天使は俺達に駄々をこねる。

遊虎りん

文字の大きさ
上 下
8 / 11

しおりを挟む
「ここ、俺んち。送ってくれてありがとう」

ぺこり、と勢いをつけて頭を下げる真生を見て優翔と翔大はいえいえ、どういたしましてと同じ角度と勢いで頭を下げた。
3人の影が楽しそうに震えている。

「バイバイ、また明日」

手を振って真生がポケットから鍵を取り出して家の玄関の扉を開けて中に入るまで見届ける。
明かりがついた。

「今日は優翔に友達ができた記念日だな」

嬉しそうに声を弾ませて翔大は言った。
ひとりぼっちでいるのは時々寂しくなる。他愛もない話を家族以外と楽しめる人がいると安心だ。
下らない事で笑い合える瞬間が幸せ。

「自分の誕生日の次くらいに嬉しい記念日」

「よし、お祝いのプリンを買ってやろう。デザートなら純子も喜ぶ」

「甘党の翔も喜ぶね」

コンビニに寄る。ちょうど部活が終わった学校帰りの学生達が買い食いしようと店内をうろついている。
逞しい身体に日焼けした肌の坊主頭達が各々おにぎりやらパンやらを持ってレジに並んでいた。その隙間を縫うようにしてデザートコーナーに2人は向かった。気分は冒険家である。

「佐々木じゃん」

「え、うそ。工藤じゃん、今日の朝ぶり。」

翔大が笑うと工藤と呼んだ高校生と肩パンチを無邪気し合った。

「このおちびちゃんは佐々木の弟?」

「そう、このおちびちゃんは俺の弟で優翔っていう名前の男の子で趣味はカタツムリ観察」

「へえ、カタツムリ好きなんだ。俺も昔はカタツムリを観察したもんだ。俺の若いころにそっくりだな」

類は友を呼ぶ。工藤も不思議ワールドの住民らしい。
兄と波長が合う工藤に好感を持った。

「工藤さん、今度カタツムリを語りましょう」

「いいぜ。優ちゃんと語るの楽しみにしとくよ。じゃあな」

工藤はかがんで軽く優翔に肩パンチをすると、優翔は笑って肩パンチをした。


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

転生したけど赤ちゃんの頃から運命に囲われてて鬱陶しい

翡翠飾
BL
普通に高校生として学校に通っていたはずだが、気が付いたら雨の中道端で動けなくなっていた。寒くて死にかけていたら、通りかかった馬車から降りてきた12歳くらいの美少年に拾われ、何やら大きい屋敷に連れていかれる。 それから温かいご飯食べさせてもらったり、お風呂に入れてもらったり、柔らかいベッドで寝かせてもらったり、撫でてもらったり、ボールとかもらったり、それを投げてもらったり───ん? 「え、俺何か、犬になってない?」 豹獣人の番大好き大公子(12)×ポメラニアン獣人転生者(1)の話。 ※どんどん年齢は上がっていきます。 ※設定が多く感じたのでオメガバースを無くしました。

壁乳

リリーブルー
BL
俺は後輩に「壁乳」に行こうと誘われた。 (作者の挿絵付きです。)

【完結】I adore you

ひつじのめい
BL
幼馴染みの蒼はルックスはモテる要素しかないのに、性格まで良くて羨ましく思いながらも夏樹は蒼の事を1番の友達だと思っていた。 そんな時、夏樹に彼女が出来た事が引き金となり2人の関係に変化が訪れる。 ※小説家になろうさんでも公開しているものを修正しています。

灰かぶりの少年

うどん
BL
大きなお屋敷に仕える一人の少年。 とても美しい美貌の持ち主だが忌み嫌われ毎日被虐的な扱いをされるのであった・・・。

家族になろうか

わこ
BL
金持ち若社長に可愛がられる少年の話。 かつて自サイトに載せていたお話です。 表紙画像はぱくたそ様(www.pakutaso.com)よりお借りしています。

【完結】義兄に十年片想いしているけれど、もう諦めます

夏ノ宮萄玄
BL
 オレには、親の再婚によってできた義兄がいる。彼に対しオレが長年抱き続けてきた想いとは。  ――どうしてオレは、この不毛な恋心を捨て去ることができないのだろう。  懊悩する義弟の桧理(かいり)に訪れた終わり。  義兄×義弟。美形で穏やかな社会人義兄と、つい先日まで高校生だった少しマイナス思考の義弟の話。短編小説です。

学園の天使は今日も嘘を吐く

まっちゃ
BL
「僕って何で生きてるんだろ、、、?」 家族に幼い頃からずっと暴言を言われ続け自己肯定感が低くなってしまい、生きる希望も持たなくなってしまった水無瀬瑠依(みなせるい)。高校生になり、全寮制の学園に入ると生徒会の会計になったが家族に暴言を言われたのがトラウマになっており素の自分を出すのが怖くなってしまい、嘘を吐くようになる ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 初投稿です。文がおかしいところが多々あると思いますが温かい目で見てくれると嬉しいです。

絶対にお嫁さんにするから覚悟してろよ!!!

toki
BL
「ていうかちゃんと寝てなさい」 「すいません……」 ゆるふわ距離感バグ幼馴染の読み切りBLです♪ 一応、有馬くんが攻めのつもりで書きましたが、お好きなように解釈していただいて大丈夫です。 作中の表現ではわかりづらいですが、有馬くんはけっこう見目が良いです。でもガチで桜田くんしか眼中にないので自分が目立っている自覚はまったくありません。 もしよろしければ感想などいただけましたら大変励みになります✿ 感想(匿名)➡ https://odaibako.net/u/toki_doki_ Twitter➡ https://twitter.com/toki_doki109 素敵な表紙お借りしました!(https://www.pixiv.net/artworks/110931919)

処理中です...