでも幸せになるにはどうしたら良いでしょうか?(2/16 完結。カテゴリーを恋愛に変更しました。)

【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?

みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。 ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる 色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く

処理中です...