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第一章 悪役令嬢は動き出す
7.悪役令嬢は商売に力を注ぐ
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前世の記憶を取り戻しエステリア・ハーブストとして断罪回避に向けて動き出してから2年が経ちました。7歳となり、色々と理解ってきた事、やってきた事、まだやれていない事含め頑張っている。
ともかく、ともかくだけど、キラキラ魔法学園――正式名称、キラルート・キラフィス王立魔法学園へ入学するまでに様々な対策が必要なのだ。
まず、私が考えたのは断罪されて公爵家から追い出されても生きて行けるようにする。で、テンプレだとは思いつつも食品関連から手をつけ始めた。
5歳の段階からお父様に協力を頂いて養鶏を始めた。目的としてはマヨネーズを作る為だ。
何よりも食品は安全であることが重要で卵は衛生管理が何よりも重要だと考えたからだ。
この世界でも多くの人が卵を生で食べると腹を壊す――下手をすると死んでしまう事もあると認知されている。
前世では当たり前のように生卵を使った料理があったけれど、それは餌や施設、様々な点において衛生管理がなされていたからだ。
ただし、ここは剣と魔法の世界でもある。ポイントとなるのは消毒や科学的な技術によって出来た事の代替で魔法を使う方法を編み出した。
2年で多くのデータが収集出来、卵の供給量も公爵領内に限れば平民でも気軽に手に入れる事が出来る迄になった。
そして、本日はハーブスト公爵家の厨房にて料理人達が私の指示にて作ったマヨネーズの品評を行う予定だ。
参加者は両親と成人して正式に次期公爵として頑張っているアイザックお兄様とお兄様のお嫁さんであるアイナ様。なお、ディランお兄様は学園に行っている為に不参加。
後は私の商会であるエステリス商会の管理をしているダナン・マクスナーだ。彼はお父様の側近であり、マクスナー伯爵家の現当主の弟で元冒険者でもある変り者だ。
とても柔軟な思考で私も信用している。
「では始めようか?」
お父様は私に向かって言った。私は「はい」と答えて視線を料理長へ向ける。
「薄黄色のクリーム状の物がお嬢様がご指示したマヨネーズに御座います」
と、彼は厨房にあるテーブルに様々な素材が置かれている中で小さな小皿にあるマヨネーズを示す。
「こちらは直接食べる物では無く、様々な食材にソースとして使用します。野菜などとも相性が良いのでお試し下さい」
まずはお父様が小さく切られた焼いた肉にナイフでマヨネーズを付けて口に入れる。
「ふむ……悪くは無いがもたれる感じがするな」
「はい、主な材料が植物油と卵ですので油の多い肉では合わない場合も御座います。お嬢様のススメではこちらの鶏の衣揚げを試して頂けますか?」
お父様は小さく「ふむ」と言って、小さく切り分けられた鳥のから揚げにマヨネーズを少量付けて、口に運ぶ。先程の肉はハーブスト領に生息するハーブストボアのロース肉だ。脂身の多いこってりした肉に比べて鶏肉とは非常に相性の良い素材で特にガッツリ系男子には堪らない仕様となっているハズ。
「なるほど。これは美味い――しかし、葡萄酒や蜂蜜酒には合いそうにないな」
お父様の指摘は最もなところ。だけど、一応私は考えたのだ自然の多い公爵領では豊富な水資源がある。
「お父様、こちらの飲み物は如何ですか?」
私はお父様に気で出来たコップに飲み物を入れて手渡す。
「……これは面白い。我が領で湧き出ている炭酸水に蜜と……生姜だな」
「はい、炭酸水の爽やかな喉越しと火を入れて少し苦味のある蜜と辛みのある生姜を合わせた飲み物となります」
「なるほど、酒であればさらによかったが、これはこれで……」
そう言いながら、お父様はもう一口、から揚げを口に放り込み、その後、ジンジャーエールを口にする。
「おっと、私ばかり食べては問題だな。皆も食べるのだ。そして、忌憚ない意見を述べてくれ」
本日集まった皆が一斉に用意された食材にマヨネーズを付けて食べ始めるのだった。
ともかく、ともかくだけど、キラキラ魔法学園――正式名称、キラルート・キラフィス王立魔法学園へ入学するまでに様々な対策が必要なのだ。
まず、私が考えたのは断罪されて公爵家から追い出されても生きて行けるようにする。で、テンプレだとは思いつつも食品関連から手をつけ始めた。
5歳の段階からお父様に協力を頂いて養鶏を始めた。目的としてはマヨネーズを作る為だ。
何よりも食品は安全であることが重要で卵は衛生管理が何よりも重要だと考えたからだ。
この世界でも多くの人が卵を生で食べると腹を壊す――下手をすると死んでしまう事もあると認知されている。
前世では当たり前のように生卵を使った料理があったけれど、それは餌や施設、様々な点において衛生管理がなされていたからだ。
ただし、ここは剣と魔法の世界でもある。ポイントとなるのは消毒や科学的な技術によって出来た事の代替で魔法を使う方法を編み出した。
2年で多くのデータが収集出来、卵の供給量も公爵領内に限れば平民でも気軽に手に入れる事が出来る迄になった。
そして、本日はハーブスト公爵家の厨房にて料理人達が私の指示にて作ったマヨネーズの品評を行う予定だ。
参加者は両親と成人して正式に次期公爵として頑張っているアイザックお兄様とお兄様のお嫁さんであるアイナ様。なお、ディランお兄様は学園に行っている為に不参加。
後は私の商会であるエステリス商会の管理をしているダナン・マクスナーだ。彼はお父様の側近であり、マクスナー伯爵家の現当主の弟で元冒険者でもある変り者だ。
とても柔軟な思考で私も信用している。
「では始めようか?」
お父様は私に向かって言った。私は「はい」と答えて視線を料理長へ向ける。
「薄黄色のクリーム状の物がお嬢様がご指示したマヨネーズに御座います」
と、彼は厨房にあるテーブルに様々な素材が置かれている中で小さな小皿にあるマヨネーズを示す。
「こちらは直接食べる物では無く、様々な食材にソースとして使用します。野菜などとも相性が良いのでお試し下さい」
まずはお父様が小さく切られた焼いた肉にナイフでマヨネーズを付けて口に入れる。
「ふむ……悪くは無いがもたれる感じがするな」
「はい、主な材料が植物油と卵ですので油の多い肉では合わない場合も御座います。お嬢様のススメではこちらの鶏の衣揚げを試して頂けますか?」
お父様は小さく「ふむ」と言って、小さく切り分けられた鳥のから揚げにマヨネーズを少量付けて、口に運ぶ。先程の肉はハーブスト領に生息するハーブストボアのロース肉だ。脂身の多いこってりした肉に比べて鶏肉とは非常に相性の良い素材で特にガッツリ系男子には堪らない仕様となっているハズ。
「なるほど。これは美味い――しかし、葡萄酒や蜂蜜酒には合いそうにないな」
お父様の指摘は最もなところ。だけど、一応私は考えたのだ自然の多い公爵領では豊富な水資源がある。
「お父様、こちらの飲み物は如何ですか?」
私はお父様に気で出来たコップに飲み物を入れて手渡す。
「……これは面白い。我が領で湧き出ている炭酸水に蜜と……生姜だな」
「はい、炭酸水の爽やかな喉越しと火を入れて少し苦味のある蜜と辛みのある生姜を合わせた飲み物となります」
「なるほど、酒であればさらによかったが、これはこれで……」
そう言いながら、お父様はもう一口、から揚げを口に放り込み、その後、ジンジャーエールを口にする。
「おっと、私ばかり食べては問題だな。皆も食べるのだ。そして、忌憚ない意見を述べてくれ」
本日集まった皆が一斉に用意された食材にマヨネーズを付けて食べ始めるのだった。
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