悪役令嬢同盟 ―転生したら悪役令嬢だった少女達の姦しい日々―

もいもいさん

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序章

2.悪役令嬢は熱を出す

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 はい、私エステリア・ハーブスト(5歳)は現在ベッドに寝かしつけられております。

 正直言えば、これは知恵熱。色々一気に考えすぎた過ぎたせいだと私は反省――している? もう少し色々と考えていたかったけれど、どうにもこうにも頭が痛くてボーっとして、とりあえずベッドの住人となっている。

 ちなみに因んじゃうけど、寝込んで既に3日が過ぎ去ろうとしていた――

 全く、寝すぎてボーっとしてる。もう熱は引いてるから、動きたいところだけどお医者様から絶対安静といわれ、私付きの侍女達が起きようとする私を止めるのだ。

 取り敢えず、考えをザックリとまとめていこう。

 何よりも警戒するべきは私――と言うより公爵家を利用または貶める為に近付いてくる人間ね。

 私の記憶にある『とにキラ』の登場人物……いいえ、モブキャラよね取り巻きキャラはストーリー上はいたけれど、立ち絵さえ無かったしキャラ名があった子もいたけど、マジモブどうでもいいレベル
で覚えていない。

 うん、詰んだわー。八方塞がりって感じ。

 まぁ、ヒロインに対して何もしなければ問題ない気もしなくはないけれど、婚約者となった場合、簡単には解消出来ないのよね。なんと言っても王家が望んだ婚約なんだもの。

 元々、現在の母親であるステファニー・ハーブスト公爵夫人は王家から降嫁した元王族で、現在は母の妹であるキャロライン・ディア・レフィラ・ロ・ミストリア女王との冗談交じりの会話から始まっている。これはゲーム内でも語られており、思わず『軽いな!』と、ツッコミをいれたので覚えている。

 雑な設定なところが多く、どんだけご都合なんだと幾度溜息を吐いたか。

 学園ロマンス物としては人気があったのは確かだし、実際に推しもいた。ただ、ゲーム内のファンでも様々な派閥があって、その中で考察好きの人達が作ったクラスタではワザと雑に描いている箇所が多いという話があった。

 友人がそのクラスタに属していて、何度か話を聞いていたのだが、当時はそんなアホな。と話半分であった。

 けれど、今になってその話さえ思い出さなければならない程に情報に餓えていた。

 って、いうか。考察という名の妄想だと思っていたけど、考えれば色々なところに色んな思惑があるのは明白だ。でも、それを語ると実際のゲームでは小難しくてロマンスどころの話じゃなくなるものね。

 元々、ゲーム内でも貴族たちの間には様々な派閥があるって話は幾つかのルートで出てくる。残念な事に何派と名言はされていない。

 考察クラスタの人達の間では、王族を中心とした現体制を維持したい保守派、貴族の利権を強化したい貴族派、どちらでもない中立派の三つが主軸となる派閥で他にも王族を倒したい革命派や議会政治を行いたい議会派など、小さい派閥も幾つもあるのではないかと考察されていた。


 ちなみに三大公爵家のハーブスト家、ヴィジタリア家の2家は王家との結びつきが強く、派閥としては保守派に属している。ゲーム中のシナリオで語られているけれどヴィジタリア家は現状かなりの力を失っていて没落寸前で登場するキャラは存在しない。

 残りのパルプスト家は貴族派の代名詞といえる家で、こちらには攻略対象が一人いる。

 そこまで考えて、私は小さく溜息を吐いた。

 攻略対象に関しても、キチンと思い出しておかないといけない事を思い出した所為だ。
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