天使は俺達に駄々をこねる。

遊虎りん

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「無理とか無理なんですけど~」

優翔は声を出して笑った。人懐っこい性格の愛嬌がある優翔は空気を和やかにして知らずにしかめっ面を笑顔をする何かを醸し出していた。
何か、とは能力を持つものはオーラ等とそれなりの名前をつけるかもしれない。

学校でグループで行動しなさい、という決まりがない時は基本的に優翔は一人で行動する。
残り物の寄せ集めと一緒にいるよりは、一人でいる方がましだ。

クラスメイトの誰も好きになれなかった。

他人のことを気にして、比べて、自分を過大評価している。所詮、自分以外のものは想像でしかないのに。
共感が出来ないのが残念で、つまらない。

優翔は退屈を感じていた。

転校生がくる、という話を耳にした時ドキドキの予感があった。なんでこんなに期待するのか不思議でたまらない。

初めて転校生を迎え入れた。

大柄で意志が強そうで、クラスメイトは警戒する。
どう接したらいいか戸惑う空気が流れた。

自己紹介の名前をいうとき、声がかすれていた。
口元がきゅ、となっている。

泣くのをぐっと堪えている顔に見えた。

「……前原真生です。晴嵐小学校からきました。よろしくお願いいたします」

いつもならお調子者の田中が何か面白いことをいって滑るところだが、何も言わない。舐められたらやられる、とばかりのボス山の猿のような深刻な顔をしていた。
6年2組の担任は淡々とした教師で、親睦を深めさせようという考えは持ち合わせず、質問タイムを設けずホームルームをそのまま終わらせた。

ぽつん、と真生は座っていた。

声をかけたかったけど、優翔は我慢した。
涙もないし、俯いていないが、泣いている気がしたからだ。

だから今、目の前で笑いあっているのが不思議だ。

好きになれそうな、満たされない心が、共鳴できそうな予感がする。
人間も悪くないな、と優翔は微笑んだ。

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