24 / 232
第一章 悪役令嬢は動き出す
24.悪役令嬢は悪役令嬢達の情報をまとめる
しおりを挟む
先日、アンネマリー嬢との商談――いいえ、お茶会を終えて、私は次の事に取り掛かる。
まずは商談で決めた内容から、必要となりそうな魔道具の設計。それから、王都までの流通経路の準備……これはお父様と相談かな。お母様と術式理論に関して気が付いた事を話さないといけない。で、一番重要なのは他の悪役令嬢の今を調べることだ。
現在の時代背景を考えると、時間軸的に『とにキラ』の無印、もしくはリメイクが始まる数年前になる。設定上の話だと、あと数年で私は王太子であるクリフト殿下と婚約する事になる――これはどうにか回避したい。まぁ、現状もいえば婚約者候補ではあるんだけどねぇ。
私を含めて悪役令嬢は5人、全ルート対象での悪役令嬢は私、エステリア・ハーブスト。第二王子のリストリア殿下ルートは妹のアリエル王女殿下。騎士見習いの脳筋マルコは彼の幼馴染で同じ侯爵令嬢であるリンリィ・アーマリア侯爵令嬢。眼鏡担当のアーネスト・パルプスト公爵令息のルートは彼の従姉にあたるリンガロイ伯爵令嬢であるウィンディ。そして、ファルリオ・リブロス侯爵令息の婚約者になるアンネマリー・レシアス侯爵令嬢。
私とマリーは転生者っていうのは確定情報だけど、他の面子がどうなんだって話だよね。
因みにお父様を通じてアーマリア侯爵、リンガロイ伯爵の令嬢に関して調べて欲しいとお願いしたところ、快く了解して貰った。同世代の令嬢の情報を調べるのは意外と普通の事だったようで、特に難しい理由などは聞かれなかった。
問題はアリエル王女に関してだ。リストリア殿下はクリフト殿下とは年子で1つ違い。私とは同じ年。だけど、アリエル王女はその二つ下なんだよね。現在5歳って考えると調査も何もなさそうなんだよね。一応、お母様を通じて一度会ってみるのがいいとは思うけど……どうなんだろう?
「エルーサ、少しいいかしら?」
「どうされましたか、お嬢様」
「アリエル殿下とお友達になりたいんだけど、お母様に相談すべきかしら?」
「アリエル王女殿下とお友達ですか? お嬢様とは従姉妹という関係ですから、奥様にご相談されればお会い出来る機会は作って頂けると思いますが……突然、どうされたのですか?」
王家と関わると婚約者にされちゃう可能性もあるけど、一応確認くらいはしておきたいところなんだよね。そういえば、アリエル王女は女王キャロラインの娘なんだよね。『とにキラ』ではクリフト殿下とリストリア殿下はあまりいい関係とは言えないのに、アリエル王女はリストリア殿下にべったりだったんだよね。
うーん、近づくのは迂闊なのかな。悩ましい……悩ましいところだわ。
「とりあえずお母様に相談するしか無いわね。出来れば急ぎお母様とお会いしたいからお母様の予定を確認してきて貰えるかしら?」
「畏まりました」
エルーサは一礼して部屋から出て行く。まだ午前中なので、時間は取れると思うけどお母様も暇では無いのだ。特にお母様は王女時代から魔導師として魔術理論の研究を行っている研究者としても有名でここ最近は私が見つけた術式分解と新規術式構築に関しての研究に日々忙しそうにしているのだ。
しばらくして、エルーサが戻ってくる。
「本日の午後、お嬢様とお茶をしたいと仰っておられました」
「分かったわ。場所は?」
「薔薇の庭で待っておくようにと」
薔薇の庭は公爵邸の中庭にある温室前にある薔薇園の事だ。お父様の趣味で薔薇の育成をしているらしく、国内の様々な種類の薔薇が育てられている豪華な庭で季節ごとの薔薇が楽しめる素敵な場所で私もお気に入りの場所だ。
「フフッ、お母様と二人きりのお茶会は久しぶりになるから、楽しみね」
まずは商談で決めた内容から、必要となりそうな魔道具の設計。それから、王都までの流通経路の準備……これはお父様と相談かな。お母様と術式理論に関して気が付いた事を話さないといけない。で、一番重要なのは他の悪役令嬢の今を調べることだ。
現在の時代背景を考えると、時間軸的に『とにキラ』の無印、もしくはリメイクが始まる数年前になる。設定上の話だと、あと数年で私は王太子であるクリフト殿下と婚約する事になる――これはどうにか回避したい。まぁ、現状もいえば婚約者候補ではあるんだけどねぇ。
私を含めて悪役令嬢は5人、全ルート対象での悪役令嬢は私、エステリア・ハーブスト。第二王子のリストリア殿下ルートは妹のアリエル王女殿下。騎士見習いの脳筋マルコは彼の幼馴染で同じ侯爵令嬢であるリンリィ・アーマリア侯爵令嬢。眼鏡担当のアーネスト・パルプスト公爵令息のルートは彼の従姉にあたるリンガロイ伯爵令嬢であるウィンディ。そして、ファルリオ・リブロス侯爵令息の婚約者になるアンネマリー・レシアス侯爵令嬢。
私とマリーは転生者っていうのは確定情報だけど、他の面子がどうなんだって話だよね。
因みにお父様を通じてアーマリア侯爵、リンガロイ伯爵の令嬢に関して調べて欲しいとお願いしたところ、快く了解して貰った。同世代の令嬢の情報を調べるのは意外と普通の事だったようで、特に難しい理由などは聞かれなかった。
問題はアリエル王女に関してだ。リストリア殿下はクリフト殿下とは年子で1つ違い。私とは同じ年。だけど、アリエル王女はその二つ下なんだよね。現在5歳って考えると調査も何もなさそうなんだよね。一応、お母様を通じて一度会ってみるのがいいとは思うけど……どうなんだろう?
「エルーサ、少しいいかしら?」
「どうされましたか、お嬢様」
「アリエル殿下とお友達になりたいんだけど、お母様に相談すべきかしら?」
「アリエル王女殿下とお友達ですか? お嬢様とは従姉妹という関係ですから、奥様にご相談されればお会い出来る機会は作って頂けると思いますが……突然、どうされたのですか?」
王家と関わると婚約者にされちゃう可能性もあるけど、一応確認くらいはしておきたいところなんだよね。そういえば、アリエル王女は女王キャロラインの娘なんだよね。『とにキラ』ではクリフト殿下とリストリア殿下はあまりいい関係とは言えないのに、アリエル王女はリストリア殿下にべったりだったんだよね。
うーん、近づくのは迂闊なのかな。悩ましい……悩ましいところだわ。
「とりあえずお母様に相談するしか無いわね。出来れば急ぎお母様とお会いしたいからお母様の予定を確認してきて貰えるかしら?」
「畏まりました」
エルーサは一礼して部屋から出て行く。まだ午前中なので、時間は取れると思うけどお母様も暇では無いのだ。特にお母様は王女時代から魔導師として魔術理論の研究を行っている研究者としても有名でここ最近は私が見つけた術式分解と新規術式構築に関しての研究に日々忙しそうにしているのだ。
しばらくして、エルーサが戻ってくる。
「本日の午後、お嬢様とお茶をしたいと仰っておられました」
「分かったわ。場所は?」
「薔薇の庭で待っておくようにと」
薔薇の庭は公爵邸の中庭にある温室前にある薔薇園の事だ。お父様の趣味で薔薇の育成をしているらしく、国内の様々な種類の薔薇が育てられている豪華な庭で季節ごとの薔薇が楽しめる素敵な場所で私もお気に入りの場所だ。
「フフッ、お母様と二人きりのお茶会は久しぶりになるから、楽しみね」
1
お気に入りに追加
67
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
乙女ゲームの断罪イベントが終わった世界で転生したモブは何を思う
ひなクラゲ
ファンタジー
ここは乙女ゲームの世界
悪役令嬢の断罪イベントも終わり、無事にエンディングを迎えたのだろう…
主人公と王子の幸せそうな笑顔で…
でも転生者であるモブは思う
きっとこのまま幸福なまま終わる筈がないと…
悪役令嬢になりたくないので、攻略対象をヒロインに捧げます
久乃り
恋愛
乙女ゲームの世界に転生していた。
その記憶は突然降りてきて、記憶と現実のすり合わせに毎日苦労する羽目になる元日本の女子高校生佐藤美和。
1周回ったばかりで、2週目のターゲットを考えていたところだったため、乙女ゲームの世界に入り込んで嬉しい!とは思ったものの、自分はヒロインではなく、ライバルキャラ。ルート次第では悪役令嬢にもなってしまう公爵令嬢アンネローゼだった。
しかも、もう学校に通っているので、ゲームは進行中!ヒロインがどのルートに進んでいるのか確認しなくては、自分の立ち位置が分からない。いわゆる破滅エンドを回避するべきか?それとも、、勝手に動いて自分がヒロインになってしまうか?
自分の死に方からいって、他にも転生者がいる気がする。そのひとを探し出さないと!
自分の運命は、悪役令嬢か?破滅エンドか?ヒロインか?それともモブ?
ゲーム修正が入らないことを祈りつつ、転生仲間を探し出し、この乙女ゲームの世界を生き抜くのだ!
他サイトにて別名義で掲載していた作品です。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
悪役令嬢の独壇場
あくび。
ファンタジー
子爵令嬢のララリーは、学園の卒業パーティーの中心部を遠巻きに見ていた。
彼女は転生者で、この世界が乙女ゲームの舞台だということを知っている。
自分はモブ令嬢という位置づけではあるけれど、入学してからは、ゲームの記憶を掘り起こして各イベントだって散々覗き見してきた。
正直に言えば、登場人物の性格やイベントの内容がゲームと違う気がするけれど、大筋はゲームの通りに進んでいると思う。
ということは、今日はクライマックスの婚約破棄が行われるはずなのだ。
そう思って卒業パーティーの様子を傍から眺めていたのだけど。
あら?これは、何かがおかしいですね。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
『悪役』のイメージが違うことで起きた悲しい事故
ラララキヲ
ファンタジー
ある男爵が手を出していたメイドが密かに娘を産んでいた。それを知った男爵は平民として生きていた娘を探し出して養子とした。
娘の名前はルーニー。
とても可愛い外見をしていた。
彼女は人を惹き付ける特別な外見をしていたが、特別なのはそれだけではなかった。
彼女は前世の記憶を持っていたのだ。
そして彼女はこの世界が前世で遊んだ乙女ゲームが舞台なのだと気付く。
格好良い攻略対象たちに意地悪な悪役令嬢。
しかしその悪役令嬢がどうもおかしい。何もしてこないどころか性格さえも設定と違うようだ。
乙女ゲームのヒロインであるルーニーは腹を立てた。
“悪役令嬢が悪役をちゃんとしないからゲームのストーリーが進まないじゃない!”と。
怒ったルーニーは悪役令嬢を責める。
そして物語は動き出した…………──
※!!※細かい描写などはありませんが女性が酷い目に遭った展開となるので嫌な方はお気をつけ下さい。
※!!※『子供が絵本のシンデレラ読んでと頼んだらヤバイ方のシンデレラを読まれた』みたいな話です。
◇テンプレ乙女ゲームの世界。
◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。
◇ご都合展開。矛盾もあるかも。
◇なろうにも上げる予定です。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
悪役令嬢らしいのですが、務まらないので途中退場を望みます
水姫
ファンタジー
ある日突然、「悪役令嬢!」って言われたらどうしますか?
私は、逃げます!
えっ?途中退場はなし?
無理です!私には務まりません!
悪役令嬢と言われた少女は虚弱過ぎて途中退場をお望みのようです。
一話一話は短めにして、毎日投稿を目指します。お付き合い頂けると嬉しいです。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
断罪イベント返しなんぞされてたまるか。私は普通に生きたいんだ邪魔するな!!
柊
ファンタジー
「ミレイユ・ギルマン!」
ミレヴン国立宮廷学校卒業記念の夜会にて、突如叫んだのは第一王子であるセルジオ・ライナルディ。
「お前のような性悪な女を王妃には出来ない! よって今日ここで私は公爵令嬢ミレイユ・ギルマンとの婚約を破棄し、男爵令嬢アンナ・ラブレと婚姻する!!」
そう宣言されたミレイユ・ギルマンは冷静に「さようでございますか。ですが、『性悪な』というのはどういうことでしょうか?」と返す。それに反論するセルジオ。彼に肩を抱かれている渦中の男爵令嬢アンナ・ラブレは思った。
(やっべえ。これ前世の投稿サイトで何万回も見た展開だ!)と。
※pixiv、カクヨム、小説家になろうにも同じものを投稿しています。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
シナリオ通り追放されて早死にしましたが幸せでした
黒姫
恋愛
乙女ゲームの悪役令嬢に転生しました。神様によると、婚約者の王太子に断罪されて極北の修道院に幽閉され、30歳を前にして死んでしまう設定は変えられないそうです。さて、それでも幸せになるにはどうしたら良いでしょうか?(2/16 完結。カテゴリーを恋愛に変更しました。)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?
みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。
ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる
色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる