ダンゴムシになったら

第一話：異世界転生

団ナオトは、大学での研究に没頭する日々を送っていた。ある深夜、帰宅途中に事故に遭い、意識を失った。目覚めたとき、彼は異世界「エレシオン」に転生し、驚くべきことに、ネコぐらいの大きさの巨大なダンゴムシになっていた。

周囲は見知らぬ森で、巨大な木々や美しい光を放つ花々が広がっていた。夜空には二つの月が輝き、ナオトは戸惑いと恐怖を感じつつも、自分が何者になったのかを理解しようとしていた。

「これは…夢か？」ナオトは心の中で問いかけたが、ダンゴムシの体では言葉を発することができなかった。草を踏み分けると、地響きがするほどの自分の大きさに驚いた。新しい生活に適応するには、まずこの世界のルールを知る必要があった。

腹が減ってきたナオトは、食事を探し始めた。すると、足元に虹色に光る、やけに美味しそうなキノコを見つけ、それを食べてしまった。たちまちそのキノコは体内で奇妙な感覚を引き起こした。ナオトは、今後何が起こるかわからず、不安を覚えた。

その時、森の中から小さなノームが現れた。「お前、魔法のキノコを食べたか？」とノームが問うと、ナオトは丸まって頷いた。「そのキノコは、週に一回、20週間食べ続けることで人間の姿に戻れる。だが、一度でも食べ忘れると、魔法の効果は永遠に失われるぞ」と言った。

ナオトは、人間として戻るチャンスを得た喜びと、その条件の厳しさに引き裂かれた。ノームは続けて、「だが、注意しなさい。魔法のキノコは、試練を求める。人間への回帰は、単なる食事だけでなく、自己の内面と向き合う旅でもある」と語った。

この出会いは、ナオトにとって新しい生活の始まりであり、人間への回帰への希望、そしてそのための試練を意味していた。ナオトは、ダンゴムシとして生きる新しい世界を探求しながら、20週間の試練に挑む決意を固めた。