悪役令嬢同盟 ―転生したら悪役令嬢だった少女達の姦しい日々―

もいもいさん

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第一章 悪役令嬢は動き出す

14.悪役令嬢はお茶会に出席します

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 あれよあれよの間に一月が経ち、お茶会の日になった。

 実際のところお茶会の準備以上に拠点を王都に移した為に商会関連の事で色々とあったのだけど、そこらへんはダナンに丸投げすることで解決した。

 公爵家で行われるお茶会に呼ばれた人は約10名ほどで、ほとんどが保守派や中立派の貴族夫人だ。その中で近しい年齢の子供いる夫人で共に連れて来ているのは令嬢のみに限定されていた。お母様は子供にも意図が分かるようにしているのだと私は勝手に思っているけれど、ここで将来の側近なり生涯のお友達を見つけなさい。と、いうことだ。

 今回は限定的で小規模なお茶会でり、中庭テラスに面した広間に4人掛けの丸テーブルが4つ用意され、子供達のグループ、大人たちのグループといった形で席が決められていた。

 ちなみに私と同年代の子達は私含めて4人おり、当然ひとつのテーブルにまとめられている。

 当然、お母様が主催者なので出席者に対してお出迎えや挨拶をする予定だけど、私もお母様に付いて行かなければならない。

 皆が一度席についたタイミングでお茶会が正式に始まるわけだけど、主催者側とすれば既に戦いは始まっている。

「エステリア。何があっても基本笑顔は崩すべからずです」
「はい、お母様」

 やばいー、ここに来て緊張してきた。私には今回、今後の為に大事なミッションがある。

 まず第一ミッションは攻略キャラであるファルリオ・リブロス侯爵令息の婚約者となる悪役令嬢アンネマリー・レシアス侯爵令嬢とお友達になること。

 そして、第二ミッションはハフルスト伯爵家の令嬢もしくは奥様に商売を持ちかける。

 上手くいけば、商売と破滅回避にさらなる一手となるに違いない! ってなわけで頑張ろうと思う。

 そんな事を考えている間に会場広間にお客様が到着する。
 やってきたお客様はお母様の前で綺麗な礼をする。この世界ではお辞儀ともカーテシーとも違って幾つか所作の違う種類があり、相手との格に合わせた挨拶を行う事が基本となっている。

「ステファニー様、ごきげんよう。本日はお招き頂きまして大変嬉しゅう存じます」
「ターニア様もお元気そうで何よりです。本日は遠いところ、来ていただいて感謝いたしますわ」

 お母様とレシアス侯爵夫人の会話を聞きつつ、正面にいる女の子が今回のお友達になる計画ミッション目標ターゲットであるアンネマリー嬢だ。艶はあるけど、少しクセのある赤毛に深い蒼の瞳、私に比べるとキツさはない顔立ち。とても可愛らしい雰囲気のある子だわ。

「ターニア様、こちらがわたくしの愛娘であるエステリアです。さぁ、エステリアご挨拶を」
「はい、お母様。お目にかかることが出来て嬉しく存しますレシアス侯爵夫人。ステファニー・ハーブストが娘、エステリアに御座います。お見知りおきを」

 親の爵位はどうあれ、子供は爵位を持つ人物やその配偶者に対しては目上に対する礼を行うのが基本となる。たぶん、完璧な出来だと自負するところ。

「今後とも宜しくお願いしますわ、エステリア様。ステファニー様とは学生時代より親しくさせて頂いている仲ですので、私の娘アンネマリーとも仲良くして頂ければと思いますわ」
「はい。こちらこそ、お願いしたいと存じます」
「フフッ、エステリア様はステファニー様に似ていらっしゃるので、成長が楽しみですわね。わたくしの愛娘アンネマリーもご紹介させて下さいませ」

 そう言うと、アンネマリー嬢がスッと一歩前に出て、私以上に綺麗な所作で礼をする。

「レシアス侯爵が娘アンネマリーで御座います。お見知りおきを」
「とても所作が優雅ですわね、さすがターニア様のご息女ですわね」
「有難う存じますわ」
「それでは、また後程……沢山お話いたしましょうね」
「ええ、楽しみにしていますわ」

 そう言って、レシアス侯爵夫人とアンネマリー嬢は我が家の使用人に案内されて移動していく。

「まだ一組目のお客様ですからね、気を緩めないようにね」
「はい、お母様」
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