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中学編。
罪深き男 洋介4 注裏要素あり。
しおりを挟む心が死んでいる。何も考えたくない。端から見たら俺は頭の悪い不良に蹂躙されている無様で哀れなおっさん。軽蔑されてもいい、見下されてもい。玩具のように扱われている方が楽だ。楽な方に流されたい。
一秒前の俺はもう俺ではない。もう別人で目まぐるしく変わっていく。洪水のように感情が溢れて疲弊する。その感情はどれを取っても地獄へと俺を引きずり込むものだ。無に還りたい。
この無駄な肉体を、必要とされないこの俺をせめて土の栄養にでもしてくれ。俺が腐ってとけて、それを草花が吸い糧としての役割を全うする。
都合のよい夢。
楽になりたい。
けれど、俺は獣である。楽に死ぬのは物足りない。
「ちんぽしゃぶるのうまいなぁ、…たまんねぇよ」
俺の尻を撫で回しながら恍惚の顔で見下ろす少年の顔を歪む。大人しくしゃぶっていたぺニスを思いっきり噛んでやったからだ。鬼のような形相を浮かべ、俺の視界が真っ赤に染まり、そこから意識を失った。
***
『先輩!先輩!』
無邪気な犬の声が聞こえる。俺を何故か慕ってくれる年下のあいつ。明るい笑みを浮かべ俺を嬉しそうに見つめてくる。
学生服、これは昔の記憶。俺はよく屋上で休み時間パンを食っていた。その当時は腹がよく空いていた。購買でパンと牛乳を買っていつものようにパンを食って腹を満たしていた。特に食いたいパンはない。何でもいいやと思っていた。
『先輩ってかっこいいっすね!すげぇ憧れています』
声が聞こえたと同時にパンのチョイスを間違った事を知る。俺の口が欲していたのは甘いあんぱんではなくて焼きそばパン。
丁度よくパシりに使えそうな犬が目の前にいる。
『焼きそばパン買ってこい』
何処ぞの不良の言葉。俺は別に不良と言うわけではない。授業開始のベルが鳴る前にはパンを食い終え教室に戻る。授業をサボったことはなかった。
『いいっすよ。でも、俺は先輩のただのパシりにはなりたくない。ご褒美を貰わないと言うこと聞きません』
きっぱりとした口調。こいつは犬ではなく人間らしい。じゃあ、いい、と興味をなくし俺はあんぱんを食う。甘ったるいあんこを牛乳で流し込んだ。
『俺に言うことを聞かせたい時はキスしてください』
噎せた。
『……お前はホモかよ』
『違いますよ。俺は女も愛せる男ですが、俺が愛したいのは先輩です。』
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