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「時間がないとは?」
隼人はその薄気味悪い店員に聞いた。
「時間がないとは、、まあ時間の概念などあって無いようなものでございますが、
今ちょうどあちらの世界のポータルが開いているんです。」
「ポータル?」
「そうです、こちら側とあちら側を繋ぐ。即ち私はあちら側からあなたをお迎えに上がったのです。」
「僕は死ぬんですか?あなたは死神か何か」
「いえ、あなたは、その~、説明は後でも宜しいでしょうか?さあ、おぼっちゃま
鍵をお持ち下さい」
「鍵?」
男は自分の首にかけていた黄金に輝く鍵を隼人の首にかけた。
「これを絶対に無くしてはなりません。」
隼人は悪夢でも見ているのではないかと、
小窓から現実の残骸を縋る思いで探した。
草の茂みに腰を低く落としこちらを伺っている3人のいじめっ子達の姿が見えた。
肩を撫で下ろす自分がいる一方で、
悪夢はむしろこっち側の世界なのかもしれないと隼人は思った。
このまま手ぶらで出ていったところで自分に起こる悲劇は分かっていた。
隼人は暫く考え込んだ。
すると男は真剣な眼差しでこう言った。
「あなたを必要としている世界があるのです。さあ、お心を決めて下さい。」
「僕が必要?ではもしも、あちら側に行ったら、こちら側の僕はどうなるのですか?」
「心配はご無用、こちら側ではおぼっちゃまの代わりはあてがっております。
記憶も生活スタイルも全てインストールしてありますので、これまで通りいじめられっ子です。あ、こちらに帰って来たい時にはその鍵をお使い下さい」
「はぁ。。」
隼人はよく分からないが、もしかしたら
自分が変われるチャンスなのかもしれないと思った。
「さあ、その鍵を奥に見えてくる暖炉の
1段目と2段目のレンガの隙間に入れてください。」
隼人はゆっくりと店の奥にある暖炉に近づき、黄金に輝く鍵を言われた通りに差し込んだ。
「おぼっちゃま、あちら側でお会いしましょう」
そう言うと男は消えていった。
隼人は恐る恐る渡された鍵を言われた場所にゆっくりと差し込んでみた。
するとガチャっという重厚な音とともに
隼人の身体から力が抜け、全てがぐるぐると回転を始めた。
隼人はその薄気味悪い店員に聞いた。
「時間がないとは、、まあ時間の概念などあって無いようなものでございますが、
今ちょうどあちらの世界のポータルが開いているんです。」
「ポータル?」
「そうです、こちら側とあちら側を繋ぐ。即ち私はあちら側からあなたをお迎えに上がったのです。」
「僕は死ぬんですか?あなたは死神か何か」
「いえ、あなたは、その~、説明は後でも宜しいでしょうか?さあ、おぼっちゃま
鍵をお持ち下さい」
「鍵?」
男は自分の首にかけていた黄金に輝く鍵を隼人の首にかけた。
「これを絶対に無くしてはなりません。」
隼人は悪夢でも見ているのではないかと、
小窓から現実の残骸を縋る思いで探した。
草の茂みに腰を低く落としこちらを伺っている3人のいじめっ子達の姿が見えた。
肩を撫で下ろす自分がいる一方で、
悪夢はむしろこっち側の世界なのかもしれないと隼人は思った。
このまま手ぶらで出ていったところで自分に起こる悲劇は分かっていた。
隼人は暫く考え込んだ。
すると男は真剣な眼差しでこう言った。
「あなたを必要としている世界があるのです。さあ、お心を決めて下さい。」
「僕が必要?ではもしも、あちら側に行ったら、こちら側の僕はどうなるのですか?」
「心配はご無用、こちら側ではおぼっちゃまの代わりはあてがっております。
記憶も生活スタイルも全てインストールしてありますので、これまで通りいじめられっ子です。あ、こちらに帰って来たい時にはその鍵をお使い下さい」
「はぁ。。」
隼人はよく分からないが、もしかしたら
自分が変われるチャンスなのかもしれないと思った。
「さあ、その鍵を奥に見えてくる暖炉の
1段目と2段目のレンガの隙間に入れてください。」
隼人はゆっくりと店の奥にある暖炉に近づき、黄金に輝く鍵を言われた通りに差し込んだ。
「おぼっちゃま、あちら側でお会いしましょう」
そう言うと男は消えていった。
隼人は恐る恐る渡された鍵を言われた場所にゆっくりと差し込んでみた。
するとガチャっという重厚な音とともに
隼人の身体から力が抜け、全てがぐるぐると回転を始めた。
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