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第二章 アイ

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人間の国にまた春が訪れた。
雪は止んで冷たい風があたたかなものになり、花の甘い蜜の香りを運んでいる。

人間と魔物は争うことをしなくなった。
命をお互いに脅かすことはもうない。
干渉せず、程よい距離感を保てている。

アイの肩を掴んでキイロは空を飛んでいた。
まっ黄色の翼を必死にパタパタパタパタとはためかせている。

「メグミ!!ヒカリ、赤ちゃんうんだ?」

アイはどーーん!と空から地面に降りて城へと駆け込んだ。
かつて魔王と呼ばれていた美しい黒髪の男はみんなからメグミと呼ばれるようになっていた。
恵み、を与えてくれるから、とアイはメグミという名前をプレゼントしたのだ。
白い女をヒカリと呼んだ。
みんなに光を与えてくれるから。

「いや、まだだ」

メグミはアイを優しく抱き締めて迎える。
ヒカリがいる寝室へといく。
すると、元気な産声が聞こえた。

アイとメグミは顔を見合わせて笑い合うとヒカリの元へと駆け寄った。
元気な赤ちゃんが生まれた喜ぶを元気な泣き声で精一杯表現している。

ヒカリは赤ちゃんを抱いて幸せそうに微笑んでいる。美しい母親の微笑みであった。
父親となったばかりのメグミが赤ちゃんを抱いた。

生まれたばかりの赤ちゃんがむずり、と目を開けた。青く美しい無垢な瞳だ。
胸がいっぱいになる。

「……っ!……そうか、ここに生まれたのか。この子は勇気がある子に育つだろうな」

かつて魔王と呼ばれたメグミは懐かしそうに生まれたばかりの赤ちゃんを見つめ、そして目を細めて愛おしそうに微笑んだ。

赤ちゃんは屈託なく笑った。

愛おしく幸せな日々がこれから始まる。

この星は美しい。いつまでも、いつも光輝いている。
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みんなの感想(2件)

スパークノークス

お気に入りに登録しました~

遊虎りん
2021.08.15 遊虎りん

ありがとうございます!励みになります!!

解除
花雨
2021.08.14 花雨

お気に入り登録しときますね(^^)じっくり読ませてもらいます♪♪

遊虎りん
2021.08.14 遊虎りん

ありがとうございます!完結に向けてがんばりますね。

解除

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