ダンゴムシになったら

第十二話：決意の代償

ナオトが瀕死の状態に陥った後、ユズキの家を取り囲んでいた魔力の嵐は、ガラトンの呪文によってようやく収束し始めた。しかし、その代償としてナオトは重傷を負っていた。ユズキはまだ深い眠りの中で、病が完全に癒えるまでには時間が必要だった。

村人たちは、今回の事件でユズキが悪魔の所行ではないことを理解し、ガラトンも自分の過ちを認めた。「我々は恐れから目を逸らし、真実を見ていなかった。ダンゴムシの友は、ユズキを守るために命を張った。私たちが間違っていた…」と悔やんだ。

傷は深く、ナオトは死を覚悟した。彼は、自分の命が終わることを受け入れ、走馬灯のように、これまでの人生やユズキとの冒険の記憶が次々と脳裏を過ぎった。彼は、人間だった頃の生活、ユズキとの最初の出会い、共に過ごした時間、そして友情の力を再確認した。

しかし、驚くべきことに、ナオトは目を覚ました。ユズキが泣きながら彼を見つめていた。「ナオト、目を覚ましてくれて…ありがとう」とユズキは涙を流しながら言った。彼女は、ナオトの犠牲に感謝し、彼が生きていることに安堵した。

ナオトは、まだ弱々しい体を引きずりながらも、生命の樹へ向かおうとした。ユズキは、「ナオト、無理しないで…」と止めたが、ナオトは固い決意を示した。「ユズキ、俺は君を救うためにここにいる。生命の樹に行かなきゃ、契約が無効になるんだ」と言った。

その姿に、ユズキはナオトの友情の深さを再認識し、「私も、君と一緒に行くよ。何があっても、君のそばにいるから」と言った。

しかし、道中で力尽き、契約を果たせないことを悟った。彼は、ユズキに「ごめん、ユズキ…俺は、もう…」と謝罪し、心の中で契約を果たせないことを悔やんだ。